トルビズオン 増本衛|世界初!ドローン航行のための上空シェアリングサービス「sora:share(ソラシェア)」で目指す空の自由化

創業手帳

日本のドローン産業の未来のために!「空のシェアリングエコノミーサービス」に賭ける情熱

「sora:share(ソラシェア)」とは、地権者の所有地上空でのドローン飛行に対する同意可否の選択および希望者への収益化が可能なプラットフォームです。

2014年創業のTrueBizon(以下トルビズオン)は、上空シェアリングサービス「ソラシェア」、ドローン事業開発コンサルティングなどを提供しています。

​​代表取締役である増本さんが起業された経緯や、ソラシェアで目指すドローン産業の発展とは?創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

増本 衛(ますもと まもる)
株式会社トルビズオン 代表取締役
西南学院大学法学部、九州大学MBA卒。大卒後、日本テレコム(現ソフトバンク)に営業職として入社。2014年にトルビズオンを起業し、ドローン事業を立ち上げた。その後、ドローンの社会受容性を高めるための上空シェアリング「sora:share」のモデルを考案し、ビジネスモデル特許を取得。同事業モデルの紹介で、テレビ東京「ガイアの夜明け」やTBS「がっちりマンデー」などメディアに多数出演。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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人生を大きく変えたドローンとの出会い

大久保:まずは起業までの経緯についてお聞かせ願えますか。

増本:大学卒業後、ソフトバンクテレコムの前身である日本テレコムに入社し、キャリアを積みました。

その後、故郷の福岡に帰って家業を継いだのですが、自分の希望する方向性とは異なる分野でしたので悩んでしまって。試行錯誤の末、ゼロから作り上げる事業、かつ通信業界の経験を活かせるIT系での起業を決意しました。

大久保:日本テレコムは公共系通信企業ですので、現在のドローン事業との親和性が高そうですよね。

増本:はい。それからインターネット創世記特有のカオスな状況を体験できたのもよかったですね(笑)。ドローン業界の中でも新たなビジネスモデル構築への挑戦となりましたので、当時の「がんばるぞー!」という熱意が現在も活きています。

大久保:トルビズオンの設立は2014年ですが、ドローン事業でサービス展開するようになったのはいつからでしょうか?

増本2015年です。創業時はSNSと動画を組み合わせたサービスを提供していたのですが、どうもしっくりこなかったんですね。

そんなときに出会ったのがドローンでした。直感的に「ドローンは世界を変えるのではないか?」と。翌年の2015年からドローン事業に舵を切りました。

インスピレーションを得たフランス・ボルドー視察

大久保:ドローンビジネスを始めるに至った経緯について、詳しくお話しいただけますか。

増本フランス南西部のボルドーへの視察が大きな転機となりました。

トルビズオンの創業当時は、福岡市がスタートアップ都市として盛り上がり始めた時期だったんですね。その福岡市主催イベントの一環として、海外視察へのお声がけをいただきました。シリコンバレーをはじめ、台北や広州、ヘルシンキなどを回ったのですが、とりわけドローン産業が進んでいたのがボルドーです。

エアバスが本社を構えるトゥールーズという町の近隣に位置するボルドーでは、郊外に全長数十キロメートルのドローン飛行実験場を保有するなど、地の利を活かしたドローン事業が盛んでした。現地でその光景を目の当たりにして、インスピレーションを得たんですね。

ボルドーはドローンを自由に飛ばせる広大なエリアを持っている。一方、人口密度が高い日本国内で考えてみると、同じ条件で実現するのはまず無理だろう。ただし、似たような環境構築は可能なのでは?と。

私たちは数十キロもの実験場を持つことはできませんが、地権者自ら「私の土地の上空を飛行してもいいよ!」と快諾してくださる状況を作り、空をシェアしてもらえばいいわけです。そうすればドローンに対する社会受容性が高まり、日本国内でもドローン事業が加速するはずなんですね。

