経営者の個人保証を不要とする創業時の新しい保証制度「スタートアップ創出促進保証」が開始へ

change

中小企業庁は、「スタートアップ創出促進保証制度」を創設し、2023年3月中に制度を開始することを発表しました。

2022年6月7日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」を踏まえ、経営者の個人保証(以下、経営者保証)が起業・創業の阻害要因とならないように、経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度として創設されます。

概要

保証対象者:
 ・創業予定者(これから法人を設立し、事業を開始する具体的な計画がある者)
 ・分社化予定者(中小企業にあたる会社で事業を継続しつつ、新たに会社を設立する具体的な計画がある者)
 ・創業後5年未満の法人
 ・分社化後5年未満の法人
 ・創業後5年未満の法人成り企業
保証限度額:3,500万円
保証期間:10年以内
据置期間:1年以内(一定の条件を満たす場合には3年以内)
金利:金融機関所定
保証料率:各信用保証協会所定の創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せした保証料率
担保・保証人:不要
その他:
 ・創業計画書(スタートアップ創出促進保証制度用)の提出が必要。
 ・保証申込受付時点において税務申告1期未終了の創業者にあっては創業資金総額の1/10以上の自己資金を有していることを要する。
 ・本制度による信用保証付融資を受けた方は、原則として会社を設立して3年目および5年目のタイミングで中小企業活性化協議会による「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」(後日掲載予定)に基づいた確認および助言を受けることを要する。
取扱期間:2023年3月中に保証取扱いを開始予定


株式会社や合同会社は有限責任であるため、会社が倒産してしまった場合でも、返済の責任は出資した範囲内が限度となります。

しかし、中小企業のオーナー(社長兼株主)などの場合は、金融機関などからの融資などにおいて、会社の保証人や連帯保証人となっている場合が多く、実質的に債務を無制限に返済する義務を負う無限責任となっています。

この企業が金融機関から融資を受ける際、経営者個人が会社の連帯保証人となる制度を「経営者保証」といいます。

経営者保証は、金融機関には安心して融資ができる、中小企業の経営者・企業には弱い信用を補完できるというメリットがあります。

一方で、起業や、中小企業の挑戦的な事業展開、円滑な事業承継を妨げる要因となっていることから、経営者保証を必要としない融資制度が求められています。

政府は、この経営者保証が後継者候補確保の障害となっていることを踏まえ、「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」として、2020年1月から「経営者保証ガイドライン」の徹底により、一定の条件を満たす企業に対して「原則無保証化」とする対策を実施するなどしています。

今回の「スタートアップ創出促進保証制度」は、こうした経営者保証の問題により踏み込んだ制度です。経営者保証が不要となることでどのように起業をめぐる動向が変化するのか注目が必要です。

起業においては日本政策金融公庫などの創業融資制度を活用することが重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、起業時の融資の注意点や、融資を受ける際のノウハウについて詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 制度改正
関連タグ スタートアップ創出促進保証制度 信用保証制度 経営者保証 融資
詳細はこちら

経営者の個人保証を不要とする創業時の新しい保証制度(スタートアップ創出促進保証)を開始します。

創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
クラウド会計ソフト「freee(フリー)会計」を実際に使ってみた
あなたの会社に合った補助金・助成金がすぐわかる!自動マッチングツールを導入しよう
持続化給付金の申請開始!最大200万円給付で事業を下支えー概要やポイントは?
キャッシュフロー計算書のサムネイル
キャッシュフローとは?計算書(C/F)の見方や作り方などをわかりやすく解説!
【2025年最新】東京都の創業・起業者支援「創業助成金(創業助成事業)」について解説
NPO法人設立サムネイル
【保存版】NPO法人の設立は難しい?メリットや設立費用、条件など徹底解説

制度改正の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

ケニア発のマイクロ・ファイナンス・スタートアップ「HAKKI AFRICA」が資金調達
2020年4月16日、株式会社HAKKI AFRICAは、資金調達を実施したことを発表しました。 信用情報の存在しない貧困層の小規模事業者にも積極的に少額から融資を行う、マイクロ・ファイナンス事業を展…
ノーコードのガイド・ナビゲーションツールを提供する「テックタッチ」が日本政策金融公庫より2.5億円の新株予約権付融資を実行
2023年2月8日、テックタッチ株式会社は、日本政策金融公庫より新株予約権付融資として、2億5,000万円の融資を実行されたことを発表しました。 テックタッチは、ノーコードのガイド・ナビゲーションツー…
貸付投資のオンラインプラットフォーム「Funds」を運営する「ファンズ」が36億円調達
2023年3月14日、ファンズ株式会社は、総額約36億円の資金調達を実施したことを発表しました。 ファンズは、貸付投資のオンラインプラットフォーム「Funds」を運営しています。 個人投資家向けには間…
「新型コロナウイルス感染症に係るセーフティネット保証4号」資金使途を借換目的に限定し指定期間を延長
2023年8月30日、中小企業庁は、新型コロナウイルス感染症に係るセーフティネット保証4号について、資金使途を借換目的に限定の上、指定期間を3か月延長することを発表しました。 新型コロナウイルス感染症…
個人向け銀行ローンDXプラットフォーム「クラウドローン」が「SMBCファイナンスサービス」と事前審査の連携を開始
2021年11月16日、クラウドローン株式会社は、SMBCファイナンスサービス株式会社と、事前審査の機能を備えた新バージョンの「クラウドローン」を開始することを発表しました。 クラウドローンの提供する…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集