会社設立の届け出は終わった?必要な手続きをまとめて紹介!

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会社設立の届け出は計画的に手続きをしよう


会社設立の流れや届け出は、その会社の規模や条件によって異なります。事業をスムーズに始めるためにも、会社設立時の届け出は計画的に実施したいものです。
届け出が順調に進んでいなければ、会社を設立しても事業をスタートできるようになるまでに時間がかかってしまいます。

会社を設立する時には、どのような手続き、届け出が必要になるのでしょうか。この記事では、事前に知っておきたい会社設立の流れや届け出についてまとめました。

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会社設立の流れを押さえよう


会社を設立したいと考える人もいるでしょう。
一から法人を設立する場合だけでなく、個人事業主から法人化するケースもあるかもしれません。
届け出の提出先によっても、書類の様式や添付書類、提出期限が異なるため、それぞれの様式や添付書類、提出期限を把握することが大切です。

ここでは、会社を設立するまでの流れと、どのような届け出が必要になるのかを種類別にまとめました。

会社概要の決定

会社を設立する時や、個人事業主から法人化をする時には、必ずどのような会社を設立するのか、その概要を決めなければいけません
会社の目的・商号・本店の所在など、決めることはいろいろあります。
定款記載事項でもあり、会社の基本的なルールとなるものなので、慎重に決める必要があります。

定款の作成と認証

上記で決定した会社の概要についてまとめたものを定款と呼びます。
株式会社の場合には、定款を作成してから公証役場で認証を受けます。

定款と聞くと紙の書類をイメージするかもしれません。しかし、PDFで電子文書化された定款もあります。
電子定款にすると収入印紙代の4万円が不要になるため、会社設立にかかる費用を抑えたい場合には電子定款をおすすめします。

資本金の払込み

定款には設立時に出資される資本金も記載します。
会社を設立するためには、資本金の払込みが必要ですが、この時点で会社が設立されていないため、会社の銀行口座も用意されていません。
そこで個人の銀行口座に払込みをします。

発起人が複数いる場合には、それぞれの発起人が間違いなく支払っていることを証明するために通帳に氏名が記載されるように振込みをしてください。
振込みをしてから通帳をコピー、インターネットバンキングで手続きをした場合には払込みが確認できる場所をプリントアウトして払込証明書を作成します。

払込みがあった金額・株数・会社名・会社代表印も押印してください。
これは、個人の印鑑ではなく会社の実印です。会社の実印を前もって用意しておく必要があります。

登記申請書類の作成

資本金の払込みが終わったら、いよいよ会社の設立登記を行います。
登記申請書を作成して、必要な書類を添付して法務局へ提出してください。

登記申請書には、会社名(商号)・本店所在地・登録免許税の金額などを記載します。
添付書類は、設立する会社の条件によって異なります。
必要な書類が抜けている場合には再提出となるため、設立する会社にどの書類が必要なのかを事前にチェックすることが大切です。

会社の設立登記

法務局で登記申請書を提出すると、登記完了証が交付されます。
登記事項証明書・印鑑証明書・印鑑カードができるまでには登記申請書を提出してから1週間から2週間かかると考えておきましょう。

会社の設立登記まで終わると、届け出もひと区切りついたと感じるかもしれません。
しかし、後述しますが、ここからも提出しなければならない書類や届け出が続きます。

会社を設立した後は、2カ月以内に「法人設立届出書」を税務署に、さらに都道府県税事務所・市区町村役場にも届け出る必要があります。
青色申告を受ける場合には、青色申告承認申請書も同時に提出するようにしてください。

法人の口座開設

会社の設立登記が完了したら、金融機関で法人口座を開設してください。
法人口座とは、口座名義が会社名になっているものをいいます。
法人口座を作るかどうかは任意なので、個人名の口座を事業で使うことも法的には可能です。

しかし、会社の会計や税務を適正に把握して事業を行うためにも、法人口座を開設しておくようにおすすめします。
法人口座を開設することによって、社会的信用が向上する効果もあります。

法人口座を開設するには、会社の登記簿謄本・定款・会社印・印鑑証明書・代表者の印鑑証明書など多くの書類などが必要です。
また、代表者が出向いて口座を開設するように求められるケースもあります。