この着眼点から構築したビジネスモデルが「sora:share(ソラシェア)」です。

大久保:まさに逆転の発想ですね。日本ならではの克服術ともいえます。

増本:はい。国土が広大な中国やアメリカ、サハラ砂漠を持つアフリカなどでは、まずこうした提言は生まれないと思います。

日本では国土の狭さをカバーするために、あらゆる技術が発展してきました。最たる例が地下鉄をはじめとした鉄道網です。世界最高レベルの緻密さで設計されたトランスポーテーションのデザインおよび技術は、空にも通ずる概念だと思っています。

プラットフォーム「sora:share(ソラシェア)」の誕生

大久保:ドローン事業開始以降の変遷についてお聞かせください。

増本:最初はドローンの空撮オペレーターから始まり、次に中国の深センにあるドローンメーカー「DJI」の国内代理店としてドローン販売。続いてドローンオペレーターの教育事業。徐々に展開し、ピボットしながらビジネスチャンスを探っていきました。

大久保:現在の事業モデルへと拡大したタイミングはいつ頃でしょうか?

増本:大手インフラ企業からお声がけをいただくようになった2018年です。

当初はドローン事業者や空撮を希望するメディアとの取引が多かったのですが、業績が伸びるにつれて高速道路や鉄道、電力などのインフラ業界から「インフラの点検にドローンを活用したい」という依頼が入るようになったんですね。

このインフラ点検を実証実験として事業化する中で発生したのが空域問題でした。

自社所有地の上空でドローンを飛行させるのであれば、国の許可だけ取れば問題ありません。ところが長距離を飛ぶとなると、各地域に住んでいる方々との調整が必要になります。

たとえば「6月10日の11時〜12時に、ご自宅上空でドローン航空飛行を計画しています。よろしいでしょうか?」と1軒ずつ回って合意を得なければならない。非常に煩雑で面倒くさいんですね。

ただ、煩雑で面倒ということは「ビジネスチャンスになる!」と考えました。先ほどもお伝えしましたが、この着想で誕生したのが、地権者の合意形成を得るためのプラットフォーム「ソラシェア」です。

大久保:ビジネスモデル特許の取得後に発表されたという経緯を伺って、非常に手堅いと感じました。

増本:ジャストアイデアだと自負していましたので、模倣を防ぐために慎重に進めました。ソラシェアは2018年のリリースからブラッシュアップを続け、現在のサービス内容となっていますが、その都度特許を取っています。

ソラシェアでドローン市場発展のための課題を解決

大久保:ソラシェアの詳しいお話をお伺いする前に、2022年は日本が本格的なドローン立国を目指す飛躍の年と言われている背景についてお教えいただけますか。

増本:今年は国土交通省の主導のもと、新制度創設が続きます。主なところでは、ドローンのナンバープレートに相当する機体登録制度やオペレーターの国家ライセンス制度、車に例えると車検にあたる機体検定など。あらゆる制度を整え、規制緩和が始まるんですね。

おかげさまで弊社のドローン事業も順調に伸びており、大手企業からのお声がけも増加しています。ドローン市場への期待が増している昨今の傾向を実感する毎日です。

大久保:ドローン市場を発展させる上で、クリアしなければならない課題などはありますか?

増本:私たちがソラシェアをサービス化する原動力となった「地権者の合意形成の難しさ」が、さらに大きな問題となっています。

小型ドローンが月1回飛行する程度であれば、誰からも異論は出ません。ところが、大型の物流ドローンとなると話は変わってきます。重さ数十キロの鉄の塊が居住エリアの上空を飛ぶとなったとき、「本当に大丈夫なの?」と不安を感じる方が非常に多いんですね。

このネックを抱えたままですと、やはりビジネスは加速しません。だからこそ、発表当初はアイデアの域を出なかったソラシェアが、本格的なビジネスモデルとして発展するタイミングがやってきたと考えています。

大久保:先ほど「リリースからブラッシュアップを続けてきた」とお話しいただきましたが、現在のソラシェアのサービス内容をお聞かせください。

増本:大きく分けて4つのサービスで構成されています。

まず1つ目は、地権者がドローン航行を許可した土地の上空をユーザーが活用するサービスです。土地所有者とドローンユーザーをつなぎ、空撮や練習用に空をシェアする「sora:market(ソラマーケット)」と、地権者合意をつなぎ合わせて空の道をつくる「sora:road(ソラロード)」を用意しています。

