5分でわかるキャッシュフロー計算書(C/F) 基礎と読み方・作り方

資金調達手帳

資金の流れをつかむ!キャッシュフロー計算書のキホン

(2017/11/28更新)

キャッシュフロー計算書は、経営状況を客観的に判断するために重要な書類です。ただ、重要性は分かっていても、キャッシュフロー計算書がどういう役割をはたすのか、また、どのように作るのかなどの実務的な知識があいまいな方も多いのではないでしょうか。

今回は、キャッシュフロー計算書の基礎知識や実務知識を初心者にも分かりやすく解説します。

本文を読む

1. キャッシュフロー計算書の基礎知識

まず、「そもそもキャッシュフロー計算書とはどういう書類で、会計書類の中でどういう位置づけにあるのか」という基礎知識について解説します。

決算書とは?

キャッシュフロー計算書は、「決算書」を構成する書類の1つです。
まずは、その「決算書」とは何か、というところから見ていきましょう。

すべての会社は、決算書を作る義務があります。

決算書は、会社の状態を数値で表したもので、経営状況を判断するために使われます。正式には「財務諸表(上場企業などが作成する)」もしくは「計算書類(それ以外の会社が作成する)」といいます。

複数の書類から構成されており、最も重要とされているのが「財務3表」と呼ばれる次の書類です。

企業は、会計年度に合わせて決算書を作成し、税務署や株主、債権者に開示します。企業によっては、「製造原価報告書」や「株主資本等変動計算書」、「有価証券報告書」が義務付けられる場合もあります。

キャッシュフロー計算書とは?

決算書の1つである「キャッシュフロー計算書」は、会計期間中の現金の流れを数値で示した書類です。

簡単にいうと、「会社にどのくらいの現金があるか」ということが分かる書類です。
日常生活に置き換えると、「家計簿」のようなイメージですね。

法令で作成が義務付けられているのは上場企業だけなので、全ての会社が作らなければいけないわけではありません。しかし、自社の状況を客観的に把握するためにも、起業初期から作ることを強くおすすめします。

キャッシュフロー計算書では、資金の流れを「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに分けて表します。それぞれの見方は後述します。

「キャッシュフロー」はなぜ大事?

キャッシュフローとは、簡単にいうと「お金の流れ」のことです。
起業初期の会社にとって、キャッシュフローは何よりも重要といわれます。

なぜなら、キャッシュフローに注目することで、企業の資金状態を判断することができ、「黒字倒産」の危険性を予測することができるからです。

会計上の「利益」と、「手元の現金」はイコールではありません。
商品やサービスを売り上げても、顧客から資金を回収するまでにはタイムラグが発生します。また、商品やサービスを生み出す前に、仕入れ等で先に支払いが必要な場合もあります。

そのため、損益計算書上では儲けが出ているように見えても、回収や支払のタイミングによっては赤字になっているケースも発生します。
手元のキャッシュが増えなければ、借入金の返済や仕入れ代金の支払いのために資金借り入れが必要になり、資金繰りが悪化してしまいます。最悪の場合、「黒字倒産」に追い込まれます。

企業の経営状態の健全性を判断するためにも、「キャッシュフロー計算書」を作り、資金の流れをつかめるようにしておきましょう。

参考:キャッシュフローを改善する9つのテクニック

キャッシュフロー計算書と資金繰り表の違い

現金の流れを把握するための書類には「資金繰り表」もあります。この2つの違いを説明します。

キャッシュフロー計算書は、過去における現金の流れを可視化した書類です。決算書の1つとして、外部に公表する必要があります。

一方、資金繰り表は将来の資金繰りを予測するために作成する資料です。会計年度にかかわらず、自由な期間を設定して作成することができます。あくまで作成は任意で、企業の内部資料であるという点も大きな相違点です。

「結果」を振り返るための書類と、「未来」に向けて作る書類。
役割は違いますが、どちらも会社の健全な運営に欠かせない書類です。違いを理解して活用しましょう。

参考:資金繰り表の作り方|キャッシュフロー改善で、黒字倒産しない会社に

2. キャッシュフロー計算書の読み方

ここからは、実務的な知識をご紹介します。まずは、キャッシュフロー計算書の読み方を理解しましょう。

キャッシュフロー計算書を見るときのポイント

キャッシュフロー計算書は、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに分かれています。

次のポイントを意識することで、初心者でもキャッシュフロー計算書から経営状態を見極めることができます。

  • 営業キャッシュフローがプラスになっているか
  • (本業の状態を把握。当期純利益がプラスでもこの項目のマイナスが続いて倒産する「黒字倒産」リスクを見極めます)

  • 事業成長のための投資キャッシュフローがあるか
  • (将来の利益につながる設備投資などに積極的であれば、維持成長が見込めます)

  • 営業キャッシュフローの額が投資キャッシュフローより大きいか
  • (本業で稼いだ額が投資額より大きければ、財務的な余裕がある状態。より積極的な投資や、いざという時に備えた対応力が見込めます)

キャッシュフロー計算書は、すべての項目がプラスになっていれば良い企業というわけではありません。

3つのキャッシュフローの最も理想的な状態は、「営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナス」の状態。これは、「本業が校長でキャッシュが増え、将来に向けて投資をし、借入金の返済が進んでいる」状態だからです。

