銀行間の送金手数料が改定!半世紀ぶりの変更で変わる振込手数料

創業手帳

振込手数料改訂の背景や主な銀行の振込手数料変更一覧を掲載!


2021年10月、銀行間送金手数料改定による各銀行の振込手数料の引き下げが期待されています。
これまで長期にわたって各銀行の振込料が横並びになっていたのが、これを機に価格競争が起こり、より利用しやすくなるのではないかと注目が集まりました。

今回の銀行間手数料改定、ならびに各行の振込手数料引き下げに至った背景を振返り、これから実際にどれくらい下がるのかをチェックしておきましょう。
また、銀行間手数料が下がることのメリットとデメリットも併せて紹介します。

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振込手数料改定に伴う各銀行の手数料の変化


銀行間送金手数料改定に伴う各銀行の振込手数料見直しは、2021年3月の全国銀行協会の発表から注目されることとなりました。
これまで長期間にわたって、固定されていた銀行間で送金しあう際の振込手数料が変わり、2021年10月から一律62円となります。
それによって、各銀行の個人や法人の顧客に対する振込手数料の引き下げへの期待が高まっています。

変更前の振込手数料の現状

そもそも銀行は、全国銀行データ通信システムを通じて資金のやり取りを行っています。システムを使ってやり取りをする際には、送金手数料を支払う必要があり、それは銀行が支払うべきコストのひとつとして利益にも大きな影響を与えてきました。

送金手数料は、銀行にとって仕入れコストにあたります。仕入れコストをまかなうためには、売上げ、つまり顧客に請求する手数料にその金額を上乗せしなければいけません。
その銀行間送金手数料は、40年以上にわたりずっと3万円未満で117円、3万円以上では162円が続いていました。

各行の手数料戦略が変わる見込み

今回の全国銀行データ通信システムの送金手数料が引き下げられることで、それぞれの銀行の手数料戦略も大きく見直されることとなりそうです。
そもそも、海外では銀行の個人間の送金手数料などを無料にする動きが出ています。
また、国内でもネット銀行の増加によって、より低額な手数料を求める顧客が増えてきました。

こうした流れをくみ、各行はこれまでの手数料形態の在り方を見直し、新たな価格設定や手数料システムを取り入れようとしています。
また、この改定を皮切りに、各行が独自のサービスやルールを打ち出してくることも考えられます。

大手銀行のネット振込手数料引き下げ

それぞれの銀行では、他行への振込みにかかる手数料を引き下げる検討が進められています。大手銀行でも、同様に手数料引き下げを発表する動きが相次いでいます。

特に引き下げの対象となっているのが、インターネットバンキングでの振込手数料です。

大手都市銀行でも、安価な手数料のネット銀行の台頭によって、大きな岐路に立たされることになりました。
ネット銀行の手数料との差をどれくらい詰められるか、注目が集まっています。

割安のスマホ送金も

銀行の手数料引き下げの動きとしては、スマホ送金サービスについても注目されています。
スマホ送金とは、スマートフォンを使って割安な手数料で送金できるサービスです。

三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行の、大手都市銀行5行が共同で新会社を設立し、サービスを始めることが決まっています。

スマホ送金サービスは、専用アプリを使って送金できる仕組みで、割り勘をする時のお金のやり取りを想定して作られたものです。
1回あたりの送金の上限は10万円程度で、条件を満たすと無料で利用できるようにする案も出ています。

振込手数料改定の背景


今回の動きは、40年以上の長期にわたって固定されてきた銀行手数料についての報告で、公正取引委員会が一石を投じることによって始まりました。
この動きによって、顧客が振込みの際に支払う手数料も改定する動きが始まっています。

銀行間手数料の引き下げによって顧客の振込手数料が下がる理由や背景について考えてみましょう。

銀行間手数料の引き下げの影響

銀行間手数料は顧客の振込手数料の金額に深く関わっています。銀行間手数料が高ければ、顧客の振込手数料を下げることはできません。

銀行も企業として利益を得て、安定的な経営をしていかなければならないためです。顧客に求める振込手数料が銀行間手数料を下回れば、赤字になってしまいます。
そのため、高い銀行間手数料の影響で、顧客への手数料も高止まりしていました。