一般的に法人口座のほうが、個人口座よりも審査が厳しく、口座を開設するまでに1~2週間程度かかります。
スムーズにいくように、前もって法人口座を準備しておくと良いでしょう。

法務局で各種書類を取得しておこう

会社設立の届け出には様々な添付書類も求められますが、その主な証明書には登記事項証明書・印鑑カード・印鑑証明書があります。

基本的には、それぞれの書類の申請書を提出してから即日で交付されます。
必要になるたびに準備していては手間がかかってしまうので、事前にどのような添付書類が必要か調べてから法務局で各種書類を用意しておくことが大切です。

【届け出場所別】必要な届け出まとめ


会社設立時には、多くの手続きに忙殺されます。
効率的に手続きを進めるためにも、どのような届け出が必要なのか前もってまとめておきましょう。
会社設立時に必要な届け出を場所別にまとめました。

税務署で行う届け出

会社を設立する際には、税務署で法人税に関わる手続きを行います。
会社の本店所在地がある地域の管轄税務署で手続きしてください。

税務署の場所は、国税庁のホームページから調べられます。
税務署は各種手続きや問い合わせでも利用することがあるので、事前にどこの税務署を利用することになるのかを調べておきます。

それぞれの書類をひとつずつ出しても問題はありませんが、その都度税務署に出向いていては手間も時間も無駄になってしまいかねません。
税務署に提出する書類で期限が最も短いのは「給与支払事務所等の開設届出書」で、会社設立から1カ月以内に提出します。
「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する際に、税務署に提出するほかの書類もまとめておくと効率良く提出できます。

法人設立届出書

「法人設立届出書」は、法人を設立した時に提出が求められる書類です。
提出時期は、法人を設立登記以後2カ月以内と定められています。
添付書類として、定款の写しと登記事項証明書なども必要です。

「法人設立届出書」は、会社の謄本に記載された内容をもとに項目を埋めていけば問題ありません。書類には、会社の法人番号を記載してください。

この法人番号とは、設立登記後に国税庁から「法人番号通知書」が、登記上の本店または主となる事務所に送られてきます。
「法人設立届出書」は、税務署だけでなく各都道府県事務所と市町村役場にも提出するので忘れないようにします。

給与支払事務所等の開設届出書

「給与支払事務所等の開設届出書」は、従業員を雇用して給料を支払う場合に提出する書類です。
ひとり社長で自分に役員報酬を支払う時にも、提出しなければいけません。
個人事業主から法人化する場合は、法人化のタイミングで届け出てください。

「給与支払事務所等の開設届出書」の提出期限は、会社設立から1カ月以内です。
個人事業主で起業した当初には従業員を雇っていなかったが、後から従業員を雇った時には、雇用した日から1カ月以内に提出します。

青色申告承認申請書

「青色申告承認申請書」は、設立1期目から青色申告を受ける場合に提出する書類です。
設立日以後3カ月を経過した日、設立第1期の事業年度終了の日とのうち、早い日の前日が提出期限です。

提出期限を過ぎてしまった場合には、その年は青色申告を利用することができません。
青色申告を選ぶと欠損金の繰越控除といった多くの税制上の優遇が受けられます。
節税するためにも、会社を設立したタイミングで忘れることがないよう手続きしてください。

源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書

「源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書」は、特例を利用するための申請に必要な書類です。
従業員を雇用している場合は、原則として従業員から源泉所得税を徴収した翌月の10日までに納付することになります。

しかし、給与の支給人員が常時10人未満である場合には、「源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、源泉徴収税の納付作業を2回にまとめることが可能です。
毎月の納付の作業を軽減するためにも、対象になる場合は提出をおすすめします。

この申請書は、提出時期については特に定められていません。
適用したい月の前月末日までに提出してください。

各都道府県税事務所・市町村役場で行う届け出

法人住民税と法人事業税に関する届け出として、都道府県事務所と市町村役場にも「法人設立届出書」の提出が必要です。
添付書類として、定款の写しと登記事項証明書の写しを用意します。
地方税に関わる手続きなので、税務署への届け出とは異なり、非営利型の一般社団法人でも届け出なければいけません。

