キャッシュフロー計算書(C/F)とは? 起業家が資金繰りでキャッシュフローを増やす5分でわかる簡単まとめ

資金調達手帳

資金の流れをつかむ!キャッシュフロー計算書の基本

キャッシュフロー計算書のサムネイル
170万人の起業家・経営者の使う「創業手帳」創業者の大久保幸世です。

読者の起業家の方から最も多いご相談が、「キャッシュフロー」や「資金繰り」の改善です。創業手帳が起業家に向けたアンケートでも、約65%の方が「資金に課題がある」と答えています。会社経営や起業では、資金があるか・ないかで、事業の成長や存続が大きく左右されるという場面に、支援先の経営の現場やそして自分自身も日々直面しています。経営では、キャッシュフローや資金繰りに注力することで、手元のキャッシュや資金を増やすことが可能です。

その際にキャッシュフロー(CF)計算書を、ツールとして使うことがあります。キャッシュフロー計算書とは、あくまで資金繰りやキャッシュフロー改善のための道具であるため、キャッシュフローをまとめて管理するのが大切です。資金繰りを資料にまとめて日々チェックすることをお勧めします。

資金繰り把握の上で基本になる、キャッシュフロー計算書は、経営状況を客観的に判断するために重要な書類であり、経営者が経営や資金を把握するだけではなく、融資を受ける金融機関や出資を受ける株主への報告の際にも大切なツールです。ただ、重要性は分かっていても、キャッシュフロー計算書がどういう役割をはたすのか、また、どのように作るのかなどの実務的な知識があいまいな方も多いのではないでしょうか。

今回は、キャッシュフロー計算書の基礎知識や実務知識を初心者にも分かりやすく解説します。

この記事の解説者 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。無料創業相談も受付中。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください。

1. キャッシュフロー計算書とは?キャッシュフロー改善・資金繰りの基本ツール

キャッシュフローのイメージ
まず、「そもそもキャッシュフロー計算書とはどういう書類で、会計書類の中でどういう位置づけにあるのか」という基礎知識について解説します。

決算書とは?

キャッシュフロー計算書は、「決算書」を構成する書類の1つです。

まずは、その「決算書」とは何か、というところから見ていきましょう。すべての会社は、決算書を作る義務があります。決算書は、会社の状態を数値で表したもので、経営状況を判断するために使われます。正式には「財務諸表(上場企業などが作成する)」もしくは「計算書類(それ以外の会社が作成する)」といいます。複数の書類から構成されており、最も重要とされているのが「財務3表」と呼ばれる次の書類です。

賃借対照表(B/S):資産、純資産、負債の状態を示した書類
損益計算書(P/L):収益と費用の状態を示した書類
キャッシュフロー計算書(C/F):資金の流れを示した書類

 

企業は、会計年度に合わせて決算書を作成し、税務署や株主、債権者に開示します。企業によっては、「製造原価報告書」や「株主資本等変動計算書」、「有価証券報告書」が義務付けられる場合もあります。

この財務3表は、会計帳簿を見ながら作成するものです。帳簿が間違っていると財務3表も間違ったものになってしまいます。そうすれば会社の正確な状態がわからなくなり、間違った経営戦略を立ててしまうことにもつながりかねません。

帳簿への記録を間違わないためには、弥生会計やfreeeやMFクラウド(マネーフォワード)、TKC等の会計ソフトが役立ちます。冊子版の創業手帳では、おすすめの会計ソフトや、会計ソフトの導入について詳しく解説しています。

キャッシュフロー計算書とは?

紙とペン
決算書の1つである「キャッシュフロー計算書(C/F)」は、会計期間中の現金の流れを数値で示した書類です。簡単にいうと、「会社にどのくらいの現金があるか」ということが分かる書類です。日常生活に置き換えると、「家計簿」のようなイメージですね。

法令で作成が義務付けられているのは上場企業だけなので、全ての会社が作らなければいけないわけではありません。しかし、自社の状況を客観的に把握するためにも、起業初期から作ることを強くおすすめします。会計ソフトでは簡単にキャッシュフロー計算書を作ることができますし、もし難しい場合には正規のキャッシュフロー計算書までいかなくても、お金がいつ入っていつ出ていくかをまとめた「資金繰り表」を作ることをお勧めします。キャッシュフロー計算書では、資金の流れを「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに分けて表します。それぞれの見方は後述します。

「キャッシュフロー」はなぜ大事?

