「スタートアップビジネスMBA講座」明治大学MBAの執筆陣と出身起業家が解説

創業手帳代表も執筆陣に参加。注目のスタートアップ本


起業家教育が近年注目を浴びています。しかし、スタートアップはまだ新しい領域であり、不確実性も高く、学問にしにくい分野でもあります。科学的なアプローチと実際の現場の融合がないと、起業家教育は難しいです。

そんな中で、明治大学MBA(MBS)では、アカデミックから現場の最前線の有識者まで講師に揃えたスタートアップ関連の授業を行っており、過去には創業手帳の代表の大久保も講師として参加しています。

明治大学のMBAは千代田区にあり、都心に位置していて、社会人が多く通っています。ビジネスコンテストなども毎年行っています。

証券型クラウドファンディングの雄であるファンディーノの柴原・大浦両共同創業者も、この明治大学MBAの出身者であり、スタートアップで成功した創業者を輩出しています。

そんな明治大学MBAのスタートアップに関連する講師が一同に会し、書籍にまとめたのが「スタートアップビジネスMBA講座(同文館)」です。

幅広い講師陣が執筆しているため、スタートアップの全貌を偏りなく学べること、現場と学問のバランスの取れた見方ができることがメリットと言えるでしょう。「スタートアップビジネスMBA講座」の見どころを解説してみます。

明治MBAから起業・証券型クラファンのFUNDINNO(ファンディーノ)代表取締役COO 大浦 学さんのコメント

MBSでの学びと出会いから起業する事に繋がっていきました。

起業を目指す方やスタートアップをはじめる方には体系的に学ぶMBA講座はオススメです。こちらの本も是非読んでみてくださいね。

著者代表・明治大学 首藤明敏さん
明治大学ビジネススクール(グローバル・ビジネス研究科)専任教授・元博報堂・著者多数

ー執筆陣を代表して首藤様のキャリアやスタートアップや大学との関わりなどを教えて下さい。

首藤:私のターニングポイントは、新卒で就職した広告会社の博報堂を休職し、ビジネススクールで学んだことです。博報堂では入社当初からマーケティング局で働きましたが、自分の中では、これからの時代に果たして、広告会社のマーケティングでプロとしてやっていけるだろうかという問題意識がありました。

博報堂に復職後、新しくできた研究開発局という部署に移り、博報堂のブランド管理システムの開発に従事しました。この方法論をクライアントに提案する中、一種の社内起業のような形で、ブランドコンサルティング会社を設立する機会を得て、40代前半でその代表取締役に就任しました。

15年ほど社長を務めるなかで、さまざまな教育機関でマーケティングやブランディングについて教える機会が増えていき、数年前に会社の経営を後輩に譲って、研究と教育の道に進みました。現在はビジネススクールで教鞭をとっていますが、同じビジネススクールへの入学をきっかけに自分が学んだことを後進へ伝えたいという気持ちです。

ーこの本の読みどころ、特徴はどのようなところですか?

首藤本書は、スタートアップビジネス経営に関する概論が網羅されている一方、実際の事例が豊富に述べられています。

概論編では,スタートアップビジネスの存在意義やエコシステム、人材と組織、資金調達と事業価値評価、税務対応、起業家精神等、さまざまな角度から考察しています。

一方,ケース編では,スタートアップビジネス企業に対する現場取材に基づき,実際の経営に即した実務的な示唆を導き出しています。多様な業種・環境にある企業のケースを多面的な視点から分析を行うことで,スタートアップビジネス経営の真相に迫っています。

ーなぜこの本が上梓されたのでしょうか?

首藤:スタートアップという言葉は,日本では,さまざまに解釈され,誤解や誤認を生んでいる場面も多いと感じます。実際,スタートアップブームに乗って起業した,あるいは,スタートアップ企業に夢を感じて勤めたものの,現実とのギャップに苦しむ若者も少なくないのが現状です。

そうした状況を打破するためには,スタートアップビジネスの本質的理解を深めることが重要です。また,財務,人事,マーケティング,会計,税務など,スタートアップビジネス経営に必要な多様な経営ノウハウの取得が求められます。本書はそうした課題に応えることを目標においています。

ーなぜ今、スタートアップが注目されていると思いますか?