顧客の利益を損ねるものとして批判の対象となることもありましたが、手数料は下げられることはなく、手数料の金額は横並びとなり、銀行間で競争が生まれない状態が続いていたのです。

ところが今回、銀行間手数料がついに引き下げられることになったため、それぞれの銀行でも振込手数料を見直す動きが始まりました。

銀行間手数料の議論は2020年4月から

銀行間手数料についての議論は、2020年4月に公正取引委員会が銀行間手数料の現状を問題視する報告書を公表したことで始まったものです。
実に1年以上の時間をかけ、見直しが行われてきました。

そもそもの原因は、IT化の進展によって事務処理コストは下がっているにもかかわらず、手数料自体が見直されなかったことです。

全国銀行データ通信システムを運営している全銀行資金決済ネットワークが、各銀行のシステムの負担額を調査した結果、その平均となる62円へと引き下げられることになりました。
また、今後は5年ごとに水準の見直しが行われることになっています。

振込手数料が決まる仕組みとは

銀行が顧客から受け取る振込手数料は、銀行の収入源のひとつです。
銀行の顧客に請求する振込手数料は、サービスの原価にそれ以外の経費と銀行側の利益を乗せて決められます。

銀行間の送金手数料は、銀行の行う送金サービスの原価にあたるものです。さらに、人件費やシステムのコストなどがその上に乗せられ、振込手数料が決まります。

銀行間の送金手数料は、資金を振り込む銀行が振り込まれる銀行に支払うことになっています。
大手から地方銀行側に支払われることが多いため、銀行間の送金手数料が引き下げられることで、大手銀行は収益が引き上げられる可能性があるでしょう。

銀行間手数料が下がるメリット・デメリット


銀行間手数料が下がることで、大手銀行は利益が増え、顧客にも良いことが多くなりそうですが、一方ではそのしわ寄せによって苦しめられるところも出てきます。
全方向にメリットがあるわけではありません。

銀行間手数料の引き下げの影響がどのようなところに出てくるか、知っておきましょう。

手数料が下がるメリット

銀行間手数料が引き下げられることによって、今後は手数料が顧客にとって使いやすい価格になることが予想されます。
また、将来的にも定期的に見直しされるため、時代や社会情勢に適した価格帯が維持できるようになりそうです。

大手銀行の振込手数料の値下げ

銀行間手数料が下がることの大きなメリットは、手数料の負担が減った大手銀行の振込手数料が引き下げられることです。

自行の支店同士、グループ間などの振込手数料は無料の場合が多くなっていますが、他行宛振込手数料は有料で、場合によっては1000円近く発生することもありました。

この金額が下がることで、個人のお金のやり取りも企業間の売買取引もコストを下げられます

各行の値下げ競争が始まる可能性も

今回の銀行間の振込手数料が見直され、銀行への注目が集まる中、各行は新しい他行宛振込手数料の価格を発表しています。
すでに各行の価格にはバラつきが出てきており、手数料の比較なども始まっています。
安価な手数料を期待して銀行を選ぶ人が増えてくれば、今後はさらなる値下げを行う銀行が出てくるかもしれません。

キャッシュレス事業者も恩恵

銀行間の送金手数料が減ることは、銀行を送金のために利用する個人や企業だけでなく、キャッシュレス事業者にも良い影響があります。

キャッシュレス事業者は、売上金をお店へ入金する際に、振込手数料を支払っており、送金手数料の引き下げによって振込手数料が減るとコストダウンが図れます

キャッシュレス事業者とは、「○○ペイ」といったキャッシュレス決済サービスを提供している事業者のことです。

銀行間手数料が下がるデメリット

銀行間の送金手数料が引き下げられることで、しわ寄せがくる部分もあります。

これまで銀行間手数料を受け取っていた側は、銀行間の送金手数料を下げられることで、利益が減る可能性があります。

地方銀行では大手行からの手数料が減る見込み

銀行間手数料は、振込みする側から振込みを受ける側に支払われるものです。
資金の流れは、主に大手行から地方銀行へとなっているため、引き下げによって、地方銀行は支払われる手数料が減る見込みとなります。

地方銀行は中小企業を主な取引先としており、中小企業は大企業に納品し、大企業から代金を受け取ります。一方大手銀行は大企業と取引きすることが多いものです。
そのため、送金は大企業と取引きしている大手銀行から中小企業との付き合いが多い地方銀行へ、の流れが多くなります。

