創業手帳が選ぶ起業経営ニュース 2022年10月9日 注目のニュース 大久保の視点 解説入り 創業手帳編集部 大手がスタートアップ買収で25%減税!創業手帳が背景を解説 大企業によるスタートアップ(新興企業)買収の際の法人税が軽減される方向で検討されている。既に、オープンイノベーション税制と言って買収ではなく、出資(増資)の際に25%減税される仕組みがある。今回は買収でも25%控除される減税の仕組みだ。 また大企業による買収というのも一つのポイントだ。スタートアップ支援策の経産省の取材などを繰り返している創業手帳が、この制度の背景を解説した。 政府は大企業のお金を循環させようとしている 日本は景気が良くない印象とは裏腹に、日本の上場企業は過去最高益の会社が実は3分の1に達し日本全体で500兆円もの内部留保が積み上がっている。 今の日本の大企業で、利益や内部留保が積み上がっているのは、一見良いことだが、投資を積極的にしていた上での利益ではなく、本業での投資を控えて利益を出すというパターンも多い。 例えばamazonや日本ではAbemaに莫大な投資をしたサイバーエージェントが典型的だが長期的な利益のために成長投資を優先すると足元の利益は減る。 現在の日本の大手企業の利益は、このような長期的な投資や賃金上昇に必ずしも向かっていないのが現実だ。 スタートアップは基本的に目先の利益より長期的な利益に投資をする。 スタートアップに大企業が投資をすると国全体で見ると、大企業が投資をしている構造になる。 企業が内部留保でお金を取っておいても消費や雇用に回らないが、スタートアップが活発にお金を使うと人を雇用したり物を消費することが経済が活性化される。 政府からすると大企業が投資を活発化させると税金を使わずに経済を活性化させることができる。 25%の減税分は「呼び水」で大企業の投資の促進、資金の循環を狙っている。 新しい資本主義の一つの背景がこの「大企業の内部留保を吐き出させて経済を回す」という考え方だ。 国の財源は少子化や医療費の上昇で、財源が逼迫し予算の余裕が無い一方で、大企業の内部留保やキャッシュは積み上がっており、かつ大企業にとっても利益を吐き出して投資した方が将来の成長に取って良い。政府は日本経済を回す「財源」の一つとして企業の莫大な内部留保を考えていることが読み取れる。 M&Aが増えることについて スタートアップは他人の資本を借りて大きい成長を目指すことに特徴がある。上場が一つのゴールだが、海外では大企業によるM&Aの方が選択肢として大きい。 スタートアップが大手企業に買収されてしまうことの懸念をする人もいるが、創業経営者の場合、買収されてそのまま会社に残るケースもあるが、莫大な売却益を得て次の事業を興すシリアルアントレプレナー(連続起業家)やエンジェル投資家となって大きな資金を得て次のステージに行くケースも多い。現実問題として毎年100社しかない新規上場(IPO)エグジットに対して、M&Aエグジットの方が間口が広い。昔は敬遠されていたM&Aエグジットも今では普通に語られるようになっている。リスクを取った起業家のゴールが増え報われる確率が上がることで起業にチャレンジする人が増えると日本の経済も活性化していくと思われる。この政策自体は内部留保の大きい大企業を狙った政策だが、スタートアップ間のM&Aや、非上場で元気の良い中堅企業を買い手にするような制度もあると尚良い。 関連記事 経産省の政策担当者に取材:オープンイノベーション促進税制 解説者紹介 大久保幸世 創業手帳 株式会社 ファウンダー 大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら カテゴリ トレンド 関連タグ CVC M&A スタートアップ この記事を読んだ方が興味をもっている記事 起業の6ステップ。素人でも失敗しない起業の仕方を大解剖。起業の専門家が体験とデータで解説。 起業するには何から始める?誰でもできる起業の仕方や手続き【5ステップで解説】 【2025年最新版】合同会社と株式会社の違いを徹底比較!メリット・デメリットや選び方をわかりやすく解説 法人成りとは?個人事業主が法人化するメリット・デメリットや手続きを徹底解説! 【2025年最新】起業・開業の強い味方!