OKULAB 永松修平|洗濯で世界を変える

創業手帳人気インタビュー

マシンや洗剤、空間にこだわったコインランドリー事業で創業からわずか6年で160店舗まで拡大!

コインランドリーが劇的に進化している。かつては薄暗い、入りにくいというイメージもあったコインランドリーだが、永松さんが手がける「Baluko Laundry Place」はおしゃれな内装で、店舗によってはカフェも併設、機能的にもスニーカー専用のランドリー機器や羽毛布団を洗うことができる専用のコースを搭載した洗濯乾燥機もあり、人気を集めている。

実は永松さんは元家電メーカーのエンジニア。大企業からの独立という形で起業した経緯、組織の作り方などについて、創業手帳代表の大久保がうかがった。

永松 修平(ながまつ しゅうへい)
株式会社OKULAB代表取締役/共同創業者 
2006年、三洋電機株式会社(現・アクア株式会社)入社。業務用洗濯機のエンジニアとしてクリーニング機器、コインランドリー機器の開発に従事。2013年、開発部門から営業企画部門へ異動し、新規コインランドリー事業者の開拓、全国のコインランドリーの売上分析に基づいた店舗マーケィングプラン策定、コインランドリーのIoTシステムのリニューアルなどに従事。2016年、共同創業者である久保田 淳と共に株式会社OKULABを創業。Baluko Laundry Placeの立ち上げや、フレディレック・ウォッシュサロン トーキョーの洗濯サービスのトータルプロデュースなど、次世代のライフスタイルにおける新しい洗濯サービスを生み出す。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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心地よく洗濯を楽しめる空間を作りたかった

大久保:『カンブリア宮殿』を拝見しました。手がけていらっしゃる「Baluko Laundry Place」を見かけたことがあり、なんておしゃれなコインランドリーだろうと思っていたんです。改めて起業までの経緯を教えていただけますか。

永松:大学院修了後に三洋電機に入社して、エンジニアとして洗濯機の開発に関わってきました。もともと家電が好きだったんです。

三洋電機は、当時誰もが知っている家電メーカーで、日本にコインランドリーを作ったと言っても過言ではない存在です。エンジニアだったので、最初はいいマシンとしての洗濯機に興味があったのですが、業務用洗濯機の使い勝手のよさや機能性に、これを生活に取り入れたら快適に過ごせるということをもっと多くの人に伝えたいという思いが湧いてきました。

その後三洋電機がパナソニックの傘下に入ると、リストラ対象となった洗濯機部門を中国メーカーの「ハイアール」が事業譲渡という形で引き受け、「アクア」というブランドで再出発することになったんです。

営業やマーケティングも含めて、いろいろなコインランドリーを回ったりしながらコインランドリー事業をもっと盛り上げるためにどうするかを考えていました。クリーニングサービスも扱っていたのですが、クリーニングの工場にある洗濯機とコインランドリーの洗濯機との違いは、コインメカといって、コインを入れるところがあるかどうかだけなんです。実はコインランドリーの機器は業務用と同じ性能で同じ品質を提供していますし、家庭用よりもたくさんの量を短時間で洗濯できるんです。

いい洗濯やサービスを広げるために取り組んでいましたが、トラディショナルな組織ということもあって、新しい試みに対してなかなかGOが出ませんでした。

その頃「ハイアール」の経営再建チームとして入ってきたのが当時の上司であり現在の共同代表である久保田で、コインランドリー事業でこんなことがやりたいと唱え続けていた私の話を初めてちゃんと聞いてくれたんです。
価値観やビジネスに対する考え方をシェアできて、お互いの足りないところを補い合えるパートナーが見つかり、本当に嬉しかったですね。そして、さきにハイアールを退職した久保田が立ち上げるOKULABにジョインする決断をしました。

大久保:「Baluko Laundry Place」で衝撃的だったのは、洗濯機の無駄が削ぎ落とされたデザインですね。日本のメーカーだと、家電にはとにかくボタンがたくさんついているという印象がありますが、そのあたりはいかがですか。

永松:そうですね、日本のメーカーはどうしても万人向けに製品を作っていますので、あれもこれも説明しないといけないという意識が根強く、それが家電の外見をシンプルにすることを難しくしていると思います。

「アクア」時代からBalukoのようなデザインを提案していましたが、自分としてもエンドユーザーの気持ちを大切にしていて、ユーザーとして本当に必要な機能だけを搭載し、使った人が心地よいと思えるようなデザインにしたいと思っていましたので、機器をはじめ、お客さまが過ごす店舗のデザインにもこだわりがあります。

コインランドリーというのは、土地活用の要素も大きく、基本的に無人で経営されていますので、始める方は、「なるべく手をかけずに利益を出したい」という方も多くいらっしゃいます。だからこそ、マシンや空間、洗剤などにこだわったコインランドリーは勝機があると思って立ち上げました。

業務用洗濯機ってそんなにすごいの?


