事業計画書とは?4つのメリットや注意点、書き方解説!無料テンプレートも紹介。

資金調達手帳

【2024年版】資金調達しやすい事業計画書の書き方をテンプレート付きで起業家向けに解説します

起業において事業計画は重要です。とくに出資や創業資金の融資を受ける際には、事業計画書が成否を決める部分も大きいです。

創業手帳は、毎月全ての起業家に届く冊子を発行しており、起業家から多くの資金調達の相談を受けています。また、創業手帳は、全国の金融機関、税理士法人、ベンチャーキャピタルなど提携しています。こうした創業支援を行っている現場の視点から、資金調達に成功しやすい事業計画書の書き方を解説します。

事業計画書は、融資担当者やコンサルタントに提出する書類であり、また自社が事業内容を見つめ直すためにも役立っています。とくに融資の際に、事業の将来性をアピールする重要な書類だといえるでしょう。場合によっては、事業計画書の書き方を失敗したばかりに、融資が受けられないと悩むケースは少なくありません。

創業手帳では、融資ガイドを作成しました。融資の審査通過のためのポイントなどをおさえられますので、あわせてご活用ください。


融資ガイド

このように事業計画書は幅広い場面で使う書類のため、書き方で迷うかもしれません。しかし、事業計画書に決まったテンプレートはありません。なぜなら、会社ごとに事業内容が異なっており使う目的が異なるからです。とはいっても、ある程度の決まったフォーマットはあるため、必要な項目を選んで記入すると迷わないでしょう。

創業手帳のアプリ版では、事業計画書の作成ツールをご用意しています。開業資金と目標売上額を入力すると、初期段階で値が入り、事業計画書の作成をサポートします。無料ですので是非お役立てください。

今回は、出資や創業資金の融資を受ける時に役立つ事業計画書の書き方や手順について分かりやすく解説します。一緒に事業計画書を作成していきましょう!

起業する方法について、詳しくはこちらの記事を>>
普通の人が起業するには。起業の成功に大切な5ステップを創業手帳の大久保が解説!

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

この記事の目次

事業計画書とは?

事業計画書のイメージ
事業計画書とは、融資を受ける際に必要な書類です。また、事業計画書を通して、自社が事業内容を客観的に見つめ直すきっかけとなる書類でもあります。事業計画書があれば、誰が見ても事業内容が明確になり、どのような戦略で収益を上げる計画なのかがわかるでしょう。

また、資金調達の際の審査に用いられるほか、事業が行き詰ったときコンサルタントに見せる書類としても事業計画書は役立ちます。

簡単に事業計画書を説明すると、頭で考えていた事業の戦略を文章にまとめるということです。頭で考えていたときは曖昧な計画でも、書類にまとめることで事業に必要なことが明確になります。具体的な内容は、どんな事業で、どんな収益モデルとなっているのかです。また、内容は誰に対してなのかにより変えると訴求力が高まるでしょう。

事業計画書のメリット4選

計算機とデータ
「事業計画書はなぜ必要なの?」と思っている方も多いはず。事業計画書は冒頭でお伝えした融資を受けるのに役立つだけではなく、様々なメリットがあります。

POINT
事業計画書を作るメリットは4つ!
→事業を客観視して改善できる
→事業内容を言語化・可視化する中で再整理される
→事業の方向性を共有できる
→資金調達がしやすくなる

事業計画書を作ることで起業を客観視して改善できる

事業計画書を作成することで、自分の事業を客観視することができます。

自分の事業計画を固めていっているときには「これで完璧だ!」と思えても、実際には不完全な部分もあります。
起業は不確定要素が多いので、見えていない部分も多かったりします。起業は会社設立前、後でも事業計画書は常に現状の環境変化に応じて修正していくものです。また、文章にすることにより準備しやすくなり起業に成功しやすくなります。

創業手帳では、起業家向けに無料で事業計画書の書き方の講習やアドバイスをしたり、創業手帳の巻末には事業計画書のフォーマットもあります。講習では、起業家のみなさんにまずは事業計画書を書いてもらうことがありますが、意外にも準備ができていないことに気づく方が多いです。また、事業計画書を書くことで、合理的かつ網羅的に起業について把握してイメージできるため、起業への意欲が高まったり不安を解消したりという効果もあります。

