注目のスタートアップ

生殖補助医療の自動化機器を開発する「アークス」が7,000万円調達

company

2023年4月24日、株式会社アークスは、総額7,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

アークスは、AIやロボット技術を活用した、生殖補助医療(ART)の自動化機器を開発しています。

今回の資金は、大学との共同研究、医療機関と協力したデータ収集、AIやロボティクスをコアとした自社内での技術開発の加速に充当します。

これにより、胚培養士の高度な判断を支援するAI支援システムと、培養室作業を自動化するためのプロダクトの開発を進めます。


国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」(2015年)によると、不妊を心配したことがある(または現在心配している)夫婦の割合は35.0%で、子どものいない夫婦では55.2%と高い割合であることがわかります。

さらに、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は全体で18.2%となっています。また、子どものいない夫婦では28.2%と高い割合にあります。約5組に1組が検査や不妊治療の経験があるということになります。

少子化は国内や先進国における深刻な課題のひとつであり、子どもを望んでいるのに妊娠できないという「不妊」に関する医療は今後も重要性が高まっていくことが予測されます。

国内では2022年4月から、人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」について保険適用されており、今後も保険適用される不妊治療が増えていくと考えられています。

国内において実施件数の多い生殖補助医療のひとつに体外受精があります。

体外受精は以前まで公的医療保険の適用外で、1回あたりの費用が約50万円ほどと高額な医療となっていましたが、日本は体外受精の実施件数については世界1位であり、2019年は14人に1人(約6万人)が体外受精で誕生しています。

医療保険の対象となることでさらに体外受精の実施件数が増えることが想定されます。

一方、生殖補助医療においてはそのクオリティや成功率の向上において課題があります。

生殖補助医療において要となる一連の作業は胚培養士という専門家が担当するのですが、顕微授精などの技術を求められる工程が多く、胚培養士のスキルによって受精率などが変化するという課題があります。

アークスはこの課題を解決するため、生殖補助医療の自動化機器を開発しています。

株式会社アークスのコメント

このニュースを受けまして、株式会社アークス 代表取締役 棚瀬将康氏よりコメントが届きました。

・今回の資金調達の目的は何ですか?

今回調達した資金を用いて、大学との共同研究、医療機関と協力したデータ収集、AIやロボティクスをコアとした自社内での技術開発を加速させ、胚培養士の高度な判断を支援するAI支援システムおよび、培養室作業を自動化するためのプロダクトの開発を進めて参ります。

・今後の展望を教えてください。

生殖補助医療の質及び成功率向上ためのプロダクト開発を通じて、「誰もが安全で質の高い不妊治療を受けられる世の中」の実現を目指します。

・読者へのメッセージをお願いします。

日本では昨年、出生数が80万人を下回る一方で、不妊治療を受けていらっしゃる患者様は年々増えております。

この課題は中国やヨーロッパなどの他の国や地域でも同様に起きており、質の高い治療を世界中で享受できるよう弊社の技術開発に取り組んで参ります。

弊社のこういった取り組みについて関心を持っていただける方がいらっしゃいましたら、採用活動強化中ですので、ぜひお気軽に一度ご相談いただけますと幸いです。

革新的なプロダクトを実現するには、潤沢な研究資金の確保や、協力してくれる企業・組織を見つけることが重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCなどから出資を受けるためのノウハウなどを詳しく解説しています。

カテゴリ 有望企業
関連タグ AI ロボット ロボティクス 不妊治療 株式会社 自動化 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
【起業準備】会社設立前に絶対にやるべき10のアクションリスト
あなたの会社に合った補助金・助成金がすぐわかる!自動マッチングツールを導入しよう
一般社団法人設立サムネイル
一般社団法人の設立方法を徹底解説|手続きの流れ・必要書類・費用・メリットなど
企業組合とは?設立方法とメリット・デメリットを紹介
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!
【2025年最新】東京都の創業・起業者支援「創業助成金(創業助成事業)」について解説

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

スマートフォン向けOS「SUNBLAZE OS」開発の「アメグミ」が3,800万円調達
2019年7月2日、株式会社アメグミは、総額3,800万円の資金調達を実施したことを発表しました。 新しいスマホ向けOS「SUNBLAZE OS」を開発しています。 新興国(インドやインドネシア、カン…
飲食提供事業者向け食物アレルギー対応ITサービスを提供する「CAN EAT」が5000万円調達
2024年8月15日、株式会社CAN EATは、約5000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、一般財団法人KIBOWが運営する「KIBOW社会投資ファンド3号」です。 CAN EA…
フィットネスジム専用AI画像解析サービス「GYM DX」を提供する「Opt Fit」が資金調達
2024年1月10日、株式会社Opt Fitは、資金調達を実施したことを発表しました。 今回の資金調達によってシリーズAラウンドを完了しました。シリーズAラウンドでは累計約3.3億円を調達しています。…
AIエンジンの研究開発・製品化を展開する「Nextremer」が資金調達
2020年2月17日、株式会社Nextremerは、資金調達を実施したことを発表しました。 機械学習を中心としたAIテクノロジーの社会実装を目指し、研究開発・製品化を行っています。 具体的には、自社研…
Webマーケティングスクール「デジプロ」を運営する「Hagakure」と「マイクロアド」が資本業務提携
株式会社マイクロアドは、株式会社Hagakureに資本参加し、業務提携を締結したことを発表しました。 Hagakureは、Webマーケティングスクール「デジプロ」を運営しています。 デジタル広告運用の…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集