大久保:業務用洗濯機は、家庭用のものとどう違うのでしょうか?

永松:家庭用洗濯機は樹脂でできていますが、業務用の洗濯機はステンレス製です。カビなどもつきにくいですし、常に動かしているので実は清潔なんです。庫内の空気の循環やサイズなどの性能が家庭用とは格段に違い、家庭用のドラム式だと3〜4時間かかる洗濯・乾燥が1時間で行えますし、容量についても3〜4倍は入りますね。

以前試算したことがあるんですが、ひとり暮らしの成人男性が1週間の洗濯物10kgをコインライドリーで洗うと1回約1000円、家庭のドラム式洗濯乾燥機の値段を耐性期間で割り、それと合わせて光熱費など含めると1回で800円ほど。洗濯乾燥機を購入する場合は最初に約25万くらいの費用がかかりますし、洗濯乾燥機を置く場所も必要です。時短になりますし、体験していただければわかると思うのですが、特にタオルなどは仕上がりも断然いいんですよ。

大久保:現在何店舗ぐらいを運営されているのですか。

永松:現在160店舗です(2022年5月時点)。デベロッパーさんからマンションの設備としての話をいただくこともあり、マンションの下に備え付けで入っている店舗もあります。

また、スニーカー用、羽毛布団用などに特化したマシンやコースもあり、高評価をいただいています。

大久保:そういった特殊なマシンは家庭で購入することが難しいですし、ある意味高性能な洗濯機をみんなでシェアしているともいえますね。最近、カーシェアや駐車場シェア、airbnbなど、シェアリングエコノミーが盛り上がっていますが、この事業もシェアリングエコノミーといえるのではないでしょうか。

マンションに入っているのも便利ですよね。わたしが住んでいるマンションの下にも入ってくれるといいなと思っています(笑)。

もといた会社とは理想的な関係

大久保:独立されたということですが、以前在籍されていた会社とは良好な関係を保っているのでしょうか。

永松:そうですね。マシンの発注もしていますし、コインランドリー業界全体を盛り上げる事業ということで全面的に応援してもらっています

大久保:理想的な関係ですね。組織としては何人ぐらいの人員がいらっしゃるのですか。また、1店舗を開店する費用や収支モデルなども教えていただけますか?

永松:はい。組織としては、社員が60人、パートを入れると120人です。清掃などはまかせているパートナーがいます。フランチャイズで1店舗オープンするのに、だいたい3500万円〜4500万円ほどかかり、利回りは年10%ほど、10年ほどかけて回収していくビジネスモデルとなっています。

コインランドリーは、偶然通りがかって利用するものではないので、完全にリピートビジネスです。3〜4年かけて軌道に乗っていくようなイメージですね。気長なビジネスではありますが、管理や運営などはこちらがしますので、不動産よりも簡単なビジネスといえるのではないでしょうか。

大久保:組織の成長という意味ではいかがでしょうか。最初の資金はどうされたのですか?

永松別事業で作ったお金と、あとは日本政策金融公庫からお借りしました。成長・拡大期には社債を発行したりという対応でここまで来ました。

組織としては、ちょうどいま2回目の拡大期に入っているのですが、1回目の拡大期は採用を急ぎすぎてあまり定着せず、失敗しましたね。やはり人材はとても大事で、差別化できるポイントでもあると思っています。

組織を作る上で重要と感じているのは情報の共有です。1回目の成長期は忙しかったですし、わたしも未熟で、情報の共有の優先度が高くなかったんですね。必要になったときに情報を渡せばいいと思っていました。そうすると社員のモチベーションも上がらないですし、自分のミスに気づいて、今はできる限りオープンにしています。

大久保:確かに忙しいとつい自分で処理しようとしがちですよね。大企業からの起業ということで、日本の大企業に対して思うことはありますか。

永松:業界によっても多少差はあるかもしれませんが、新しい事業を作ることについては不得意な傾向があると感じます。高度経済成長期に大きくなった会社はその当時の勝ちパターンにとらわれているケースが見られますね。変化を好まない文化があると思います。

アップルなどは見事だなと思うのですが、メーカーであればユーザーに合わせないといけないですし、ベンチャー企業を活かしていく文化にしていかないといけないと思っています。上手に利用できる大手は伸びていくと思いますね。

大久保:手続きが煩雑だったりすることもありますが、判断が遅い傾向がありますよね。スタートアップで働くということについてはいかがですか。

永松:人によってはしんどいことかもしれませんが、自分の進みたい方に進める、成長を自覚できたり、達成感を感じることができるのが醍醐味だと思っています。世の中に何かしら爪痕を残したいと思っている方は、働き方も多様化していますのでチャレンジしてみてもいいのではないでしょうか。

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