中小企業のための国の退職金制度「中退共」! 福利厚生を充実させるなら「中退共」の導入を考えよう

企業にメリット!「中退共制度」を詳しく解説!

企業の規模が小さいと、退職金制度を用意するのは難しいと思っていませんか?そんなときに頼りになるのが国の退職金制度である「中小企業退職金共済制度」、略して「中退共制度」。管理も簡単で、掛金の一部を国が負担してくれるなど、いろいろなメリットがあります。従業員の老後の人生を豊かにしてくれ、人材確保にも有利な「中退共制度」の魅力についてご説明します。

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中小企業が直面する退職金の壁、「中退共」が解決してくれるんです!

中退共制度は、昭和34年に国の中小企業対策の一環として制定された「中小企業退職金共済法」に基づき設けられた制度で、中小企業の振興と従業員の福祉の増進を図ることを目的としており、60年で110万社以上の加入実績があります。

そうはいっても、どんな制度なのかすぐに理解することは難しいですよね。まずは、動画の中で従業員や社長が税理士の退田さんに質問していた、中退共制度に関する素朴な疑問についてお答えします!

1.どんな企業が中退共制度に加入できるの?

中小企業の範囲

業種 常用従業員数 資本金・出資金
一般業種(製造業、建設業等) 300人以下 または 3億円以下
卸売業 100人以下 または 1億円以下
サービス業 100人以下 または 5千万円以下
小売業 50人以下 または 5千万円以下

まずは、どんな企業が中退共制度に加入できるのかを確認してみましょう。加入できる企業は、中小企業基本法に定められた中小企業者になります。条件は業種によって異なります。常時雇用する従業員数、または資本金の額・出資の総額のいずれかが上記の表の範囲内であれば加入できます。ただし、個人企業や公益法人等の場合は、常時雇用する従業員数によります。

また、加入後に従業員の増加などによって中小企業ではなくなった場合も、一定の要件を満たしていれば、解約手当金相当額の範囲内の金額を、他の制度に引き渡すことができます。

2.加入できる従業員は?

次は、加入できる従業員についてです。中小企業の事業主に雇用されている従業員であれば、どなたでも加入することができます。なお、中退共制度は企業としては任意加入の制度ですが、加入する場合は雇用する従業員は原則、全員加入させてください。ただし、次の条件にあてはまる従業員は加入させなくてもよいことになっています。

① 期間を定めて雇用される者
② 季節的業務に雇用される者
③ 試用期間中の者
④ 短時間労働者
⑤ 休職期間中の者
⑥ 定年などで短期間内に退職することが明らかな者

なお、短時間労働者(パートタイマー)については、掛金月額の特例や新規加入時の掛金助成に上乗せがあります。※対象外となる場合があります。

家族従業員のみの企業も加入できます。

また、中退共制度は、従業員である実態があれば事業主の家族であっても加入できます。ただし、事業主と生計を一にする同居の親族を加入させる際は、使用従属関係等の確認のための書類の提出が必要となります。同様に、加入中、及び退職時にも従業員性の確認を行うことになっています。
詳しくはこちらのページをご覧ください。

3.退職金っていくらぐらいもらえるの?

「いくらぐらい受け取ることができるのか」については、制度の導入を検討するうえで気になることのひとつですよね。こちらはもちろん掛金の額と勤続年数によって様々ですが、一例として月々の掛金が5千円だと10年後で約63万円、20年後で約133万円、30年後で約210万円。定年を迎えるころの40年後は約295万円となります。掛金が1万6千円だと、10年後で約202万円、20年後で約426万円、30年後で約674万円、定年を迎えるころの40年後は946万円です。

こちらのページで「退職金シミュレーション」もできるので、より詳しく知りたい方は試してみてください。

支払われる退職金は、基本退職金と付加退職金を合わせたものになります。ただし退職金は、納付月数が11か月以下の場合は支給されません(通算制度または、他制度からの引継ぎを行っている場合は、11か月以下でも支給される場合があります)。12か月以上23か月以下の場合は掛金納付総額を下回る額になります。これは長期加入者の退職金を手厚くするためです。

24か月以上42か月以下では掛金相当額となり、43か月目からは運用利息と付加退職金が加算されるという特徴があります。

基本退職金は、掛金月額と納付月数に応じて固定的に定められている金額であり、制度全体で予定運用利回りを1%として定められた金額ですが、予定運用利回りは法令の改正によって変わる場合があります。

付加退職金は、中退共の運用収入や財務状態等を勘案して定められる金額です。具体的には、掛金納付月数の43か月目とその後12か月ごとの基本退職金相当額に、その年度ごとに定められた支給率を乗じて得た額を、退職時までに合計した金額となります。

4.退職金はどんなタイミングでもらえるの?

退職金は、企業からではなく退職者本人が手続きをすることによって中退共から直接支払われます。退職後、必要な書類を用意し、中退共本部へ請求すれば、受付後通常4週間ほどで退職金が振り込まれます。

5.手続きは面倒じゃないの?

