【税理士監修】事業計画書とは?3つのメリットや注意点、書き方まで解説

【2020年版】説得力のある事業計画書の書き方をテンプレート付きで解説します

事業計画書とはサムネイル

(2020/10/25更新)

起業すると事業計画は重要です。とくに出資や創業資金の融資を受ける際には、事業計画書が成否を決める部分も大きいです。

自己資金、経験、計画、熱意の中で、資金や経験は実力に大きく左右されますが、計画や熱意はどんな起業家にとっても重要かつ「やりさえすればできる要素」です。

事業計画書は経営において重要な資金調達の審査結果に大きく影響してきます。融資担当者に計画性のある事業であることを事業計画書を通してアピールしましょう。

今回は、起業のサポート経験の多い小林優子税理士の監修で、出資や創業資金の融資を受ける時に役立つ事業計画書の書き方や手順について分かりやすく解説します。では、一緒に事業計画書を作成していきましょう!

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください。

事業計画書とは?

事業計画書のイメージ
事業計画書とは、前述の通り、事業拡大において必要になってくる「融資」や、ベンチャーキャピタル(VC)からの「資金調達」など、会社の戦略や将来性を説明するという目的で使われます。

事業計画書は「うちの会社はここが良くて、こんなに凄いんです!ぜひ投資してください!」と相手を説得するような、力強い内容が求められます。

事業計画書は、融資や出資を受ける時以外に自分の事業を見直すきっかけにもなります。この機会に、ぜひ書いてみてくださいね。

なぜ必要なの?事業計画書を作る3つのメリット

計算機とデータ
「事業計画書はなぜ必要なの?」と思っている方も多いはず。事業計画書は冒頭でお伝えした融資を受けるのに役立つだけではなく、様々なメリットがあります。

POINT
事業計画書を作るメリットは3つ!
→事業を客観視して改善できる
→事業の方向性を共有できる
→資金調達がしやすくなる

事業を客観視して改善できる

事業計画書を作成することで、自分の事業を客観視することができます。

自分の事業計画を固めていっているときには「これで完璧だ!」と思えても、実際には不完全な部分もあります。

事業計画書を作成して見返したときに不完全な部分を見つけることができるのです。起業前であれば、いくらでも軌道修正することができます

いざ起業してから思わぬ落とし穴に足をすくわれることがないよう、事業計画書を作成して計画段階で改善するようにしておきましょう。

事業の方向性を共有できる

事業計画書を作成しておけば、ビジネスパートナーなど事業に関わる人たちに方向性を共有することができます。

起業は自分だけではなく、様々な人たちが関わることになります。そのときに方向性の共有がきちんとできていなければ、せっかく事業をスタートさせても頓挫しかねません。

しかし、事業計画書があれば、関わる人たちと簡単に方向性を共有して歩を合わせた企業運営ができます。

資金調達がしやすくなる

冒頭でも少しふれましたが、融資などで資金提供を受ける際に事業計画書があれば、資金調達がしやすくなります

起業する上で「資金」は、事業を立ち上げて継続していくための血液ともいえる重要なものです。資金調達がどのくらいできるかによって、事業は左右されるといっても過言ではありません。

銀行などの融資担当者は「本当にお金を返済することができるのか」を判断します。手放しに「成功するから融資してくれ」と言っても信用できませんよね。

事業計画書を用意しておけば、こちらが説明する手間を省くことができますし、説得力も増します。

このように、事業計画書には様々なメリットがあるので、融資を受けるか否かに限らず必ず作成しておくようにしましょう

事業計画書を作成する前に知っておくべき!「6W2H」とは

疑問をもつサラリーマン
事業計画を作成する前に、事業の方向性や内容などを固めていくのに役立つ「6W2H」を知っておくとよいでしょう。

6W2Hはマーケティングに用いられるフレームワークで、8つの要素からなるものです。

  • When:どのタイミングで実行するのか
  • Where:どの市場を狙うのか
  • Who:誰が行うのか
  • Whom:どの顧客を狙うのか
  • What:どんなサービスを提供するのか
  • Why:なぜ事業を行うのか
  • How:どのように実施するのか
  • How much:どのくらいの資金が必要なのか

