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2019年1月7日 注目のニュース創業手帳代表が日経をさくっと解説 医療領域でスタートアップに追い風
2019年1月7日の日経新聞に、以下のニュースが取り上げられました。
1面
・再生医療商用段階に
・ROE(自己資本利益率)10%割れ
7面
・AI関連大企業が出資
・顧客の声をAIで解析。コールセンターの成約率向上とオペレーターの離職率低下を目指す。
17面
・大塚凱さん 人類代表とし俳句AIに勝利
起業家、スタートアップアップの観点で、創業手帳代表の大久保が、さくっと解説します。
1面:再生医療商用段階に
グンゼ、オリンパス、中外医薬品など患者2500万人の高齢者の膝軟骨治療に。
欧米ではスタートアップ企業も軟骨を販売。中外製薬もスタートアップのツーセルと組んでおり、慶応大学発ベンチャーのハートシードも治験を目指している。
公的な保険でカバーできる範囲に治療費を抑えることが鍵。
高齢者向けの医療は確実に成長の見込める領域です。その一方で、巨額の資金調達が必須で、ノウハウと金額面でのハードルが高く、IT分野と違ってマネタイズまで時間がかかります。
中外製薬とツーセルの提携は、大手とスタートアップが連携することで、医療分野でスタートアップが資金提供を受ける環境が整いつつあることを示す一例といえるでしょう。
創業手帳の創業相談でも、医師からの起業相談を受けるケースもあります。病院の開業以外に、医師の知見を活かした医療・薬剤分野でのスタートアップの立ち上げのケースもあります。
1面:ROE(自己資本利益率)10%割れ
企業の資本効率低下。ROEとは利益を自己資本で割ったもの。成長策か株主還元が必要になる。
要約すると、会社が自社で事業に投資する機会がなく、内部にお金が積み上がってしまっているということです。
ROEを上げるには、株主に配当等の形で払ってしまうという方法もありますが、それは次善策です。本来は、企業が成長領域に投資することで、売上・利益が増え、株価が上がるほうが望ましい動きと言えるでしょう。
ただ、日本では成長領域が限られている一方で、2018年までは景気が良かったので業績も悪くなく、「投資できずに」内部にお金が溜まっているという状況です。
大企業の資金がスタートアップに流れ込んでいる背景でもあります。
7面:AI関連大企業が出資
プリファードネットワークス(ハードも開発)、アベジャ(車部品とも連携)などが成長。
AI関連の事業は一人あたり付加価値が3.9億円と全業種中最も高かった。
東大大学院・松尾豊教授は
「今の日本AIビジネスは勃興期。悲観的になる必要は無い。ただし受託からの脱却は必要」とコメント。
日本VC協会会長・仮屋薗聡一(GLOBIS CAPITAL PARTNERS)氏は「VC以外に、自社事業との相乗効果を加味した大企業からの資金が流入し金額が大きくなっている。大企業がスタートアップの手を借りている。」とコメントした。
ーAI関連企業上位10社の推定企業価値ー
1. プリファード・ネットワークス(2402億円)
2. ABEJA (235億円)
3. エネチェンジ (82億円)
4. シナモン (69億円)
5. LeapMind (60億円)
6. SENSY (57億円)
7. アリスマー (54億円)
8. エクサウィザーズ(53億円)
9. オルツ (48億円)
10. Idein (44億円)
AIはブーム気味で、確実に成長が見込める分野です。松尾教授の「悲観的になる必要はない」というコメントは海外勢のGAFA(アマゾンなど)の攻勢を念頭に置いています。創業手帳も、プリファードネットワークやABEJAは、日本固有のニーズを捉えており(ハードとの連携、店舗向けなど)、海外勢とも戦えると見ています。
また、プリファードネットワークやABEJAなど上位に資金が集中する一極集中の構造が見られます。規模の劣るスタートアップが、海外勢・大手と対抗するには福岡のベルズシステムのようにニーズを絞り込んだ一点集中・突破も一つの戦略と言えるでしょう。
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7面:顧客の声をAIで解析。
エンパスがTMJと提携。コールセンターの成約率向上とオペレーターの離職率低下を目指す。
AI活用が高いレベルで実現すると、コールセンターの成約率、離職率の改善が見込めるでしょう。
多くのコールセンターでは、声が怒っているか、良い雰囲気かなど、対応を微妙で人間的な感覚で使い分けており、精神的なストレスも溜まりやすいので、離職率が高い傾向にあります。結果としてノウハウの蓄積が難しく、賃金も上がりにくいというのが構造的な問題です。AIの活用は、その問題に果敢に切り込む、地味だが効果の高い策と言えるでしょう。AIのデータの蓄積、ブラッシュアップと改善が今後の鍵になりそうです。
17面:大塚凱さん 人類代表とし俳句AIに勝利
AIの作る俳句は「突飛な面白さもあるが甘さも目立つ」とのこと。
「突飛さ」は、人間の感覚では気が付かないところに気がつくという意味でもあり、AIの持つ強さです。AIが今後、人間の感覚を補正的に取り入れ、ブラッシュアップを繰り返していけば、俳句のレベルも、人間が見て違和感がないものになっていきそうですね。
創業手帳の創業者(代表取締役)
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。
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