【2024年最新】個人事業主のやることリスト!準備や何が必要か開業前にチェックしよう
個人事業主のやることリストがあれば開業準備もスムーズ
●個人事業主が開業前に行うべき準備と手続きのリスト
●開業届の提出や社会保険の加入など、必須の行政手続き
●助成金や補助金の確認と確定申告準備の重要性
●開業後に必要な設備やツールの一覧
●インボイス制度対応や資金繰りの計画
個人事業主が、開業にあたって行うべき準備は多岐に渡ります。役所での手続きや必要書類の準備といった作業は、面倒に感じることもあるでしょう。しかし、事業主としてのスタートを切るうえで欠かせないため、避けて通ることはできません。
また、実際に開業に関わる手続きをスタートしてから、想定していなかった工程が発生することもあります。スムーズに自分の事業を始め、発展させるためにも、やるべきことを把握し実行しましょう。
この記事では開業準備や段取り、必要な書類について解説します。余裕をもって対応できるよう、ひとつずつ対応していきましょう。
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この記事の目次
個人事業主の開業時にやることリスト
自分のアイデアで勝負するために、新しく事業を興す人も増えています。
しかし、起業するにあたり、何の手続きから始めればいいのかと悩む人も多いかもしれません。独立や開業にあたっては、いくつかの事務手続きも必要です。
必要な手続きについては、あらかじめリスト化しておくと漏れがなくスケジュール管理も行えます。
ここでは、個人事業主となる人や事業を興す人が開業時にやることをリストで紹介します。まずは、どの手続きが必要なのかを確認してみてください。
以下で、それぞれ詳しく解説します。
- 【個人事業主の開業時にやることリスト】
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①事業計画を作成する
②就業規則を確認する
③社会保険に加入する
④開業届を提出する
⑤許認可の申請を行う
⑥利用できる補助金や助成金がないかチェックする
⑦確定申告の準備を始めておく
⑧インボイス制度に対応する
①事業計画を作成する
開業するにあたって、自分がどのような事業を行うのか明確に整理し、事業計画を作成しましょう。「どのように利益を上げていくのか」「どのような人から自分のサービスの利用が見込まれるのか」「どのように事業を発展させていくか」を考えるうえで、事業計画は道しるべとなる存在です。
たとえば、オリジナリティのある商品やサービスを提供する際には、価格設定やターゲットとなる顧客、集客方法などを考える必要があります。
さらに、自分が参入しようとしている市場の規模や将来性、競合となるライバルを分析しましょう。似たような商品やサービスを提供しても付加価値は生み出しづらいため、差別化を図りながら、自分ならではの強みを把握することをおすすめします。
事業計画が曖昧だと、方向性が不明確なまま手探り状態で事業を始めることになります。予期せぬ問題に直面したり、貴重な資源(資金や時間)を無駄にしてしまう恐れがあるため、事業計画は入念に練りましょう。
②就業規則を確認する
個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営む人を指します。中には、個人事業主になるには会社を辞めないといけないと考えている人もいるかもしれません。
しかし、会社員を続けながらでも個人事業主となることは可能です。副業として個人事業を始めれば、本業の収入を得つつ自分の事業に着手できるため、経済的なリスクが小さいでしょう。
会社員が副業として個人事業主になることは、キャリアの選択肢を増やしてリスクマネジメントするにも有効な手段です。
副業で個人事業主になろうと考える場合には、会社の就業規則をまず確認します。これは、会社によっては副業を禁止している場合もあるからです。
もし副業が禁止されていても、会社との話し合いで認められる場合もありますが、会社に黙って副業をスタートしてしまうと後々トラブルに発展してしまう恐れもあります。
また、副業をスタートすれば会社とは別の収入を得られますが、副業の所得が20万円を超えた場合には確定申告をしなければならないので注意してください。
ここでの「所得」とは、売上から経費を差し引いたものを指します。所得が20万円以下であれば申告は不要ですが、これは所得税に限った話です。
