【保存版】はじめてのNPO法人設立|メリット、設立費用、期間、条件は?

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NPO法人の設立に関する疑問にお答えします

(2017/12/26更新)

非営利企業の代表格となる「NPO法人」。もともと市民活動の促進を目的として作られたNPO法人制度には、一般的な株式会社などとは異なる特徴がみられます。

この記事では、NPO法人の設立を検討している方へ、設立のポイントや手続き方法について詳しく解説していきます。

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NPO法人とは

NPO法人(特定非営利活動法人)の話に入る前に、「そもそもNPOとは何か」を振り返っておきましょう。

「NPO」は英語のNon Profit(またはNot for Profit) Organizationの頭文字をとった表現です。日本語に訳すなら「非営利組織(団体)」といったところで、構成員に収益を分配することを目的としない団体を指します(ちなみに、国や地方自治体なども非営利組織であることから、区別して「民間非営利組織(団体)」と言う場合もあります)。

したがって、本来「NPO」という言葉は、NPO法人と言った時にぼんやりイメージされるボランティア活動、社会貢献活動などだけでなく、生活協同組合、労働組合、学校法人、共済、互助会、自治会、町内会、PTA、業界団体、宗教団体、同好会なども広く含む言葉です。

その中で、特定分野の活動(特定非営利活動)を行う組織にも一定の条件で法人格を持てるようにしたのがNPO法人制度です。

しかし、そもそもNPO活動を行うにあたって法人格は必須条件ではないため、実際現在も多くのNPOが法人格を持たない任意団体として活動しています。

NPO法人設立のメリット・デメリット

それでは、NPO活動を行うために法人化をするメリット・デメリットについてみていきましょう。

NPO法人設立のメリット

社会的信頼性が高い

団体の活動を行うにあたって事務所の賃貸、通信回線などのほか、行政や企業などとなんらかの契約が必要になる場面は少なからずあるでしょう。このときに法人格がないと団体としての契約ができない場合や、助成金や行政などからの委託事業など「法人格があること」が応募条件になっている場合もあります。

特に不動産登記などは任意団体の名義ではできませんので、やむをえず実質的に代表者個人名で処理しているケースがみられます。しかし、代表者の交代や死亡の場合なども考えられるので、このような場合は、ある程度活動が安定してきたら法人化を検討した方が良いでしょう。

また、NPO法人は、他の任意団体や、一般社団法人・一般財団法人などの非営利企業と比較しても、地名度や社会的な信頼性は高いといえます。なかにはNPO法人向けの助成金などもあり、資金調達面でも有利になることがあります。

少額の費用で設立できる

法律上NPO法人には資本金・出資金のような決まりがありませんので、法人の財産がなくても設立可能です。また、登記時の登録免許税もかかりませんので、きわめて少額で設立手続きを行うことができます。

税制面での優遇がある

NPO法人は、税制面でもメリットがあります。
収益事業を行っていないNPO法人では、法人住民税なども免除される場合があります。
任意団体の場合、活動や運営の状況によっては団体の所得を代表者個人の所得とみなされて課税されるケースもあります。

また、認定または特例認定NPO法人になると、寄付した人に所得税の優遇があるほか、一部の自治体は指定のNPO法人に寄付した人が住民税控除を受けられる制度を持っています。

NPO法人設立のデメリット

設立に時間がかかる

詳しく後述しますが、NPO法人を設立するまでには、最低でも3か月以上を有します。一般的な営利企業の設立手続きは1~2週間程度で完了しますので、非常に時間がかかるといえます。

災害対応活動などで「いますぐ!」と思って動きだしても、すぐに法人にはできません。

10人以上の社員が必要

NPO法人設立には、手続き期間以外にも、社員や役員の人員要件というハードルがあります。

NPO活動は、数人が意気投合しただけでも始めることができます。しかし、NPO法人として認証を受けるには、10人以上の社員(NPO法人の社員は「従業員」ではなく、「正会員」的な意味です。)が必要です。

また、役員要件として、3名以上の理事と、1名以上の監事を置かなくてはなりません。

このように、NPO法人設立の前には、十分な人員の確保が求められます。

活動分野が決められている

法律で決められた分野以外の活動でNPO法人にはなれません。
また、活動分野の変更などを行う際は、再度認証手続きが必要になる場合があります。そのため、NPO法人設立時には、どの活動分野にするのか慎重に検討するようにしましょう。