起業が不安だというかたは、まずは簡単な事業計画書を書いてみたり、創業手帳の巻末にある事業計画書のフォーマットを活用してかいてみることをおすすめします。一枚ぺらでいいので、起業の要素を書き出してみるということと、創業手帳や公庫融資のひな形を使うと自分では認識していない項目があるので新たな自分への気づきになります。

事業内容を言語化・可視化する中で再整理される

事業計画書を作成すると、事業内容を言語化でき、かつ可視化することができます。

売上目標や事業目的などを書き出していくので、頭の中にあった事柄が整理されていきます。

この時に生まれたひらめきなども、メモしておきましょう。ひらめきが新しい事業につながる可能性もあります。

起業を見える化する!事業計画書で事業の方向性をみんなに共有

事業計画書を作成しておけば、ビジネスパートナー、投資家、金融機関、専門家、スタッフなど起業家のビジョンや事業に関わる人たちに方向性やそのための根拠を共有することができます。
トップの仕事は、方向性を決めることであり、伝えることなのです。
起業は自分だけではなく、様々な人たちが関わることになります。そのときに方向性の共有がきちんとできていなければ、せっかく事業をスタートさせても頓挫しかねません。
しかし、事業計画書があれば、関わる人たちと簡単に方向性を共有して歩を合わせた企業運営ができます。
人は、話を聞くだけでなく資料を見ることによって初めてイメージがわいてきて、起業家の夢を信じることができるのです。

事業計画書によって資金調達の成功率があがり金額も大きくなる!?

事業計画書が役立つ場面として、資金調達のシーンがあります。金融機関の融資担当者は、お金を貸す際に「きちんと返済できるか?」を重視して判断しています。借りる側が口だけで「ちゃんと返せます」と言っても、信用できるかどうかわかりません。そこで融資担当者が判断する材料として、事業計画書を利用するというわけです。

融資向けの事業計画書では、事業計画書がしっかり作られているかが見られています。内容が薄い場合や、実現化できない内容であれば、融資の審査に通ることは難しいでしょう。また、最終的には起業家の熱意が伝わるかで審査に通るかが決まることは少なくありません。融資を受ける側にとって事業計画書は、融資担当者を説得する材料のひとつとなるため、内容だけに拘らず相手に情熱が伝わるよう作り込んでください。

また、創業手帳オリジナルの融資ガイドでは、元信金職員による貴重な情報も掲載しておりますので、ぜひ事業計画書作成時にあわせてご活用ください。


融資ガイド

事業計画書を作成する前に知っておくべき!「6W2H」とは

疑問をもつサラリーマン
事業計画を作成する前に、事業の方向性や内容などを固めていくのに役立つ「6W2H」を知っておくとよいでしょう。

6W2Hはマーケティングに用いられるフレームワークで、8つの要素からなるものです。

  • When:どのタイミングで実行するのか
  • Where:どの市場を狙うのか
  • Who:誰が行うのか
  • Whom:どの顧客を狙うのか
  • What:どんなサービスを提供するのか
  • Why:なぜ事業を行うのか
  • How:どのように実施するのか
  • How much:どのくらいの資金が必要なのか

自分が立ち上げようとしている事業について、6W2Hに当てはめていくことで事業プランを固めることができます。

【例|飲食店開業の場合】

  • When
    資金調達・店舗確保が完了する見込みである来年2月を予定。遅くても来年4月までには開始する。
  • Where
    東京を中心とした関東圏
  • Who
    創業者である自分を中心に雇用予定の従業員2名と運営する
  • Whom
    10代~20代男女の学生がメインターゲット
  • What
    インスタ映えするような特製パフェをメインに、一風変わった洋食を提供する
  • Why
    学生が楽しみながら食事できる場所、コミュニティースペース(サードプレイス)を提供することで、若者の健全育成の推進を図る。
  • How
    メニューは100品以上を考案し、試食会でもっとも評価の高い30品を提供する。また、毎月2品以上の新メニューを追加していく。
  • How much
    開業資金は○○万円かかる見通し。客単価は○○円を想定。6カ月後からは増収となる予定である。
  • 上記は簡単な例なので、実際にはもっと細かく考えておくとよいでしょう。6W2Hを活用しながら事業プランを固めておくと、事業計画書をスムーズに作成することができます