市町村に支払う住民税は、副業であっても所得に応じた住民税が課税されます。所得が20万円を超えて確定申告をする場合には、税務署から市区町村に連絡がされるため、住民税の申告は不要です。
会社員として勤めていると、会社側が年末調整で手続きするため、確定申告や住民税の手続きについて意識する機会はあまり多くないかもしれません。
しかし、個人事業主となった場合には、忘れずに手続きを行ってください。
③社会保険に加入する
会社を辞めて個人事業主となる場合には、社会保険の手続きが必要です。
具体的には、国民健康保険と国民年金への加入手続きが挙げられます。健康保険は勤めていた会社の健康保険を任意継続するか、国民健康保険へ加入するかの選択肢があります。
国民健康保険
国民健康保険への切り替えは、退職の翌日から14日以内に市区町村役場の窓口で手続きをしてください。また、以前の勤務先で加入していた会社の健康保険を任意継続する方法もあります。
任意継続被保険者でいられる期間は最大2年で、会社負担分も自分で払うことになります。2年を経過すると任意継続の資格を喪失するため、国民健康保険への移行を忘れずに行いましょう。
国民健康保険か任意継続を選択するかは、個人事業の収入に応じて考えましょう。個人事業の収入が多い場合は、任意継続を選択したほうが健康保険料を抑えられる可能性があります。
任意継続を選択した場合、負担率は加入している健康保険によって差があります。毎月納めている健康保険料を把握したうえで、任意継続か国民健康保険のどちらがよいか考えてみてください。
なお、任意継続では健康保険の福利厚生を引き続き利用できるメリットがあります。たとえば宿泊施設や娯楽施設の割引、スクール受講料の割引などが挙げられるため、利用できる福利厚生も考慮することをおすすめします。
さらに、任意継続では年収をはじめとした要件を満たしていれば家族を扶養に入れることが可能です。
国民健康保険には扶養の概念がないため、家族がそれぞれ国民健康保険料を納める必要がありますが、任意継続の場合は被扶養者分の保険料を納めずに済みます。
一般的には国民健康保険に加入する人が多いものの、同じ保障を受けるために任意継続を選択する人や、各業界に特化した国民健康保険組合や団体・協会に加入する人もいるようです。
国民年金
健康保険と同じように、年金も厚生年金から国民年金に切り替えます。会社員の副業として個人事業を開業する場合は厚生年金のままですが、会社を辞めて開業するときは国民年金への切り替えをしてください。(国民年金第2号被保険者から国民年金第1号被保険者への変更手続き)
厚生年金の脱退手続きは、退職とともに会社が行います。勤務先から「社会保険喪失届」が届くため、退職日の翌日から14日以内に市区町村役場で手続きを行います。
国民年金保険料は2024年度で16,980円です。前納すれば割引が適用されるため、手元の資金が十分にある場合は前納を検討するとよいでしょう。
なお、会社員は給料の多い人ほど厚生年金保険料は高いため、国民年金に切り替えたほうが保険料負担が軽くなる可能性があります。
しかし、厚生年金は年金制度の2階建て部分にあたるため、厚生年金がなくなることで将来の年金受取額は少なくなります。老後生活の不安を軽減したい場合は、国民年金基金やiDeCo、付加年金といった将来の年金受取額を増やすための制度の利用を検討してください。
このように、個人事業主は自助努力の必要性が高まる点に留意しましょう。
④開業届を提出する
開業する際には、税務署へ開業届を提出します。開業届は事業を開始してから1カ月以内に提出するよう定められています。
事業の構想段階や利益が出ていない段階であっても、問題ありません。開業届の提出期限を過ぎてから提出しても罰則はありませんが、忘れないように早めに提出しておきましょう。
開業届の提出は、①税務署の窓口に提出、②郵送、③インターネットを使う方法があります。記入漏れが不安な場合は窓口のほうが安心ですが、平日に出向かなければなりません。
開業届は国税庁のホームページからダウンロードできるので、税務署に出向かなくても郵送可能です。また、税務署の時間外収受箱に投函する方法もあります。
インターネットで国税庁のオンラインサービスe-Taxを使うと、家にいながらでも開業届を提出できます。
開業届は「個人事業主である」ことの証明書類になります。テナントを借りる際や融資を受ける際の提出書類として「開業届の写し」を求められるケースが多いため、スムーズに事業展開するうえでも開業届を出す意義は大きいでしょう。
