注目のスタートアップ

ダイヤモンド半導体の社会実装を目指す「大熊ダイヤモンドデバイス」が40億円調達

company

2024年10月17日、大熊ダイヤモンドデバイス株式会社は、総額約40億円の資金調達を実施したことを発表しました。

今回の資金調達により、助成金を合わせた累計調達額は約67億円となりました。

大熊ダイヤモンドデバイスは、ダイヤモンド半導体を開発するスタートアップです。

福島第一原発での事故の後、高温・高放射線環境に耐えられるダイヤモンド半導体へのニーズが高まり、大熊ダイヤモンドデバイスの取締役である金子純一氏を筆頭に国内の研究機関が研究開発に取り組んできました。

10年超に及ぶ研究を経て、ダイヤモンド半導体の商用化のため、2022年3月に大熊ダイヤモンドデバイスが設立されました。

今回の資金調達と「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金(製造・サービス業等立地支援事業)」の採択を通じ、世界初となるダイヤモンド半導体工場を建設します。

予定地は、福島県大熊町で、2024年度中に工場建設を開始し、2026年度に稼働を予定しています。


半導体はさまざまな電子機器で使われている電子部品であり、主要な材料にはシリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などがあります。とくにシリコンは、長い利用の歴史をもち、多様な電子部品に広く使われています。

しかし、近年の電子機器の高度化に伴い、半導体に求められる水準が高まってきています。そのため、シリコン以外の新しい材料を使用した次世代半導体が実用化に向けて研究されるようになっています。

こうした次世代材料の中でもダイヤモンドは、その絶縁体圧や熱伝導率が他の素材を大きく上回り、「究極の半導体」を作り出せる可能性があると考えられています。また、優れた耐久性をもち、宇宙などの厳しい環境にも耐えられる特性があります。

一方で、ダイヤモンド半導体の開発は難航し、かつては技術的に実現不可能であるとされていました。しかし、日本の研究チームは1980年代に気相成長法を用いてダイヤモンドの合成に成功し、以来、ダイヤモンド半導体実現に向けた基礎技術の研究が進められてきました。

とくに福島第一原発事故以降、ダイヤモンド半導体の必要性が高まり、国家プロジェクトとして研究開発が加速しています。2022年に設立された大熊ダイヤモンドデバイスは、商用化を目指すチームのひとつで、ダイヤモンド半導体の事業化に取り組んでいます。

企業の成長には戦略的な資金調達や、シナジーが見込める企業との提携が重要です。シリーズ累計発行部数250万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ ダイヤモンド半導体 北海道大学 半導体 大熊ダイヤモンドデバイス 株式会社 産業技術総合研究所 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

宇宙建築スタートアップの「Space Quarters」が1.6億円超調達
2024年6月3日、株式会社Space Quartersは、総額1億6,000万円超の資金調達を実施したことを発表しました。 Space Quartersは、軌道上や月面でのインフラとなる大型構造物を…
AIによる野球のトレーニングの効率化と成果向上を目指す「Knowhere」が1億円調達
2022年6月16日、株式会社Knowhereは、総額約1億円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、元プロ野球選手である斎藤佑樹氏が設立した株式会社斎藤佑樹、株式会社デジタルガレージが設…
母乳分析サービス提供の「Bonyu.lab」が1.5億円調達
2019年12月9日、株式会社Bonyu.labは、1億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、ピジョン株式会社です。 Bonyu.labは、世界初の母乳分析サービス「BON…
超小型人工衛星を活用した新たな宇宙利用の実現を目指す「ASTROFLASH」が資金調達
2020年12月7日、株式会社ASTROFLASHは、資金調達を実施したことを発表しました。 超小型人工衛星(CubeSat)を活用した新たな宇宙利用の実現を目指しています。 具体的には、多くの人が体…
パーソナル・ジム「REAL WORKOUT」運営の「WORKOUT」が資金調達
2019年12月9日、株式会社WORKOUTは、資金調達を実施したことを発表しました。 パーソナル・ジム「REAL WORKOUT」を運営しています。 2019年12月現在、関東地域を拠点にグループ2…

大久保の視点

国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
「スタートアップワールドカップ2024」世界決勝を現地速報!優勝はEarthgrid(米代表・プラズマでトンネル掘削)
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…
(2024/10/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集