    このあとの「事業計画書の書き方」の部分でもふれているので、頭に入れて読み進めていきましょう。

    事業計画書を作成する際の注意点

    書類に指を指すサラリーマン
    事業計画書を作成する際には、いくつかの注意点があります。作成する前に知っておくことで、より精度の高い事業計画書を作ることができるでしょう。

    POINT
    事業計画書を作成する際の注意点は7つ!
    →要点を整理しておく
    →内容は細かいところまで記載しておく
    →図などを挿入して見やすさを心がける
    →統一されたフォーマットで書く
    →事業競合についての調査内容を書く
    →数値的根拠を記載する
    →第三者に説明し、フィードバックをもらう

    要点を整理しておく

    事業計画書を作ったことのない初心者は、ダラダラと説明してしまうような文章になりがちです。

    作成した自分だけが読んで理解できても、他の人が見たときに分かりずらかったり、重要なところがどこなのか分からなければ意味がありません。

    この記事でも「POINT」のように、要点を分かりやすく記載しています。たとえ同じことが書いてあったとしても、要点がまとめられているのか否かによって、読みやすさは大きく変わります。

    事業計画書には、適時要点を記載しておくようにしましょう。

    内容は細かいところまで記載しておく

    事業計画書は、細かいところまで書いておくようにしましょう。

    一見関係なさそうな沿革や代表者プロフィールをはじめ、従業員数やビジネスモデル、問題点や課題も書くことで、企業の概要がわかりやすくなります。

    また、資金提供者が出来上がったものだけを見て、企業の概要を理解できるようになるのです。

    図などを挿入して見やすさを心がける

    先ほどもお伝えしたように、文章だけがただダラダラと続いていても読みにくく、分かりずらくなってしまいます。

    しかし、図などを挿入することによって、一目で理解できるようになります。とくに数値などのデータを図で入れると説得力も増しますし、明瞭で分かりやすいです。

    事業計画書は自分の事業を可視化するためのもの。時間をかけて作成することになるので、図を入れるなど「見やすい工夫」を心がけましょう。

    統一されたフォーマットで書く

    初心者がよくやってしまいがちなのは、文字サイズが統一されていなかったり、文字のフォントをバラバラにしてしまうことです。

    フォーマットが統一されていないと、読んだ人は無意識に違和感を感じてしまい、ずさんな印象を与えてしまいます

    箇所によっては文字サイズを変えるのもよいですが、タイトルは○pt、本文は○ptなどのルールを設けて、バラつきがないようにしましょう。

    また、文字のフォントや形式は統一して書くようにしましょう

    事業競合についての調査内容を書く

    事業に競合はつきもの。競合調査・市場調査をした結果を書くことも、事業計画書の大切なポイントです。

    なんの調査もせずに「新事業やります!」と言っても、それを見た人の理解は得られないでしょう。

    自社の戦略や収益目標を、調査結果と織り交ぜて説明できれば、他者の期待値は上がっていきます。

    数値的根拠を記載する

    事業計画書に記載する数字には、根拠が求められます。

    「売上〇%増」や「〇万円増」などの収支見込みには、特にそれらが求められます。

    根拠の説明は一筋縄ではいきません。しかし、数値のもととなったデータや根拠があるなら、一緒に事業計画書に記載しておきましょう。

    第三者に説明し、フィードバックをもらう

    事業計画書が形になった段階で、第三者にそれを使って説明し、フィードバックをもらいましょう。

    自分が知らないことや、気がつかなかったことに意見をもらえます。

    同業他社や金融機関の知人や担当者、公認会計士など、専門知識を持っている人に依頼してみましょう。

    また、創業手帳では創業カレンダーをご用意しています。起業日を起点として、日付を書き込めるので、今何をすべきかを確認できます。ぜひ事業計画作成時に活用してみてください。

