【2025年最新】個人事業主のやることリスト|準備~手続き・立ち上げまで全ステップ解説
個人事業主のやることリストがあれば開業準備もスムーズ
- 開業前にやること:「事業計画」「資金計画」「準備物」などの事業の土台整備
- 開業時にやること:必要な手続きや届け出、インボイス制度への対応方法
- 開業後にやること:会計管理・営業活動・支援策の活用で立ち上げフェーズを加速
個人事業主として開業を考えているものの、届け出や資金の準備などで不安を感じていませんか?
開業はスタートが肝心です。やることをリスト化しておけば、初めてでもスムーズに一歩を踏み出せます。
この記事では、開業前・開業時・開業後の3フェーズに分けて、個人事業主のやることリストをわかりやすく整理しました。リストを順にこなしていけば自然と開業できるようにまとめているので、迷いがある人も安心です。
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この記事の目次
個人事業主が開業前にやることリスト【準備フェーズ】
自分のアイデアで勝負するために、新しく事業を興す人も増えています。
しかし、起業するにあたり、何の手続きから始めればいいのかと悩む人も多いかもしれません。独立や開業にはいくつかの事務手続きも必要なので、あらかじめリスト化しておくと準備の抜け漏れを防げます。
ここでは、個人事業主となる人が開業前にやることをリストで紹介します。
- 開業前にやることリスト
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- 事業計画をたてる
- 資金計画をたてる
- 確定申告の種類を決める
- ビジネスインフラを整える
1. 事業計画をたてる
開業するにあたって、誰に・何を・どのように届けるかを具体化した事業計画をたてます。事業計画は、経営やビジネスの発展において道しるべとなる存在です。
まずは次のような項目について考えてみましょう。
- 商品やサービスの内容・価格・ターゲット
- 参入市場の規模・ライバル・将来性
- 集客の方法や収益モデル など
たとえば、オリジナリティのある商品やサービスを提供する際には、価格設定やターゲットとなる顧客、集客方法などを考える必要があります。
事業計画が曖昧だと方向性が不明確なままで、何を優先すべきかが見えません。貴重な資金や時間を無駄にしてしまう恐れがあるため、事業計画は入念に練りましょう。
2. 資金計画をたてる
事業を始めるには、資金の見積もりと調達方法の検討が不可欠です。資金計画には下記を含めた上で、開業直後は思うように収入が得られないことも想定しておきましょう。
- 初期費用(設備や備品、Webツールなど)
- 運転資金(少なくとも3カ月分)
- 毎月の固定費と変動費(家賃・仕入れ・外注費など)
- 融資や補助金などの必要性
自宅で開業する個人事業主は資金が少なく済みますが、店舗を構えて物販する場合はテナント料や仕入れが継続的に発生します。手元の資金や収入の見通し、毎月の支出を踏まえて資金繰りを考えなければなりません。
自己資金では足りない、もう少し大きく展開したいなど、状況に応じて融資や補助金などの活用も考えましょう。
3. 確定申告の種類を決める
個人事業主の確定申告は青色申告と白色申告が選択できます。基本的には、下記のようにメリットが多い青色申告を選択するとよいでしょう。
- 最大で65万円の控除が使える
- 経費の範囲が広がる(家族への給与など)
- 赤字を繰り越せる
青色申告は、白色申告と比較して帳簿や申告の要件が厳しくなるものの、節税メリットが豊富です。事業所得額や家族を雇用するかなどを踏まえて判断しましょう。
簿記の知識がなくても、会計ソフトを活用すればそこまで難しくありません。手間はかかっても、節税のメリットが大きい青色申告をおすすめします。
4. ビジネスインフラを整える
開業にあたって用意するものは業種によって大きく変わります。ここではどの業種でも共通する、ビジネスインフラを整えるために最低限用意しておきたいものをまとめました。
用意するものリスト | ポイント |
---|---|
事業用クレジットカード | ・事業用の経費管理がしやすく、帳簿付けが効率化 ・審査対策として、開業前に作成しておくのがベター |
名刺 | ・対面の信頼獲得ツールとして活用 ・顔写真、キャッチコピー入りで差別化も可能 |
パソコン | ・大半の事務、確定申告もパソコンで完結 ・持ち運びや外出先での作業が多いならノート型を推奨 |
プリンター・スキャナー | ・書類提出・発行・保存の物理作業に対応 ・特に領収書や契約書の印刷・スキャン時に重宝 |
