【2022年最新】設備投資に使える補助金・助成金|中小企業・個人事業主向け

創業手帳

ものづくり補助金等を生産効率向上に役立てましょう!「設備」の定義や補助金の対象費用なども紹介します

中小企業や個人事業主が事業を営むうえで、設備投資はとても重要です。新たに機材やシステムなどを導入することで、生産性の向上や事業規模の拡大が期待できます

設備投資を考えるときに頭をもたげるのは、多額の費用がかかることでしょう。しかし、費用の負担は、国の補助金や助成金を活用することで、大きく軽減することが可能です。

以上を踏まえ、今回は中小企業の設備投資におすすめの補助金・助成金を紹介します。「設備」の定義や設備投資のメリットなども、改めて解説するのでぜひ参考にしてください。

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設備投資とは?

設備投資とは、企業が事業の継続・発展のために、有形・無形のさまざまな資産にお金を投入することです。具体的には、生産設備を新しく買ったり、古くなったソフトウェアを買い替えたりすることなどを指します。

「設備」にはどのようなものが含まれる?

「有形固定資産」は、土地・建物・機械・備品・車両などを指し、「無形固定資産」は、ソフトウェア、商標権、特許などを指す。

出典:経済産業省「2022年版ものづくり白書」, 第5章 設備投資

設備投資の「設備」は、有形固定資産と無形固定資産に分類されます。

有形固定資産では、機械のほか、事業に必要とあれば土地や車、エアコンなども対象です。無形固定資産については、ソフトウェアに加え、商標権や特許なども設備に含まれます。

よって、事業をよくするために何かを取り入れる行為は、すべて設備投資といっても良いでしょう。実際、あとで紹介する補助金・助成金も、幅広い用途で利用することができます。

設備投資をするメリットは?

設備投資をすることで得られるメリットは、主に以下の3つです。これらは、中小企業が設備投資をする目的とも言い換えられます。

1. 生産性の向上による利益の増大

性能に優れた新しい設備を投入すれば、生産性を向上させることが可能です。具体的には、同じ労力でより多くの商品を作れるようになったり、より少ない人数で業務を回せるようになったりします。

生産効率が向上すれば、時間単位の生産高が上がり、場合によっては人件費も減らせるので、利益の増大が見込めます。また人員削減ないしは人手不足により、限られた人数で業務を行わなければならない場合にも、設備投資によって生産性を上げることは有意義です。

2. 事業の拡大に対応できる

想定を超える市場のニーズがあり、現状の設備では生産が追いつかないような場合にも、設備投資は有効です。増産に向けて、新しい機材を導入したり、拠点を増やしたりすることで、事業の規模を拡大できます。

なお、的確に事業を広げるには、市場のニーズを正確に把握することが必要です。

3. 老朽化による故障やシステム障害を回避できる

古い機械やシステムを長年使い続けていると、老朽化による故障やシステム障害により、事業が止まってしまうリスクが高まります。設備投資による機材やシステムの更新には、そのようなリスクを回避できるというメリットもあります。

また古い設備は、新しいものに比べて性能が悪く、修理や点検にかかる費用やランニングコストが割高になるケースも多いです。そのため、経費節減の観点からも、設備投資はしたほうが良いといえます。

設備投資に使える補助金・助成金

中小企業や個人事業主は、設備投資の際に以下の補助金・助成金を使えます。新しい設備の投入にかかる費用負担をできるだけ少なくしたい場合に、ぜひお役立てください。

なお、ご覧いただくタイミングによっては、公募申請の受付が終了している可能性もあります。申請期間をご確認のうえ、応募できない場合は次年度を待つ、ほかの補助金・助成金を探すなどの対応をご検討ください。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、革新的サービスの開発や生産プロセスの改善のため、設備投資等を行う中小企業や個人事業主を支援する制度です。機械・システムの導入費用だけでなく、専門家経費や運搬費、クラウドサービス利用費など、設備投資にかかるさまざまな経費が補助の対象となります

ものづくり補助金の補助金額や補助率などは以下の通りです。

補助金額 一般型
【通常枠】100万円〜1,250万円
【回復型賃上げ・雇用拡大枠】100万円〜1,250万円
【デジタル枠】100万円〜1,250万円
【グリーン枠】100万円〜2,000万円

グローバル展開型 1,000万円〜3,000万円

※従業員規模によって金額が異なる
補助率 一般型
【通常枠】1/2 小規模事業者等 2/3
【回復型賃上げ・雇用拡大枠】2/3
【デジタル枠】2/3
【グリーン枠】2/3

グローバル展開型 1/2 小規模事業者等 2/3
補助要件 【基本要件】以下を満たす3〜5年の事業計画を策定し、実行する

・付加価値額  +3%以上/年
・給与支給総額 +1.5%以上/年
・事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円

