個人事業主の資金調達方法とは

資金調達手帳

個人事業主が資金調達するには?条件に合うより良い手段を選ぼう


個人事業主は、会社組織を持ってはいませんが、事業をする上で資金調達が必要なことは法人と変わりません。
しかし、個人事業主は法人と同じ方法が使えないケースもあり、資金調達の方法を考える必要があります。

個人事業主の使える資金調達方法や資金調達において、注意したい点を解説します。
個人と法人の違いにより利用できない方法もあるため、使える範囲でより良い手段を選びましょう。

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個人事業主が資金調達したくなるケース


個人事業主が資金調達したいと考えるタイミングは、主に以下の2つがあります。
事業をスムーズに進めるためには、自己資金だけでなく融資なども柔軟に検討することが必要です。
特に以下のようなシチュエーションでは、賢明な判断を行いましょう。

開業時

開業時には、設備やオフィス、仕入れなど、たくさんの準備費用がかかります。そのため、資金調達の必要性も高くなるタイミングです。
法人であれば資本金として会社設立費用を準備しますが、個人事業主であっても準備資金の確保は必要です。

個人で事業を起こす個人事業主の事業規模は様々で、スモールビジネスであれば資金も抑えられるかもしれません。
また、自分のスキルや知識だけで稼げる事業であれば、初期投資もさほどかけずに開業できる場合もあります。

しかし、飲食店や美容系の仕事、仕入れが必要な物販などの場合、まとまった資金が必要な場合は、何らかの形で資金調達を考えることになります。
また、事業が軌道に乗るまでの期間の生活も維持しなければいけないため、生活費を考慮しておかなくてはなりません。
手持ち資金が限られている場合、その全てを事業につぎ込むのではなく、生活費としても残し、事業資金は別途調達することも検討してください。

運転資金が足りない時

事業を営んでいると、個人にせよ法人にせよ、運転資金が不足することもあります。その場合も、事業を停滞させないために資金調達が必要です。

運転資金の不足は、売上の少なさだけが原因ではありません。
売上があっても、掛けで商売をしている場合には、すぐに現金が手にできないこともあり「つなぎ」の資金が必要となることもあります。

売上がない場合には資金調達以外の対策も考える必要があり、安易に融資を求めるのは問題です。
しかし、事業をスムーズに発展するための資金調達は前向きに行っても良いかもしれません。

個人事業主が資金調達する際に注意したいこと


個人事業主が資金調達する際には、いくつかの注意点があります。
資金調達の方法によっては条件があり、用途やタイミング、対象となる事業者が決められていることもあります。
そのため、個人事業主が資金調達する際には、条件面に注意しましょう。

個人用途の資金を事業に使わない

用途が限定されている資金調達方法は、基本的には別の用途のために使ってはいけません
融資や補助金などには、事業用、生活資金用と使用の目的を限定しているものが多いです。
使い道を勝手に変えてしまうと、使途違反として今後の審査に悪影響を及ぼすことも考えられます。

また、クレジットカードなどを個人と事業で分けずに利用すると、経費の処理が手間に感じられるでしょう。
個人の生活と事業のお金を分けていないと、金融機関などからの信用も得られません。煩わしく感じるかもしれませんが、使用目的ごとに資金調達し、正しく運用してください。

必要なタイミングによって使える手段が違うことも

事業資金の調達方法には、様々な融資や補助金、助成金などがあり、それらには利用できる条件が設けられています。
中には、条件として「事業開始後税務申告を2期終えていない方」のように事業年数が決められている制度もあります。
また、募集期間が短く定められている補助金や助成金なども多く、タイミングが合わないと利用できません。

個人事業主が資金調達する際には、こうしたタイミングによって使える制度を探すことも必要です。

制度の対象に個人事業主が含まれるか確認する

ビジネスローンなどでは個人事業主の資金調達にも使えるものが多くなりますが、補助金や助成金などには個人には利用できないものもあります。
融資とは違い、返済が必要ない補助金や助成金もあり、非常に魅力的です。しかし、法人のみを対象として、個人事業主には使えないものもあります。

個人事業主向けの資金調達方法


個人事業主が資金調達を検討するなら、以下の6つの方法が考えられます。法人とは違った選択肢もあるため、自分に合うものを探してみてください。

融資

融資は、金融機関や自治体の制度などがあります。返済が必要な資金調達方法で、審査があるため、信用が求められます。
個人事業主の場合、法人よりも信用が得られにくくなりますが、融資を受けることは可能です。
審査が心配な場合には、特に個人事業主や中小企業の支援を目的とした融資を選ぶと良いです。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、政府が100%出資している金融機関で、銀行などでは審査に通らない事業者にも利用できる制度を持っています。
金利や条件も有利になっており、創業時などの資金も信用も足りない状況で借りたい人に安心です。

