サラリーマンをしながら個人事業主になるメリット・デメリットと手続き方法

創業手帳

会社員が個人事業主として副業をする場合の確定申告や社会保険、会社にバレない方法まで解説!

サラリーマンをしながら個人事業主になるには
近年一般化してきている副業や複業。会社以外での仕事のために、サラリーマンをしながら個人事業主としての開業を検討している方もいるのではないでしょうか。

会社員時代から個人事業主として活動に励んでいれば、やがて副業が本業化して独立・起業することも夢ではありません。そこでこの記事では、サラリーマンをしながら個人事業主としての開業をすべきケースやメリット・デメリット、必要な手続きや確定申告などについて詳しく解説します。

創業手帳は、日本のすべての創業者に配布される起業のガイドブックであり、実際に副業から独立されるユーザーも多いので、日々多くの方から相談を受けています。また創業手帳では、税理士などの専門家との連携も行っているので、実態に即した副業での開業を目指す方や個人事業主の方に役立つお話ができればと思います。

まず前提として、副業や起業は、次のようなステージがあります。

  • ステージ0:事業を何もしていない状態(サラリーマン、主婦、etc)
  • ステージ1:20万円以下の副業 確定申告をしなくて良い
  • ステージ2:20万円以上の副業 個人事業主開業届を提出する
  • ステージ3:法人化 株式会社・合同会社などの会社を設立

 
ステージ2は、私にも経験がありますが、誰かに相談しにくく迷いやすいステージといえます。

もちろん、規模に応じた形態で事業を行うことが前提となってはきますが、今回は開業届を出すか出さないかで迷っている方に向けて話を進めていきたいと思います。

また、今法人化はしなくても法人化後の流れをまとめた創業手帳を取り寄せておくと、今後の事業のイメージがつかみやすくなりますので、創業手帳の取り寄せをおすすめいたします。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください。

サラリーマンをしながら個人事業主になるケースとは?

最近ではサラリーマンをしながら副業を行う人も増えていますが、副業をしていれば個人事業主としての開業が必要なのでしょうか?そもそも個人事業主とはどういったものなのでしょうか。

そもそも個人事業主とは

個人事業主とは、「個人で事業をしている人」を指します。個人事業の定義は、「独立・継続・反復」していること。つまり、会社に雇われず継続的に事業で利益を上げている人のことを個人事業主といいます。

逆に、宝くじなどで一時的に利益を得た人や、どこかの会社やお店でアルバイトやパートをしている人、つまり企業や店舗などと雇用契約をしている人は個人事業主にはなりません。

また、後述しますが、個人事業主になるためには税務署に開業届を提出する必要があります。

副業をするサラリーマンは個人事業主としての開業が必要?

それでは、副業をするサラリーマンは個人事業主にならなければいけないのでしょうか?

結論から言うと、サラリーマンの副業では必ずしも個人事業主になる必要はありません。また、副業の収入が年間20万円を下回っている場合には、確定申告も不要です。

これが、先ほどお話した「ステージ1:20万円以下の副業 確定申告をしなくて良い」状態です。

ではなぜサラリーマンをしながら個人事業主になる人がいるのかというと、個人事業主になることで税制上のメリットなどがあるからです。メリットについては後ほどご説明します。

サラリーマンをしながら個人事業主になる目安

必須ではない個人事業主としての開業(開業届の提出)ですが、どのようなタイミングで行うべきなのでしょうか?