なお、開業届を提出しなければ、後述する青色申告特別控除を受けられません。青色申告特別控除は最大65万円を所得控除できる制度なので、個人事業主の方は有効活用すべきです。
屋号を決める
法人で会社名を定めるように、個人事業主の場合には屋号をつけられます。屋号を作成すると、これからその名前でビジネスをすることになるので、慎重に決めてください。
ただし、屋号は必須ではなく、不要であれば事業者名で仕事をする方法もあります。
屋号は、事業の内容を連想しやすい名前やイメージしやすいネーミングが有利です。
特に、ネットショップなどインターネットでビジネスをする場合には、同じ屋号の競合他社がいないかどうかを調べておきます。ビジネスを進める中で屋号を変更する場合や新しく屋号をつけたい場合には、税務署に届出をして変更してください。
青色申告か白色申告かを選択する
開業届を提出する時に、一緒に考えておきたいのが確定申告の方法です。個人事業主の確定申告は大きく分けて白色申告と青色申告が選択できます。基本的には、青色申告を選択するとよいでしょう。
ただし、青色申告をする場合は事前に青色申告承認申請書の提出が必要です。提出先は税務署なので、開業届を提出するタイミングで一緒に青色申告承認申請書を提出すると一度で済みます。なお、何も申請していない場合には、白色申告として扱われる点に注意が必要です。
青色申告は、白色申告と比較して帳簿や申告の要件が厳しくなるものの、税制上のさまざまな特典を受けられます。例えば、以下の要件に該当すると青色申告特別控除を活用でき、最大で65万円の控除が適用されます。
- 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること
- 所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること
- 作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出すること
簿記の知識や実務経験がない方は不安に思うかもしれませんが、会計ソフトを活用すれば、そこまで難しくありません。白色申告よりも手間はかかっても、節税のメリットが大きい青色申告をおすすめします。
白色申告よりも手間はかかっても、節税のメリットが大きい青色申告をおすすめします。
家族を従業員として雇うか決める
青色申告のメリットのひとつが、家族の従業員を青色専従者として給与を経費にできる点です。つまり、家族へ給与を支払う場合は節税の手段になり得ます。
後から青色専従者控除を申請することもできますが、税務署で「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要になります。開業する段階で、家族を従業員として雇うかどうかも考えておくと良いでしょう。
開業届以外の届け出
開業する時に、開業の形態によっては開業届以外の届け出も必要です。つまり、家族へ給与を支払う場合は節税の手段になり得ます。
例えば、家族に給与を支払う時の「青色事業専従者給与に関する届出書」のほか、給与支払いをする事務所を開設した場合の「給与支払事務所等の開設届出書」などがあります。
従業員を雇う場合は、労働保険関係の手続きを行わなくてはなりません。必要な書類や手続きも変わるため、事前に雇い入れる条件や必要な手続きの準備を進めましょう。
⑤許認可の申請を行う
事業をスタートするにあたって、事業の内容によっては許認可が求められます。
例えば、飲食店や病院であれば保健所で許認可を受ける必要があり、古本店やゲームセンターなどは警察署が管轄しています。ほかにも、旅行業を営む際には運輸局や都道府県庁への登録、美容室を営む際には保健所への届出が必要です。
許認可を受けるための要件や管轄する窓口は事業によって異なります。営業許可が必要にもかかわらず、取得せずに開業してしまうと処分を受ける恐れがあります。事業開始を妨げないためにも、あらかじめ必要な手続きを調べておいてください。
⑥利用できる補助金や助成金がないかチェックする
開業するにあたって、多くの事業者にとって問題になるのが資金です。できるだけ資金を多く用意したいと思っていても、開業したての頃は信用が十分にないため、融資が受けにくく資金繰りで苦労することもあるかもしれません。
開業時に資金が必要な場合は、国や地方団体の補助金や助成金の制度をチェックしてみてください。補助金や助成金の情報は、インターネットで調べられるほか、商工会議所などでも案内されていることがあります。補助金や助成金を活用すれば、開業に伴う経済的負担を抑えることが可能です。