首藤:労働人口の減少が加速度的に進む日本において、何らかのイノベーションを起こさなければ、社会が成り立たなくなる未来が見えています。

事業イノベーションの実現とスタートアップビジネスの創出はその打開策として、不可欠であると考えます。

ー今の日本のスタートアップ界やスタートアップ教育を見て、必要なことや重要な事はなんだと思いますか?

首藤:ごく一部のハイスペックキャリアの人材ではなく、普通のビジネスパーソンや若い学生が、スタートアップに挑戦し、失敗を許容しながら、成長できる機会の提供が、極めて重要だと思います。

ー明治大学のMBS(MBA)のスタートアップ教育の講師陣が執筆したということですが、明治のMBAのスタートアップ教育の特徴は何でしょう?

首藤:われわれ明治大学ビジネススクールは,企業の経営者や上級幹部として組織のマネジメント全般を担うビジネスプロフェッショナルの育成,ファミリービジネス発展のための経営者,後継者およびサポート人材の育成,新規事業や第二創業を含むスタートアップビジネスを担うイノベーション人材の育成を行っています。

そして,数年前からファミリービジネスとスタートアップビジネスという2つのクラスターを設置し,注力分野としてきました。

本書は,2019年出版の前著『ファミリービジネス:MBA講座』に続き,明治大学ビジネススクールの教授,講師陣の知を結集し,共著としてまとめたものです。まだまだ研究途上の分野も多々ありますが,本書がスタートアップビジネスに取り組む経営者,これからスタートアップビジネス設立を目指す方々,さまざまな企業で事業イノベーションに取り組む方々や研究者に少しでもお役に立てれば幸いです。

ーニュース記事を読んでいる読者へのメッセージをお願いします!

首藤:自分が執筆したケース編のまとめでも書いたとおり、「まずは,あいまいでもいい,大きな社会問題でなくても,自分が夢中になれることから始める。それに本気に取り組み,もがき苦しむ過程で突破口があり,それが新たな事業展開を生む。そして,勝負を繰り返しながら,さらに道を進めるうちに,自分も成長し,様々な人を巻き込む大きな志に昇華していく。」

一度の人生です。もし機会があれば、こうしたスタンスで、仕事に取り組んでみませんか。

首藤 明敏
博士(経営管理)。一橋大学卒業後、(株)博報堂でマーケティングプラニング業務に従事、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了、IESE国際プログラム単位取得後、(株)博報堂ブランドコンサルティング(現博報堂コンサルティング)を創業、同社代表取締役社長を経て、2016年より現職。早稲田大学大学院経営管理研究科非常勤講師兼任。著書,共著書に,『図解ブランドマーケティング』,『サービスブランディング』,『実践BtoBマーケティング』,『ぶれない経営』,『経営はデザインそのものである』,『顧客ロイヤルティの時代』、ほか多数。明治大学ビジネススクール教授陣による『ファミリービジネス:MBA講座』『スタートアップビジネス:MBA講座』の編集責任者。

スタートアップビジネス:MBA講座(同文舘出版)
スタートアップビジネスの基礎理論とともに、イノベーションを起こし急成長を遂げた「JINS」、「マネー・フォワード」、「炎重工」等、複数の企業の実践をケースを基に解説する!

大久保写真大久保の感想

スタートアップ・アントレプレナーシップ教育の必要性が叫ばれているが、なかなか難しいのが現実です。

それは起業というものが「不確実が高く新しい」領域で、学問的な扱いが難しい領域だからだと思います。

そんな中で現場の経験者と学術的なバックグラウンドのある講師陣が揃った明治大学MBA講座の講師陣が執筆した「スタートアップビジネスMBA講座」はバランスの取れたものの見方を提供しています。

良い教材が一冊あるかどうかで授業の進めやすさは変わってきます。こうした本を上手く活用して、日本のスタートアップ教育が広がって行ってくれればと思っています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。

解説者紹介

大久保幸世 創業手帳 株式会社 代表取締役

大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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