創業手帳が選ぶ起業経営ニュース
2022年9月13日レアメタルリサイクルベンチャーの「エマルションフローテクノロジーズ」が4.5億円調達
2022年9月13日、株式会社エマルションフローテクノロジーズは、総額4億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。
エマルションフローテクノロジーズは、原子力機構が開発した溶媒抽出技術“エマルションフロー”を活用した事業を展開するレアメタルリサイクルベンチャー企業です。
2021年6月3日に、原子力機構発ベンチャー企業として認定されています。
エマルションフローは、従来の溶媒抽出技術と比較し、低コスト・高効率・高純度な元素分離を可能にする技術です。
この技術をもとに、リチウムイオン電池に含まれるレアメタルの低コスト・低環境負荷・高純度な回収する技術を確立し、回収したレアメタルをハイテク産業で再び利用できるようにする水平リサイクルを実現することを目指しています。
今回の資金は、茨城県東海村に研究開発拠点を整備し、エマルションフロー装置のスケールアップ開発、プラント制御システム開発を加速します。
—
溶媒抽出法とは、水と油のように互いに混じり合わない液体において、液体への溶けやすさの違いを利用した物質の分離・濃縮方法のことです。
たとえば、水と油の場合、水には水溶性の成分が、油には油溶性の成分が溶けやすく、分離後に片方の液体を移し替えて蒸発させることで水/油に溶けた成分を取り出すことが可能です。
食用油、香料、レアメタル、ウランなどの濃縮・精製・抽出に利用されています。
従来の溶媒抽出法は、液体を混ぜる、置く、分離するという3つのプロセスが必要となります。一方で、エマルションフローは、送液という1つのプロセスで溶媒抽出を可能とする革新的な手法です。
これにより、従来の溶媒抽出法よりも装置が小さくなり、10倍の生産性を実現し、ランニングコストも抑えることが可能です。
さらに、分離・精製能力も高く、高純度な元素の精製(99.99%以上)、分離困難な元素(レアアースなど)の精製も可能です。
エマルションフローテクノロジーズは、いまだ実証段階にあるレアメタルのリサイクル技術においてエマルションフローを適用し、採算性を得られる低コストで高効率なレアメタルリサイクル技術を確立することを目指しています。
株式会社エマルションフローテクノロジーズのコメント
このニュースを受けまして、株式会社エマルションフローテクノロジーズ 代表取締役 鈴木裕士氏よりコメントが届きました。
・今回の資金調達の目的は何ですか?
今回の資金調達の目的は、研究開発拠点整備と技術開発の加速です。具体的には弊社からのプレスリリースにも記載しましたが、下記の通りとなります。
今回の調達資金をもとに研究開発拠点の整備とチーム強化を進めるとともに、エマルションフロー装置のスケールアップとプラント制御システム開発、リチウムイオン電池のリサイクル技術開発、そしてトータルサポート事業の拡大に取り組みます。
・今後の展望を教えてください。
上記の目的にも示したように、今回の調達資金を活用してエマルションフローの技術開発を加速し、実証実験を2023年度には開始、2024年までに商業プラントの受注を目指します。
・読者へのメッセージをお願いします。
私たちエマルションフローテクノロジーズは、これまでの地下資源を使い続けてきた線形経済から、「地上資源を未来永劫使い続ける完全循環型経済」の実現を目指し、エマルションフロー技術でその社会の実現を加速してまいります。
最先端の技術の開発には豊富な資金が必要となります。近年は事業化に時間がかかるにしても、大きな革新をもたらす技術に対して出資する投資家が多くなってきています。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関するノウハウを詳しく解説しています。
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。カテゴリ | 有望企業 |
---|---|
関連タグ | エマルションフロー エマルションフローテクノロジーズ リサイクル リチウムイオン電池 レアメタル 分離 利用 回収 技術 株式会社 溶媒抽出技術 産業 研究開発 資金調達 |
有望企業の創業手帳ニュース
関連するタグのニュース
2020年10月5日、ポジウィル株式会社は、約1億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、独立系ベンチャーキャピタルのSTRIVEです。 ポジウィルは、オンライン・キャリア・…
2021年11月17日、株式会社科学計算総合研究所(RICOS)は、総額約3億円の資金調達を実施したことを発表しました。 CAE(Computer Aided Engineering)にAIと高性能計…
2022年9月14日、株式会社Laboro.AIは、日本ガイシ株式会社・三井化学株式会社・株式会社ゼンリン・株式会社SCREENホールディングスの4社による出資を受け入れたことを発表しました。 Lab…
2020年2月17日、ベルフェイス株式会社は、総額52億円の資金調達を実施したことを発表しました。 遠隔営業を支援するWeb会議システム「bellFace」を提供しています。 営業先は、アプリのインス…
2023年5月26日、株式会社ベネッセホールディングスは、株式会社ビービットと資本業務提携契約を締結したことを発表しました。 ビービットは、UX起点の事業成長・成果創出を支援しています。 経営者から一…
大久保の視点
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…