検討すべき目安は、副業の収入が年間数百万円以上になったタイミングです。

つまり、「ステージ2:20万円以上の副業 個人事業主開業届を提出する」状態にあるといえます。

特に、税金面でのメリットが大きくなるので、開業届の提出を考えても良いでしょう。また、これくらいの収入になってくるといずれ副業を本業化して独立・起業できる可能性もあります。

逆にこれ以下の収入の場合は、あえて開業の手続きをしても得られる税金面や金銭面でのメリットはそれほどありません。ただし、開業届を提出していることで社会的な信用を得ることができたり、それによって企業からの依頼を受けやすくなったりすることもあるため、開業を検討しても良いでしょう。

そして副業で20万円以上の収入があると、確定申告をする必要が出てきます。開業届を出していない場合は白色申告になりますが、現在は白色申告でも、収支内訳書(簡易な記帳)を提出する義務がありますので、開業届を提出して青色申告をするのとあまり違いはないと感じる人もいるのではないでしょうか。

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個人事業主としての副業とそれ以外の副業の違い

サラリーマンをしながら個人事業主になるかどうかを検討する上で、「個人事業主としての副業」と「個人事業主としてではない副業」の違いは知っておきたいポイントです。

主な違いは次の2点です。

  • 所得税の区分
  • 個人事業主は事業所得、非個人事業主は雑所得(事業所得は収入から経費を引いた金額に課税されるため、税金的に有利)

  • 確定申告の申告書類
  • 個人事業主として開業届を提出し事前申請をすれば青色申告も可能(白色申告より税制上のメリットが大きい)だが、非個人事業主は白色申告しかできない

さらに青色申告をすると特別控除を受けることができるため、控除金額でも違いがあります。税金面のメリットを考えてサラリーマンをしながら個人事業主になる人が多いといえるでしょう。

ただし、青色申告をするためには個人事業主になる(開業届を提出する)だけでなく事前に申請が必要なので注意が必要です。申請は所轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで行います。基本的には開業届と同時に提出すれば良いでしょう。

サラリーマンをしながら個人事業主になるメリット・デメリット

ここまで簡単にサラリーマンをしながら個人事業主になるメリットについても触れてきましたが、具体的にはどのような良い点・悪い点があるのでしょうか。

個人事業主になるメリット

サラリーマンをしながら個人事業主になるメリットとしては、次のようなことが挙げられます。また、個人事業主となるための手続きに費用はかからないので、その点もメリットの一つといえるかもしれません。

独立・起業の練習や足掛かりにできる

サラリーマンをしながら個人事業主となる場合、青色申告やそのための帳簿付けや資金繰りなどを自分で行なうことになるでしょう。こうしたことはその後独立や起業をした場合の予行練習になります。

個人事業主として登録をすることで、単なる副業以上の自覚やモチベーションが生まれ、事業をよりしっかり推進していこうとする効果も期待できます。そうなればただのお小遣い稼ぎのような副業と違い、その後本業化して独立や起業するような足掛かりとなる可能性も高まるでしょう。

必要経費を計上できる

サラリーマンをしながら個人事業主になれば、副業で使ったお金を経費として収入から差し引くことができます。税金は収入から経費を引いた所得に対してかかるため、経費を計上できることは節税効果があります。

文具、つまりボールペン1本ですら、副業のために買うのであれば経費計上が可能。高額なパソコンやタブレット端末はもちろん、副業に必要な資料としての書籍代などに加え、自宅を事務所として副業をしている場合は家賃や光熱費の一部も必要経費とできるので、個人事業主になるメリットは大きいといえます。

さらに、インターネットのプロバイダーやスマートフォンなどの月額利用料も、いまのビジネスには不可欠ですから、通信費としてその一部を経費とできることにも注目すべきでしょう。

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青色申告特別控除が使える

先ほどお伝えしたとおり、個人事業主となり事前に申請をしておけば、青色申告をすることができます。青色申告では白色申告より最大65万円の特別控除があります。

平成30年度の税制改正により、令和2年分の確定申告から、青色申告特別控除額が改正前65万円から改正後55万円に、基礎控除額が同38万円から同48万円になりました(控除額合計103万円)。

さらに、e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行うと、改正前と同額65万円の青色申告特別控除が受けられ、控除額の合計が113万円になっています。ITを利用することで10万円も控除額が増えるのは、個人事業主にとっては朗報だといえますね。