※回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠については、追加要件あり
補助対象経費 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費(グローバル展開型のみ適用)

参考:「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(13次締切分)]

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小さな会社や個人事業主などの販路開拓、生産性の向上、持続的発展を支援する制度です。こちらも機械装置等費のほか、ウェブサイト関連費や旅費、資料購入費など、設備投資にかかるさまざまな費用が対象となります。

小規模事業者持続化補助金の補助上限や補助率などは以下の通りです。

補助上限 【通常枠】     50万円
【賃金引上げ枠】 200万円
【卒業枠】    200万円
【後継者支援枠】 200万円
【創業枠】    200万円
【インボイス枠】 100万円
補助率 2/3
賃金引上げのうち赤字事業者については3/4
補助対象者 小規模事業者の定義(常時する従業員の数)
・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 5人以下
・サービス業のうち宿泊業・娯楽業     20人以下
・製造業その他              20人以下

補助対象者の範囲
◯補助対象となりうる者 
・会社および会社に準ずる営利法人
・個人事業主(商工業者)
・一定の要件を満たした特別非営利活動法人

◯補助対象にならない者
・医師、歯科医師、助産師
・系統出荷による収入のみである個人農業者(個人
の林業・水産業者についても同様)
・協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
・一般社団法人、公益社団法人
・一般財団法人、公益財団法人
・医療法人
・宗教法人
・学校法人
・学校法人
・農業組合法人
・社会福祉法人
・申請時点で開業していない創業予定者 
・任意団体 など
補助対象経費 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費

参考:「小規模事業者持続化補助金<一般型> 公募要領」

業務改善助成金

業務改善助成金は、生産性向上を目指す中小企業や小規模事業者を支援するための制度です。事業場内最低賃金を一定金額以上引き上げた場合、設備投資等にかかった費用の一部が助成されます

設備投資等としては、「機械装置、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練」が想定されています。

業務改善助成金の助成額や支給の要件などは以下の通りです。

支給額 30円コース
・1人     30万円
・2〜3人  50万円
・4〜6人  70万円
・7人以上  100万円
・10人以上 120万円

45円コース
・1人     45万円
・2〜3人   70万円
・4〜6人  100万円
・7人以上  150万円
・10人以上 180万円

60円コース
・1人     60万円
・2〜3人   90万円
・4〜6人  150万円
・7人以上  230万円
・10人以上 300万円

90円コース
・1人     90万円
・2〜3人  150万円
・4〜6人  270万円
・7人以上  450万円
・10人以上 600万円

※「◯円コース」では、「事業場内最低賃金を◯円以上引き上げる」
※人数は「引き上げる労働者数」
助成率 【事業場内最低賃金870円未満】      9/10
【事業場内最低賃金870円以上920円未満】 4/5  生産性要件を満たした場合は9/10
【事業場内最低賃金920円以上】      3/4  生産性要件を満たした場合は4/5
助成対象事業場 以下2つを満たす事業場
・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内
・事業場規模100人以下
支給の要件 1 賃金引上計画を策定し、事業場内最低値金銀を一定額以上引上げ(就業規則等に規定する)
2 引上げ後の賃金額を支払う
3 生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施して業務改善を行い、その費用を支払う
4 解雇、賃金引上げ等の不交付事由がない など

参考:厚生労働省「業務改善助成金について」

働き方改革推進助成金

働き方改革推進助成金は、生産性を向上させ、働き方改革に関する取り組みを行う中小企業を支援する制度です。「労働時間短縮・年休促進支援コース」、「労働時間適正管理推進コース」、「勤務間インターバル導入コース」の3つがあります。

設備投資によって生産効率を上げるとともに、社員のワークライフバランスを実現したい場合などにぜひご活用ください。

働き方改革推進支援助成金の支給額や支給対象となる取り組みなどは以下の通りです。

支給額 【労働時間短縮・年休促進支援コース】 最大490万円 

※労働時間短縮等の成果目標の達成状況、賃金額の引上げによる加算額などによる

【労働時間適正管理推進コース】
・上限100万円 ※補助率3/4もしくは4/5
・+15万円〜240万円 ※賃金額の引上げの状況によって加算

【勤務間インターバル導入コース】
・40万円〜100万円 ※補助率3/4もしくは4/5
・+15万円〜240万円 ※賃金額の引上げの状況によって加算
支給対象
となる取り組み

いずれか1つ以上実施

1労務管理担当者に対する研修
2労働者に対する研修、周知・啓発
3外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
4就業規則・労使協定等の作成・変更
5人材確保に向けた取組
6労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7労務管理用機器の導入・更新
8デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