日本政策金融公庫で扱っている融資には、以下のようなものがあります。個人事業主でも利用可能です。

  • 新創業融資制度
  • 中小企業経営力強化資金
  • マル経融資

信用保証協会の「制度融資」

制度融資とは、自治体と金融機関、信用保証組合が提供する融資です。3者が連携することによって信用度の低い事業者の借入のハードルを下げています。
制度融資も個人事業主などの小規模事業者の支援を目的としているため、審査にも通りやすい傾向です。普通の金融機関融資を断られた場合でもチャンスがあります。

ただし、制度融資は各自治体によって内容や金利、受けられる条件などは異なります。
事業内容などが限定されている場合もあるため、制度融資を受ける場合にはその自治体の条件の内容を確認することから始めると良いです。

商工中金「危機対応融資」

商工中金では、新型コロナウイルス感染症による影響で経営が悪化した事業者向けに危機対応融資を実施しています。
用途は運転資金、設備資金で、無担保、金利は信用力に関わらず一律です。ただし、売上高の5%以上の減少が条件なので、当てはまらない可能性もあります。

補助金・助成金

国や自治体が行っている補助金や助成金制度も、個人事業主にはありがたい資金調達方法のひとつです。
融資とは異なり、原則として返済が必要ないため、安心して利用できます。
ただし、それぞれの補助金や助成金にはターゲットが具体的に定められており、条件が狭い場合も多いため、利用しにくいと感じることもあるかもしれません。
また、融資とは異なり、基本的に後払いで給付まで時間もかかるので、取り急ぎ現金が必要な場合などには向いていません。

種類は豊富なので、どのような補助金や助成金が利用できるか、事業内容や使途に合わせて探してみましょう。
募集期間が限定されている制度もあるため、必要なタイミングで使えるかどうかも確認が必要です。

人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)

個人事業主でも、人を雇用している場合に使える助成金です。
雇用している労働者のキャリア形成のため、使う資金の助成や従業員に教育訓練休暇制度を適用した際の助成を行います
コースは7種類に分かれており、建設関連や障害者の訓練など、特定の業種や対象者に絞ったコースもあります。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、雇用の機会を創出することを目的とした助成金です。経験や知識から就職が困難な人を雇用した際に利用できます。
支給対象者の人数によって助成金額は変わり、最長3カ月間、月額の合計額が支給額となります。

中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成

新しく中小企業退職金共済制度に加入する事業者に対しての国からの助成金です。新規加入では、月額掛金の2分の1を加入後4カ月目から1年間に渡って助成してもらえます。
また、掛金月額を増額した場合も、増額分の3分の1を助成してもらえます。ただし掛け金月額の条件があり、対象にならないこともあるため注意してください。

特定求職者雇用開発助成金

一般的に就職が困難とされる人を継続的に雇用した時に受け取れる助成金です。高齢者や障害者、母子家庭・父子家庭の父母などを雇用した事業者が対象になります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、個人事業主や法人が商工会・商工会議所の助言を受けて販路拡大に取り組む時に利用できる補助金です。
中小企業庁が主管となり、全国の商工会・商工会議所が窓口になっています。
広告や店舗改装、展示会への出店などに使える一般型と、新型コロナウイルス感染症に関連する対策が対象となる低感染リスク型があります。

募集は年数回ありますが、回ごとに締め切りが設けられているため、期間内の申し込みが必要です。申請方法も電子申請など形式が決まっています。

自治体の創業補助金

創業時に必要な経費の一部を地方自治体が補助してくれる制度です。
基本的には返済の必要はありませんが、補助金を受給してから一定期間の間に一定の収益を上げた場合、返還を求められることがあります。
対象者となるのは、募集日以降に新たに創業する人です。募集は毎年春頃に行われていますが、毎年期間は異なるため確認が必要です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、人々から広く資金を募り、何らかの事業などを実現させる手法です。
古くは寺院などの造営・修復のための寄付に始まり、昨今ではインターネットのクラウドファンディングサイトでビジネスや公益事業のための資金集めに使用されています。
クラウドファンディングにはいくつかの種類があり、集めたお金を返済しなくても良いもの、別の形で見返りを返すもの、金融商品のようなものなどが選べます。