会計ソフト | ・簿記知識がなくても記帳・確定申告まで対応可能 ・青色申告の特別控除を受ける際にも有利 |
仕事用のメールアドレス | ・連絡手段をビジネス用と私用で分けて整理 ・独自ドメインまたはフリーメールでも可 |
これら以外に、業種ならではの道具や設備、仕入れ先の確保といったさまざまな準備が必要です。
上記は開業準備を始めた段階から持っておきたいビジネスインフラとして、真っ先にそろえておくとよいでしょう。
個人事業主が開業時にやることリスト【手続きフェーズ】
個人事業主として事業を始める準備が整ったら、法定な開業手続きを進めます。具体的にどのような手続きがあるか、順にリストアップしました。
- 開業時にやることリスト
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- 開業届を提出する
- 開業届以外の届け出をする
- 国民健康保険と国民年金に加入する
- 許認可の申請を行う
- 事業用口座を作成する
- インボイス制度に対応する
1. 開業届を提出する
開業する際には、事業を開始してから1カ月以内に開業届を提出します。国税庁のホームページからダウンロードするなどし、以下のいずれかの方法で管轄の税務署に提出しましょう。
- e-Taxで電子申請する
- 税務署に郵送する
- 税務署に直接持参する
記載欄の中にある「屋号」は、法人でいう会社名にあたります。屋号の命名は必須ではないものの、事業用の口座が開設できるなどのメリットがあるため、事業を連想しやすい名前を考えておきましょう。
提出期限を過ぎたり出さなかったりしても罰則はありません。一方で、テナントを借りる際や融資を受ける際に「開業届の写し」を求められるケースが多いため、出しておくとスムーズな事業展開に役立ちます。
2. 開業届以外の届け出をする
開業の形態によっては開業届以外の届け出も必要です。以下に代表的な書類をまとめました。
書類名 | 届け出タイミング |
---|---|
青色申告承認申請書 | 青色申告を使う場合 |
青色事業専従者給与に関する届出書 | 家族に給与を支払う場合 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 給与を支払う事務所を開設する場合 |
従業員を雇う場合は、労働保険関係の手続きを行わなくてはなりません。必要な書類や手続きも変わるため、事前に雇い入れる条件や必要な手続きの準備を進めましょう。
3. 国民健康保険と国民年金に加入する
会社を辞めて個人事業主となる場合には、国民健康保険(国保)と国民年金への加入手続きが必要です。いずれも退職の翌日から14日以内に市区町村役場の窓口で手続きします。
国民健康保険の特徴 | 国民年金の特徴 |
---|---|
・所得に応じて金額が変わる
・扶養制度はなく、1人ずつ保険料がかかる |
・原則は所得によらず一律の金額を負担
・厚生年金より受け取る年金額が少ない |
会社で入っていた健康保険を任意継続する選択肢もあります。2年まで継続でき、扶養や福利厚生のメリットを引き続き活用可能です。厚生年金は継続できないため、国民年金に切り替えましょう。
最終的には健康保険も国保への切り替えが必要なので、扶養家族がいる場合は保険料の増加に備えなくてはなりません。将来もらえる年金も心もとなくなることから、iDecoや国民年金基金などの任意年金も検討してください。
4. 許認可の申請を行う
事業の内容によっては許認可が求められます。
例えば、飲食店や美容室、病院であれば保健所で許認可を受ける必要があり、古本店やゲームセンターなどは警察署が管轄しています。ほかにも、旅行業を営む際には運輸局や都道府県庁への登録が必要です。
許認可を受けるための要件や管轄する窓口は事業によって異なります。営業許可が必要にもかかわらず、取得せずに開業してしまうと処分を受ける恐れがあるため、必要な手続きを調べておいてください。
5. 事業用口座を作成する
開業届の提出時につけた屋号で、事業用の口座が作れます。プライベートな収支との混在を防ぐためにも、1つは作成しておくのがおすすめです。
確定申告では、事業での収入や経費を申告する必要があります。口座を分けていない場合、入出金が事業用かプライベート用か判別しにくくなり、帳簿を付ける手間が増えてしまうかもしれません。
事業用として専用の口座を作成しておけば、お金の流れがわかりやすく、記帳ミスを防止できます。
取り引きにおいても個人名よりも屋号名のほうがわかりやすく、信用が得られやすい場合もあります。開業をきっかけに、事業用口座の開設も検討してみてください。
6. インボイス制度に対応する
