合同会社と株式会社どっちが自分に合っているの?メリットとデメリットを徹底比較

創業手帳

失敗しない法人格選び

(2018/06/08更新)

法人を設立して起業しようとすると、意外といろいろな選択肢があることに気づきます。会社といえば株式会社だと思っていたけれど、合同会社っていうのもあるな・・・そんな方のために、株式会社と合同会社のメリット・デメリットを比べてみました。

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株式会社と合同会社の相違点は「経営と出資の関係」や「組織のあり方」

現在の会社法には大きく分けて2種類の会社が定められています。
ひとつは「株式会社」、もうひとつは「持分会社」。その持分会社のひとつが「合同会社」です。持分会社の一種には、ほかにも「合資会社」「合名会社」があります。
(「~会社」といった、会社=法人に与えられた権利能力や形態を“法人格”と言います。)

「株式会社」と「合同会社」の違いは事業内容よりも、経営と出資の関係や組織のあり方がポイントです。以下、それぞれの特徴をみていきましょう。

株式会社とは

株式会社は、株式を発行して資金を集めて作られる“会社”の代表的な形態で、前述の「経営と出資の関係」で言うと、経営者(社長や役員)と出資者(株主)が別々になっている仕組みです(中には、創業社長=最大株主のように同一人物の場合もあります)。

したがって、上場会社の株の売買を考えていただくとわかりやすいですが、経営にまったくタッチせずに株だけを売買したり、配当を得ることもできます。また、株主が同意すれば外部から招いた人物を社長や役員に据えることもできます。

株式会社の最終的な決定権は株主総会にあり、議決権は株数に応じますので、株式を多く持っている株主により多くの権限があることになります。

株式会社のメリット

国税庁平成27年度分「会社標本調査」によると、日本の会社等(一般社団・財団法人などは除く)の9割以上が株式会社(旧有限会社を含む)です。合同会社が増加しているとは言っても約5万社なのに対し、約250万社の株式会社が活動しています。

株式会社で対応できない事業はない

株式会社の参入が規制されている分野は別にして業種を問わず、また、個人事業を法人化しただけの会社から世界的大企業まであらゆる規模において、株式会社で対応できない事業はありません。

資金調達方法の選択肢が広い

合同会社との比較で、メリットとして特に挙げられるのは資金調達方法の選択肢が広いことです。
新株の発行、転換社債型新株予約権付社債(CB)など、株式を使ったさまざまな資金調達の方法があります。成長して条件を満たせば株式市場への上場も可能です。また、ベンチャーキャピタルなど、未上場の株式会社を投資対象とするファンドもあります。

出資者は全員が有限責任

株式会社への出資者は全員が有限責任です。有限責任とは、出資した金額の範囲で責任を負うことです。つまり、万が一会社が倒産したときなどに出資したお金は無くなってしまう可能性はありますが、それ以上の責任は負わないということです。有限責任であることによって出資のリスクは少なく、出資されやすいと言えます。

株式会社のデメリット

設立時の費用は合同会社よりも多くかかる

登記に必要な登録免許税が15万円~かかります(合同会社は6万円~)。また、公証人による定款認証(5万円)も必要になります(合同会社は不要)。

会社の組織や運営に法令の規定が多い

株式会社の場合、株主総会の開催、株主総会の決議が必要となる事項、取締役の権限や取締役会の運営などについて、さまざまなルールが定められています。また、取締役の任期、決算公告義務などもありますので、定期的に登記や公告の費用も発生します。

利益の配分は株数に応じる決まり

利益は、「1株あたり○円」など株数に応じて配分します。このため、例えば数人で起業して「出資は少ないが技術やノウハウなどで会社に不可欠なメンバーにも利益を配分したい」といった場合などは、悩ましい問題が生じるかもしれません。

株式会社に向いている場合

とりわけ、資金調達をテコにして会社を早く成長させることを考えるなら株式会社が向いていると言えるでしょう。株式会社の参入が規制されている分野を除き、株式会社に向かない事業は特にありません。

合同会社とは

合同会社は2006年に新たに作られた法人の形態で、合資会社、合名会社とならぶ持分会社の一種です。今回は持分会社の中でも急成長している合同会社を持分会社の代表として、数の多い株式会社をくらべてみました。

前述の「経営と出資の関係」でいうと、合同会社は出資者と経営者が分離していない形の法人であるため、経営者は必ず出資者でなくてはなりません。ただし、「出資するだけの出資者」と「出資も経営もする出資者」を分けることはできます。

合同会社のメリット

設立にかかる費用が株式会社より少ない

設立時に必要な登録免許税が最低6万円~と、株式会社の5万円~に比べて少額です。また、公証人による定款認証(5万円)も不要です。定款に貼付する印紙(4万円)も電子定款なら不要ですので、非常に少額で設立が可能と言えます。

会社の維持にかかる手間と費用が少なく、意思決定が早い

合同会社には決算の公告義務がありません。また、出資者=経営者ですので、株主総会的なものを開催せずとも速やかに重要な意思決定ができる仕組みです。

出資者は全員が有限責任

株式会社と同様に、出資者は全員が有限責任となる点が他の持分会社(合資会社、合名会社)と比較した場合の合同会社の特徴です。無限責任の場合、負債総額の全額を支払う必要があるため、有限責任であることのメリットが大きいです。

出資金額にかかわらず対等な議決権を持つ

出資者は出資額にかかわらず対等の議決権を持ちます(定款で変更することもできます)。そのため、対等に事業に進めたい場合にはメリットとなります。

出資金額にかかわらず利益の配分をすることができる

株式会社と異なり、出資者の出資金額と関係なく利益を配分することができます。そのため、例えば、「出資金額にかかわらず均等割」「(出資金額が少なくても)利益に貢献した製品開発に貢献した人に加重して配分」など会社の事情に応じて考えることができます。