サラリーマンをしながら個人事業主となる場合には、この青色申告特別控除と給与所得控除の両方を使うことができるのです。

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副業の損失や赤字の繰り越しができる

個人事業主で青色申告をする場合、副業での損失や赤字を繰り越すことができます。

赤字は3年以内であれば黒字が出たときに相殺ができます。

副業の所得を本業の所得と損益通算できる

損益通算とは、異なる収入源の利益と損失を相殺すること。サラリーマンをしながら個人事業主となった場合、会社からの所得と副業の事業所得を損益通算することができます。

たとえば副業を始めたばかりのころには、経費の方が多くて最終的な副業収入は赤字になることも多いでしょう。

その場合、給与・賞与と副業のマイナス分を相殺できるということです。確定申告をすることで、所得税や市民税の節税につながるわけです。副業収入がなくて落ち込むよりも、「節税になった」くらいの気持ちで、前向きに副業に取り組んでいくといいですね。

そして、副業が順調に伸び、事業所得が給与・賞与を超えたら、「ステージ3:法人化 株式会社・合同会社などの会社を設立」も視野にいれてみてはいかがでしょう。

家族への給料を経費にできる

サラリーマンをしながら個人事業主をしている間にはあまりないかもしれませんが、家族や親族に事業を手伝ってもらう場合、一定の条件を満たすと「青色事業専従者給与」を利用して家族へ支払う給料を経費扱いすることができます。

一人ではなく家族を巻き込んで事業を行うような場合にはメリットになるでしょう。

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個人事業主になるデメリット

逆に、サラリーマンをしながら個人事業主となることには次のようなデメリットもあります。

青色申告には手間や時間がかかる

個人事業主となることの最大のメリットは、税制上優遇の大きい青色申告ができることでしょう。しかし、青色申告は白色申告より煩雑で、手間や時間がかかります。

ただ、前述のとおり、平成26年分の確定申告から、収入額が300万円以下の白色申告でも収支内訳書(簡易な記帳)を提出することになりました。白色申告も煩雑になったようにも見えますが、青色申告では、①正規の簿記の原則で記帳(複式簿記) ②貸借対照表と損益計算書を添付、③期限内申告と、要件が厳しいことに変わりはありません。

とはいえ、現在では簿記の知識がなくても簡単に青色申告ができる会計ソフトも多数用意されているので、しっかり調べておけば心配することはありません。

失業保険がもらえない

勤めている本業の会社での仕事を失ってしまったとき、通常は失業保険が給付されます。ですが、個人事業主として開業している場合、本業の仕事を失っても無職状態とはいえないため、失業保険を受け取ることができません。

もちろん会社の仕事を失っても副業でしっかり利益を上げていれば問題ありませんが、そうでない場合は失業の際に個人事業の方も廃業届を出して廃業した方が良いでしょう。

しかし、廃業届を提出したものの、実態としては副業のビジネスを継続していたというような場合は失業保険の不正受給となりますので、そのようなことは絶対に行わないようにしましょう。

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自由時間が減る可能性がある

副業をする場合、利益を上げるために事業について考えたり実際に作業をしたりする時間が当然必要になります。

サラリーマンをしながら個人事業主となった場合、それだけでなく確定申告を見据えてのお金の管理や記録を行う時間も必要です。人によっては休日の自由時間が減ってしまうこともあるでしょう。

サラリーマンをしながら個人事業主になる方法

総じてメリットが大きいといえる個人事業主ですが、サラリーマンをしながら個人事業主となるのに必要な手続きは「開業届の提出」だけです。開業届は正式には「個人事業の開業・廃業届出書」といい、事業の開始から1カ月以内に税務署まで提出するようにしましょう。