※研修には、業務研修も含む
※パソコン、タブレット、スマートフォンは原則として対象外

参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金」

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)は、事業承継をきっかけに経営革新に乗り出す中小企業の、設備投資や販路開拓等を支援する制度です。「創業支援型(I型)」、「経営者交代型(II型)」、「M&A型(III型)」の3類型があります。

事業承継・引き継ぎ補助金(経営革新)の補助上限額や補助率等は以下の通りです。

補助上限額 600万円以内
(※生産性向上要件を満たさない場合は400万円以内
※廃業費用に関連する上乗せ額は150万円以内)
補助率 2/3以内
(※補助額の内400万円超~600万円の部分の補助率は1/2)

事業承継の要件 【創業支援型(I型)】
以下の1〜2をいずれも満たす
1 事業承継対象期間内に中小企業を設立する、もしくは個人事業主として開業する
2 創業にあたり、廃業予定の者などから、株式譲渡や事業譲渡等により、経営資源を引き継いでいる

【経営者交代型(II型)】
以下の1〜2をいずれも満たす
1 親族内承継や従業員承継などの事業承継(事業再生を伴うものも含む)
2 産業競争力強化法に基づく認定市区町村または認定連携創業支援事業者から特定創業支援事業を受ける者など、経営等に関して一定の実績や知識などを有している

【M&A(III型)】
以下の1〜2をいずれも満たす
1 事業再編・事業統合等のM&A
2 産業競争力強化法に基づく認定市区町村または認定連携創業支援事業者から特定創業支援事業を受ける者など、経営等に関して一定の実績や知識などを有している

※補助上限額および補助率は「令和3年度補正予算」の情報
参考:事業承継・引継ぎ補助金「経営革新事業とは」

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や個人事業主がITツール(主にソフトウェア)を導入する際に活用できる補助金です。会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに特化した「デジタル化基盤導入枠」では、PCやタブレットなどの購入費用も補助されます。

IT導入補助金の補助額や補助率などは以下の通りです。

補助額 通常枠
【A類型】30万〜150万円未満
【B類型】150万〜450万円以下

セキュリティ対策推進枠 5万〜100万円

デジタル化基盤導入類型
【ソフトウェア】 5万円〜350万円
【ハードウェア】 10万円もしくは20万円 ※購入する機器による
補助率 通常枠
【A類型】1/2以内
【B類型】1/2以内

セキュリティ対策推進枠 1/2以内

デジタル化基盤導入類型
【ソフトウェア】 50万円以下部分は3/4以内、それ以上は2/3以内
【ハードウェア】 1/2以内
補助要件 ・事業場内最低賃金≧地域別最低賃金
・gBizIDプライムを取得している
・IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言を行う など
補助対象経費 ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費、デジタル化基盤導入枠はハードウェア購入費(PC・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機器、レジ・券売機等)も対象

参考:IT導入補助金2022公式サイト

地方自治体の支援制度も活用できる!

上記で紹介した国の補助金・助成金のほか、地方自治体が独自に行なっている支援事業もあります。場合によっては、国のものより条件が良かったり、利用しやすかったりすることも考えられるので、ぜひ一度リサーチしてみてください。

ちなみに全国の主要都市を見ると、中小企業の設備投資にかかる以下のような支援制度がありました。

  • 中小企業設備投資支援補助金事業(東大阪市)
  • 生産性向上のための設備投資補助金(千葉県)
  • 自家消費型太陽光発電設備導入補助金制度(札幌市)
  • 省エネ対策設備導入補助制度(飛騨市)
  • 新型コロナウイルス対策設備投資等支援事業(東京都北区)

中小企業の設備投資にかかる税額控除も存在

補助金や助成金のほか、投資をする中小企業に向けて、国は以下のような税額控除も設けています。設備新たに機械装置等を導入する際は、こうした税制措置も有効活用するのがおすすめです。

税制 控除内容
中小企業投資促進税制 機械装置等の対象設備を取得・製作等した場合に、取得価格の30%の特別償却、もしくは7%の税額控除が適用される
中小企業経営強化税制 新品の特定経営力向上設備等を取得・製作・建設した場合、その事業年度に特別償却(全額)もしくは税額控除(7%)が適用される
固定資産税の特例 生産性向上に資する指標で基準を満たす設備等を導入した場合、固定資産税の課税標準が3年間、0〜1/2に軽減される

※各税制ごとに要件や期間等の制限あり

まとめ

設備投資をすることで、中小企業は生産性の向上や事業規模の拡大といったメリットを享受できます。また機械やシステムを一新することで、それらの老朽化が引き起こすトラブルを予防できる点も魅力です。

以上のような利点を求めて設備投資を行う際は、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金等をご活用ください。そのほか、必要に応じて、自治体の支援制度や税額控除にも注目してみましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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