補助金/助成金を活用しよう。起業・創業・開業時に選べる4種類をご紹介!

創業手帳

【2023年版】起業家向け補助金・助成金の特徴と、活用のメリット・デメリットと注意点

起業時の資金調達方法で、融資と並び人気なのが補助金助成金の獲得です。原則的に返済不要で、うまく活用できれば、起業時の強力な資金調達方法になる可能性があります。

一方で、補助金・助成金は日本には数千種類あると言われ、起業家にとって何が良いものなのか、また調べるのに時間がかかりすぎてしまいます。また、金額が低くいわりに申請に手間がかかり、費用対効果が見合わない補助金・助成金も多くあります。

今回は、その中でも、採択率が高く、費用対効果のよい補助金・助成金を厳選しました。

創業手帳では、日々、全国の莫大な読者から補助金・助成金の相談をうけています。現場からの体験およびこの分野に詳しい中野裕哲税理士の監修のもと補助金・助成金をご紹介します。

創業手帳は忙しい起業家の方に向け、専門家のアドバイスを基に信頼性のある記事を作成しています。また、毎月1.5万部発行している冊子版の創業手帳(無料)は、毎月内容を更新し、最新の情報にアップデートしていますので、こちらも手にとってみてください。また、補助金ガイドという別冊があり、人気を得ており読者に好評です。補助金・助成金の獲得に関する資料も無料で作成しております。

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補助金・助成金に限らず、起業時の資金調達について詳しく知りたい方は、資金調達手帳(無料)を手にとってみてください。資金調達に関する情報だけをまとめているので、ご自身に合った資金調達方法を知ることができるでしょう。

(創業手帳編集部)

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助成金と補助金の最大のメリットは原則返済不要であること


補助金・助成金とは、直接的・間接的に公益上必要があると政府が判断した場合、民間もしくは政府に対して交付する金銭的な給付金のことです。

融資とは違い、補助金・助成金は原則的に返済不要なことが特徴です。

創業融資による資金調達は、起業時に必要な不足資金を迅速に調達できるという意味で、活用する意義は大きいですが、創業融資はあくまで借入れ。いずれ、利益の中から、返済しなければなりません。

もし、効率的に補助金・助成金を活用できたなら、原則的には返済が不要な資金を事業に活用できるということになります。この点が補助金・助成金を活用する最大のメリットであり、スゴイ起業術ともいえます。

助成金も補助金も、政府や自治体、一般企業などが支出されるものがあり種類も豊富にあります。厚生労働省が管轄するものだけでも20種類以上あるとされています。自社の事業にどのような助成金や補助金を活用できるのか、じっくり各種類の内容を分析してみると良いかもしれません。

助成金や補助金は、提示された要件に合う種類のものを探すのではなく、要件に合わせて事業をうまく再設計することが重要です。そのためにも、助成金や補助金に関してしっかり理解することが必要です。

助成金と補助金の違いとは?


補助金と助成金には、以下のような特徴があります。

  • 補助金は受給の難易度が高い
  • それぞれの財源が違う

補助金の多くは、条件を満たさないと申請できません。給付条件も細かく設定されており、申請すれば誰でも給付を受けやすい助成金とは事情が違います。

補助金の受給難易度が高いのは、財源の違いも理由のひとつでしょう。助成金は厚生労働省による給付が多くなっており、財源は雇用保険料です。また、雇用を促す目的から国や地方公共団体からの募集もあります。

一方で、補助金の募集先は経済産業省や地方自治体です。財源は税金となるため、申請数の枠が限られている場合があります。申請数が多ければ受給の倍率が上がりやすくなり、結果的に助成金と比べて補助金の難易度が高くなるでしょう。

補助金にはいくつかの注意点があります。

  • 短い申請期間となりやすい
  • 予算が決まっている場合が多い
  • 受給できたとしても給付まで時間がかかる
  • 補助は事業に対する一部の費用のみのことも

