注目のスタートアップ

株式会社トレードワルツ 小島 裕久 | 貿易業務に関する情報を電子データで一元的に管理できるプラットフォームで注目の企業

貿易業務に関する情報を電子データで一元的に管理できるプラットフォームで注目なのが、小島裕久さんが2020年に創業した株式会社トレードワルツです。

近年、ペーパーレス化に取り組む企業が増加しています。
文書のペーパーレス化をすることで、情報の一元化や、コスト削減、作業効率のアップなど、さまざまなメリットがあります。
また、場所の制限を受けずに仕事ができるようになるため、昨今の新型コロナウイルス感染拡大によるリモートワークにも対応可能となります。

しかし、貿易業務については、未だ多くの企業間で紙書類やPDF等アナログな形式で情報のやり取りが行われています。貿易書類の保管場所の確保や、紙書類による煩雑な取引プロセスにより、多くの時間やコストがかかっているのが現状です。

この現状を打開すべく誕生したのが、貿易業務に関する情報を電子データで一元的に管理できるプラットフォーム「TradeWaltz®」です。高いセキュリティ水準のもと、貿易取引を完全電子化することが可能となります。

株式会社トレードワルツ 代表取締役社長 小島裕久さんに「TradeWaltz®」の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

「TradeWaltz®」は、貿易業務に関する情報を電子データで一元的に管理できる、貿易情報連携プラットフォームです。情報の改ざんが難しい特徴をもつブロックチェーン技術を活用することで、高いセキュリティ水準のもと、貿易取引を完全電子化します。また、同一プラットフォーム上で各種文書を業界関係者の間で電子的に共有、編集作業を可能とします。

TradeWaltzの導入により、これまで紙書類でやり取りをしていた業務をオンラインで完結でき、貿易実務者がリモートワークできるようになる他、手続きの進捗確認などがスムーズとなり業務効率化が可能となります。また、紙書類の倉庫保管料が不要になるなど、大幅なコストの削減も期待できます。過去実施した実証実験では、貿易業務にかかる時間を従来と比べて約4割~6割削減することを確認できております。

また、既存の貿易プラットフォームとAPI連携することもできる点が特徴です。例えば、国際物流システムシェア国内No.1のバイナル社「TOSSシリーズ」や、世界トップシェアの基幹システムSAPとの連携の検討が始まっています。またアジア太平洋経済協力会議(APEC)では、日本、タイ、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドとの5ヵ国連携を提案するなど、日本からアジア、将来的には世界の貿易データを繋ぎ合わせるハブ役となることを目指しています。

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

商社、メーカー、銀行、保険会社、物流会社、船会社、航空会社など貿易に携わる多くの業態の方々に弊社サービスTradeWaltzを使用していただきたいです。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか?

貿易業務は、未だ多くの企業間コミュニケーションであり、紙書類やPDF等アナログな形式で情報のやり取りが行われ、昨今のコロナ禍でも多くの貿易実務者が出社を余儀なくされています。

貿易書類の保管場所の確保や、紙書類による煩雑な取引プロセスにより、多くの時間やコストがかかっている他、少子化により将来貿易実務者の人数も減少することが予想され、こうしたアナログな貿易取引の改善、効率化が課題となっています。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

コロナ禍で新規投資が抑えられる中、いつもは競合他社と言われる様々な業界関係者から、業界横断的に、プロダクト開発中の新会社に共同出資を頂く過程が特に大変でした。

当初トレードワルツの共同出資・設立の話を出したころは貿易コンソーシアムの多くの企業が出資に前向きでしたが、コロナが発生し、業績に影響が出る中採算性の基準が変わったり、競合他社と同じ会社に出資すべきなのか、プロダクトが完成したころに後から入った方が良いのではないか?様々な議論が起き、消極的なところも出て参りました。

しかし、いくつかの会社が出資を先行して表明し、自社グループで現場のヒアリングをしたり、サービスの効果をケーススタディで証明したり、値付けや事業計画づくりに積極的に関与して、ユーザー目線が反映された計画をつくり、少しずつ各社に投資の意義を論理的に説明できるようになりました。

その結果として7社の出資社から表明いただき、無事トレードワルツの事業開始を迎えることが出来ました。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

産官学All Japanで「貿易の未来」をつくる会社でありたいです。

トレードワルツは、貿易の未来を共に考えたいという100社以上が加入している貿易コンソーシアムを運営しており、その活動を通じて貿易現場の生の声に耳を傾けているほか、TradeWaltzの国内普及やそれに必要な法改正、海外への展開を、政府と連携して進めております。2022年には国際会議APECのナショナルプロジェクトとしてシンガポール・タイ・オーストラリア・ニュージーランドとの海外PF連携を表明します。こういった流れを加速することで、国内外の貿易実務を完全電子化し、世界中の人が信頼のおけるブロックチェーン上で、デジタルデータをやりとりする時代を作っていきたいと考えています。