    創業カレンダー

    高評価を得る事業計画書の要素

    高評価をもらえる事業計画書には、4つの要素が必要です。高評価を得られる事業計画書は、金融機関や投資家にアピールできることもあります。

    融資用の事業計画書であれば、融資の特徴を把握しておく

    融資先の中には、事業内容が特定されている場合があります。

    ひと口に融資といってもその数は多いので、融資用の事業計画書を作るのであれば、融資の特徴を事前に把握しておきましょう。

    事業内容と融資の条件が合致すれば、受けられる融資が広がります。

    事実とテスト検証の結果が盛り込まれている

    事業計画書にある程度の論理性は必要ですが、それがすべてではありません。

    未来志向の内容になりがちですが、きちんと事実を記載しておくことも、高評価の事業計画書に大切な要素です。

    また事業計画は、ロジックだけを書くのではなく、テスト検証の結果も盛り込んでおきましょう。

    訴求内容が簡潔に整理され、1分程度でプレゼンできる

    事業計画書には簡潔さが必要です。

    訴求内容が簡潔に整理されており、1分程度でプレゼンできることが理想的です。

    難しいように思いますが、明確に、簡潔に説明できる事業計画書ほど融資先からの評価が高くなります。

    実際に話して説明してみる

    出来上がった事業計画書が、本当に1分以内で説明できるか実際にやってみましょう。

    書いているときは気にしなかったことが気になったり、実はわからなかったりすることもあります。

    全体がクリアになった事業計画書なら、融資や投資家への説明に高い効果を発揮します。

    事業計画書のテンプレート

    テンプレート
    事業計画書のテンプレートは、その目的によって様々なフォーマットがあります。

    ここでは、日本政策金融公庫と金融機関の例を中心にご紹介します。

    日本政策金融公庫の創業計画書テンプレート

    創業融資を受ける際には特定の事業計画書テンプレートがあるので、融資を考えている方は目を通しておきましょう。

    融資の際、最もポピュラーなフォーマットである「日本政策金融公庫」の事業計画書は、「株式会社日本政策金融公庫のホームページ」よりダウンロードが可能です。

    金融機関のテンプレート

    金融機関の場合も特定の事業計画書テンプレートがある場合が多いです。

    金融機関のテンプレートは多くの場合数枚しかないので、別途自分で作成した事業計画書を添付するのがよいでしょう。

    創業手帳のテンプレート

    創業手帳では金融機関や経営者が使っている事業計画テンプレートを統合して、オンラインツールと紙のフォーマットを提供しています。いずれも無料で使えるので、利用してみましょう。

    ・オンラインの事業計画作成ツールを活用する
    創業手帳の無料会員になれば、オンラインの事業計画書作成ツールを利用できます。

    また、起業の際に必要な書類のテンプレートがダウンロードできたり、無料の創業コンサルティングを受けられたりするので、ぜひご活用ください。

    ・ガイドブックのテンプレートを活用する
    冊子版の創業手帳の巻末には、事業計画書のテンプレートがあります。

    資料請求と同時にWeb版の創業手帳の会員登録もできます。どちらが使いやすいか比べてみてもよいと思います。

    事業計画書を書く前に

    事業計画書を書く前に、以下の3つのポイントを確認しておいてください。
    ・事業計画書を見せる相手を意識する
    ・どんな事業なのか説明してみる
    ・内容を精査する

    事業計画書を見せる相手は、融資担当者・投資家・協力企業などがあります。たとえば、融資担当者向けであれば、きちんと返済できる根拠が重要なため、具体的な数値があるといいでしょう。投資家へは、将来のビジョンや想いが伝わる文章が必要になります。協力企業に対しては、協力するメリットが伝わる内容にしてください。

    また、「どんな事業なのか説明する」部分では、誰に対しても簡単に事業内容が説明できるようにしましょう。さらに伝える内容は1~3つくらいに絞り込むようにしてください。聞き手に伝わる数には限界があるため、相手が興味を惹きそうな内容に絞り込むといいでしょう。

    事業計画書の書き方18ステップ

    事業計画書のステップとサラリーマン
    では、実際に事業計画書をどのように記載すればよいのかについて解説していきます。

    それぞれのポイントについてもご紹介しているので、実際に先ほどのテンプレートを使って進めていきましょう。

    また、事業計画書の具体的な書き方は、以下の記事でも紹介しています。より詳しい内容を確認したい方は、以下の記事も合わせてご確認ください。 

    関連記事
    創業計画書の書き方のポイント

    1.「会社プロフィール」を書こう

    会社概要について書きましょう。(例:商号、所在地、役員、株主構成、電話番号、ホームページアドレス、メールアドレス、主要取引先、主力商品、代表者経歴)

    創業前であれば予定のものを書きましょう。

    POINT
    • 創業時は代表者経歴が重要
    • 事業に関連する経験、ノウハウ、スキルをどれだけ持っているか、代表者の事業に対する熱い思いを書いて、本気度をアピールしましょう