普段の業務でいっぱいいっぱいで、従業員それぞれの退職金を管理するような時間はとてもない…。そういった経営者の方も多いのではないでしょうか。でも、中退共制度なら手続きも管理もとても簡単です。

加入するときは、「【新規】退職金共済契約申込書」に必要事項を記入して、金融機関などに提出すればオッケーです。掛金は口座振替で、管理などは中退共が行ってくれるので、管理に手間を取られません。従業員ごとの納付状況や、退職金の試算額も事業主に知らせてくれます。

6.お給料から掛金が引かれるの?

従業員の方は「お給料から掛金が引かれたら負担が増えてしまうかも」と心配になってしまうかもしれませんが、掛金は全額事業主負担になります。掛金は月額で従業員ごとに16種類から選ぶことができ、初めて中退共制度に加入する事業主には、国が掛金の一部を助成するという嬉しいメリットもあります。従業員ごとの上限は5,000円ですが、掛金の2分の1を、加入後4か月目から1年間国が助成します。
また、掛金月額を増額する場合の助成もあります。
※条件があります。

このほかに、独自の補助制度を設けている自治体等もあるので、検討する際にはチェックしておくとよいでしょう。

詳しくはこちらのページをご覧ください。

7.転職したらどうなるの?

転職したら、それまで納めていた掛金はいったいどうなってしまうのでしょうか?こちらももっともな疑問ですね。中退共に加入している企業を退職し、退職後3年以内に退職金を請求せず新しい企業で中退共の被共済者となり、通算の申し出を行えば、前企業で既に納めていた掛金納付月数を引き継ぐことができます。

中退共制度は長期加入者に有利な設計になっているので、できればぜひ引き継いで続けたいところですね。

中退共制度の仕組みを理解しよう

素朴な疑問に答えたところで、中退共制度の仕組みについて根本的に理解するために、もう少し大きな視点で見ていきましょう。

加入者は制度創立以来、過去最高を記録

 

現在、加入企業数は約37万8千所、加入従業員数は約364万人。順調に増加しており、退職金が重要だと考えている企業や経営者の多さを裏付けています。また、運用資産額は5兆を超える資産規模となっています。

国が定めた外部積み立て型の退職金制度

中退共制度は、昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた、中小企業のための国の退職金制度です。中小企業にとってはなかなか導入するのが難しい退職金制度を、国の援助によって簡単に取り入れられるようにと設立された制度になっています。

仕組みとしては、事業主が中退共と退職金共済契約を結び、毎月の掛金は、金融機関を通じて口座振替により納付します。従業員が退職したときは、その従業員に中退共から退職金が直接支払われます。

1.事業主が中退共と退職金共済契約を結びます。後日、従業員ごとの「退職金共済手帳」が事業主へ送付されます。

2.毎月の掛金は、金融機関を通じて口座振替により納付します。掛金は全額事業主負担です。

3.従業員が退職したときは、その従業員の請求に基づいて中退共から退職金が直接支払われます。

いかがでしょうか。非常にシンプルな仕組みで分かりやすいですよね。退職金の原資となる資金は安全で効率的な運用が行われ、会社にもしものことがあっても確実に従業員の方に支払われるようになっています。「日頃頑張ってくれている従業員の生活を守りたい」と考えていらっしゃる経営者の気持ちに寄り添った仕組みと言えるでしょう。

掛金の月額は16種類! パートタイマー向けの特例掛金月額もあります

掛金月額

5,000円 6,000円 7,000円 8,000円
9,000円 10,000円 12,000円 14,000円
16,000円 18,000円 20,000円 22,000円
24,000円 26,000円 28,000円 30,000円

毎月の掛金は、事業主の指定の預金口座から振り替えられるので管理の手間がありません。また、掛金は従業員ごとに設定することができます。
掛金は全額事業主が負担し、掛金の一部でも従業員に負担させることはできません。

短時間労働者(パートタイマーなど)は、上記の掛金月額のほか、特例として次の掛金月額を設定できるのが嬉しい点ですね。

短時間労働者向けの特例掛金月額

2,000円 3,000円 4,000円

注目したいポイントとして、掛金は法人企業の場合は損金、個人企業の場合は必要経費となり、全額非課税となることが挙げられます。※資本金の額または出資の総額が1億円を超える法人の法人事業税には、外形標準課税が適用になります。

提携割引サービスが利用できる

中退共制度に加入していると、中退共本部と提携しているホテルやレジャー施設などを割引料金で利用する事ができます。従業員に向けた福利厚生の一環としてアピールすることができますね。

中退共制度がもっとよくわかる!

具体的な加入方法や中退共制度の詳しい情報については、以下より資料をダウンロードすることができますので、ご覧ください。

(監修: 中小企業退職金共済事業本部
(編集: 創業手帳編集部)

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