各項目の意味を理解して、企業経営の健全性を正しく把握してください。

では次に、各キャッシュフローのポイントを掘り下げてみてみましょう。

営業活動によるキャッシュフロー


営業活動によるキャッシュフローとは、本業によってキャッシュがどれくらい増えたか(減ったか)を示す項目です。つまり、「儲けたお金」を明らかにしたもの。
この項目の合計がプラスであれば、本業が好調な証拠です。マイナスの場合は、現金不足といえます。

営業キャッシュフローがマイナスの状態が続いている起業は、損益計算書上で黒字でも危険な状態かもしれません。

キャッシュフロー計算書の「直接法」と「間接法」

営業活動によるキャッシュフローを記載する方法として、「直接法」「間接法」の2つがあります。

「直接法」とは、営業活動に関するキャッシュフローを総額でとらえる方法。主要な取引(リ入れ、経費支払い、給与支払い)ごとに総額を示すので、詳細に流れを把握することができます。

「間接法」とは、キャッシュの動きに関する部分だけを計算する方法。損益計算書をベースに作成することができます。

企業の経営実態を詳細に示すことができるのは「直接法」ですが、膨大な手間が発生するため、「間接法」を利用している企業の方が多いです。

投資活動によるキャッシュフロー


投資活動におけるキャッシュフローは、固定資産・株・債権などの取得や売却をした時の流れを示す項目です。つまり、「使ったお金」を明らかにしたもの
将来のためにどれだけお金を使ったかが分かります。

営業活動のためには固定資産への投資が必要ですから、優良企業や成長企業(設備投資ができる余力がある企業)はマイナスになっているケースが多いです。プラスの場合は、土地や建物、株式を売却してキャッシュを手にしているということが分かります。

財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローとは、「借りたお金や返したお金」を表す項目
株主への配当金支払いや借入金の返済を行った場合はマイナスに、借入金や社債で資金調達を行うとプラスになります。

優良企業の場合はマイナスである場合が多いです。積極的に成長を目指すために借り入れが増え、プラスとなる成長企業もあります。

この項目を読む際には、営業キャッシュフローや投資キャッシュフローと合わせて確認するようにしましょう。

フリーキャッシュフローとは?

フリーキャッシュフローとは、会社が自由に使える現金のこと。営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計額です。
自由に使える資金が多いほど、経営状態が良いといえます。

もし、フリーキャッシュフローがゼロやマイナスであれば、資金が不足して維持するための資金調達が必要という状態です。経営改善のためには、営業キャッシュフローを増やすか、投資キャッシュフローのマイナス分を小さくする必要があります。

参考:企業が自由に使えるお金「フリーキャッシュフロー」の計算式と計算方法

3. キャッシュフロー計算書の作り方

最後に、キャッシュフロー計算書の作成方法を簡単に説明します。ここでは、多くの企業が採用している「間接法」での作成方法を取り上げます。

キャッシュフロー計算書を作るために必要なもの

キャッシュフロー計算書は、他の決算書類を用いて作るため、まずは、賃借対照表(前期・当期)、損益計算書(当期)を準備しましょう。

また、該当する取引があれば、固定資産や有価証券の取引に関する資料、新株発行に関する資料も用意します。

キャッシュフロー計算書の作り方

キャッシュフロー計算書は、損益計算書・賃借対照表から該当する項目を抜き出して(項目によっては増減分を記載)加減をすることで作成します。項目さえ理解していれば、誰でも簡単に作成できます。プラス・マイナスを行う項目は、以下のとおりです。

営業キャッシュフロー

間接法では、損益計算書で算出した「税引前当期純利益」から項目を加減してキャッシュフローを計算します。

《プラス項目》
  • 減価償却費
  • 貸倒引当金の増加額
  • 棚卸資産の減少額
  • 売上債権の減少額
  • 仕入債務の増加額
  • 利子利息の支払額
《マイナス項目》
  • 貸倒引当金の減少額
  • 棚卸資産の増加額
  • 売上債権の増加額
  • 仕入債務の減少額
  • 利子利息の受取額
  • 法人税等の支払額

投資キャッシュフロー
《プラス項目》
  • 固定資産の減少額
  • 有価証券の減少額
  • 固定資産の売却損
  • 有価証券の売却損
《マイナス項目》
  • 固定資産の増加額
  • 有価証券の増加額
  • 固定資産の売却益
  • 有価証券の売却益

財務キャッシュフロー
《プラス項目》
  • 短期借入の増加額
  • 長期借入の増加額
  • 株式発行の収入
  • 利子利息の受取額
《マイナス項目》
  • 短期借入金の返済支出
  • 長期借入金の返済支出
  • 自社株式の購入
  • 配当金の支払額
  • 利子利息の支払額

キャッシュフロー計算書を作るときの注意点

実際に作成する際には、特に次の2点に注意してください。

  1. 間接法の「営業キャッシュフロー」は、「税引前当期純利益」を記載する
  2. そのまま転記する項目と、増加額を記載する項目を間違えない

計算書の作成というと、複雑な計算式が必要そうに見えますが、各項目を順に記載して合計すれば簡単に作成することができます。

まとめ

キャッシュフロー計算書は、企業の経営状態を見極めるために必要な書類です。営業・投資・財務の各分類の数値が示す意味や作成方法を理解して、ビジネスに活用してください。

(編集:創業手帳編集部)

この記事に関連するタグ

この記事に関連する記事

資金調達手帳

創業時に役立つツール特集

カテゴリーから記事を探す