    2.「代表のプロフィール」を書こう

    代表者のプロフィールでは事業と関係あるものを記載し、関係ないものは逆効果になることがあるため注意してください。相手に対して「この代表者は事業を成功させることができるか」が伝わる内容にしましょう。

    代表のプロフィールは、特筆する部分だけ記載すれば問題ありません。

    経歴や経営経験、持っている資格が特筆するプロフィール内容になります。

    自身の経験を活かした新規参入であれば好感度が上がりますし、新しい業種へのチャレンジであれば、これらの経験と活用方法を結び付けることができます。

    3.「事業コンセプト」を書こう

    ここでは、なぜ、この事業をやるのかを明確にしましょう。
    できるだけ簡潔にわかりやすく表現しましょう。

    POINT
    • 自社の使命(ミッション)
    • 自社らしさ(コアエッセンス)
    • 自社の強み(コアコンピタンス)
    • 顧客のメリット

    また、事業の戦略を分析するためのフレームワークに、SWOT分析というものがあります。

    冊子版の創業手帳の巻末には、SWOT分析のための分析シートを掲載しています。事業コンセプトを明確にするのに、こちらも活用してみてください。

    4.「5年後のビジョン」について書こう

    具体的に自分が達成できているイメージを鮮明に描けるようなものにしましょう。

    5年後のビジョンを考える上で大事なのが、先ほどご紹介した6W1Hの中の「3W1H」です。

    POINT
    • 「When」……5年後
    • 「Where」……想定する市場(どこで)
    • 「What」……商品・サービスの具体的な内容
    • 「How much」……いくら儲けるのか(具体的な数字で。達成可能と思われるもの。同業他社の例や過去の経験則を参考にしてみましょう)

    5.「事業ドメイン」を決めよう

    事業ドメインは、事業活動を行う領域のことです。ここでは、どのような顧客を対象にどのようなビジネスをするのかを考え、事業展開する領域を決めましょう。

    事業活動の領域は、商圏ともいいます。具体的な範囲は、ターゲットにより異なります。ターゲットは徒歩で来店するのか、車なのかによっても範囲を変えてください。また、競合他社とどう差別化できるかもアピールできるといいでしょう。

    POINT
    • 「Who」……例えば年齢、性別、職業、趣味などの属性に分けて絞り込む
    • 「What」……「Who」の絞り込みができれば、そのターゲットに対して、どの商品やサービスを提供するのか
    • 「How」……どんな技術・ノウハウ・スキルを活かすのか
    • 自社の立ち位置の決定……ポジショニングマップ(縦軸と横軸に差別化したい項目を書く)を書き、自社の商品やサービスがどの位置にあるのかを明確にする
    • 商圏はどこにするのか

    6.「役員構成・従業員の勤務体制」を書こう

    事業計画書に記載した事業を、どのような人員配置・勤務体制で行うのかを記しておきましょう。

    意志決定の流れや役割分担がひと目でわかる組織図になっていれば、始業計画書の評価は高くなります。

    もちろん、長期的な視点に立って、人件費や採用計画・売上計画も書いておきましょう。

    7.「この事業が成功する社会的背景」について書こう

    ここでは、以下のポイントについて分析し、それらの背景があることからこの事業が成功するという理由を説明しましょう。

    POINT
    • 政治情勢……法改正や政府の動向、規制など(新聞、ニュース、業界紙などを参考)
    • 経済環境……人口動向、円安円高、原油高原油安、インフレデフレなど(経済産業省のホームページがおすすめ)
    • 社会情勢……人々の関心事、社会全体のムードなど(国民生活白書がおすすめ)
    • 技術革新の状況……商品の生産性が画期的に向上する技術上の発明の状況(例:フェイスブックの登場)

    この4つの要素の分析はPEST分析といわれます。

    8.「市場規模」について書こう

    ここでは、自社の事業のマーケットの現状について分析します。この事業が成功するための十分な市場規模と成長性があることを明確にしましょう。

    市場規模に関する情報を集める手段として、経済産業省、総務省、業界団体、民間のシンクタンク、マーケティングリサーチ会社などを利用するとよいでしょう。

    9.「競合他社の動向」について書こう

    ここでは、競合他社を最低3社は見つけ、それらの強みを分析します。他者の強みを分析することで、自社の強みや独自性を見つけることができます。

    POINT
    • Product(商品)……何を売っているのか
    • Price(価格)……いくらで売っているのか
    • Place(流通)……どういう流通経路で売っているのか
    • Promotion(販売戦略)……PR戦略、ブランド戦略など どうやって売っているのか?