自分が立ち上げようとしている事業について、6W2Hに当てはめていくことで事業プランを固めることができます。

【例|飲食店開業の場合】

  • When
    資金調達・店舗確保が完了する見込みである来年2月を予定。遅くても来年4月までには開始する。
  • Where
    東京を中心とした関東圏
  • Who
    創業者である自分を中心に雇用予定の従業員2名と運営する
  • Whom
    10代~20代男女の学生がメインターゲット
  • What
    インスタ映えするような特製パフェをメインに、一風変わった洋食を提供する
  • Why
    学生が楽しみながら食事できる場所、コミュニティースペース(サードプレイス)を提供することで、若者の健全育成の推進を図る。
  • How
    メニューは100品以上を考案し、試食会でもっとも評価の高い30品を提供する。また、毎月2品以上の新メニューを追加していく。
  • How much
    開業資金は○○万円かかる見通し。客単価は○○円を想定。6カ月後からは増収となる予定である。
  • 上記は簡単な例なので、実際にはもっと細かく考えておくとよいでしょう。6W2Hを活用しながら事業プランを固めておくと、事業計画書をスムーズに作成することができます

    このあとの「事業計画書の書き方」の部分でもふれているので、頭に入れて読み進めていきましょう。

    事業計画書を作成する際の注意点

    書類に指を指すサラリーマン
    事業計画書を作成する際には、いくつかの注意点があります。作成する前に知っておくことで、より精度の高い事業計画書を作ることができるでしょう。

    POINT
    事業計画書を作成する際の注意点は3つ!
    →要点を整理しておく
    →図などを挿入して見やすさを心がける
    →統一されたフォーマットで書く

    要点を整理しておく

    事業計画書を作ったことのない初心者は、ダラダラと説明してしまうような文章になりがちです。

    作成した自分だけが読んで理解できても、他の人が見たときに分かりずらかったり、重要なところがどこなのか分からなければ意味がありません。

    この記事でも「POINT」のように、要点を分かりやすく記載しています。たとえ同じことが書いてあったとしても、要点がまとめられているのか否かによって、読みやすさは大きく変わります。

    事業計画書には、適時要点を記載しておくようにしましょう。

    図などを挿入して見やすさを心がける

    先ほどもお伝えしたように、文章だけがただダラダラと続いていても読みにくく、分かりずらくなってしまいます。

    しかし、図などを挿入することによって、一目で理解できるようになります。とくに数値などのデータを図で入れると説得力も増しますし、明瞭で分かりやすいです。

    事業計画書は自分の事業を可視化するためのもの。時間をかけて作成することになるので、図を入れるなど「見やすい工夫」を心がけましょう。

    統一されたフォーマットで書く

    初心者がよくやってしまいがちなのは、文字サイズが統一されていなかったり、文字のフォントをバラバラにしてしまうことです。

    フォーマットが統一されていないと、読んだ人は無意識に違和感を感じてしまい、ずさんな印象を与えてしまいます

    箇所によっては文字サイズを変えるのもよいですが、タイトルは○pt、本文は○ptなどのルールを設けて、バラつきがないようにしましょう。

    また、文字のフォントや形式は統一して書くようにしましょう

    事業計画書のテンプレート

    テンプレート
    事業計画書のテンプレートは、その目的によって様々なフォーマットがあります。

    ここでは、日本政策金融公庫と金融機関の例を中心にご紹介します。

    日本政策金融公庫の創業計画書テンプレート

    創業融資を受ける際には特定の事業計画書テンプレートがあるので、融資を考えている方は目を通しておきましょう。

    融資の際、最もポピュラーなフォーマットである「日本政策金融公庫」の事業計画書は、「株式会社日本政策金融公庫のホームページ」よりダウンロードが可能です。

    金融機関のテンプレート

    金融機関の場合も特定の事業計画書テンプレートがある場合が多いです。

    金融機関のテンプレートは多くの場合数枚しかないので、別途自分で作成した事業計画書を添付するのがよいでしょう。

    創業手帳のテンプレート

    創業手帳では金融機関や経営者が使っている事業計画テンプレートを統合して、オンラインツールと紙のフォーマットを提供しています。いずれも無料で使えるので、利用してみましょう。

    ・オンラインの事業計画作成ツールを活用する
    創業手帳の無料会員になれば、オンラインの事業計画書作成ツールを利用できます。

    また、起業の際に必要な書類のテンプレートがダウンロードできたり、無料の創業コンサルティングを受けられたりするので、ぜひご活用ください。

    ・ガイドブックのテンプレートを活用する
    冊子版の創業手帳の巻末には、事業計画書のテンプレートがあります。

    資料請求と同時にWeb版の創業手帳の会員登録もできます。どちらが使いやすいか比べてみてもよいと思います。

    何を書けばいいの?事業計画書の書き方14ステップ

    事業計画書のステップとサラリーマン
    では、実際に事業計画書をどのように記載すればよいのかについて解説していきます。

    それぞれのポイントについてもご紹介しているので、実際に先ほどのテンプレートを使って進めていきましょう。

    1.「会社プロフィール」を書こう

    会社概要について書きましょう。(例:商号、所在地、役員、株主構成、電話番号、ホームページアドレス、メールアドレス、主要取引先、主力商品、代表者経歴)