また、助成金は受給しやすい特徴がありますが、同じく注意点があります。

  • 雇用保険加入従業員が1名以上いる
  • 書類に問題があれば修正が入る
  • 人気の助成金は早期終了の恐れあり
  • 労働関連法規に違反しないこと

補助金と助成金の明確な違いは難しいですが、ざっくりわけると雇用系が助成金、それ以外が補助金と呼ばれていると覚えておくとよいでしょう。それ以外では、下記の2つがあります。

1つは、受給の難易度です。助成金は要件等が合えば受給できる可能性が高めなのに対し、補助金は予算の関係上、採択の上限が確定していることが多く、申請しても受給できない場合も少なくありません。

もう1つの違いは、申請期間です。助成金は随時、あるいは長期間の申請期間が設けられているものが多いですが、補助金は申請期間(公募期間)が短く、一ヶ月程度しかない場合もあります。

補助金・助成金はどんどんと新しい制度が出てきたり、反対になくなったりしています。また、全体的な傾向や、政府が補助金・助成金についてどう考えているかを知ることも、受給を考えるにあたっては重要になってきます。

助成金について、政府や自治体は雇用を増やしたいという思いがあります。従業員の賃金の向上やスキルアップを実現することが期待されています。雇用系の助成金を申請するときはこうした意図を理解しているとよいでしょう。

また、補助金を通じて、政府としては企業の事業拡大やDX推進による生産性の拡大など、企業が成長して収益をあげ税収が向上していくことを期待しています。販路拡大、デジタル化など売上につながることを意識し申請するとよいでしょう。

また、金額の大きい補助金の場合には、事業計画書が重視される場合が多いです。長期的に会社が成長するきっかけとして、補助金の活用が想定されています。申請においては、事業計画書にて成長の段階として補助金を利用するよう説明することが重要です。

創業手帳の別冊、補助金ガイド(無料)では、最新の補助金・助成金を詳しく解説しています。補助金・助成金を経営の一部に組み込むことを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。(創業手帳編集部)

交付金と助成金の違いとは?

さらに理解を深めるため、交付金・助成金・給付金の違いも見ていきましょう。

大きく分けると交付金や助成金のように国・地方自治体などが支給するもの、給付金のように病気や被災などに対する支給があります。それぞれ共通する特徴としては、審査が不要なことと受給が決まれば返済不要という点です。

また、助成金と交付金は以下のような違いがあります。

  • 金額の幅が広いのは給付金
  • 助成金は一部支給だが交付金は全額支給が多い
  • 助成金は短期募集だが交付金は数年が長い

また、助成金と交付金は企業を対象とした支給が多いのに対し、給付金は個人が申請できるものが多くあります。企業が申請できる給付金で代表的なのはコロナ禍における「持続化給付金」で、個人を対象にしたものは失業給付金・育児休業給付金などです。

起業家が活用できる補助金・助成金の種類は大きく分けて4種類

助成金・補助金にはIT導入補助金のように生産性を高めるものと、ものづくり補助金のように販路拡大のもの、最近ではコロナの影響に対応するものなどがあります。それぞれ、所轄官庁の違いを勘案しておくと、助成金・補助金の申請の際に役に立つでしょう。

起業に関する補助金とひとことで言っても、その種類や目的にはさまざまなものが存在しています。大きく分けると次の4つに分類できます。

起業家が活用できる補助金・助成金
(1)経済産業省(経産省)系の補助金・助成金
(2)厚生労働省系の補助金・助成金
(3)自治体独自の補助金・助成金
(4)その他の補助金・助成金

では、それぞれの種類ごとに特徴について見ていきましょう。

1. 経済産業省(経産省)系(ものづくり補助金/事業再構築補助金/小規模事業者持続化補助金など)

経済産業省系の補助金(助成金)は、起業促進、地域活性化、女性若者の活躍支援、中小企業振興、技術振興などの施策を目的としています。

補助金を受給するためには、それぞれの補助金ごとの募集要件を満たしたうえで応募し、審査を通過することが必要です。

合格率(採択率)は、補助金によって異なりますが、数%~90%程度まで幅があります。また、同じ補助金でも、募集を数回に分けて募集することがあり、回により採択率に変化が見られるのが特徴です。