開業・創業向けの補助金や助成金もあるので、こまめに調べておくことをおすすめします。
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また、「補助金ガイド」では、補助金・助成金の必須知識から正しい活用法まで網羅して解説。どちらも無料ですのでぜひご活用ください。
⑦確定申告の準備を始めておく
会社員の多くは年末調整を行っているため、個人事業主となったときに確定申告について失念してしまうことも少なくないようです。
手続きが煩雑に思える確定申告は手順に則って作業を進めれば難しくありませんが、会計処理を怠ったままでいると確定申告が近づいたときに作業が増えてしまいます。そのため、計画的に確定申告の準備を進めましょう。
個人事業主の会計期間は原則1月1日~12月31日で、確定申告は翌年の2月16日~3月15日に行います。
つまり、会計は1月を期首として12月を決算月で記録しておき、翌年にまとめて確定申告の書類を用意して提出する流れです。仕事の繁忙期と確定申告が重なる場合もあるので、事業の予定と合わせてどのように作業を進めていくかを考えておきましょう。
事業用口座を作成する
確定申告を行う個人事業主は、プライベートとは別に事業用の口座を用意しておくことをおすすめします。これは、屋号があれば屋号名義の口座を作れるからです。
確定申告では、事業での収入や経費を申告する必要があります。仮に、プライベート用の口座を事業用でも使ってしまうと、入金と支払いが事業用かプライベートか判別しにくくなります。結果的に帳簿を付ける際の手間が増えてしまうかもしれません。
事業用として専用の口座を作成しておけば、お金の流れがわかりやすく、記帳ミスを防止できます。
また、顧客が支払う時の振込口座も個人名よりも屋号名のほうがわかりやすく、信用が得られやすい場合もあります。開業をきっかけに、事業用口座の開設も検討してみてください。
⑧インボイス制度に対応する
2023年10月1日導入開始のインボイス制度は、課税事業者か免税事業者かによって取るべき対応が異なります。なお、インボイスの登録は義務ではありません。それぞれの場合について紹介するので、必要な準備を進めましょう。
課税事業者の場合
そもそも、インボイスとは「適格請求書」のことです。インボイスを発行できるのは、事前に登録した「適格請求書発行事業者」に限られ、自分自身や取引先が仕入税額控除を受けるためには適格請求書の保存が必要となります。
適格請求書発行事業者登録申請書を管轄の税務署へ提出して登録完了すると、インボイスの発行ができます。未登録で前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合は課税事業者になるため、2025年3月31日までに申請手続きをしましょう。
免税事業者の場合
免税事業者は、適格請求書発行事業者の登録申請をしないとインボイスを発行できません。
結果、取引先が仕入税額控除を受けられず、消費税が高くなってしまいます。取引先からすると「免税事業者よりもインボイス登録済の事業主と取引したい」と考える可能性があり、免税事業者のままだと取引条件の見直しや取引中止に追い込まれるリスクがあります。
しかし、課税事業者になると消費税を納税しなくてはなりません。メリットとデメリットを比較して、免税事業者のままにするか課税事業者になるか判断する必要があります。
創業手帳では、インボイス登録について迷われている方向けの「インボイス登録ガイド」や、インボイス登録したけど、これからどう対応するべきか迷われている方向けの「インボイス実務チェックシート」をご用意しています。どちらも無料ですので、ぜひお気軽にご利用ください。
個人事業主が開業時に用意しておきたいものリスト
開業にあたり、必要な物品もいくつかあります。開業前に用意しておきたいものをピックアップしてまとめました。
以下で、それぞれ詳しく解説します。
- 【個人事業主が開業時に用意しておきたいものリスト】
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①事業用クレジットカード
②名刺
③仕事用のメールアドレス
④ホームページ
⑤プリンター・スキャナー
⑥会計ソフト
事業用クレジットカード
事業用の銀行口座とあわせて事業用のクレジットカードも用意すると、プライベートの支払いと分けて管理しやすくなります。経費管理を簡素化し帳簿をスムーズに付けるうえで、有用な存在です。