キャッシュフロー(CF)とは、簡単にいうと「お金の流れ」のことです。

起業初期の会社にとって、キャッシュフローは何よりも重要といわれます。なぜなら、キャッシュフローに注目することで、企業の資金状態を判断することができ、「黒字倒産」の危険性を予測することができるからです。

会計上の「利益」と、「手元の現金」はイコールではありません。商品やサービスを売り上げても、顧客から資金を回収するまでにはタイムラグが発生します。また、商品やサービスを生み出す前に、仕入れ等で先に支払いが必要な場合もあります。そのため、損益計算書上では儲けが出ているように見えても、回収や支払のタイミングによっては赤字になっているケースも発生します。手元のキャッシュが増えなければ、借入金の返済や仕入れ代金の支払いのために資金借り入れが必要になり、資金繰りが悪化してしまいます。最悪の場合、「黒字倒産」に追い込まれます。

企業の経営状態の健全性を判断するためにも、まずは資金繰りによってキャッシュフローを管理することが大切です。「キャッシュフロー計算書」を作り、資金の流れやキャッシュフローがどれくらいたまっているのかをつかめるようにしておきましょう。

参考:キャッシュフローを改善する9つのテクニック

キャッシュフロー計算書と資金繰り表の違い

2枚の書類
現金の流れ(キャッシュフロー)を把握するための書類には「資金繰り表」もあります。この2つの違いを説明します。
キャッシュフロー計算書は、過去における現金(キャッシュ)の流れを可視化した書類です。決算書の1つとして、外部に公表する必要があります。
一方、資金繰り表は将来の資金繰りを予測するために作成する資料です。会計年度にかかわらず、自由な期間を設定して作成することができます。あくまで作成は任意で、企業の内部資料であるという点も大きな相違点です。
「結果」を振り返るための書類と、「未来」に向けて作る書類。
役割は違いますが、どちらも会社の健全な運営に欠かせない書類です。違いを理解して活用しましょう。

資金繰り表は経営戦略を立てるのに役立ちます。
冊子版の創業手帳では、資金繰り表の作成術についてわかりやすく解説しています。また、資金繰り表を作成したあと、それをどう読み解くとよいのかも同時に解説しています。

参考:資金繰り表の作り方|キャッシュフロー改善で、黒字倒産しない会社に

2. キャッシュフロー計算書の読み方

電卓とメガネとペン
ここからは、実務的な知識をご紹介します。まずは、キャッシュフロー計算書の読み方を理解しましょう。

キャッシュフロー計算書は下記の3つに分かれています。

「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」

次のポイントを意識することで、初心者でもキャッシュフロー計算書から経営状態を見極めることができます。

  • 営業キャッシュフローがプラスになっているか
  • (本業の状態を把握。当期純利益がプラスでもこの項目のマイナスが続いて倒産する「黒字倒産」リスクを見極めます)

  • 事業成長のための投資キャッシュフローがあるか
  • (将来の利益につながる設備投資などに積極的であれば、維持成長が見込めます)

  • 営業キャッシュフローの額が投資キャッシュフローより大きいか
  • (本業で稼いだ額が投資額より大きければ財務的な余裕がある状態です。より積極的な投資やいざという時に備えた対応力を身につけることができます)

 
キャッシュフロー計算書は、すべての項目がプラスになっていれば良い企業というわけではありません。

3つのキャッシュフローの最も理想的な状態は「営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナス」の状態です。

なぜなら「本業が好調でキャッシュが増え、将来に向けて投資をして、借入金の返済が進んでいる状態」だからです。

各項目の意味を理解して、企業経営の健全性を正しく把握しましょう。

では、次にキャッシュフローの3項目について、それぞれのポイントを掘り下げてみてみましょう。

2-1. 営業活動によるキャッシュフロー


営業活動によるキャッシュフローとは、本業によってキャッシュがどれくらい増減したかを示す項目です。つまり「儲けたお金」を明らかにしたものです。

この項目の合計がプラスであれば本業が好調な証拠です。マイナスの場合は資金不足といえます。

営業キャッシュフローがマイナスの場合は、損益計算書上で黒字であっても危険な状態かもしれません。

キャッシュフロー計算書の「直接法」と「間接法」

営業活動によるキャッシュフローを記載する方法としては「直接法」「間接法」の2つがあります。

「直接法」とは、営業活動に関するキャッシュフローを総額でとらえる方法です。主要な取引(リ入れ、経費支払い、給与支払い)ごとに総額を示すので、流れを詳しく把握することができます。

「間接法」とは、キャッシュの動きに関する部分だけを計算する方法です。損益計算書をベースに作成することができます。

企業の経営実態を詳細に示すことができるのは「直接法」ですが、膨大な手間が発生するため「間接法」を利用している企業の方が多いです。

2-2. 投資活動によるキャッシュフロー


投資活動におけるキャッシュフローは、固定資産・株・債権などの取得や売却をした時の流れを示す項目です。つまり「使ったお金」を明らかにしたもの

将来のためにどれだけお金を使ったかが分かります。

営業活動のためには固定資産への投資が必要なので、優良企業や成長企業(設備投資ができる余力がある企業)はマイナスになっているケースが多いです。プラスの場合は土地や建物、株式を売却してキャッシュを手にしているということが分かります。

2-3. 財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローとは「借りたお金や返したお金」を表す項目

株主への配当金支払いや借入金の返済を行った場合はマイナスに、借入金や社債で資金調達を行うとプラスになります。

優良企業はマイナスである場合が多いです。積極的に成長を目指すためには借り入れが増え、プラスとなる成長企業もあります。

この項目を読む際には、営業キャッシュフローや投資キャッシュフローとあわせて確認するようにしましょう。

フリーキャッシュフローとは?