なお、採択率ですが、年に数回応募があるものだと、期の始めのほうが採択率が高くなる傾向があります。期が後半になると予算の関係もあり審査が厳しくなる場合もあります。こうした年に複数回あるような助成金・補助金を申請する場合は早めにする必要があります。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者の制度変更に対応する狙いがあります。たとえば、働き方改革・賃上げ・インボイス制度に対応するためです。

申請方法は、インターネットを利用した電子申請です。GビズIDプライムアカウントの作成が必要になります。

以下の表は、14次締切における申請者数、採択者数です。

総計 通常枠 回復型賃上げ・雇用拡大枠 デジタル枠 グリーン枠 グローバル市場開拓枠
申請者数 4,865 3,322 190 1,015 131 207
採用者数 2,470 1,661 95 569 72 73

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が実施する革新的な「サービス開発」「試作品の開発」「設備投資」などにかかるお金を支援する補助金ということで、ものづくり補助金と呼ばれています。
補助金額が大きくチャレンジする人も多いのが特徴です。

最新のものづくり補助金の情報はこちらからどうぞ!
2023年のものづくり補助金はどう変わる?15次締切以降のスケジュールも紹介

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響による経済変化に対応するための中小企業向けの補助金です。
需要の低下や売り上げの回復が期待しづらい現状の中、中小企業の事業再構築を支援し、日本経済の構造転換を促す狙いがあります。
たとえば、新分野展開や事業転換などに対する支援が受けられます。

申請方法は、電子申請です。GビズIDプライムアカウントの作成が必要になります。
以下の表は、第9回公募の応募件数と採択結果です。

件数(単位:件数) 通常枠 大規模賃金引上枠 回復・再生応援応募枠 最低賃金枠 グリーン成長枠 緊急対策枠 合計
システムで受け付けた件数(応募件数) 5,178 6 1,146 106 372 2,561 9,369
採択件数 2,130 3 590 68 148 1,320 4,259

予算総額約7000億円の補助金であり、補助金の上限が5億円という補助金です。また、事業計画書を税理士や金融機関の指導を得ながら作成できるので、新分野や新しい事業にチャレンジするには最適でしょう。また、総額約7000億円ということからも、採択される可能性が高いといえます。

補助金額が大きいところもあるので、新たに規模の大きなチャレンジができます。

なお、ものづくり補助金と事業再構築補助金は金額が大きく性質も似ているので、両方を視野に入れて事業計画書を策定する事業者もいます。

最新の事業再構築補助金の情報はこちらからどうぞ!
事業再構築補助金 第10回以降の内容とは?スケジュールも含めて紹介

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、小規模事業者や特定非営利活動法人です。
これらの事業者が制度変更に対応し持続可能な経営に向けた販路開拓や生産向上に取り組む際の経費を一部補助しており、地域の雇用と産業の持続的発展を目指しています。

賃金引上げ枠では、地域別最低賃金より+30円以上である小規模事業者が対象です。通常は補助率2/3ですが、赤字事業者は補助率3/4に引き上げられます。

なお、申請手続きは、電子申請または郵送による提出です。

小規模事業者持続化補助金は、経営計画に従って実施する「販路開拓」等の取り組みに対して、最大200万円の補助金(補助率2/3)が出る制度です。
また、2023年からは新たに「インボイス特例」が設けられ、免税事業者から適格請求書発行事業者に転換するインボイス転換事業者に対して、各枠の補助上限が一律50万円上乗せされることになりました。
補助金が出るだけでなく、計画を作成する際や、販路開拓を実際に行う際に、商工会議所の指導や助言を受けられるのもメリットのひとつです。

