ANAホールディングス 業績悪化と公募増資報道を嫌気して株価下落

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ANAホールディングス(9202)の株価が、直近1週間で10%下落しました。9月26日付の日本経済新聞朝刊が「ANAHDが2,000億円規模の公募増資を検討していることがわかった」と報じ、1株利益の希薄化や株式需給の悪化を懸念した売りが膨らんだものです。株価は10月2日に一時、2,413円と8月20日以来およそ1カ月半ぶりの安値を付けましたが、その後やや持ち直し、2,432円で取引を終えました。

株式希薄化のインパクトは約23%と試算されており、加えて、2021年3月期に6,000億円程度の最終赤字に陥る可能性があると伝えられたことが嫌気されました。

また、7月の決算発表会で同社は劣後ローンによる資金調達の可能性について言及しており、4,000億円規模の劣後ローンについて8月から取引銀行と協議しているとの報道も出ています。

尚、同社広報担当はいずれの件についても、そのような事実はないと否定しています。

市場の注目は、最終赤字の要因が特別損失計上なのか、自然体の損益悪化なのかという点に移っています。また、アフターコロナの成長戦略が不透明との声も多く、本邦を代表する航空事業者である同社の経営基盤悪化が懸念されています。

編集部のコメント

編集者
航空産業は、世界的な経済発展を背景とした旅客輸送量の増加が見込まれ、長らく堅調な足取りを続いてきました。ただ2020年以降のコロナウイルス感染拡大に伴う世界的な移動制限による市場低迷のインパクトは大きく、短期的な市場縮小は不可避とみられていましたが、いよいよANAのような大手航空会社の財政基盤を揺るがしていることが白日の下に晒されつつあります。
航空産業は、航空機製造や保守メンテナンスなどの市場の上に成り立っており、航空需要減衰は一定のタイムラグを伴いつつ、直接的に関連市場の裾野に波及します。
コロナ禍は、社会にリモートコミュニケーション、テレワークの有用性を認知させ、IT通信インフラ整備を加速させています。コロナ後の世界における航空産業のあり方・パラダイムが不可逆的に変貌する可能性には注視が必要です。
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