フリーキャッシュフローとは、会社が自由に使える資金のこと。営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計額です。

自由に使える資金が多いほど、経営状態が良いといえます。

もし、フリーキャッシュフローがゼロやマイナスであれば、資金が不足して維持するための資金調達が必要という状態です。経営改善のためには、営業キャッシュフローを増やすか、投資キャッシュフローのマイナス分を小さくする必要があります。

参考:企業が自由に使えるお金「フリーキャッシュフロー」の計算式と計算方法

3. キャッシュフロー計算書の作成方法

紙と鉛筆
最後に、キャッシュフロー計算書の作成方法を簡単に説明します。ここでは、多くの企業が採用している「間接法」での作成方法を取り上げます。

キャッシュフロー計算書の作成に必要なもの

キャッシュフロー計算書は他の決算書類を用いて作るため、まずは賃借対照表(前期・当期)、損益計算書(当期)を準備しましょう。

また、該当する取引があれば、固定資産や有価証券の取引に関する資料、新株発行に関する資料も用意します。

キャッシュフロー計算書は3項目から作成しよう

キャッシュフロー計算書は、損益計算書・賃借対照表から該当する項目を抜き出して(項目によっては増減分を記載)加減をすることで作成します。項目さえ理解していれば、誰でも簡単に作成できます。プラス・マイナスを行う項目は、以下のとおりです。

1-1. 営業キャッシュフロー

間接法では、損益計算書で算出した「税引前当期純利益」から項目を加減してキャッシュフローを計算します。

《プラス項目》
  • 減価償却費
  • 貸倒引当金の増加額
  • 棚卸資産の減少額
  • 売上債権の減少額
  • 仕入債務の増加額
  • 利子利息の支払額
《マイナス項目》
  • 貸倒引当金の減少額
  • 棚卸資産の増加額
  • 売上債権の増加額
  • 仕入債務の減少額
  • 利子利息の受取額
  • 法人税等の支払額

1-2. 投資キャッシュフロー

《プラス項目》
  • 固定資産の減少額
  • 有価証券の減少額
  • 固定資産の売却損
  • 有価証券の売却損
《マイナス項目》
  • 固定資産の増加額
  • 有価証券の増加額
  • 固定資産の売却益
  • 有価証券の売却益

1-3. 財務キャッシュフロー

《プラス項目》
  • 短期借入の増加額
  • 長期借入の増加額
  • 株式発行の収入
  • 利子利息の受取額
《マイナス項目》
  • 短期借入金の返済支出
  • 長期借入金の返済支出
  • 自社株式の購入
  • 配当金の支払額
  • 利子利息の支払額

キャッシュフロー計算書を作成するときの注意点

実際に作成する際には、とくに次の2点に注意してください。

  1. 間接法の「営業キャッシュフロー」は、「税引前当期純利益」を記載する
  2. そのまま転記する項目と、増加額を記載する項目を間違えない

計算書の作成というと複雑な計算式が必要そうにみえますが、各項目を順に記載して合計すれば簡単に作成することができます。

まとめ

キャッシュフロー計算書(C/F)は、企業の経営状態を見極めるために必要な書類です。キャッシュフロー計算書や資金繰り表を作ることによって、キャッシュフローの問題に経営者が早く気が付くことが可能になり、資金を手元にたまりやすい体質になります。

キャッシュフローや資金繰りは「早期に着手することによってより効果が発揮される」という特徴があります。経営の現場では手元資金が不足してから資金の調達に動いても間に合わないケースが多いのです。そのため、キャッシュフロー計算書や資金繰り表を活用し、日頃からチェックをしておくことが大切です。営業・投資・財務の各分類の数値が示す意味や作成方法を理解して、ビジネスに活用してください。

ただ、事業運営に忙しくて、キャッシュフロー計算書を作る時間が取れないという場合もあるでしょう。その場合は、会計ソフトが役立ちます。日々つけている帳簿から自動的にキャッシュフロー計算書などを作成してくれます。また、見やすいグラフの表示してくれるため、活用しやすいでしょう。

キャッシュフローをよくする方法を知りたい方は、冊子版の創業手帳を読んでみてください。キャッシュフローはポイントを押さえることで、健全にすることができます。その具体的な方法や必要となるノウハウを分かりやすく解説しています。また、起業後に必要となるノウハウも掲載されていますので、起業やキャッシュフロー・資金繰り改善を考えている方は、ぜひ入手してみてください。

更に冊子版の創業手帳では、会計ソフトの導入についても詳しく解説しています。会計ソフトがお得に導入できるキャンペーンコードも発行しているので、ぜひチェックしてみてください。

(編集:創業手帳編集部)

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