    10.「顧客のメリット」について書こう

    ここでは、自社が顧客から選ばれる理由を、以下のポイント4つの視点で分析します。

    POINT
    • Customer Value(顧客にとっての価値)
    • Cost to the Customer(顧客の負担)
    • Convenience(利便性)
    • Communication(コミュニケーション)

    11.「自社の強み」について書こう

    技術、スキル、ノウハウ、資格、組織力、企業風土などの観点から、自社の強みについて書いていきましょう。

    12.「商品・サービスの説明」をしよう

    ここでは、どんな商品・サービスなのかを説明しましょう。

    POINT
    • 価値……目に見える価値、目に見えない価値、付随するサービス
    • 価格……自社のコスト、同業他社との比較、商品・サービスの価値、顧客が考えるコスト
    • 商品・サービスの品揃え

    13.「販売戦略」について書こう

    ここでは、顧客に自社の商品・サービスのことを知ってもらい、購入してもらうまでの仕組みについて説明します。

    POINT
    • 販売チャネル……販売経路
    • プロモーション……顧客に商品・サービスを認知してもらうための戦略

    販路にはさまざまな種類があります。営業や、ネットショップ、DM、ネット広告、代理店などなど、それぞれ特徴や長所・短所があります。

    冊子版の創業手帳では、販路拡大の方法を一覧にして分かりやすくまとめています。

    14.「主要な取引先・顧客」について書こう

    主要な取引先や顧客についても、名称やシェア率を記載しておきましょう。

    販売先や仕入先、外注先も同様に記載することで、より透明性の高い事業計画書が出来上がります。

    また、これらがきちんと書いてあると、企業全体の信頼度も高くなります。

    15.「ビジネスモデル」を書こう

    ここでは、この事業が継続的に儲けられる仕組みについて、フローチャートにしてわかりやすく説明しましょう。

    POINT
    • この事業におけるすべての登場人物と取引内容について矢印で結ぶ
    • 顧客に商品・サービスが届くまでのプロセス
    • 代金回収の仕組み
    • 利益を生みだす仕組み

    16.「社内体制」について書こう

    ここでは意思決定の流れと役割分担を明確にした社内組織図を書きましょう。第三者が組織図を見ただけで業務内容が推測できるようなものにしましょう。

    17.「財務計画」を作ろう

    財務計画には以下6つの項目を作成し、この事業が将来どれだけ利益をあげることができるかを具体的な数字で説明しましょう。現在から5年後までの計画を書いてみましょう。

    売上計画

    各商品や各サービス単位などに分けて書きましょう。予測の方法として、見込客数や、公の経営指標などを利用して実現可能な計画にしましょう。

    売上原価計画

    売上原価は、売上げを上げるために直接かかった費用のことをいいます。ここでも「売上計画」と同様、各商品や各サービス単位などに分けて書きましょう。

    人員計画

    人件費(給料だけでなく社会保険料や通勤費、研修費、退職金積立も含みます)や採用にかかる募集費用なども予測し、採用計画をたてましょう。

    設備計画

    投資に見合うリターンが見込めるか、何年で回収できるかなどを見積もりましょう。

    利益計画

    一番重要視される項目です。

    売上→売上原価→人件費→減価償却費→販売費→管理費→借入利息→法人税等

    の順序に予測しましょう。

    その結果、売上総利益→営業利益→経常利益→税引後利益の予測ができます。信憑性のある数値にしましょう。

    「資金計画」

    「利益計画」と同じく重要視される項目です。

    利益計画では利益が出ていても、現金が十分に足りているのか、それとも不足しているのかは分かりません。

    なぜなら、設備資金の支払や入金と出金のサイトのずれは、利益計画からは把握できないからです。

    融資担当者は返済可能な資金があるかどうかを見ています。資金計画を立ててみて不足する場合は、返済できる自己資金がどれだけあるのかなど、きちんと明示しておくことが必要でしょう。

    18.「借り入れ状況」について書こう

    金融機関や投資家にとって、借り入れ状況がどうなっているかは気になるポイント。これも記載しておきましょう。

    借り入れがどのくらいあるかによって、融資や投資をするかどうかの判断材料になります。

    当然ですが、ウソを書いたりしてはいけません。

    事業計画書に関するよくある質問

    事業計画書に関する疑問・質問は、書き上げてしまう前に解決しておきましょう。

    ここでは、よくある質問をいくつかご紹介します。

    事業計画書はどんな時に必要になるの?