    創業前であれば予定のものを書きましょう。

    POINT
    • 創業時は代表者経歴が重要
    • 事業に関連する経験、ノウハウ、スキルをどれだけ持っているか、代表者の事業に対する熱い思いを書いて、本気度をアピールしましょう

    2.「事業コンセプト」を書こう

    ここでは、なぜ、この事業をやるのかを明確にしましょう。
    できるだけ簡潔にわかりやすく表現しましょう。

    POINT
    • 自社の使命(ミッション)
    • 自社らしさ(コアエッセンス)
    • 自社の強み(コアコンピタンス)
    • 顧客のメリット

    また、事業の戦略を分析するためのフレームワークに、SWOT分析というものがあります。

    冊子版の創業手帳の巻末には、SWOT分析のための分析シートを掲載しています。事業コンセプトを明確にするのに、こちらも活用してみてください。

    3.「5年後のビジョン」について書こう

    具体的に自分が達成できているイメージを鮮明に描けるようなものにしましょう。

    5年後のビジョンを考える上で大事なのが、先ほどご紹介した6W1Hの中の「3W1H」です。

    POINT
    • 「When」……5年後
    • 「Where」……想定する市場(どこで)
    • 「What」……商品・サービスの具体的な内容
    • 「How much」……いくら儲けるのか(具体的な数字で。達成可能と思われるもの。同業他社の例や過去の経験則を参考にしてみましょう)

    4.「事業ドメイン」を決めよう

    事業ドメインは、事業活動を行う領域のことです。ここでは、どのような顧客を対象にどのようなビジネスをするのかを考え、事業展開する領域を決めましょう。

    POINT
    • 「Who」……例えば年齢、性別、職業、趣味などの属性に分けて絞り込む
    • 「What」……「Who」の絞り込みができれば、そのターゲットに対して、どの商品やサービスを提供するのか
    • 「How」……どんな技術・ノウハウ・スキルを活かすのか
    • 自社の立ち位置の決定……ポジショニングマップ(縦軸と横軸に差別化したい項目を書く)を書き、自社の商品やサービスがどの位置にあるのかを明確にする
    • 商圏はどこにするのか

    5.「この事業が成功する社会的背景」について書こう

    ここでは、以下のポイントについて分析し、それらの背景があることからこの事業が成功するという理由を説明しましょう。

    POINT
    • 政治情勢……法改正や政府の動向、規制など(新聞、ニュース、業界紙などを参考)
    • 経済環境……人口動向、円安円高、原油高原油安、インフレデフレなど(経済産業省のホームページがおすすめ)
    • 社会情勢……人々の関心事、社会全体のムードなど(国民生活白書がおすすめ)
    • 技術革新の状況……商品の生産性が画期的に向上する技術上の発明の状況(例:フェイスブックの登場)

    この4つの要素の分析はPEST分析といわれます。

    6.「市場規模」について書こう

    ここでは、自社の事業のマーケットの現状について分析します。この事業が成功するための十分な市場規模と成長性があることを明確にしましょう。

    市場規模に関する情報を集める手段として、経済産業省、総務省、業界団体、民間のシンクタンク、マーケティングリサーチ会社などを利用するとよいでしょう。

    7.「競合他社の動向」について書こう

    ここでは、競合他社を最低3社は見つけ、それらの強みを分析します。他者の強みを分析することで、自社の強みや独自性を見つけることができます。

    POINT
    • Product(商品)……何を売っているのか
    • Price(価格)……いくらで売っているのか
    • Place(流通)……どういう流通経路で売っているのか
    • Promotion(販売戦略)……PR戦略、ブランド戦略など どうやって売っているのか?