組織運営の自由度が高い

合同会社の場合、会社の事情に合わせて定款で組織のあり方を決めることができます(「定款自治」などと言われます)。
例えば、「出資だけする出資者」「出資と経営両方する出資者(業務執行社員)を分けることや、代表社員を定めるか否かなども会社の考え方次第です。

合同会社のデメリット

資金調達の選択肢が少ない

合同会社にはそもそも株式がありませんので、株式の仕組みを使った資金調達はできません。また、ベンチャーキャピタルのように株式上場や値上がりの利益を狙うファンドの投資対象にもなりませんので、資金の調達方法の選択肢はやや限られます。

出資者の人間関係や合意形成に努力が必要

デメリットと言うべきかは微妙ですが、利益の配分を自由に決められる、ということは逆に言うと誰かが満足できない配分になるリスクもはらんでいます。また、原則として出資金額にかかわらず対等な議決権がありますので、出資者の人間関係が崩壊したり、対立が収拾できなくなると経営が困難になるリスクがありますので、良好な人間関係や丁寧な合意形成の努力が求められます。

場合によっては議決権や利益の配分について定款に定めることも検討が必要です。

知名度・認知度はまだ低い?

前述の通り、合同会社は2006年に創設された制度ですので、まだ10年余の歴史しかなく、増加しているとはいえ、全国で5万社程度(平成27年度分「会社標本調査」)です。合同会社の代表者を定めた場合の肩書は「代表社員」ですが、「代表取締役」に比べると認知度はまだまだの状況と言えるかもしれません。お客様から「合同会社って・・・何かが合同してできた会社なんですか?」と聞かれたとか、「代表社員」がピンとこないために、名刺の肩書を「代表」だけにしているケースも見かけます。

株式会社・合同会社を選択するポイント

そもそも事業内容によって「合同会社でないとできない」「株式会社でないとできない」というものはありません。また、法人税等、消費税等、社会保険等についても、どちらかが有利ということはありません。

その上で、起業する際にどちらを選択するのがいいかを考えるなら、以下のようなポイントをチェックしてみてください。

株式会社が向く場合

会社を大きくして「いずれは株式上場」まで含めて考えるなら、選択肢は株式会社一択です。株式を発行しない合同会社が株式を上場することはできません。

ベンチャーキャピタルなどの資金調達を想定する場合も株式会社にする必要があります。
そのほか、研究開発費などに多くの資金が必要になると予想される場合も資金調達の選択肢が多い株式会社が適当でしょう。

合同会社が向く場合

許認可や入札などの関係でとりあえず法人格が必要な場合や、個人事業主が節税を狙って法人化する場合などは、少ない費用で設立でき、維持費も少なく済む合同会社が手軽です。

「自らは技術やノウハウ」「友人は資金」など、それぞれの得意分野を持ち寄って起業するような場合にも、出資額にかかわらず利益を配分できる合同会社の特徴が生かせます。また、出資額にかかわらずフラットなメンバーシップを持ちたいと考える場合などにも合同会社の仕組みは有力な選択肢です。
例えば、地域おこし的な事業のために地域住民や地元企業の出資で法人を設立する場合などが考えられます。

設備投資などに大きな資金を必要としない事業や、技術者、デザイナー、コンサルタントなど無形の技術やノウハウなどが核となる事業、会社名よりもブランドや屋号でお客様に評価されやすい事業、例えばBtoCの事業(小売店、飲食、理美容など)も、資金調達や法人格の知名度があまりデメリットにならない分野=合同会社に向いているケースと考えられます。

株式会社・合同会社設立までの具体的手順

最後に設立の手順についておさらいしておきましょう。作成する書類や一部の手続きを除いて、「株式会社」も「合同会社」もおおまかな流れは同じです。

1.基本事項の決定

会社名、本店所在地、事業の目的、資本金額など、法人設立に必要な事項を決めます。

2.定款作成

定款は株式会社、合同会社で必要事項が一部異なりますので、確認しながら1.で決定した事項を定款として作成します。定款は電子定款(電子署名したPDFファイル)として作成すると印紙税が節約できます。

3.定款認証(株式会社のみ、合同会社は不要)

株式会社の場合は作成した定款を公証人に認証してもらいます。

4.資本金の払い込み

まだ法人が設立できていませんので、この段階では発起人(合同会社の場合は出資者となる人いずれか)の個人口座に出資者が資本金を振込みます。

5.登記書類作成

法務局に提出する書類を作成します。登記申請書、登記すべき事項、定款、印鑑届書などのほか、必要書類を作成します(必要書類は株式会社と合同会社で一部異なります)。

6.登記申請

法務局に5の登記書類を提出します。なお、このとき登録免許税額分の収入印紙が必要になります。登記申請書を法務局に提出した日付が会社設立日になりますが、登記手続きの完了までは数日かかります。

7.登記後の各種行政などへの手続き

登記手続き完了後、税務署、都道府県税事務所、市町村役場、社会保険関係(年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク)などに必要な手続きを行います。

なお、より詳しく具体的な手順については下記の記事をご参照ください。

まとめ

「株式会社」か「合同会社」か?の法人格選びは、創業メンバーやそのほかの出資者、投資家などと会社との関係のあり方や、会社の将来像をイメージしながら選択しましょう。

“身の丈に合う”法人になろう!
株式会社から合同会社になるときの組織変更方法を解説

(執筆:創業手帳編集部)

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