    事業計画書が必要になるシーンは、主に資金調達と事業継承の2つです。

    特に資金調達においては、返済能力があるか、成長する可能性があるかを判断するための大事な証拠となります。

    説得力・透明性のある事業計画書が、金融機関や投資家に信頼感を与えます。

    事業計画書は1枚でも良いの?

    事業計画書は1枚でも問題ありません。

    事業計画書に求められるのは、長々とした説明よりも簡潔でまとまった、明確な説明です。

    先ほども紹介しましたが、事業の全体像やコアを含めて、1分程度で説明できる内容が理想的です。

    手書きの事業計画書はマイナス評価を受けるの?

    手書きの事業計画書でも問題ありませんが、できればパソコンで作成したものの方がいいでしょう。

    理由は、多くの人に見てもらうものであることと、収益などの数字が変動することです。

    見やすく、かつ修正しやすいように、事業計画書はパソコンで作るのがおすすめです。

    何年分の事業計画が良いの?

    返済期間にもよりますが、一般的には3~5年分を求められることが多いです。

    しかし、事業計画書が何年分必要なのかに関して、明確なルールはありません。

    融資の事前相談の際に、何年分の事業計画が必要なのかを確認しておくといいでしょう。

    将来の売上予測はどうやってするの?

    ケースバイケースなので一概には言えませんが、「単価×販売数量/1日×営業日」でだいたいの業種は計算できるでしょう。

    可能であれば類似業種のものを参考にすると、より明確に売上予測ができます。

    日本政策金融公庫では、「過去の勤務経験」から算出された計算例が創業計画書の記入例に掲載されています。

    異なる複数事業を同じ事業計画書に入れて良い?

    異なる複数事業を同じ事業計画書に入れるのは、極力避けましょう。

    事業計画を見た金融機関や投資家からは、どういうつもりなのかと良い方向に捉えてもらえなくなります。

    もし創業したばかりなら、複数事業を同時に立ち上げることすらおすすめできません。

    無料の事業計画書テンプレートを利用すると良くない?

    無料のテンプレートを使って事業計画書を作ることは、まったく問題ありません。

    事業計画書にはひな型がないため、イチから作るとなると相当な労力がかかります。

    事業計画の書き方の決まりはあるの?

    事業計画書の書き方に、正式な決まりはありません。

    しかし、経営に関わるもののうち、以下の内容は最低限書きましょう。

    • 事業の種類
    • 収益をあげる方法
    • 収益見込み
    • 収益見込みの根拠

    また、これらに付随する項目や、アピールポイントは、言わずもがな書いておきましょう。

    自分の力だけではなく、専門家を頼ってみては?

    事業計画書の書き方や作成のポイントに悩んだら、専門家に相談してみるのもひとつの方法です。

    事業計画書は今後の事業の行く末を決める大事な資料。1人で解決できる部分とそうでない部分があります。

    「餅は餅屋」なので、困った時に頼れる専門家も探しておきましょう。

    創業手帳・代表 大久保が事業計画書作成機能を使ってみた

    創業手帳では、会員登録すると無料の事業計画書作成機能を使えます。こちらでは、創業手帳・代表の大久保が事業計画書作成機能を実際に使ってみた解説をします。

    まずは、創業手帳で会員登録し、IDを取得してログインします。

    業種などを選択すると大まかなシュミュレーションを出してくれます。

    他には、融資の返済計画なども出力できます。

    銀行に提出する形式に合わせた5年分の事業計画と資金繰り表をエクセルでも出力できます。
    資金繰り表とセットになっているので大変便利です。

    他にも役立つ無料ツールやテンプレ、コンテンツが使い放題ですので、ぜひお気軽に会員登録してくださいね。

    まとめ

    経営者の中には「一生懸命商売をしていれば数字はついてくる、事業計画書を書くのは時間の無駄」とおっしゃる方がいます。

    でも、一度考えてみてください。

    勝つための戦術や戦略を練ってある程度の予測をたててから行動する人と、何も考えずに行動する人では、どちらが成功するでしょうか?

