「マイカー賃貸カルモ」で最長11年の契約が可能に

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2019年7月2日、ナイル株式会社は、「マイカー賃貸カルモ」において、2019年7月1日から、最長11年の契約形態を設けたことを発表しました。

「マイカー賃貸カルモ」は、月額定額料金でマイ・カーを保有できる車のサブスクリプション・サービスです。

最安値の車両の場合は、月額11,900円(税抜)から契約することができます。

契約中の車両メンテナンスや、契約満了後に車両をもらえるといったオプションも用意されています。

<創業手帳の創業者・大久保幸世の視点>

車のサブスクの市場は、短期の動向はあれ、長期的には市場は明らかに大きい。
昨今自家用車の平均利用時間は1日20分以下、1日のうちの2%も利用しないそうだ。つまり多くは活用されていない。

出典:車の平均利用時間

そもそもの利用率に加え、利用シーン(娯楽か通勤か生活か)やステージ(家族が増えた)によってシェアする合理性があり、一方でシェアするためのネット・アプリ系の技術が発達してきている。

昭和のサザエさんのような、大家族、そして郊外の家、というモデルが現実の主流ではなくなりつつあり、今日本では世帯人口では1-2名になってきており、車の役割も「一家で乗るもの」という前提が崩れはじめている。

また、今後10年-20年は、AIの進化で自動運転の技術が進んでいくため、従来よりも自動車の進化が早くなるのではないか。所有する喜びや手元に置いておきたい心理もあるが、市場の大きな流れはサブスク、シェアにある。

車のシェア普及は、自動車製造大国でメーカーが強くなる一方で、GAFAのようなプラットフォーム(中国はアリババ、バイドゥ、テンセントがある。日本はLINEや楽天、ヤフージャパンがあるにせよ)が必ずしも強くない日本にとっては、国全体の経済で言うとかなりリスクが有る。シェアのプラットフォームが会員やデータを握ると、メーカーの力は相対的に弱まるからだ。日本の国産の自動車シェアのプラットフォームがどれだけ強くなるかは重要な課題で、今回トヨタが資本を入れているスパークスがリードになっているのもそうした背景だろう。

受託→自社サービス→大マーケットの成長戦略か

オリックスと提携をしており、パワーのかかる部分はマーケットシェアを握るオリックスとの提携でクリアし、一方で大企業が弱いデジタルサービス、デジタルマーケをナイルが行い、そこに資本が入った格好だ。

ナイルは五反田本社で2007年創業でデジタルマーケを運営している。今回の15億円の調達で違うステージに入ったということだろう。デジタルマーケの支援をしながら、今までにAppliveなどの自社サービスを生み、今回自動車サブスクのカルモのリリースをした。
アクセス推定サイトのSimilarweb(正確ではないが目安にはなる)を見るとアクセスが急激に伸びており、同社が受託事業も含めて蓄積した、WEBの集客の技術を生かしていると見られる。

ここで創業手帳的に注目するのが会社の成長のさせ方、事業のビジネスモデルの変え方。
通常、ミッションドリブンで行くと、やりたいことや社会課題があって、組織を作って具体的な戦術ノウハウを蓄積していく。

ナイルのパターンは逆で、推定するに、当初、確実の収益が見込める、他社の支援から入った。収益は見込めるので、短期的には赤字になりにくい一方で、自社サービスではないので、スケールが効きにくい。一方でノウハウの蓄積や組織の練度は上がっていく。

その上で、Appliveのような費用・市場ともにそこまで巨額ではない自社サービスに進出し、自社サービスのウェイトを高め、最終的に車のサブスクという、マーケットも巨大だが、資本も必要な事業に参入したのはステップバイステップで賢明な戦略といえる。

最初は受託だが、いつか自社サービス、そして大きな市場を願っている起業家も多い。
受託系のビジネスからスタートし、自社に移行した会社の拡大の仕方としても参考になる。

実際、大きなマーケットへの挑戦だけに、どれぐらい同社が自動車サブスクにリソースを集中するかも注目のポイントだ。

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