akippa 金谷元気|駐車場シェアサービスで世界一を目指す

創業手帳人気インタビュー

マンションの1室で起業した高卒社長が総額35億円を資金調達!

オーナーが使っていない駐車場をシェアして、コインパーキングよりも安く停めることができるサービス「akippa」を知っているだろうか。

このサービスを開発した金谷氏は、もともとプロサッカー選手を目指して元旦以外の364日をサッカーに注いできたスポーツマン。生まれ育った大阪を愛し、今も大阪に本社を置いてakippaを運営している。

だが最初から順風満帆だったわけではなく、起業からakippaの事業を始めるまでには苦難の連続だったとか。ワンルームのマンションで起業した会社が、今のように大きくなるまでの軌跡を創業手帳代表の大久保がうかがった。

金谷 元気(かなや げんき)
akippa株式会社 代表取締役社長 CEO
1984年、大阪府生まれ。高校卒業後より4年間、Jリーガーをめざし関西リーグなどでプレー。引退後に上場企業にて2年間営業を経験する。2009年2月に24歳で1人暮らしをしていたワンルームの部屋で会社を設立。2014年からは、契約されていない月極駐車場や、マンションの駐車場などを15分単位で貸し借りできる駐車場シェアサービス『akippa』を運営。これまでにSOMPOホールディングス、DeNA、グロービス・キャピタル・パートナーズ、住友商事など大手企業から総額35億円以上の資金調達を実施している。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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サッカー選手を諦め、得意の営業力を生かして起業するまで

大久保:起業されるまで波乱万丈だったとうかがっています。

金谷:そうですね。もともとサッカーでスポーツ選手になるという夢を追いかけていたので、引退したときに魅力を感じることがあまりなかったんです。また、自分でも指示を受けて仕事をするということは向かないタイプだと思っていました。

サッカーをしながら飲食店中心にいろいろなアルバイトをしていたんですが、全く仕事ができず、仕事ができないのでシフトを入れてもらえなくなってくるんですよね。そんな日々を送っていた頃の話ですが、ある雨の日に電車代に困って100円で買った傘を300円で売ってみたら見事に売れたことがあり、営業という仕事なら自分にもできるのではないかと思いました。

同時に商売にも興味を持って書籍を読んだ結果、起業しようと決めたのですが、勉強のために上場企業で1年半だけ営業を経験したんです。会社とはこういうものなのかということを学びましたし、他の人が訪問しなさそうなところに行って営業するということを思いつき、実行していました。

契約が取れたら、そこに1社か2社紹介してもらうという「笑っていいとも方式」で営業の幅を広げていきました。他の人なら嫌がるようなところでも、怖いというより「どんなことが待っているんだろう?」というわくわく感があり、ゲーム感覚というか、楽しみながら仕事をしていましたね。楽しかったらハードシングスも頑張れるというのは昔からの哲学かもしれません。

大久保:最初の起業は合同会社だったんですよね。

金谷:2009年の2月に資本金5万円で合同会社を立ち上げました。本当は株式会社を作りたかったんですが、資金が足りなくて。オフィスは自分が住んでいた家賃4万円ぐらいの家で、会社名は「ギャラクシーエージェンシー」でした。サッカーのスーパースターたちが所属していた頃のレアル・マドリードが「銀河系軍団」と呼ばれていたところから名前を取りました。レアルのように世界一の企業にするという思いを込めました。

大久保:立ち上げ当初はどのような事業をやられていたんですか。

金谷:起業時は暗黒でしたね。在庫を気にしなくてよく、入金サイクルが早いという理由で携帯電話の法人向けの販売を行いました。営業力にも自信がありましたし。ショッピングモールでウォーターサーバーやインターネット回線を売るという仕事も、ジャパネットたかたの社長であった高田明さんの物真似をしたりしながら、楽しんでやっていました。その後独学で求人サイトを作り、それを売るということをしていました。

大久保:採用などはどのようにしていたのですか。

金谷:求人を出すお金もなかったので、合コンで会った人や知り合いに声をかけて来てもらいました。記録を見返すと、当時、自分の給料は8万4千円しかもらっていませんでした。自分の給料よりも会社の拡大を目指してそこに投資しようと思っていましたね。

もっと上を目指したいと考えたときに、自社開発の携帯ゲームで急激に売上を伸ばしていたDeNAさんなどを見ていると社員ひとりあたりの売上げが高く、営業担当者を増やすだけでは駄目なのかな、営業だけでは難しいのかなという思いが生まれました。

それでいろいろリサーチしていると、個人宅の警備をしているセコムさんの事例が出てきました。契約が増えれば増えるほど人員が必要だったけれど、ある時点からシステムが管理して、緊急事態になったら人が出動するという体制になったんですよね。初期投資は必要だけれど労働集約型にはならないということです。

昔から、何かアイディアを得たいと思ったら本屋に行くんです。起業家の家入さんの著作などを読み、自分もプラットフォーマーになりたいと感じました。ただこの時点ではエンジニアもいませんでしたし、なんのイメージもわかなかったんです。

テレアポで6500万円の資金調達を達成

大久保:そこからどうやってakippaが生まれたのですか。

金谷:そこから紆余曲折ありまして、成果型求人サイトをローンチしたのですが、あまりうまくいかず、会社の残金がほぼない状態が半年ぐらい続いていました。社員が30名ほどいたのですが、ひとりも解雇はしないと決めて、個人でお金を借りたりしてして給料を払っていました。

当時28才だったのですが、寝られない日もありました、というべきかもしれませんが、寝られない日は特になくて(笑)、毎日ちゃんと寝ることが大事と思っていたので、きちんと寝て朝ごはんもちゃんと食べていました