実際に小規模事業者持続化補助金を受給した事例を別記事で紹介していますので、合わせて参考にしてください。コロナ禍の影響や閑散期で売上が減少した飲食店の事例資料をダウンロード可能です。
小規模事業者持続化補助金で新業態チャレンジの事例研究!鎌倉のアイス屋「鎌茶屋(AMERIGO by Kamachaya)」
※小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>、<低感染リスク型ビジネス枠>は終了しました。小規模事業者持続化補助金<一般型>は存続します。

最新の小規模事業者持続化補助金の情報はこちらからどうぞ!
2023年の小規模事業者持続化補助金はインボイスがポイント!スケジュールも紹介

IT導入補助金

生産性を上げるためのITツールの導入について受けられる補助金です。最高450万円が補助されます。
日本では、DXがまだまだ進んでいない現状があります。デジタル化や自動化によって働き方改革を進め、労働者の環境を改善すれば、生産性があがり、賃金があがる可能性もあります。企業の現場でIT導入を推進するのがこの補助金の目的です。

費用の面でDX推進に二の足を踏む会社も多いですが、IT導入補助金により対応することもできます。また、適用の範囲も広いので人気のある補助金です。

以下の表は、申請数と決定件数です。

通常枠 セキュリティ対策推進枠 デジタル化基盤導入枠
A類型 B類型 デジタル化基盤導入類型
通常枠(A・B類型)1次締切
セキュリティ対策推進枠1次締切
デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)1次締切
申請数
1,871 44 25 2,744
交付決定数 1,363 28 20 1,735
デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)2次締切申請数
3,078
交付決定数 2,160
通常枠(A・B類型)2次締切
セキュリティ対策推進枠2次締切
デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)3次締切申請数
2,987 77 37 4,146
交付決定数 2,162 43 32 3,117
デジタル化基盤導入枠
(デジタル化基盤導入類型)4次締切申請数
3,577
交付決定数 2,796
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IT導入補助金2023のポイントは?スケジュールや申請方法も紹介

事業承継・引継ぎ補助金

「事業承継・引継ぎ補助金」は、地域経済に貢献する中小企業者による事業承継をきっかけとした新しい取り組みを支援する補助金です。

「事業承継」とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。この補助金では、法人の場合は先代経営者の退任及び後継者の代表就任が、個人事業主の場合は先代経営者の廃業・後継者の開業など、後継者が事業を引き継ぐ(引き継いだ)ことが該当します。

5次公募では、経営革新事業枠は309件申請のところ186件、専門家活用事業枠は453件申請のところ275件、廃業再チャレンジ事業枠は37件の併用申請のうち17件が交付決定しました。
合計799件のうち約60%の478件が交付決定されたことになります。

なお、申請方法は電子申請です。経済産業省が運営する. jGrants(Jグランツ)を利用します。利用にはgBizID プライムアカウント登録が必要ですが、ID・パスワードの発行まで1週間程度かかります。

補助金額

経営革新事業(3型あり)の場合、補助額は100~800万円(上乗せ額:150万円)。
専門家活用(2型あり)の場合、補助額は50~600万円(上乗せ額:150万円)。
廃業・再チャレンジ事業の場合、補助額は50~150万円です。

なお、いずれの事業も、補助率が別途規定されています。

2. 厚生労働省系の助成金(キャリアアップ助成金等)

厚生労働省系の助成金とは、雇用促進、労働者の職業能力向上などの施策を目的として、厚生労働省が実施する助成金です。この助成金はある程度まとまった金額であり、最大の魅力は要件を満たせば確実に採択されるところです。
キャリアアップ助成金とは、短期雇用から正社員への登用をはかるのに試用期間の賃金をまかなったり、従業員のスキルアップにより賃金を向上を目指したり、長期的に正社員として雇用促進しようと考えている事業者には使いやすいでしょう。

経済産業省系の補助金とは異なり、助成金ごとの要件を満たしていれば、審査員の審査で落とされるという概念がないのが特徴です。

基本的には「雇用」に関連する助成金なので、起業時に人を雇用する計画があるときは、事前にチェックしておくといいでしょう。

キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者など「非正規雇用労働者」の企業内でのキャリアアップ等を促進するための助成金です。