開業届は、国税庁のWebサイトからダウンロードできるほか、「開業freee」などのソフトを使っても簡単に作成することができます。また、開業届の提出は無料です。

開業届の実物 1枚ペラで記入は難しくない。税務署に届け出る

青色申告を行う場合には、このときあわせて「青色申告承認申請書」も税務署に提出してください。

それ以外にも、確定申告のために帳簿付けやお金の管理のできる会計ソフトの利用を開始したり、事業用のクレジットカード作成や口座開設をしておくのもおすすめです。

サラリーマンをしながら個人事業主になる場合の確定申告や社会保険

サラリーマンをしながら個人事業主になる場合、「会社に副業がバレてしまうのでは?」「社会保険はどうなるんだろう?」と不安な方もいるかと思います。最後に、サラリーマンをしながら個人事業主として活動する場合の確定申告や社会保険、会社との兼ね合いについて解説します。

確定申告が必要なケースとは

サラリーマンで副業として個人事業をしている場合、次のようなケースでは確定申告は必須ではありません。

  • 個人事業が赤字の場合(支払う税金がない)
  • 本業の収入が2,000万円以下で、副業の利益が20万円以下の場合

ただし、確定申告(青色申告)をすれば赤字を繰り越すことができたり、最大65万円の特別控除が受けられるので、必須ではなくとも申告をすることは検討しましょう。

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確定申告をすると会社に副業がバレる?

確定申告をすると本業の勤め先に副業の事実がバレてしまうのでは?と思っている人も多いかもしれません。

ですが、確定申告をしたことが直接の原因で副業がバレてしまうということは通常はありません。可能性があるとすれば、住民税が上がってしまったときにバレるケースです。

住民税はその前の年の所得金額によって決まり、会社に納付書が届きます。給与所得が大きく変わっていないにもかかわらず住民税の額が上がった場合、ほかにも収入があったのではと思われてしまう可能性があります。

これを防ぐためには、確定申告書を提出する際に、住民税を自分で納付する普通徴収を選ぶようにしましょう。そうすれば、会社からの給料分の住民税の納付書は勤め先に、副業分の住民税は自宅などに納付書が届き、納付書から副業がバレてしまうことを避けられます。

社会保険や税金はどうなる?

まず社会保険についていうと、通常はサラリーマンは会社で健康保険・厚生年金保険に加入し、これに対し個人事業主は個人で国民健康保険・国民年金保険に加入します。

サラリーマンをしながら個人事業主をする場合には、通常のサラリーマンと同様、健康保険・厚生年金保険に加入します。副業で個人事業主となっても、社会保険の手続きに変更はありません。

税金面では、サラリーマンとしての会社からの給料と個人事業主としての副業の収入の合計額に対して所得税と住民税がかかります。副業で利益が出ていれば所得税や住民税が高くなったり、赤字になっていれば会社の給料から天引きされていた税金が戻ってきたりすることがあります。

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まとめ

サラリーマンをしながら個人事業主となる場合のポイントや流れ、注意点などを見てきました。

今回のポイントをまとめてみました。

  • 副業からの収入が年間数百万円になったら個人事業主となった方が良い
  • サラリーマンをしながら個人事業主となることには、青色申告の特別控除が受けられる、独立や起業への足掛かりにできる、などのメリットがある
  • サラリーマンをしながら個人事業主として活動する場合、会社にバレないようにするには住民税の納付方法などで工夫が必要

個人事業主としての事業が軌道に乗り、本業と同じかそれ以上に利益を上げられるようになってきた場合、独立や起業を検討しても良いでしょう。特に最近では、いきなり起業するという人だけでなくサラリーマンをしながら個人事業主などの形で副業から本業化を目指す人も多くいます。

ここが、まさに「ステージ3:法人化 株式会社・合同会社などの会社を設立」へとつづくステージです。

創業手帳(冊子版)では、ビジネスや起業に関連した様々な情報を掲載しています。冊子のお届けは完全無料ですので、今後サラリーマンをしながら個人事業主としての副業やビジネスを始めようと考えている方はぜひご活用ください。
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