独特な会計などに対応する必要がある

収益事業を行う場合、収益事業とそれ以外を区分した会計が必要になるなど、一般的な企業会計と異なる処理が必要になる場合があります。詳しくは後述します。

情報公開が必要

NPO法人は、他の非営利企業と比べ、報告書や提出書類の煩雑さが増します。
事業報告書、活動計算書類などを、年度ごとに所轄の都道府県庁、市役所等に提出しなくてはなりません。また、財産目録、役員名簿、社員名簿などの情報公開が義務付けられていますので、しっかりした組織運営体制を作り、第三者から見ても問題のない透明性を確保する必要があります。

NPO法人でも収益事業はできる?

そもそも、非営利活動とは「利益を目的としない」ことであって、「利益を取らない」ことではありません。

誤解されやすい点ですが、NPO法人でも本体にあたる特定非営利活動のほかに「その他の事業」として収益事業を行い、そこで得た収益を特定非営利活動のために充てることができます。

ただし、営利事業を法人の目的とすることはできませんし、収益を社員(会員)に分配することも禁止されています。会計上も特定非営利活動と分ける必要があります。

実際、NPOの中には、諸費用を個々人の持ち出し、いわゆる「手弁当」で活動している団体も少なくありません。しかし、法人として事務所家賃、通信費、交通費、専従人件費ほかさまざまな費用をまかないながら事業を継続することを考えれば、営利企業でいうところの「粗利益」にあたる収入を確保することは必要になります。

例えば、NPO法人がカフェを開いてコーヒーを提供する場合に、非営利組織だからといってコーヒー豆と水の原価で販売しなければならない、ということではありません。原価や人件費なども鑑みて、適正な価格を設定することができます。

なお、法人税法に定められた収益事業(物品販売業、出版業、請負業など34業種)にあたる事業を行うと、それがたとえ特定非営利活動にあたる事業であっても法人税の課税対象と判断される場合がありますので、税務署などに事前の相談をおすすめします。

NPO法人にかかる税金

法人税等

NPO法人は法人税関連では「公益法人等」とみなされますので、特定非営利活動に関わる所得に法人税はかかりません。ただし、収益事業の所得は課税されますのでご注意ください。

法人住民税の法人税割分についても同様で、収益事業があれば課税されます。
法人住民税均等割分(都道府県、市町村分合わせて7〜9万円)については、収益事業の有無にかかわらず原則として課税されることになっていますが、収益事業を行わないNPO法人には減免する制度を多くの自治体が持っていますので、あらかじめ所轄庁に確認することをおすすめします。

消費税

消費税は課税されます(介護保険法、社会福祉法などに定められたサービスなど非課税取引にあたるものは除く)。ただし、通常、設立から2期目までは免税事業者となり、3期目以降も課税売上が年間1,000万円以下であれば免税事業者とされ、納税義務が免除されます。なお、免税事業者であっても、仕入代金や費用等にかかる消費税を支払う必要はあります。

印紙税

領収書の印紙税は非課税規定が適用されますので、5万円以上の領収書でも収入印紙を貼る必要はありません。ただし、契約書等の印紙税には非課税規定がないため、印紙を貼る必要があるケースが出てきます。こちらに関しては、国税庁のウェブサイトなどを確認して、適宜対応してください。

その他

職員の給与や原稿料、講演料などの報酬を支払った場合、所得税の源泉徴収と納税も必要です。
そのほか、不動産取得税、固定資産税、都市計画税、自動車重量税、自動車税、自動車取得税、軽自動車税、事業所税などは課税されますが、地方税については条例により免除制度を持つ自治体がありますので、地元の自治体窓口に相談してください。

NPO法人設立の条件

前述のように、NPOとして活動することは自由で活動内容も様々なものがありますが、NPO法人を設立するには法令で定められた条件を満たす必要があります。

NPO法人の設立要件で特徴的なものは主に以下の2点です。

活動内容は20種類に限定されている

NPO法に定められているNPO法人の活動分野は下記の20種類です。設立時に作成する定款に記載が必要です。
また、変更、追加などを行う場合は定款を変更するとともに、所轄庁(都道府県、市町村等)の認証を受ける必要があります。