もともとは「正社員化コース」「人材育成コース」「処遇改善コース」の3つのコースだけでしたが、現在は助成内容によって6種類に分かれています。

  • 「正社員化コース」
  • 「障害者正社員化コース」
  • 「賃金規定等改定コース」
  • 「賃金規定等共通化コース」
  • 「賞与・退職金制度導入コース」
  • 「短時間労働者労働時間延長コース」

申請は、申請書に必要事項を記載のうえ、所在地を管轄する都道府県労働局に提出する形です。
厚生労働省のホームページにある「雇用関係助成金支給要領」から支給申請書と添付書類をダウンロードできます。

最新のキャリアアップ助成金についての情報はこちらからどうぞ!
【専門家監修】キャリアアップ助成金 2022年4月における変更点とは

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

「人材確保等支援助成金」は、従業員の働きやすい職場づくりを促進するための助成金です。
現在は助成内容によって5種類に分かれています。

  • 諸手当等制度
  • 研修制度
  • 健康づくり制度
  • メンター制度
  • 短時間正社員制度(保育事業主のみ)

受給するためには雇用管理制度整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受ける必要があります。
雇用管理制度の導入や実施により離職率の低下が認められた場合に、57万円の補助金を受給可能です。

なお、令和4年4月1日より、整備計画の受付を休止しています。

雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例で助成額が引き上げられていましたが、令和5年3月31日で終了しました。
令和5年4月1日以降は、通常の雇用調整助成金の申請のみとなっています。

助成金の対象は、景気の変動や産業構造の変化、その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた雇用保険の適用事業主です。
雇用の維持を図るため休業・教育訓練・出向に要した一時的な雇用調節の費用を助成してくれます。

受給額は、事業者が支払った休業手当負担額に対し、中小企業は2/3、中小企業以外は1/2までで、1人あたり8,490円が上限です。
教育訓練を実施した場合は、さらに1人1日あたり1,200円が加算されます。
受給期間は休業と教育訓練は最大100日(1年間)または最大150日(3年間)までで、出向は最長1年までです。

>>>コロナ関連の雇用に関する助成金はこちら(雇用調整助成金)
2022年12月以降の「雇用調整助成金」の特例措置の経過措置について

その他、採用や雇用維持に使える助成金はこちらの記事もご確認ください!
人材採用や雇用維持に使える補助金、助成金について

3. 自治体独自の補助金・助成金

市区町村などの各自治体が、地域内の産業振興などの目的で、創業支援補助金や・助成金を実施していることがあります。
その内容は多岐に渡り、積極的に助成金や補助金の支出を行っている自治体と、そうでない自治体とで温度差があるのが特徴です。

自身が起業する予定の市区町村で、あらかじめ実施している補助金・助成金がないか、チェックしておくといいでしょう。一例として次のような制度があります。

(東京都)創業助成事業

東京都で創業5年未満の方または創業や起業を計画している方が応募できます。賃借料や人件費、広告費などが最大300万円(補助率2/3以内)の補助がうけられます。
創業して間もないころには、資金調達に課題を抱える場合もあるので、柔軟に助成金や補助金を活用していくことが望ましいです。

例年、年度内に2回(4月と10月)申請受付をしているので、申請を検討中の方は下記記事で内容を確認し、申請の準備をしておきましょう。

都内事業者の心強い味方!「創業助成金」の申請受付は令和5年度第1回は4月11日から4月20日まで

(大阪府)大阪起業家グローイングアップ事業

大阪府内の事業者又は大阪府内で起業しようとする方で、起業や新事業の展開に要する事業に係る費用を最大100万円(補助率1/2)の補助金が受けられます。事前に推薦機関による選抜と1次審査があります。

その他、自治体独自の補助金・助成金の例(現行制度・過去制度含む)としては、融資の利子補給信用保証料補助店舗の家賃補助ホームページ作成費用補助金展示会出展費用補助金などが挙げられます。