    8.「顧客のメリット」について書こう

    ここでは、自社が顧客から選ばれる理由を、以下のポイント4つの視点で分析します。

    POINT
    • Customer Value(顧客にとっての価値)
    • Cost to the Customer(顧客の負担)
    • Convenience(利便性)
    • Communication(コミュニケーション)

    9.「自社の強み」について書こう

    技術、スキル、ノウハウ、資格、組織力、企業風土などの観点から、自社の強みについて書いていきましょう。

    10.「商品・サービスの説明」をしよう

    ここでは、どんな商品・サービスなのかを説明しましょう。

    POINT
    • 価値……目に見える価値、目に見えない価値、付随するサービス
    • 価格……自社のコスト、同業他社との比較、商品・サービスの価値、顧客が考えるコスト
    • 商品・サービスの品揃え

    11.「販売戦略」について書こう

    ここでは、顧客に自社の商品・サービスのことを知ってもらい、購入してもらうまでの仕組みについて説明します。

    POINT
    • 販売チャネル……販売経路
    • プロモーション……顧客に商品・サービスを認知してもらうための戦略

    販路にはさまざまな種類があります。営業や、ネットショップ、DM、ネット広告、代理店などなど、それぞれ特徴や長所・短所があります。

    冊子版の創業手帳では、販路拡大の方法を一覧にして分かりやすくまとめています。

    12.「ビジネスモデル」を書こう

    ここでは、この事業が継続的に儲けられる仕組みについて、フロチャートにしてわかりやすく説明しましょう。

    POINT
    • この事業におけるすべての登場人物と取引内容について矢印で結ぶ
    • 顧客に商品・サービスが届くまでのプロセス
    • 代金回収の仕組み
    • 利益を生みだす仕組み

    13.「社内体制」について書こう

    ここでは意思決定の流れと役割分担を明確にした社内組織図を書きましょう。第三者が組織図を見ただけで業務内容が推測できるようなものにしましょう。

    14.「財務計画」を作ろう

    財務計画には以下6つの項目を作成し、この事業が将来どれだけ利益をあげることができるかを具体的な数字で説明しましょう。現在から5年後までの計画を書いてみましょう。

    売上計画

    各商品や各サービス単位などに分けて書きましょう。予測の方法として、見込客数や、公の経営指標などを利用して実現可能な計画にしましょう。

    売上原価計画

    売上原価は、売上げを上げるために直接かかった費用のことをいいます。ここでも「売上計画」と同様、各商品や各サービス単位などに分けて書きましょう。

    人員計画

    人件費(給料だけでなく社会保険料や通勤費、研修費、退職金積立も含みます)や採用にかかる募集費用なども予測し、採用計画をたてましょう。

    設備計画

    投資に見合うリターンが見込めるか、何年で回収できるかなどを見積もりましょう。

    利益計画

    一番重要視される項目です。

    売上→売上原価→人件費→減価償却費→販売費→管理費→借入利息→法人税等

    の順序に予測しましょう。

    その結果、売上総利益→営業利益→経常利益→税引後利益の予測ができます。信憑性のある数値にしましょう。

    「資金計画」

    「利益計画」と同じく重要視される項目です。

    利益計画では利益が出ていても、現金が十分に足りているのか、それとも不足しているのかは分かりません。

    なぜなら、設備資金の支払や入金と出金のサイトのずれは、利益計画からは把握できないからです。

    融資担当者は返済可能な資金があるかどうかを見ています。資金計画を立ててみて不足する場合は、返済できる自己資金がどれだけあるのかなど、きちんと明示しておくことが必要でしょう。

    まとめ

    経営者の中には「一生懸命商売をしていれば数字はついてくる、事業計画書を書くのは時間の無駄」とおっしゃる方がいます。

    でも、一度考えてみてください。

    勝つための戦術や戦略を練ってある程度の予測をたててから行動する人と、何も考えずに行動する人では、どちらが成功するでしょうか?

    また、お金を貸す側の立場になった場合、どちらに貸すでしょうか?

    答えはもちろん前者です。大変な作業ですが、事業を成功させるための第一歩として「事業計画書」を作成してみましょう。

    創業手帳では資金調達に関する情報だけをまとめた別冊、資金調達手帳(無料)を発行しています。

    融資制度の解説だけでなく、日本政策金融公庫の担当者やベンチャーキャピタリストなど、専門家のインタビューも掲載しています。具体的にどうすれば資金調達できるのか語っていただいているので、ぜひ参考にしてみてください。

    初めての起業・会社経営に!基礎知識をまとめたガイドブックプレゼント中⇩

    日本政策金融公庫の融資申し込みに必要な事業計画書は、「創業計画書」
    創業計画書の書き方のポイント
    こちらのカテゴリをご覧になっている方へおすすめしたい創業手帳冊子

    (監修:ゆう税理士事務所 税理士 小林優子
    (編集:創業手帳編集部)

    資金調達、資金繰りは最新号の創業手帳(冊子版・無料)も併せて読んで見て下さい。

    この記事に関連するタグ

    創業時に役立つサービス特集

    リアルタイムPVランキングトップ3

    カテゴリーから記事を探す

    マーケティング担当・広告代理店のご担当者様へ