インボイス制度への対応も、開業時に考えておくといいでしょう。インボイスとは課税事業者になった上で「適格請求書発行事業者」として登録した者が発行できる請求書です。
個人事業主として開業した当初は基本的に免税事業者ですが、これは課税事業者を判定する前々年度の売上高が存在しないためです。いつ課税事業者になればいいのか、なる義務が生じるかを知り、開業時にインボイス登録するかを決めましょう。
検討段階 | インボイス登録の判断軸 |
---|---|
開業直後 | ・売上高が1,000万円を超えるまでは免税事業者 ・売上高に関係なく、任意で課税事業者になることも可能 |
開業翌年 | ・6月30日までの売上高が1,000万円を超えれば翌年から課税事業者になる義務が発生 |
開業2年後 | ・前々年度の売上高が1,000万円を超えていれば課税事業者になる義務が発生 |
課税事業者になると消費税の納税義務が発生します。インボイス登録をしてインボイスの発行資格をとったほうが、取引上で有利になりやすいでしょう。
消費税の納税が免除される免税事業者のままでいるほうがメリットが大きいなら、無理に課税事業者になりインボイス登録をする必要はありません。
創業手帳では、インボイス登録について迷われている方向けの「インボイス登録ガイド」や、インボイス登録したけど、これからどう対応するべきか迷われている方向けの「インボイス実務チェックシート」をご用意しています。どちらも無料ですので、ぜひお気軽にご利用ください。
個人事業主が開業後にやることリスト【立ち上げフェーズ】
事業を拡大するためには、開業後にも継続的に努力や工夫を行う必要があります。開業後のやることリストには明確な順番があるわけではなく、毎月や一定期間ごとにやることをこなしていくのが基本です。
- 開業後にやることリスト
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- 会計・請求業務をルーティン化する
- 集客や営業活動を行う
- 補助金や助成金の活用を検討する
- PDCAサイクルを回して事業を育てる
会計・請求業務をルーティン化する
日々の売り上げや経費の管理は、事業の継続に欠かせません。後回しにすると確定申告前に慌てる原因になるため、下記の会計・請求業務はルーティン化しましょう。
- 帳簿付け
- レシート・領収書の整理
- 通帳記帳
- 請求書の作成・管理
帳簿付けや書類の管理には、クラウド会計ソフトの活用がおすすめです。口座と紐づければ自動で帳簿付けが進み、確定申告に向けた作業を大幅に削減できます。
確定申告は1月1日〜12月31日までの収支をもとに、翌年2月16日〜3月15日の間に行います。仕事の繁忙期と重なることもあるため、会計作業をルーティン化して日頃から準備を進めておきましょう。
集客や営業活動を行う
どのような業種で開業する場合でも、集客や営業活動は欠かせません。さまざま方法で自分の存在を知ってもらったり、顧客を呼び込んだりしましょう。
集客・営業の方法 | 期待できる効果 |
---|---|
ホームページ、ブログ | 24時間365日、不特定多数の人にPRできる |
SNS | 交流を通じて幅広く信頼や認知を獲得できる |
クラウドソーシング | 案件の獲得・達成により実績や信用を蓄積できる |
チラシ | 立地や客層に合わせた販促ができる |
交流会、勉強会 | 直接的なつながりを持てて情報交換もできる |
独立してフリーランスになると、勤務先の看板は使えなくなります。個人の名前で売り出し、どのような付加価値を提供できるかアピールしなければなりません。
安定して顧客を獲得するためにも、継続的にやることとして把握しておくのがおすすめです。
補助金や助成金の活用を検討する
開業してある程度事業の形が整ってきたら、補助金や助成金の活用も視野に入れてみましょう。資金調達の手段として考えるのもおすすめです。
申請の手間はかかりますが、通れば数十万円~数百万円規模の資金が得られる可能性もあります。国や地方自治体のホームページなどを随時チェックしてみてください。
補助金や助成金の多くは、開業の証明や事業計画書や実績の提示が求められます。付け焼刃では審査に通らないこともあるので、開業後に入念な準備をした上で申請にのぞみましょう。
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また、「補助金ガイド」では、補助金・助成金の必須知識から正しい活用法まで網羅して解説。どちらも無料ですのでぜひご活用ください。
PDCAサイクルを回して事業を育てる
立ち上げフェーズから事業を軌道に乗せていくために、PDCAサイクルを繰り返し回していきましょう。