しかし、トレードワルツの実現したい姿は完全電子化では終わりません。このステップはiPhoneが日本中に広がり、国民の多くがデジタルデータを扱えるようになったステップと同じであり、本当に実現したいのはその先、たくさんの付加価値があるアプリをその上にリリースし、貿易のやり方を全く変えてしまうデジタルトランスフォーメーション(DX)です。その実現のため、2021年8月にはNTTデータや三菱商事など初期の株主に加え、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社や三井倉庫ホールディングス株式会社、株式会社日新を株主に加え、アカデミアや物流会社の知見なども活かしながら、貿易に付加価値を与えるアプリを検討し始めており、今後順次付加価値アプリもリリースしていきます。

現在、いくつか発表している事例をご紹介すると、まず「位置情報の把握アプリ」が挙げられます。昨年私たちは貿易で運ばれる貨物にIoTセンサーを取り付け、KCCS社が開発する位置情報プラットフォーム「IoTトラッカー」でリアルタイムに貨物の移動情報を把握するという実証を行いました。皆さんはAmazonで何かを注文したときに,商品がどこの集荷所まで到着したか,通知してくれる機能を使ったことがあるかもしれませんが、貿易においても同じことを実現しようとするアプリです。

他に発表済のものとしては、「デジタル通貨決済アプリ」も上げられます。貿易上で契約の履行や権利の移転が起きた際に、対価となる代金をスピーディーかつ安価にデジタル通貨で支払うデジタル通貨決済は期待が寄せられていますが、契約情報を管理するブロックチェーンと支払を管理するブロックチェーン間をつなぐ部分は技術的なハードルがありました。トレードワルツはNTTデータ、東京海上日動、株式会社STANDAGEと共に、ブロックチェーン間をつなぎデジタル通貨で決済する実証に世界で初めて成功しており、今後商用化を目指しています。

これらのアプリは単独でも大きな意味を持ちますが、組み合わせることで更なる効果を発揮します。貨物情報の位置をIoTで補足し、権利の移転が確認できたところで、スマートコントラクトを活用し、デジタル通貨決済を行う、といった掛け合わせです。ここまでいくと貿易実務者の介在は最小で済むようになり、物流自動化といった未来が見えてきます。

ここまで述べてきたように、TradeWalltzが進める貿易DXの取り組みは、実務者の手元の作業を効率化するだけでなく、その先に電子化された“データ”を起点とした新たなビジネスモデル ・ユーザ体験への可能性を広げていくと考えており、その貿易の未来をワクワクしながら考えています。
世界中をつなぐ貿易という大きなフィールドで,トレードワルツは日本発のデジタルトランスフォーメーションにチャレンジ致します。

・今の課題はなんですか?

足元の課題はIT人材と営業人材の補強です。昨年10月より私たちはTradeWaltzのトライアル版をリリースし、50社に利用頂きながら、「もっとこういう機能が欲しい」という改善のご要望を挙げていただいています。また海外の数多くのプラットフォームからもAPI連携や協働での付加価値アプリ開発の依頼を頂いています。

現在の足元のユーザー要望を満たしプロダクトマーケットフィットを実現するために、そしてより海外と繋がった状態を実現し、付加価値サービスを生み出すために、私たちはエンジニア等のIT人材を社内に確保し、開発体制の内製化を進める必要があります。また、より多くのお客様にTradeWaltzを利用頂くため、お客様接点となる営業メンバーも拡充していく必要があります。

私たちはこういった課題を解決すべく、現在ビズリーチで経済産業省様からも応援コメントを頂きながら、人材の公募を行っています。

・読者にメッセージをお願いします。

私たちトレードワルツは「貿易の未来を作る(Create the Future of Trade)」というビジョンのもと、弊社のプラットフォームTradeWaltzを信頼のおける基盤とし、貿易に携わる全ての関係者の皆様がスムーズにつながり、そして関わる方すべてが豊かになる貿易の未来を、共に創造したいと考えております。

回答者プロフィール 株式会社トレードワルツ 代表取締役社長 小島裕久(こじまひろひさ)
1964年9月生まれの57歳。栃木県出身。
1988年3月に明治大学政治経済学部経済学科を卒業後、同年4月に日本電信電話に入社。
2012年7月第一金融事業本部クレジット・リースビジネスユニット第三統括部長、13年3月第一金融事業本部金融社会インフラビジネスユニット新日銀ネット統括部長、14年6月第一金融事業本部金融社会インフラ事業部長、17年11月金融事業推進部デジタル戦略推進部長、18年7月金融事業推進部ビジネス戦略部長を経て、20年4月から株式会社トレードワルツ代表取締役社長。
会社名 株式会社トレードワルツ
代表者名 小島 裕久
創業年 2020年4月1日
住所 〒100-0005
東京都千代田区丸の内3-2-2
丸の内二重橋ビルディング2階
従業員数 56名(フルタイム30名)(2022年3月22日現在)
資本金 100,000,000円
サービス名 TradeWaltz®
事業内容 貿易プラットフォーム「TradeWaltz®」をSaaSとして提供・運営
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ trade ブロックチェーン 小島 裕久 株式会社トレードワルツ 貿易 貿易コンソーシアム 貿易プラットフォーム
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