    また、お金を貸す側の立場になった場合、どちらに貸すでしょうか?

    答えはもちろん前者です。大変な作業ですが、事業を成功させるための第一歩として「事業計画書」を作成してみましょう。

    創業手帳では資金調達に関する情報だけをまとめた別冊、資金調達手帳(無料)を発行しています。

    融資制度の解説だけでなく、日本政策金融公庫の担当者やベンチャーキャピタリストなど、専門家のインタビューも掲載しています。具体的にどうすれば資金調達できるのか語っていただいているので、ぜひ参考にしてみてください。

    また、創業手帳アプリ版(無料)では、事業計画書作成ツールもご用意しています。出資・融資の際に必須の事業計画書の作成をサポートします。ぜひお役立てください。

    初めての起業・会社経営に!基礎知識をまとめたガイドブックプレゼント中⇩

    日本政策金融公庫の融資申し込みに必要な事業計画書は、「創業計画書」
    創業計画書の書き方のポイント

    大久保写真創業手帳・代表 大久保の解説

    多くの起業家を支援してきた中で比較的やりやすい方法をご紹介します。

    すでに長くやっている会社の事業計画は、数字や実績があり、その分析がまず大事になります。
    一方、新規事業や起業の場合、まだイメージすら固まっていないケースがあり、不確かな状態の中で事業を形成していきます。
    そのため、広い可能性を探りながら、早くビジネスのイメージを固めることが大事になります。

    色々なフレームワーク、思考の整理法について、この記事では紹介していますが、行き詰まった場合はシンプルに考えてみるのも良いです。
    事業計画の作成は、まずは大まかで良いので書き出してみる、小さく話してみることをおすすめします。
    頭の中だけで考えていてもなかなか進みません。
    たくさん書けなくて良いので、一枚ペラでも構いません。要点を書いてそこから膨らませてみましょう。
    まずは、1枚の紙にまとめ、眺めてみることで事業の全体像がつかみやすくなります。

    また、経験豊富な相手と壁打ちすることも大事です。
    創業手帳のアドバイザーや公庫、よろず相談、商工会議所、エンジェル投資家、先輩起業家などにもアイディアをぶつけて育ててみましょう。
    思わぬ発見や視点があるかもしれません。
    否定的な反応も含めて勉強になりますが、重要なのはまだ見ぬアイデアの多くは否定されて当たり前なので、多少の言葉でめげないようにしましょう。
    アドバイスは受け取り、一方でどう実現したら良いか考えていきましょう。

    特に実地で重要なポイントですが、顧客なりうる層へのヒアリングも大事です。
    「こういうサービスを出そうと思っていますが、あなたなら買ってくれそうですか?」と聞いてみましょう。
    良い反応でない場合、表現が上手くないか、あるいはコンセプトが、そもそも間違えている可能性もあります。
    よくあるのが、顧客サイドがイメージできていない場合で、MVP(ミニマムバリュープロダクト)最小限の製品や、テスト版などがあるとイメージしやすくなります。

    創業手帳が実践している斬新なやり方で、まずは売るためのホームページ・LP(ランディングページ)を先に書いて、売れそうなクリエイティブを先に作るという前後を逆にした手法もあります。
    ユーザー向けの商品説明文を書いてみて、売れそうにない場合、商品自体かターゲットか売り方が説明のどれかを間違えている可能性があります。
    毎月ホームページを無料で2時間でさっさと作ってウリを整理するというワークショップもやっていますので、よければ参加してみてください。

    いずれにしても、何もプランが検証されないのと、何かしらの反応を得たのでは全くプランの重さが違います。
    まずは書き出し。次に壁打ちをする。もしくはクリエイティブを作り反応を見るか、ユーザーになりそうな人に聞いてみる。
    このサイクルを早い段階で回して検証していくことをおすすめします。

    (編集:創業手帳編集部)

    創業手帳は、起業の成功率を上げる経営ガイドブックとして、毎月アップデートをし、今知っておいてほしい情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能です。

    資金調達コンサルティング
    この記事に関連するタグ
    創業時に役立つサービス特集
    このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
    カテゴリーから記事を探す
    今すぐ
    申し込む
    【無料】