申請書類の形式や提出期限は、その都道府県や市町村によって異なります
書類を提出しに行く前に、どういった届け出が必要か本店所在地の都道府県、市町村のホームページで確認してください。
東京23区に本店がある場合には、都税事務所で手続きを行うので、市町村役場への届け出は不要です。

年金事務所で行う届け出

年金事務所では、社会保険に関わる手続きを行います。
社長ひとりの会社でも健康保険と厚生年金保険の加入手続きが必要です。

「健康保険・厚生年金保険新規適用届」は会社設立から5日以内、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」は被保険者になってから5日以内が提出期限です。
「健康保険・厚生年金保険新規適用届」には、登記事項証明書と法人番号指定通知書のコピーを添付してください。

また、新たに被保険者となった人に被扶養者がいる時や、被扶養者の追加・削除、氏名変更などがあった際には、発生から5日以内に「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。

年金事務所への届け出は提出期限が短いので、準備しておくことが大切です。
提出は、窓口に直接提出するほか、郵送や電子申請も可能です。

ハローワークで行う届け出

労働基準監督署での届け出を完了したら、ハローワーク(公共職業安定所)で雇用保険に関する手続きを行ってください。
ハローワークでの届け出も、従業員を雇用しない場合には不要です。

雇用保険 適用事業所設置届

雇用保険は、従業員を雇った場合に加入が義務付けられます。
雇用保険の適用を受けるために、「雇用保険適用事業所設置届」を提出してください。
提出期限は、従業員を雇用した翌日から10日以内です。

「雇用保険適用事業所設置届」は、先に「労働保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」などを届け出なければいけません。
届け出時には労働基準監督署で押印を受けた事業主(会社)控えを添付してください。
届け出る順番を間違えると余計な手間がかかるので、順番を確認して手続きをすることをおすすめします。

雇用保険 被保険者資格取得届

「雇用保険被保険者資格取得届」は、従業員を雇用保険に加入させるために必要な書類です。この書類も従業員を雇用した翌日から10日以内です。

「雇用保険適用事業所設置届」も「被保険者資格取得届」も電子申請による届け出もできます。
忙しくてハローワークに出向けない場合には、電子申請での利用を検討してみてください。

労働基準監督署で行う届け出

会社を設立してから従業員を雇った場合、労働保険の加入手続きも必要です。
本店所在地を管轄する労働基準監督署で届け出を行ってください。
従業員を雇用しない場合には、提出する義務はありません。

労働保険に関する申請や届け出を電子申請で行うには、電子証明書または「GビズID」の取得、パソコンの環境設定が必要です。
前もって準備しておくことが大切です。

労働保険 保険関係成立届

労働保険が適用となった場合に「労働保険関係成立届」を提出します。
提出期限は、従業員を雇った翌日から10日以内です。

労働保険 概算保険料申告書

従業員を雇用した時には、その年度の労働保険料を概算保険料として申告・納付します。
概算で納付した保険料は、翌年度の納付時に過不足分を清算しなければいけません。

提出期限は、従業員を雇用した日の翌日から起算して50日以内です。概算保険料の納付も行う必要があります。

就業規則(変更)届

「就業規則(変更)届」は、従業員が10名以上になり、新たに就業規則を制定した場合に提出します。
就業規則が変わった場合にも提出してください。
具体的な期限はありませんが、速やかに提出するようにとされています。

適用事業報告書

労働者を雇うことで、労働基準法の適用事務所となります。
「適用事業報告書」は、労働者を雇い入れたことを労働基準監督署に報告する書類です。
こちらも具体的な期限は定められていませんが、「就業規則(変更)届」と同様に、速やかに提出してください。

「適用事業報告書」でいう労働者とは、正社員・アルバイト・パート・契約社員といった名称は関係なく、働いている労働者すべてが含まれます。
ただし、雇用した従業員が同居している家族のみの場合には、提出する必要はありません。

まとめ

会社設立の届け出は、種類も多く様式も異なるため、負担が大きいと感じるかもしれません。
しかし、書類によっては郵送や電子申請が認められているものもあるため、活用してみてください。

また、司法書士などの専門家に依頼する方法もあります。会社の事業に注力するためにも、順序だてて会社設立手続きを進めるのが大切です。
効率的に進めるために、どの届け出が必要なのかをピックアップしてみましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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