事業に関する支払いをクレジットカードに集約すれば、振込や現金支払いの手間が省けるだけでなく、収支の把握が容易になります。
さらに、事業用クレジットカードの中には利用可能枠が個人向けカードより大きいものがあるため、支払いの計画を柔軟に立てられるでしょう。支払いのタイミングを遅らせることも可能なので、資金繰りの改善にも寄与する可能性があります。
しかし、個人事業主はクレジットカードの審査に通りにくいことがあるので、収入が安定している会社勤めのときに作っておくのがおすすめです。
名刺
開業した場合や会社から独立した場合には、名刺を交換する場面もあるかもしれません。名刺は文具店や専門店で注文でき、インターネットでは格安で名刺の印刷を請け負っている業者もあります。
資金に余裕がない場合には、テンプレートを使って自分で作成する方法もあります。
積極的に名刺を活用するのであれば、印象に残る、仕事を依頼したくなるような名刺を目指してこだわってみるのも良い方法のひとつです。
キャッチコピーや顔写真、イラストを入れる工夫などがあれば、印象に残る名刺になります。また、こだわるのであれば、プロにデザインを依頼するのも良いでしょう。
仕事用のメールアドレス
多くの人が個人用のメールアドレスを持っていますが、開業をきっかけにビジネス用のメールアドレスも準備しておくことをおすすめします。
仕事用とプライベート用のメールアドレスを分けることで、業務関連のメールを整理しやすくなり、重要なメールを見逃すリスクを低減できるでしょう。
フリーメールであれば費用をかけずにメールアドレスを準備できますが、信頼性の向上や差別化を目指すのであれば、独自ドメインを取得する方法もあります。
ホームページ
ビジネスの顔ともいえるのが、ホームページです。
法人と比較すると、ビジネスを始めたばかりの個人事業主は実績が乏しいことも多く、信頼して良いかがわからない場合があります。しかし、ホームページを作成しておけば「どこの何者なのか」がわかるため、相手に安心感を与えられるでしょう。
実際に、信頼性を測るために多くの人が利用しているのが、インターネットでの検索です。ホームページに実績や事業内容を余さずしっかりと掲載していれば、依頼する顧客が増える可能性もあります。XやInstagramをはじめとしたSNSを並行して行うことも、効果的な集客手段となるでしょう。
このように、ホームページは新規顧客獲得のためのツールとしても有用です。SEO対策(Google検索で上位表示させること)も実施して、顧客獲得の動線として活用してください。
プリンター・スキャナー
書類のデジタル化やクラウドサービスの発展にともなって、仕事の多くがパソコン内で完結します。しかし、プリンターやスキャナーはまだまだ出番が多いため、用意しておくと便利です。
開業手続きに使う書類をプリントするほか、領収書の発行にも使えます。また、紙の資料を作成したいときも、プリンター・スキャナーがあると便利でしょう。
会計ソフト
開業して会計処理や確定申告に不安がある場合には、会計ソフトの活用をおすすめします。
もちろん、紙の帳簿を用意して帳簿付けしていく方法でも問題ありませんが、最近では簿記に詳しくなくても使いやすい会計ソフトがあります。
会計ソフトであれば複式簿記での記帳にも対応しているため、会計知識がなくても仕訳や書類作成が可能です。青色申告特別控除を受けるうえでも、会計ソフトは有用な存在です。
確定申告で提出する書類も準備できるので、手間を大きく削減できます。会計ソフトの中には個人事業主に特化したものもあるので、サポートや費用を比較して選ぶようにしてください。
個人事業主が開業後に毎月やることリスト
開業時に事業主はさまざまな用意を行う必要がありますが、開業して終わりではありません。事業を拡大するためには、開業後にも継続的に努力や工夫を行う必要があります。以下で、個人事業主の開業後のやることリストを解説します。
継続的に帳簿を付ける
自分が個人事業主になると、帳簿をすべて自分でつけなければなりません。会計ソフトを導入すれば作業負担を大幅に軽減できますが、記帳をしばらく放置してしまうと、あとになって面倒な思いをすることになります。
会社員のころは、会社の帳簿付けは経理部門の担当者に任せっぱなしで問題ありませんでした。また、勤務先が年末調整を行ってくれるため、確定申告を行ったことがない方もいるでしょう。
しかし、個人事業主になると記帳をはじめとした経理事務をすべて自分で行わなければなりません。一定の簿記の知識がないと苦労してしまう可能性が考えられ、「面倒だから」といって記帳を放置すると確定申告前に膨大な労力と時間を割く事態になりかねません。