会社のお金を減らさないために、毎月営業数字しか見ていない自分に気づいて、これでは世の中のためにならないという気持ちがありました。

大久保:なるほど。しかし、会社の資金としては非常に危ういところにいたわけですよね。それはどのように解決されたのでしょうか。

金谷:同じ頃に、本屋さんで見つけた『資金調達完璧マニュアル』を読んでベンチャーキャピタルの存在を知りました。その時はakippaの構想もまだできておらず、お金を出してもらう対象としては組織としての将来性だけだったのですが、多くのVCにテレアポして自分の熱意を伝えました。

結果として、最大手のJAFCOさんが6500万円ほど出資してくれました。

当時はまだピッチイベントなどもあまりなく、他の手法も知らなかったのでテレアポしました。僕が応対していましたが、社員が取り次ぐときの挨拶などに好感を持ってもらえたようで、「人に対して出したい」と言って出資していただけました。

資金調達をしたものの自分の給料はまだ受け取っていなかったので、不払いによって家の電気が止まってしまい、電気って本当に大切だな、と思いました。そして電気のように世の中に必要不可欠なサービスを作りたい!と心から思ったんです。そして、会社の経営理念を「”なくてはならぬ”をつくる」と定めました。

”なくてはならぬ”サービスとは困りごとを解決するサービスだと考え、会社全体で、今生活する上で困っていることを200個書き出して、そこから「駐車場は現地に行って初めて満車だとわかる」という困りごとに着目し、akippaとして事業化することを決めました。

大久保:他に同じような事業をやられていた競合もいたと思いますが、今はakippaさんの独走状態だと思います。どこで差がついたのでしょうか?

金谷資金を大量に調達できたからリードできているのだと思いますね。その後も2015年から2016年にかけて10億円ほど調達しました。それで人を増やして営業やマーケティングをかけることができました。

大手のリクルートさんや楽天さんなどもその後駐車場シェアに参入してきたんですが、憧れだった企業が自分たちの市場に入ってくるという事実にわくわくしましたね。人材、資金力、ブランド力、ほかのサービスの顧客など、大手が優位な点はたくさんありましたが、アドレナリン全開だったので、負ける気がしないと思っていました。

駐車場シェアは難易度の高いサービスで、例えばホテルは駅から離れていても人は歩いてくれるんですが、駐車場はそもそもあまり歩きたくない人が使うわけです。250メートル間隔で駐車場がないと使ってもらえないと考え、個人宅もくまなく回っていました。ドミナント戦略で駐車場を集中させることが大事で、大阪で始めてそれを全国に広げようと考えました。そういう意味で地べた営業ができないとダメとわかっていたので、大手には負けないぞという思いがありましたね。

大久保:大手は既に何社か撤退していますが、大手が参入したことでのメリットはありましたか?

金谷ナショナルクライアントの参入で、業界の注目度が上がったことが大きかったですね。もともとは不動産のおまけの駐車場でしたが、徐々に注目され始め、日陰産業だったのが日向産業になりつつあったところを、シェアリングエコノミーで一段上げた感覚はあります。

大阪で事業を続ける理由とは


大久保:採用はどのようにされているのでしょうか。

金谷社員の知り合いなど、リファラル採用が多いですね。徳と才でいうと徳はマストで、会社のカルチャーに合うか合わないかを基準にしています。どれだけスキルが高くても、違和感があったらお断りしています。6年前に執行役員だった人が今はスペシャリストとして活躍してくれている例もあって、役職にこだわらずに役割をうまく変化させつつ、カルチャーを体現してくれている社員が多くいますね。

大久保:大阪で事業を行われていますが、メリットとデメリットはそれぞれありますか。

金谷:スタートアップってクローズドなコミュニティが多くて、何かの集まりがある際などは参加が難しいというデメリットはありますね。あとはすべてメリットだと思っていて、東京で競うよりもエンジニアの採用は有利だと思いますし、家賃も安いですし、ご飯も美味しいです。創業者である自分が事業への情熱を燃やし続けるためには、地元の仲間にすぐに会えて、慣れ親しんだ大好きな街で事業を続けることが大事だと思っています。

大久保:金谷さんはずっと営業力を大切にされていますが、営業の本質とはなんだと思われますか。

金谷相手の人のメリットを最大限考えるようにしていますね。自分が人としてどうあるべきか、人と人として何をどう提案できるかが大切だと感じます。

大久保:今後の展望をお聞かせください。

金谷akippaはこれからも、やればやるほど広がるなという感覚はあります。代理店は47都道府県にあるので、まだまだ駐車場が増えていくと思います。

今後は営業の力だけでなく、誰もが簡単に貸し出せるプロダクトに進化させていきたいです。そのため採用枠の9割はエンジニアです。
誰もが簡単に貸し出せるプロダクトになっていけば海外進出も考えられるので、コロナ禍前にはジャカルタなどに視察に行ったりもしました。

EVが今後増えていくため、駐車場を充電スポットに進化させることも考えています。

トレンドはあまり重視していなくて、特定の課題をテクノロジーや営業で解決するという感覚が強いですね。シェアリングエコノミーは最初は言葉すら知らなくて、たまたま当てはまったという感じです。自分が実現させたい未来を見ていると、左右されないと感じています。

『高卒IT 高卒のフリーターが会員150万人のIT企業をつくった話』 金谷元気  幻冬舎

金谷氏がどのように今の事業、akippaにたどりついたのかが詳しく語られた書籍。プロサッカー選手を目指していた青年がいかに若き起業家になったのか。常識にとらわれない発想力、行動力、そして周囲の人を巻き込んでいく力に、きっとあなたも感動するはず。

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