購入型

購入型は、ビジネスでクラウドファンディングをする際に多く用いられる型です。クラウドファンディングで集めた資金は返済の必要がありません。
ただし、その代わりに支援してくれた人たちにリターンとして物やサービスなどを提供します。

この形では、クラウドファンディングで資金を集められるだけでなく、支援者とのつながりが生まれ、事業を始めた後も利用客になってくれる可能性も高くなるようです。
リターンには、新事業で作る商品やサービスや、特別なノベルティ、店内に名前を刻む権利など様々なアイデアが取り入れられています。

寄付型

寄付型は、主に公益的な活動を行う団体が利用できる型です。ビジネスでの資金調達には向いていません。

金融型

金融型は、株式やファンドの仕組みを利用したタイプです。支援者は、投資目的で資金を出し、事業者側は配当を支払います。
非上場のベンチャー企業が資金集めに行うケースもありますが、個人事業や不動産投資などで利用されることもあります。

カードローン

カードローンは個人向けのものやビジネス用があり、用途が限定されているものもあります。
ビジネスローンは、個人事業主でも法人でも利用できますが、個人事業主専用のローンを利用したほうが審査を受けやすく安心です。

個人事業主専用

個人事業主の資金調達用のカードローンは、各信販会社などで取り扱いがあります。基本的に個人向けと同じく無担保でスピーディーな融資が期待できる方法です。

カードローンは総量規制の対象となりますが、ビジネス利用の場合には対象外となります。
事業資金のみで利用すること、確定申告書などの書類提出をすることで事業用として借りると良いです。

ファクタリング

ファクタリングは、これまで紹介した方法とは少し異なる点がある資金調達方法です。基本的にファクタリングは、売上(売掛金)がないと利用できません
売掛金(売掛債権)をファクタリング業者に譲渡して、現金化するというサービスです。
ファクタリングにはいくつかの種類があり、種類ごとに資金調達方法としての利用しやすさに差があります。

保証型

保証型とは、資金調達ではなく、売掛債権の回収リスクを回避するためのものです。ファクタリング業者が、取引先の倒産などによる債権回収リスクを保証してくれます。
資金調達方法としては向いていません。

買取型

売上げが出るようになってきた頃の運転資金の調達などで使えるのが、買取型のファクタリングです。

販売先から受け取った売掛金をファクタリング業者に買い取ってもらい、現金を受け取ります。その際には、ファクタリング業者に手数料を支払います。
手数料の分だけ売上金は目減りしてしまいますが、融資と違って返済の必要がなく、決算書上でも負債が増えることがありません。

2社間

ファクタリングには、2社間と3社間があります。2社間ファクタリングとは、ファクタリング業者と自分との間だけで行うファクタリング取引です。
取引先には何も知らせずに、現金化できます。ファクタリングの利用を知られたことで、「資金繰りが苦しいのでは」と勘ぐられる恐れを回避できる方法です。

3社間

3社間ファクタリングとは、ファクタリング業者と自分、さらに売掛先で合意をもらい、契約する方法です。
売掛金は、支払い期日が来たら売掛先からファクタリング業者へ直接支払われます。そのため、取引先にファクタリングの利用を知らせずに利用できません。

手数料は、2社間よりも3社間のほうがリーズナブルですが、取引先の合意を得るための手間がかかります
また、ファクタリングに良い印象を持っていない取引先には、こちらの経営難を警戒される恐れもあります。

友人・知人など

個人事業主の資金調達方法としては、友人や知人なども選択肢になります。
融資の審査が通らない、補助金や助成金も条件が合わないなど、どうしてもほかの方法で資金調達できない場合には、検討してみても良いかもしれません。
お互いの信頼関係と自分の人柄次第で借りられる場合もあります。

ただし、どれだけ親しい関係でも、借りる時にはきちんと契約書を交わし、利息や返済期日などを設定し、それを守ることが大切です。
また、無理に頼み込むのも避けてください。お金のトラブルで関係がこじれないよう、誠実な対応が重要です。

まとめ

個人事業主が資金調達する手段はいろいろあります。ただし、資金調達方法にも条件や申し込み期限があり、中には利用できないものもあるため、十分な調査が必要です。
特に、補助金や助成金は、細かい条件まで確認してください。

資金繰りに困ったら、自分が使える資金調達方法の中から、より良い手段を厳選して検討しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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