大久保:地権者への特典もあるそうですね。

増本:はい。2つ目になるのですが、土地を登録してくださった地権者にインセンティブを付与しています。土地所有者側にもメリットがあることで、合意形成が得やすくなっているんですね。

3つ目は、ソラシェアを利用する事業者のドローンに対して、自動的に保険が適用されるサービスです。現在の制度だとドローンは任意保険ですので、ドローン事業者と地権者・居住者双方に安心をお届けしたいという理念から始めました。

最後の4つ目は現在開発中なのですが、ドローン事業者向けに天候や山の高低差、送電線の高さ、妨害電波の発生地などをまとめた飛行リスク情報の提供です。この情報があれば、リスクを回避しながらドローンを飛行させることができます。

事業者はこれまで、合意調整から保険加入、航空支援情報の取得など、すべてのリスクアセスメントを行った上でドローンを飛行させていました。今後はソラシェアを利用していただければ、煩わしさから解放されてドローン航行に注力できる環境を提供いたします。

わずか24分で6000万を達成した「空の道プロジェクト」

大久保:ソラシェアの利用事業者が拡大しているとのことですが、自治体の利用も増えているそうですね。

増本:私たちが提供している空の安心・安全を担保する仕組みと、自治体との相性が良いんですね。あらゆるリスクをクリアした飛行可能な空域を確保する事業者という評価を得まして、福岡・下関・つくば・神戸・多久・伊豆半島・新居浜・宗像・福島と利用自治体が増加し、各地で実証実験を行っています。

大久保:自治体のほかに、どのような業界が活用しているのでしょうか?

増本物流業界をはじめ、電力会社、小売業、情報通信業、保険会社、医師会、医薬品産業、百貨店などが主な顧客です。

大久保:2021年にはクラウドファンディングにも挑戦されたと伺っています。大成功だったそうですね。

増本:おかげさまで驚きの結果となりました。

投資家と事業者のマッチングクラウドファンディング「FUNDINNO」に「空の道プロジェクト」としてチャレンジしたのですが、空のまちづくりセミナーの無償提供をはじめとした特典を出したところ、開始からわずか24分で6000万もの支援をいただいたんですね。非常に高い注目を集めているんだなと、喜びもひとしおでした。

佐賀県多久市で開催したセミナーは、居住エリアで配送ドローンを用いた「空のまちおこし」をプロデュースする方法を体系的に学べる内容だったのですが、私たちはこのプロデューサーを「スカイディベロッパー」と位置づけ、新たな職種として定着を目指しています。

スカイディベロッパーの確立に注力している理由は、空のまちづくりの担い手は地域の方々でないと成功しないという理念があるからです。

たとえば外部の人間が入っていって「明日からドローンを飛ばします!」などと宣言しても、「なんだお前!?」と一笑に付されて終わってしまいます。ところが各地域でまちづくりに尽力されている方々が訴えかけると、自然と耳を傾けながら応援してくださるんですね。

私たちのスカイディベロッパープロジェクトのミッションは、スカイディベロッパーを全国津々浦々に配置し、空のマーケットを広げていくことです。皆さんの成果を保証するため、開拓した空路の証明にNFTを導入するなどバックアップにも力を入れていく予定です。

取り組むべきは「自分が一番ワクワクすること」

大久保:最後に、起業家に向けてのメッセージをいただけますか。

増本「自分が一番ワクワクすることに取り組んでほしい」ということをお伝えしたいです。

ただのお金儲けを求める時代でもありませんし、それでは起業家として継続しません。

特に起業家は困難な状況を幾度となく経験することになりますが、地獄のような状況下でも「やりたい!」と思える事業であれば、きっと乗り越えられるんですね。逆に言えば「これがやりたいんだ!」という信念がないと、やはり起業は難しいです。

まずは自分が一番ピンとくる何かを見つけること。見つかったら、資本政策などをきちんと勉強した上で、事業を運営する中で後に戻れないタイミングをリストアップすること。タイミングに直面した際には、メンターに教えを請いながら決断すること。

この3つが大事だと思っています。

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(編集:創業手帳編集部)

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(取材協力: 株式会社トルビズオン 代表取締役 増本衛
(編集: 創業手帳編集部)

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