補助金・助成金おすすめ15選 【起業準備】会社設立前に絶対にやるべき10のアクションリスト トレンドの創業手帳ニュース 【中小企業庁】「令和7年度取引条件改善状況調査」 (2025/12/12) 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」開始へ 12月12日から宣言を行う企業の申請受付が開始 (2025/12/11) 【経済産業省】令和7年青森県東方沖地震の被災中小企業・小規模事業者への支援措置について (2025/12/11) 【国税庁】令和7年分確定申告特集 準備編ページが公開 (2025/12/10) 「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「省力化投資補助金(一般型)」要件緩和や審査における優遇措置が新たに実施 (2025/12/8) 【中小企業庁】9月の「価格交渉促進月間」フォローアップ調査の結果を公表 価格転嫁率「都道府県別ランキング」が初公表 (2025/12/4) 「令和7年度補正予算案(中小企業・小規模事業者関連予算)」PR資料が公開 (2025/12/4) 重点支援地方交付金が拡充 推奨事業メニューに「中小企業・小規模事業者の賃上げ環境整備」が新たに追加 (2025/12/3) 2025年12月1日(月)分 青果物(野菜・果実)の卸売価格速報値 (2025/12/3) 【東京都】年末に向けた特別な中小企業・雇用就業対策を実施 「東京都中小企業制度融資」融資限度額アップ等 (2025/12/2) キャンペーン 女性対象 有望企業 トレンド 便利なサービス イベント 制度改正 公募 関連するタグのニュース 「Techstars Tokyo Accelerator」エクイティ方式(出資付き)のスタートアップアクセラレーションプログラム 日本貿易振興機構(ジェトロ)は、内閣府・経済産業省・東京都と協力して、世界最大級のプレシードインベスターであるTechstars(本社:米国)を東京に誘致し、エクイティ方式(出資付き)のスタートアップ… 「スタートアップビジネスMBA講座」明治大学MBAの執筆陣と出身起業家が解説 創業手帳代表も執筆陣に参加。注目のスタートアップ本 起業家教育が近年注目を浴びています。しかし、スタートアップはまだ新しい領域であり、不確実性も高く、学問にしにくい分野でもあります。科学的なアプローチ… ストックオプションの発行・管理支援SaaS「Kachiluストックオプション」を運営する「BizDB」が3600万円調達 2025年3月10日、株式会社BizDBは、総額3600万円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、弁護士・会計士・司法書士・社労士を含む27名の士業です。 BizDBは、ストックオプショ… 令和6年度「出向起業補助金」大企業人材の出向起業を支援 令和6年度「出向起業補助金」のご案内です。 出向起業補助金は、経済産業省 令和5年度「大企業等人材による新規事業創造促進事業」に基づき、出向起業を活用して新規事業開発を行うにあたり、事業開発活動費用(… スタートアップコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2023」エントリー開始 7/9締切 2023年5月16日、東京都は、「TOKYO STARTUP GATEWAY 2023」のエントリーを開始したことを発表しました。 「TOKYO STARTUP GATEWAY」は、「東京」から世界を… 大久保の視点 明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT 2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各… (2025/3/14) 日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞! 日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし… (2024/12/4) 国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート! パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav… (2024/10/9) 創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら 注目のニュース SPONSORED 【宮城県気仙沼市】「気仙沼市創造的産業復興支援事業費補助金」(2/18締切) SPONSORED 【創業手帳会員様限定】「弥生会計 Next」有償プラン最大21,000円分プレゼント!弥生グループイン記念キャンペーン SPONSORED 【2025年10月1日から開始】クラウド会計ソフト「弥生会計 Next」スタート応援キャンペーン 最新の創業手帳ニュース 【中小企業庁】「令和7年度取引条件改善状況調査」 (2025/12/12) 「IT導入補助金2025(通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠:6次締切、複数社連携IT導入枠:3次締切)」採択者が発表 (2025/12/12) タレントマネジメントシステムなどを提供する「HRBrain」が資金調達 ソフトバンクグループSB C&Sとの戦略的アライアンスを強化 (2025/12/12) トラック輸配送の配車管理システム「ロジGo」などを提供する「シマント」が5.5億円調達 (2025/12/12) がん治療薬や抗老化薬を開発する「TIME TRAVELER」が1億円調達 (2025/12/12) 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」開始へ 12月12日から宣言を行う企業の申請受付が開始 (2025/12/11) 【2026年3月4日開催】「令和7年度 第4回ビジネスマッチングin東京」【東京都】 (2025/12/11) 【経済産業省】令和7年青森県東方沖地震の被災中小企業・小規模事業者への支援措置について (2025/12/11) 【宮城県気仙沼市】「気仙沼市創造的産業復興支援事業費補助金」(2/18締切) 注目のニュース (2025/12/11) SDS(安全データシート)作成・管理クラウド「スマートSDS」を開発・提供する「Dynagon」が資金調達 (2025/12/11) 記事についてのお問い合わせはこちら 創業時に役立つサービス特集 労災保険の特別加入制度とは?法人役員や個人事業主は必見!! 飲食店の開業時に知っておきたい! 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2022年10月9日 注目のニュース 大久保の視点 解説入り大手がスタートアップ買収で25%減税!創業手帳が背景を解説
大企業によるスタートアップ(新興企業)買収の際の法人税が軽減される方向で検討されている。既に、オープンイノベーション税制と言って買収ではなく、出資(増資)の際に25%減税される仕組みがある。今回は買収でも25%控除される減税の仕組みだ。
また大企業による買収というのも一つのポイントだ。スタートアップ支援策の経産省の取材などを繰り返している創業手帳が、この制度の背景を解説した。
政府は大企業のお金を循環させようとしている
日本は景気が良くない印象とは裏腹に、日本の上場企業は過去最高益の会社が実は3分の1に達し日本全体で500兆円もの内部留保が積み上がっている。
今の日本の大企業で、利益や内部留保が積み上がっているのは、一見良いことだが、投資を積極的にしていた上での利益ではなく、本業での投資を控えて利益を出すというパターンも多い。
例えばamazonや日本ではAbemaに莫大な投資をしたサイバーエージェントが典型的だが長期的な利益のために成長投資を優先すると足元の利益は減る。
現在の日本の大手企業の利益は、このような長期的な投資や賃金上昇に必ずしも向かっていないのが現実だ。
スタートアップは基本的に目先の利益より長期的な利益に投資をする。
スタートアップに大企業が投資をすると国全体で見ると、大企業が投資をしている構造になる。
企業が内部留保でお金を取っておいても消費や雇用に回らないが、スタートアップが活発にお金を使うと人を雇用したり物を消費することが経済が活性化される。
政府からすると大企業が投資を活発化させると税金を使わずに経済を活性化させることができる。
25%の減税分は「呼び水」で大企業の投資の促進、資金の循環を狙っている。
新しい資本主義の一つの背景がこの「大企業の内部留保を吐き出させて経済を回す」という考え方だ。
国の財源は少子化や医療費の上昇で、財源が逼迫し予算の余裕が無い一方で、大企業の内部留保やキャッシュは積み上がっており、かつ大企業にとっても利益を吐き出して投資した方が将来の成長に取って良い。政府は日本経済を回す「財源」の一つとして企業の莫大な内部留保を考えていることが読み取れる。
M&Aが増えることについて
スタートアップは他人の資本を借りて大きい成長を目指すことに特徴がある。上場が一つのゴールだが、海外では大企業によるM&Aの方が選択肢として大きい。
スタートアップが大手企業に買収されてしまうことの懸念をする人もいるが、創業経営者の場合、買収されてそのまま会社に残るケースもあるが、莫大な売却益を得て次の事業を興すシリアルアントレプレナー(連続起業家)やエンジェル投資家となって大きな資金を得て次のステージに行くケースも多い。現実問題として毎年100社しかない新規上場(IPO)エグジットに対して、M&Aエグジットの方が間口が広い。昔は敬遠されていたM&Aエグジットも今では普通に語られるようになっている。リスクを取った起業家のゴールが増え報われる確率が上がることで起業にチャレンジする人が増えると日本の経済も活性化していくと思われる。この政策自体は内部留保の大きい大企業を狙った政策だが、スタートアップ間のM&Aや、非上場で元気の良い中堅企業を買い手にするような制度もあると尚良い。
経産省の政策担当者に取材:オープンイノベーション促進税制
解説者紹介
大久保幸世 創業手帳 株式会社 ファウンダー
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。
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