  • 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
  • 社会教育の推進を図る活動
  • まちづくりの推進を図る活動
  • 観光の振興を図る活動
  • 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
  • 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
  • 環境の保全を図る活動
  • 災害救援活動
  • 地域安全活動
  • 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
  • 国際協力の活動
  • 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
  • 子どもの健全育成を図る活動
  • 情報化社会の発展を図る活動
  • 科学技術の振興を図る活動
  • 経済活動の活性化を図る活動
  • 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
  • 消費者の保護を図る活動
  • 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
  • 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

10名以上の社員が必要

NPO法人を設立するためには、そのNPO法人の社員が10名以上いることが条件となっています。

NPO法人における社員とは、一般的な会社の「社員」(従業員)と異なり、議決権を持つ会員のことを指します。社員は平等な表決権を持って社員総会に参加します。議決権を持つという点では株式会社の株主に近い印象を持つ人があるかもしれませんが、NPO法人の社員は出資者という意味ではありません。

また、法律に社員となる(または退会する)ために「不当な条件を付さないこと」と定められています。NPO法人を設立する際、基本的には、活動の趣旨などに賛同する人誰もが社員になることができ、また、いつでも退会できる開かれた組織とする必要があります。

NPO法人の設立費用は?

NPO法人を設立する場合、実はその手続き自体にかかる費用はありません。

一般の会社を設立登記するには登録免許税が数万円以上かかりますが、NPO法人は登録免許税法の対象外です。また、最低資本金のような規制もありませんので、法人としての資金、財産がなくても手続き自体は可能です。

したがって、必要な費用は周辺のもの、例えば法人の印鑑を作る代金、役員となる人の住民票を請求する費用、手続きにかかわる交通費、通信費などのみ。
もちろん、設立手続きを専門家などに依頼する場合はその分の費用が発生しますが、一般的な会社の設立に比べてきわめて少額で設立が可能と言えます。

設立までにかかる期間

前述のように費用はかかりませんが、そのかわり手続きに時間がかかります。

まず、申請書類等を整えて所轄庁(都道府県・市区町村等)に申請します。その後、所轄庁が「縦覧」(公開)という手続きを行います。これは申請を市民の目で点検する機会として法律で1か月間と決められています。

続いて、所轄庁(都道府県・市町村等)による審査が行われますが、この期間は縦覧終了後2か月以内と決められています。
審査が終わり、所轄庁から認定されて、やっと法務局へ登記申請をすることができます。書類作成から設立登記完了まで、だいたい4ヶ月程度はかかるものと心しておきましょう。

NPO法人設立の手順


NPO法人の設立には、次の3段階の手続きが必要です。

NPO法人設立の3ステップ
  • (1)所轄庁への申請
  • (2)縦覧・審査・認証
  • (3)登記手続き

(1)所轄庁への申請

下記の書類を揃えて申請書とともに所轄庁(都道府県・市区町村)の担当窓口に提出します。

  • 定款(法人の目的、名称、特定非営利活動の種類など法律で定められている14項目の事項などについて記したもの)
  • 役員名簿(役員ごとの報酬の有無を明記)
  • 役員の就任承諾書及び誓約書(暴力団員、過去2年以内に認証を取り消されたNPO法人の解散時の役員、など法律で定める役員の欠格事項にあたらないことの誓約)の謄本
  • 役員の住所又は居所を証する書面(住民票等)
  • 社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面(住民票等)
  • 認証要件に適合することを確認したことを示す書面
  • 設立趣旨書
  • 設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
  • 設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
  • 設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

(2)縦覧・審査・認証

このステップは主に所轄庁側の処理ですので、申請者にとっては基本的に待機期間です。(書類の修正などの対応が必要になる可能性はあります。)
申請を受けた所轄庁(都道府県、市町村など)が下記の項目を1か月間縦覧(公開)します。

  • 申請年月日
  • NPO 法人の名称
  • 代表者氏名
  • 主たる事務所の所在地
  • 定款に記載された目的

また、申請受付から3か月以内に都道府県・市区町村などの所轄庁が審査を行い、認証または不認証の結果が申請者に通知されます。

(3)登記手続き

認証された通知があった日から2週間以内に法務局で設立の登記を行い、登記の完了を受けて改めて設立登記完了届出書とともに登記事項証明書、財産目録などを都道府県・市区町村などの所轄庁に届け出ます。

また、主な事務所と法務局の管轄区域が異なる場所にも従たる事務所を持つ場合は、設立登記から2週間以内に従たる事務所の所在地でも登記する必要があります。

(2)の「認証の通知」が来ただけでは手続き完了ではありませんので十分注意してください。認証されてから6か月以上登記せずに放置すると認証が取り消される可能性があります。