つまり、手数料が下げられると、振込みのたびに地方銀行の受け取る金額が減るわけです。
手数料の現象の影響で、地方銀行は経営が厳しくなる恐れがあり、事業の見直しが必要となるかもしれません。

各銀行の振込手数料一覧(法人のみ)


各銀行で、来たる2021年10月(一部の銀行では11月)に改定される手数料についての発表が始まっています。
基本的には現行の他行振込手数料を値下げする旨が伝えられていますが、変更のあるサービス、値下げ幅はそれぞれの銀行で違うようです。

以下の表は、窓口でかかる他行への振込手数料です。

窓口 旧料金(円) 新料金(円)
【都市銀行】 3万円未満 3万円以上 3万円未満 3万円以上
三菱UFJ銀行 660 880 594 770
三井住友銀行 660 880 605 770
みずほ銀行 770 990 710 880
りそな銀行 880 770
埼玉りそな銀行

地方銀行でも、同様に他行宛の振込手数料が下げられる予定になっています。

窓口 旧料金(円) 新料金(円)
【地方銀行】 3万円未満 3万円以上 3万円未満 3万円以上
横浜銀行 770 990 715 880

以下はカードを利用したATMでの他行宛振込手数料です。変更のない銀行もあります。

ATM(カード) 旧料金(円) 新料金(円)
【都市銀行】 3万円未満 3万円以上 3万円未満 3万円以上
三菱UFJ銀行 275 440 209 330
三井住友銀行 330 550 275 440
みずほ銀行 330 440 270 330
りそな銀行 440 440
埼玉りそな銀行
ATM(カード) 旧料金(円) 新料金(円)
【地方銀行】 3万円未満 3万円以上 3万円未満 3万円以上
横浜銀行 330 550 275 440

ネットバンキングでの他行宛振込手数料も変更があります。もともとリーズナブルな価格設定になっていたネットバンキングですが、さらに使いやすくなりそうです。
ただし、全体的に、実店舗を持つ銀行の振込手数料よりネット中心で経営している銀行の方が安い状況は変わりません。

ネットバンキング 旧料金(円) 新料金(円)
【都市銀行】 3万円未満 3万円以上 3万円未満 3万円以上
三菱UFJ銀行 550 770 484 660
三井住友銀行 220 440 165 330
みずほ銀行 550 770 490 660
りそな銀行 660 605
埼玉りそな銀行
ネットバンキング 旧料金(円) 新料金(円)
【地方銀行】 3万円未満 3万円以上 3万円未満 3万円以上
横浜銀行 220 440 165 330

今回、特に3万円未満の振込ではネット銀行に迫る振込手数料を打ち出した都市銀行などもありましたが、ネット銀行も以下の通りさらに値下げを行い、リーズナブルさを打ち出しています。
ネット銀行では、特に3万円以上での振込料の安さが目立ちました。

ネットバンキング 旧料金(円) 新料金(円)
【ネット銀行】 3万円未満 3万円以上 3万円未満 3万円以上
PayPay銀行 176 275 160 160
GMOあおぞらネット銀行 166 261 145 145
住信sbiネット銀行 160 250 145 145
楽天銀行 168 262 150 229

三菱UFJ銀行やGMOあおぞら銀行など、多くは10月から引き下げを発表していますが、三井住友銀行・りそな銀行など、11月からの引き下げとなる銀行もあります。

また、住信sbiネット銀行のように改定予定のない銀行、未定の銀行などもあるようです。

まとめ

2021年10月に始まるであろう銀行間の送金手数料の引き下げは、各銀行の他行宛振込手数料の引き下げへと金融業界に大きな変化をもたらしました。

40年以上動きがなかった手数料の改定は、各方面へさまざまな影響を与える可能性があります。

企業の振込手数料も引き下げられる見通しなので、まずは振込コストの抑制が期待できそうです。ただし、中小企業を支える地方銀行の手数料の減少といった、付き合いのある銀行の経営状況に影響が出る恐れもあります。

引き下げ後は、その影響がどのように出てくるか、状況の変化を慎重に見守っておくことも必要かもしれません。

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(編集:創業手帳編集部)

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