特定創業支援事業という制度を活用する

特例創業支援事業制度は補助金や助成金ではありませんが、これから創業を検討しているなら税金を安くするため活用してみましょう。会社設立にかかる税金に対する制度で、登録免許税を半額にすることができます。

制度の運営元は中小企業庁で、各自治体と協力しています。詳しい申請方法は、設立登記したい自治体ごとに調べてください。登録免許税を半額にするためには、自治体が主催する創業講座に参加する条件がほとんどです。それぞれの自治体での開催スケジュールを確認し、制度の申込をしましょう。

講座受講などの条件をクリアすると、証明書がもらえます。会社設立の登記申請時に証明書を持参すると、登録免許税が半額になる仕組みです。株式会社の登録免許税は15万円ですが、制度を活用すると半額の7万5,000円になります。合同会社の場合でも、6万円が半額の3万円となるため、コスト削減におすすめです。

しかし、これらの補助金・助成金を申請するには、情報収集や、書類の作成など、手間と時間がかかります。忙しい創業期においては、時間的な問題で断念する方もいるかもしれません。
ただ、補助金・助成金の申請には、専門家に依頼するという手があります。補助金ガイド(無料)では、補助金について詳しく解説しています。あわせてご活用ください。(創業手帳編集部)

4. その他の補助金・助成金

上記以外にも、大手企業、政府系金融機関、各種の財団などが、独自に起業家への補助金・助成金制度を実施していることがあります。

補助金助成金の対象として採択されるのは、極めて優秀なビジネスプランを持つ数名の起業家という厳しい世界ではありますが、自信があれば、応募してみるのも大きなチャンスをつかむキッカケになるかもしれません。

その他、創業手帳ではたくさんの補助金・助成金の記事を取り扱っています。
補助金・助成金関連の記事はこちらもご確認ください

補助金・助成金のデメリットと知っておきたいポイント

補助金や助成金のメリットは、冒頭で述べた通り、原則返済不要です。一方で、デメリット、というよりは知っておきたい最大のポイントは、補助金も助成金も、原則として「後払い」ということです。

つまり、補助金・助成金は直ちに申請・入金というわけにはいきません。通常の融資や出資のように、「OK」となった時点で補助金や助成金は入金され、現状の出費に対してキャッシュが使えるというわけではないのです。補助金の申請が通過した場合、補助金を担保にして、日本政策金融公庫などの公的な金融機関から融資を受けられるケースが多いです。補助金の振り込みは時間がかかりますが、振り込まれるまでの期間を融資でカバーすることができます。

現場の資金調達を理解している創業手帳や熟練した税理士の経験から、補助金と融資を融合させて活用することは、実際に現場で行われているので覚えておくとよいでしょう。なお、補助金などの要綱には、管轄が違うこともあり、補助金が融資の担保になることなどは記載されていない場合が多いです。

例えば、上限200万円を補助してくれるような補助金の場合。現状としてすぐに広告費用や販路開拓に必要な経費が年間500万円であり、これを内部資金ではなく外部からの資金調達で考えたとする。資金調達を補助金・助成金であるならば、まずは手持ちで500万円経費を使い終わった後、補助金・助成金を支出する先に(例えば自治体)経費の内訳を報告・確認されて初めて、200万円の助成金を受け取ることができます。

ただし、補助金や助成金の経費として認められる用途は、定められている場合が多いのでなんでも認められるわけではなく、注意が必要です。

また、非正規雇用者を正規雇用者として雇用すれば57万円が助成されるような助成金の場合、対象となる労働者が非正規として6カ月以上雇用されている必要があるので、そもそも申請は6か月後になります。

このように補助金・助成金は、スピード感のある資金調達とはいえません。創業期はスタートダッシュが重要になってくる場合がありますので、補助金・助成金では資金繰りが間に合わない、ということもあるでしょう。そんな時の資金調達方法としては、融資や、出資、クラウドファンディングなどが候補にあがってきます。資金調達手帳(無料)では、これらの資金調達方法について詳しく解説しています。それぞれの特徴をよく理解することで、経営戦略を立てる際に役に立つはずです。(創業手帳編集部)

