ビジネスマッチングアプリ「yenta」開発者に聞く ヒットするプロダクト作りに必要なこと

創業手帳

株式会社アトラエ 取締役CTO 岡 利幸インタビュー

(2018/11/19更新)

ビジネス向けのマッチングアプリ「yenta」は、普段繋がる機会の少ない領域のビジネスパーソン同士を繋ぎ、働き方の多様化やオープンイノベーションを促進するために開発されたツールで、2016年1月のリリースから約3年でユーザーの勤務先社数は1万2000社以上、累計マッチング数は150万件を超える人気アプリです。

yentaの生みの親で、開発元の株式会社アトラエ取締役でもある岡利幸さんに、開発の経緯や、どんなマインドを持ってヒットするプロダクト作りをしているのか、創業手帳代表の大久保が話を伺いました。

岡 利幸(おか としゆき)株式会社アトラエ 取締役CTO
大学卒業後新卒でアトラエに入社し、同社の転職サイト「Green」の営業を3年半務める。その後エンジニアに転向して「TalentBase」や「JobShare」などビッグデータを活用した採用支援サービスの開発に携わり、2016年1月にyentaをリリース。現在は取締役兼エンジニアとして新規事業を中心に統括している。

大久保 幸世(おおくぼ こうせい)創業手帳株式会社 代表取締役社長
明治大学経営学部卒業後、外資系保険会社、株式会社ライブドア、株式会社メイクショップ(GMOグループ)で経験と実績を積み重ね、創業手帳などで注目されている創業手帳株式会社(旧ビズシード株式会社)を創業。「日本の起業の成功率を上げる」を企業ミッションとしている。

「倒産したらどうするんですか?」から始まったキャリア

大久保:まず、アトラエに入社した理由を教えてください

:僕はアトラエの社員がまだ5人しかいなかった時に新卒の一期生として入社したんですが、採用説明会の時に「倒産したらどうするんですか?」って聞いたんです(笑)。そしたら弊社代表の新居が、「倒産してもこのメンバーが残っているなら、何か新しい事業やるんじゃない?たこ焼き屋でもなんでも」って返してくれて。僕自身、凄く良いメンバーが揃っていて、この人たちとなら何をやっても上手く行くだろうって予感はあったので、謎の信頼関係で入社しましたね。

大久保:yentaはどんなきっかけで生まれたんですか?

:本当に僕個人が「これやりたい」って思って。もともとアメリカなどで、似たようなビジネスマッチングアプリはいくつかあって、そのうちの一つを使った時、日本人登録者の中でたくさんの面白い人たちと会うことができたんです。

ただ、海外のアプリは投資家と起業家のマッチングにフォーカスしたものが多く、日本ではあまり流行らないな、とも思いました。ならば日本人向けに、もっと広義の「ビジネスマッチング」という形でサービスを展開すればいいんじゃないかと思ったのが、yenta誕生のきっかけです。

大久保:リリース直後の手ごたえはどうでしたか?

:リリースするタイミングで人がいないと成り立たないサービスなので、最初にアトラエ内の人脈を使って面白い人に一斉に声をかけ、300人の事前登録を獲得しました。yentaは1日に出すレコメンド(マッチングしそうな相手の候補をAIが選んで推薦すること)数を10人に絞っているので、300人いれば、1人のユーザーがひとまず30日間は毎日違う人を見つけて楽しんでもらえる計算でした。yentaでマッチングしたユーザー同士は、ランチタイムに会うケースが多いんですが、日本人ってもともとあまり赤の他人とランチに行ったりしないので、リリース直後は本当に反応が予想できなかったですね
そこからひと月の間で色々なPR活動をした結果、ユーザーは3000人ほどに増えました。ここでようやく手ごたえを感じ、開発者としてひと安心。そのあとの期間はサービスとしての質を高める次の開発に専念できました。

大久保:起業した人にとっても、yentaみたいに人と情報交流のネットワークを広げるツールがあるといいですよね

:そうですね。実際、yentaでマッチングした人同士で起業しました、という会社はもう10社以上あると思います。そのほかにも、スタートアップのコアメンバーを集めている人も多いですね。起業家としては仲間も見つかるし、最初のお客さんにも出会えるし、フリーランスや副業として手伝いますという人にも会えたり、投資が決まるケースも多数あります。

yentaはビジネスを加速させる出会いがたくさんあるので、そういう意味でも熱心に使ってくださるユーザーが多いです。

新規事業で一番大事なのは「熱量」

大久保:アトラエの新規事業に対するスタンスはどんな感じなんですか?

:とにかく新しいものを作り続けようという気持ちがあるので、社内ではだれでも新規事業を立ち上げていいようになっているんです。事業同士のシナジーはほとんど考えてないですね。事業としては全く交わらなくても、みんなで「アトラエという山を登っている」という共通認識があるならそれでオッケーです。

大久保:新規事業を進める時、岡さん自身が大事にしていることはありますか?

:熱量ですね。僕の中では、アトラエという会社をGoogleやappleからも注目されるような世界に誇れる組織にする、という信念が一番の熱量です。それをやりたいがゆえに事業をやっています。
新規の事業を山登りに例えると、「この山もう無理じゃないか」って段階に来た時に、「もう一歩登ってみよう」、「まだ別の道があるんじゃないか」と歩みを進める力は熱量にしかないと思うんです

資本主義で豊富な資金やデータを持っているプレーヤーや大企業に勝つためには、彼らにはない熱量で対抗するしかありません。でかい相手に綺麗な山道を登られたら勝てないので。「そこ行っちゃうんだ」って思われるような険しい道を選んで、一点集中しないと。

事業の歩みを進める力は熱量にしかない

起業家に伝えたい「手を止める勇気、前に進まないという勇気」

    大久保:プロダクト作りと、会社のNo.2としての仕事はまた変わってくると思うんですが、岡さんの「No.2論」みたいなものはありますか?

    :代表との役割分担や相性ですかね。「NO.1がやりにくいことを徹底的にやろう」と思っています。社長の役割や性格としてやりにくいけれど、組織にとっては必要なことがあれば僕が担当する、みたいな。師弟関係のように、トップとNo.2が同じことをやっていると組織が凝り固まってしまうってこともあるので。

    代表と僕は、根本の人間性は似てると思うんです。負けず嫌いだし、カッコよくありたいし、価値があることしかやらないとか。その上で、それぞれの得意分野とか、アプリケーションの違い的な部分はあってもいいと思います。

    大久保:最後に、起業家にこれだけは伝えたい!という一言をお願いします

    :僕は起業家ではないんですが…「いい仲間は妥協しないで探してください」と言いたいですね。変な話ですが、「手を止める勇気、前に進まないという勇気」を意識してみるといいと思います。

    会社を立ち上げたり新規事業をやるときって、とにかく早く進めたいって気持ちになると思いますが、仲間作りとかプロダクト作りとか、大事なことは進める間に少しでも違和感があれば一旦立ち止まってみるのも有効です。

    「本当にこれは価値があるんだっけ?」と問い直すことが、最終的にいい会社やプロダクトにつながっていくんじゃないかなと思います。

    少しでも違和感があれば勇気を出して立ち止まる

    (取材協力:株式会社アトラエ/岡利幸
    (編集:創業手帳編集部)

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