なお、継続的に帳簿を付け、わからないことがあれば随時調べたり詳しい人に聞いたりすれば、自然と簿記の知識は習得できます。わざわざ簿記の資格を取得する必要はないため、安心してください。
営業活動を行う
どのような業種で開業する場合でも、営業活動は欠かせません。自分の存在を知ってもらわないと、仕事の受注や顧客の獲得もままならないでしょう。
昨今はSNSやホームページ、ブログを通じた営業活動が主流になっていますが、場合によっては異業種交流会に参加したり、クラウドソーシングサービスに登録して顧客候補を見つけたりする必要があります。
店舗を構える場合は、チラシの作成も営業活動の一環として考えられるでしょう。独立してフリーランスになると、勤務先の看板は使えなくなります。個人の名前で売り出し、どのような付加価値を提供できるかアピールしなければなりません。
安定して顧客を獲得するには、継続して営業活動を行う必要がある点に留意しましょう。
顧客に対して付加価値を提供する
実際に仕事を受注できたり顧客を獲得できたりしたら、付加価値を提供して満足してもらう必要があります。もし満足してもらえなかった場合は、リピーターになってもらえず継続した収入につながりません。
個人事業主は、法人と比較して規模や知名度が劣るため、競争において不利です。そのため、仕事に対して真摯に向き合いながら、付加価値を提供できなければ稼げずに終わってしまうでしょう。
逆に、リピーターになってもらえたら、安定した収入につながります。紹介や口コミで新しい顧客の獲得につながる可能性も生まれるため、目の前の仕事に全力で取り組み、信頼を得られるように努めましょう。
資金繰りを考える
事業を展開するためには、資金が必要です。自宅で開業・稼働できる方(エンジニアやライターなど)は必要な資金が少なく済みますが、店舗を構えて物販する場合はテナント料や仕入れが継続的に発生します。
手元の資金や収入の見通し、毎月の固定費と変動費を踏まえて資金繰りを考えなければなりません。資金繰りを甘く見ていると、事業の継続が困難になる事態に直面するリスクがあるため、注意しましょう。
必要に応じて、融資を受けることを検討しましょう。日本政策金融公庫や地域の信用金庫であれば、低金利で融資を受けられる可能性があります。事業が軌道に乗り拡大局面になったときも、事業投資や設備投資に関する資金繰りを考える必要が出てきます。
このように、事業主になった以上は、常に資金繰りを考える必要がある点に留意しましょう。
事業が拡大したら雇用を検討する
事業が拡大したら、必要に応じて人を雇用するとよいでしょう。一人では業務を回せない状況に陥ったら、仕事の質が下がってしまうだけでなく顧客に迷惑をかけてしまいます。
その結果、顧客が離れてしまい収入が減少する悪循環に陥りかねません。そのため、事業が拡大したら人を雇用し、さらなる事業拡大を目指すとよいでしょう。
なお、人を雇用する際には労災保険や雇用保険へ加入させるための手続きが必要です。労働基準監督署やハローワークでの手続きが必要になる点に注意しましょう。
労働保険関係の手続きを面倒に感じる場合は、雇用関係ではない業務委託でサポートしてくれる人材を募るのも一つの手段です。
個人事業主のメリットとデメリット
個人事業主としての働き方には、メリットとデメリットがあります。いざ独立するときにはメリットに意識が向きがちですが、デメリットもきちんと把握しましょう。
メリット | デメリット |
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・時間や場所を自由に選べる ・青色申告特別控除を利用できる ・家族に支払った給与を経費にできる ・会社員よりも節税手段が豊富にある ・赤字を翌年以降に繰り越せる |
・社会保障が薄くなる(厚生年金や健康保険に加入できない) ・収入が不安定になる ・会社の看板を使えなくなる ・ローン審査が通りにくくなる ・経理や備品管理などをすべて自分で行う必要がある ・毎年確定申告が必要になる |
個人事業主になれば、仕事の裁量をすべて自分で決められます。働く時間や場所、仕事相手を自分で選べるため、自由な働き方を実現できるでしょう。さらに、会社員にはない「青色申告特別控除」を受けられます。ほかにも、事業の要した支出は経費計上できるため、節税の手段が広い点もメリットといえます。