起業時の補助金・助成金のまとめ

以上が起業時に活用できる可能性のある補助金・助成金の特徴や、活用のメリット、あるいは活用時のデメリットや注意点です。

自身が起業する際に活用できる補助金・助成金があるかどうか、専門家への相談などを通じて、一度チェックしてみることをオススメします。

また、補助金や助成金は自ら戦略的に「取りに行く」姿勢が必要です。事業に見合う補助金や助成金を探しに行くのではなく、どうすればもらえるのかを戦略的に考えましょう。

たとえば、ものづくり補助金の場合、中小企業診断士、税理士などに力を借りながら、どうすれば通るかというポイントを押さえて、プロダクトがどのように社会課題に対応しているかアピールするなどがあります。人によっては、補助金や助成金の申請までに半年くらいかけて準備をする人もいます。

創業に関する相談を受けつけている機関はいくつもあります。たとえば、地方銀行・信用金庫・信用組合などの地方の金融機関です。冊子版の創業手帳(無料)では、地方金融機関の活用方法について詳しく解説しています。地方金融機関は、事業計画書の策定支援や、ビジネスセミナーの開催、経営コンサルティングなどの創業支援を無料で行っています。リソースの限られている創業期においては、非常に便利な存在でしょう。(創業手帳編集部)

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(編集・加筆:創業手帳編集部)

大久保写真創業手帳 代表・大久保の視点

この記事を書いている創業手帳の代表の大久保です。
多くの起業家の資金の相談を補助金も含めて受けてきた経験からお話しますね。
起業の資金調達では、お客様からの売上、融資、出資、補助金・助成金などがあります。
まずお客様からの売上が事業の根幹ですが、早く事業化する他、前受金やクラウドファンディングで前倒しでもらうという方法もあります。
また今回の記事で解説している補助金のように返済がいらない資金は融資にあたって有利に働きます。

補助金が融資に有利に働く理由は2つです。

  • 資金の余裕
  • 事業の確実性・実現性

という観点でプラスに働くためです。
つまり売上や補助金などでキャッシュが増えると、それを材料にしてさらに融資など別の方法での資金調達をしやすくなるという好循環になります。
一方で注意したいのが補助金に手間を掛け過ぎること。起業家が大事なのは事業や仕組みを作ることで補助金や助成金はその目的を達成するための資金調達の一部になります。

そのため補助金・助成金はいかに効率的に効果の大きいものに的を絞るのかが大事になります。

次に、「補助金・助成金と効率的に付き合うコツ」2つをお伝えします。

1.事業計画
補助金は基本的に役所の業務のためどうしても書類の提出が増えます。
そのための方法としてはまず、近年増えている大型の補助金は多くが事業計画書の提出が必須になっています。
事業自身、また融資・出資も見据えて事業計画を作ると補助金ためだけの書類にならないので手間が省けます。
補助金のためだけの事業計画ではなく、事業や融資などでも共通で作った本気の事業計画の方が質が上がるということもあります。

創業手帳の巻末にフォーマットがあるのと、創業手帳アプリでも事業計画作成ツールがついています。どちらも起業家の利便性のために無料で配布しています。

2.本当に役立つ補助金・助成金を選ぶ
補助金が入ったけれども手間の方が多かった、ということにならないように、自分にあった補助金をみつけることが大事になります。

創業手帳では重要な補助金を解説した補助金ガイドや、自動で自分にあった補助金がメールで届く補助金AI(アイ)というアプリを提供しています。
こちらも自分が補助金を探すのが補助金が多すぎて面倒だ、気づいた頃には募集期間が終わっているという経験をしたので、それを解消するために作りました。

補助金AI(アイ)はAIと人間が補助金情報を整理収集して、登録条件にあったものだけお知らせしてくれる仕組みです。
自分自身も起業家で自分で補助金や助成金を探すための便利なツールとして作ったものを皆さんにも無償で開放しています。こちらも使ってみて下さいね。


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