P(Plan) | 計画 | ・今月の売上目標を決める
・新商品の売り方を考える |
---|---|---|
D(Do) | 実行 | ・SNSでの集客やキャンペーン施策を試す
・追客の自動化を導入してみる |
C(Check) | 評価 | ・売上目標の達成状況を振り返る
・顧客の反応や問い合わせを分析する |
A(Action) | 改善 | ・反応が良かった施策を強化する
・うまくいかなかった点を見直す |
事業を始めたらやりっぱなしにせず、定期的に振り返りと改善を行い、付加価値を提供し続けることが大切です。
PDCAを繰り返すことで商品やサービスの質が高まり、リピーターや新規顧客の獲得にもつながっていきます。
事業が大きくなるにつれて外注化や雇用も選択肢に入れるなど、リソース配分の見直しも含めてビジネスを育てていきましょう。
個人事業主のメリットとデメリット
個人事業主としての働き方には、メリットとデメリットがあります。いざ独立するときにはメリットに意識が向きがちですが、デメリットもきちんと把握しましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・時間や場所を自由に選べる ・会社員よりも節税手段が豊富にある |
・社会保障が薄くなる(厚生年金や健康保険に加入できない) ・ローン審査が通りにくくなる ・経理や備品管理などをすべて自分で行う必要がある ・毎年確定申告が必要になる |
個人事業主になれば、仕事の裁量をすべて自分で決められます。働く時間や場所、仕事相手を自分で選べるため、自由な働き方を実現できるでしょう。
さらに、会社員より節税手段が多いのもメリットです。節税の手段が広い点もメリットといえます。
メリットの反面、個人事業主は経理や採用活動をすべて自分で行う必要があり、業務に必要な備品をすべて自分のお金でそろえなければなりません。業務の裁量はすべて自分で決められるメリットがある一方で、細々とした業務まで自分の責任で行う必要がある点に注意しましょう。
まとめ・個人事業主がやるべきリストを参考にして事業を始めよう
個人事業主になると税金や社会保険の扱いが変わり、手続きもすべて自分で行うことになります。
確定申告に向けての準備や必要な届出もあり、業種によっても違いはさまざまです。うっかり忘れてしまうことのないよう、必要な手続きをリストアップしておくようにしてください。
やることリストを用意し、ひとつずつ進めていくようにすれば、ミスも起きにくく計画を立てやすくなるでしょう。
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開業のここが重要!創業手帳・代表の大久保が3つの疑問に答えます
(編集:創業手帳編集部)
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1:収入が不安定な時期を乗り切るにはどうしたらいい?
個人事業主として開業したばかりの不安定期に備えるために、「いざとなればここまでコストを下げられる」という生活の防御ラインを設定しておくと安心です。収支が安定しない時期にも、余計な不安に振り回されにくくなります。
無駄なコストがないかなどを見直すと、意外な支出に気づくかもしれません。コストの意識は経営意識の第一歩なので、試してみてくださいね。
2:商品やサービスの魅力を伝えるには?
商品やサービスの魅力を一枚ペラにしてみると、その商品の魅力度があぶり出されます。資料にして「見える化」することで、商品や提供者の魅力がちゃんと伝わるかがわかるのです。
この見える化によって、表現やまとめ方が問題なのか、商品そのものに問題があるかなどの判別につながり、具体的な改善策を考えることができます。「売れるかどうか」を悩むより、「売れそうな資料」を作って分析してみましょう。
さくっと資料を作って試してみる。この方法は、創業手帳が無料で開催している「その場でホームページを作るセミナー」でも学べます。
3:商品やサービスを効果的に売るには?
商品やサービスの売り方に迷った場合は、「どこで売るか」を早めに考えるのが成功の近道です。活動プラットフォームや営業先リストの整備は、立ち上げフェーズをスムーズにするカギになります。
現代ですと、重要なのがSNSです。SNS自体での発信は無料ですし、一定のフォロワーがいると安心感にも繋がる「現代の名刺」として活用していきましょうね。
事業計画の作成や立ち上げ期など、やることリストをこなす上でつまずいたときは、3つのポイントが関係していないか見直してみてください。
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