ただし、個人事業主は法人化しなければ厚生年金と健康保険に加入できないため、社会保障が薄くなります。将来受け取れる年金額が少額になったり、ケガや病気の際に受けられる保障が薄くなってしまったりする点は押さえておきましょう。
社会保障が薄いため、個人事業主は小規模事業共済やiDeCo、民間保険などを通じてリスクに備えることが大切といえます。
さらに、個人事業主は経理や採用活動をすべて自分で行う必要があり、業務に必要な備品をすべて自分のお金で揃えなければなりません。業務の裁量はすべて自分で決められるメリットがある一方で、細々とした業務まで自分の責任で行う必要がある点に注意しましょう。
まとめ・個人事業主がやるべきリストを参考にして事業を始めよう
個人事業主になると税金や社会保険の扱いが変わり、手続きもすべて自分で行うことになります。
確定申告に向けての準備や事業の種類によっては必要な届出もあり、さまざまな手続きがあります。うっかり忘れてしまうことのないよう、必要な手続きをリストアップしておくようにしてください。
やることリストを用意し、ひとつずつ進めていくようにすれば、ミスも起きにくく計画を立てやすくなるでしょう。
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開業するならここが重要!創業手帳・代表の大久保が3つのポイントをお教えします
(編集:創業手帳編集部)
1つ目は、生活コストで切り下げられるものを見直すことです。
今すぐ下げなくてもいいですが、ここまで下げられるという防御ラインを設定しておきましょう。例えば、無駄なコストがないかなどを見直してみましょう。赤字黒字のラインを低く設定できる状態にすると気持ちが楽になります。
意外な支出に気づくかもしれないですし、コストの意識は経営意識の第一歩です。一つでも無駄な下げられるコストが見つかると「やった!」と嬉しくなるものです。試してみてくださいね。
2つ目は、商品と商品の魅力の整理です。
開業で上手くいかない理由の一つがそもそも商品やサービスの魅力であったり、その魅力が上手くまとめきれていないことにあるケースがあります。実体験よりおすすめするのが、商品を簡単に説明した魅力的な資料かWEBページを作ることです。
できれば長い資料というより、簡潔な一枚ペラにまとめましょう。一枚ペラにしてみると逆にその商品の魅力度があぶり出されます。資料にして「見える化」すると相手に商品や提供者の魅力がちゃんと伝わるか分かります。
「売れるかどうか」悩んでいてもキリがないですが、「売れそうな資料」を作ることはできます。資料が魅力的、買いたいと思えない場合、表現やまとめ方が問題なのか、商品そのものがターゲットとずれていないかなど具体的な改善につながる対策を考えることができます。
この対策は、創業手帳で無料開催している2時間でホームページを立ち上げるセミナーでもお伝えしています。さくっとホームページを作って、そこで魅力的なHPにできなければ売れない可能性が高いので、悩んでいるより無料で作れるホームページをまず作ってみて、そこから売れる商品を逆算して、商品設計を修正する創業手帳独自に売れるようにするための開業者向けの方法です。
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最後に3つ目は、売り先を考えるということです。
悩むより、先に売り先を確保する。これが大事です。例えばフリーランス系であれば、仕事の受発注をするプラットフォームも多数ありますし、立地に左右されるビジネスの場合は市場調査なども重要になります。
営業系の仕事であれば、当たる顧客のリストの整備なども重要です。現代ですと、重要なのがSNSです。SNS自体での発信は無料ですし、一定のフォロワーがいると安心感にも繋がる「現代の名刺」です。
なぜSNSが強力で、世界中に広まったのでしょう?それは「無料」で「簡単にできる」からです。ですから開業者の方は威力があって、無料で簡単なツールであるSNSを積極的に利用しない手は無いです。売り先を確保するときにSNSは意外に「信用」という力を加えてくれるものなので、活用していきましょうね。
どんな方でも起業時は大変で不安になるでしょう。
しかし、悩んでいるより、この記事にあるような対策や、補足の3点(コスト見直し、商品の魅力まとめ、売り先確保)を行うと不安が減って、現実的な行動量が増えるのでより成功に近づきます。
創業手帳は、開業者から同じ話を聞かれることが多いことに着目し、全国の起業家に役立つツールや資料を無料配布しているのでどんどん使ってくださいね。開業頑張っていきましょう!