NPO法人設立後の手続き一覧

前述の登記まででNPO法人の設立手続き自体は完了なのですが、設立後にもいくつかの手続きが必要です。

ちなみにこれらの手続きは、一部NPO法人特有のものがありますが、多くは営利・非営利問わず国内で法人を設立したり、人を雇用したら必要になる共通の手続きです。

また、多くの手続きで登記簿謄本や定款のコピーの添付を求められますので、必要数まとめて用意しておくと便利です。

(1)税金関係

設立後すみやかに手続きが必要です。(税務署は2か月以内、その他は自治体により期限が異なりますので確認してください。)

収益事業を行わない場合
  • 都道府県税事務所と市町村の税金担当窓口の2か所に法人設立届出書を提出します。法人住民税均等割分の免除申請手続きもあわせて行いましょう。
収益事業を行う場合
  • 税務署、都道府県税事務所と市町村の税金担当窓口の3か所に法人設立届出書と収益事業開始届出書を提出します。(「法人の異動・変更届」など、手続名、書類名などは自治体により異なることがあります。)
  • 税務署には棚卸資産の評価方法の届出書、減価償却資産の償却方法の届出も必要です。青色申告を行う場合は、青色申告の承認申請書も提出します。

なお、設立当初は収益事業を行わないNPO法人が収益事業を開始することになった場合は、その段階で収益事業に関する届け出が必要になります。

(2)有給の職員を雇用する場合

  • 税務署に給与支払事務所等の開設届出書の提出
  • 労働基準監督署に保険関係成立届、概算保険料申告書、適用事業報告書などの提出
  • 公共職業安定所に保険関係成立届、雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届などの提出
  • 年金事務所に新規適用届、被保険者資格取得届、被扶養者(異動)届、保険料納入告知書送付(変更)依頼書などの提出

給与の支給に伴い源泉徴収(いわゆる天引き)した所得税の納期限は支給月の翌10日です。原則は毎月納付ですが、有給職員が10人未満で源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請をすると年2回、7月と1月とすることができます(税務署に申請書の提出が必要)。

(3)毎年度必要な手続き

  • 法務局に年度初め2か月以内に資産総額について変更登記をします(なお、法改正により2018年10月以降不要になる予定です。代わって貸借対照表の公告が義務付けられます。)。理事が交代した場合や異動がなくても2年ごとには理事の変更登記(法務局)と所轄庁(都道府県、市町村)への届出が必要です(法律で役員の任期が2年以内とされているため。同じ人を「再任」する場合も手続きが必要です。)。
  • 年度ごとの事業報告書、計算書、役員名簿等を作成し、翌年度初め3か月以内に前年度分を所轄の都道府県・市区町村などに提出するとともに、自身の事務所に備えておきます。
  • 法人税、住民税、消費税などの確定申告、または、免除のための手続きを行います。

なお、NPO法人に寄付した人が所得控除または税額控除の優遇を受けられる「認定特定非営利活動法人(または、設立5年以内のNPO法人を対象とする特例認定NPO法人)」となるためには所轄庁(都道府県、市町村)に申請するなど、もう一段の手続きが必要です。詳しくは内閣府ウェブサイトなどをご参照ください。

そのほか、都道府県、市町村などが独自に指定したNPO法人への寄付金について個人住民税の控除制度などを持っている場合があります。その場合も地元自治体への申請などの手続きが必要ですので確認してください。

単なるボランティア活動ではない!設立後の経営を見据えて行動しよう

モチベーションの高い個々人を集めて、営利企業では対応しにくいニーズに柔軟に対応して活動を展開できるのがNPO活動の良さです。他方、法人として非営利活動を事業として成立させ継続していくのは、一般的な営利企業とは違う難しさもあります。

今回の記事では、主に設立手続きに焦点をあてましたが、NPOの法人設立は、任意団体として活動する場合に比べて組織運営や管理にかかわる負荷が重くなることは避けられません。規模や活動内容、メンバーの顔ぶれなどによっては、法人化が必ずしもプラスにならない場合もあります。

すでに任意団体として活動実績のある方はもとより、とりわけ新規にNPO法人設立を検討しているる方は、必ずその後の経営も見据えたうえで、NPO法人を設立するようにしましょう。

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(執筆:創業手帳編集部)

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