注目のスタートアップ

食用コオロギの養殖事業などを展開する「CricketFarm」が7,300万円調達

company

2022年11月17日、株式会社CricketFarmは、株式投資型クラウドファンディングや協調融資により7,300万円の資金調達を実施したことを発表しました。

CricketFarmは、ゲノム編集を一切行わず、徹底した衛生管理のもと、自然界の状態に近い環境で食用コオロギの養殖を行っています。

また、昆虫食に対するマイナスイメージを払拭するため、工場見学ができる茅野養殖場を8月にオープンしています。

コオロギを利用したオリジナル商品では、コオロギを粉末にしたコオロギ100%のコオロギパウダーや、コオロギパウダーを利用したパウンドケーキ、コオロギパウダーを配合した塩、コオロギパウダーを配合したプロテインパウダーなどを開発し販売しています。

今回の資金は、新商品の開発、養殖場や直売所での設備・運転資金に活用します。

世界的な人口増加により、早くて2030年にはタンパク質の需要と供給のバランスが崩れ、需要が供給を上回りはじめると予想されています。これをタンパク質危機と呼びます。

タンパク質需要を満たすためにタンパク質の供給を増やさなくてはならないのですが、動物性タンパク質である畜産肉については、畜産で利用可能な土地がもう残されていないことや、ウシ・ブタは必要とする飼料用穀物の量に対してタンパク質の変換効率が低い、大量の水を消費するといった課題を抱えており、これ以上供給量を増やすことはできなくなっています。

さらにウシはげっぷとして温室効果ガスであるメタンガスを放出します。米国では排出するメタンガスの約25%がウシによるものと推定されており、環境対策のためとしても畜産は控えなくてはなりません。

そのため新たなタンパク質とその生産方法などについて世界中で研究開発が進められており、その結果として現在は植物肉が高い注目を集めています。

一方、植物肉の主な原料は豆類であるため植物性タンパク質となります。人間は植物性タンパク質よりも動物性タンパク質のほうが吸収の効率が優れているため、動物性タンパク質をどう確保するかが問題となっています。

その新たな動物性タンパク質として注目されているのが昆虫です。

とくにコオロギは飼育が容易で、食性が雑食、食味が良いという特徴があり、昆虫食のなかでもメジャーなものとなると考えられています。

しかし、とくに欧米などでは昆虫食は伝統的な食文化ではなく、昆虫を食すという行為に強い抵抗感を持つ人が少なくありません。

国内においてはイナゴや蜂の子などは佃煮などにして食べられており、田舎では貴重なタンパク源のひとつでしたが、近年は主に珍味として食されるに留まり、昆虫食に抵抗を持つ人も多く存在しています。

CricketFarmは、消費者が安心して昆虫を食べられるよう、ゲノム編集・遺伝子組換えなどを一切使用せず、徹底した衛生管理のもとコオロギの養殖に取り組んでいます。

さらに抵抗感なく食べられるようコオロギパウダーとして粉末にし、その粉末や粉末を活用した商品を展開しています。

SDGsは大きなビジネスチャンスとなり得ます。世界に先んじて革新的なプロダクトやサービスを開発できれば、大きなシェアを獲得できるでしょう。そのためには開発やマーケティングのために豊富な資金が必要となります。「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報について詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ CricketFarm クリケットパウダー クリケットファーム コオロギ コオロギパウダー タンパク質危機 昆虫食 株式会社 長野県 食用コオロギ 養殖
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

大学・専門学校向け募集広報システム「SchooLynk Contact」を提供する「Doorkel」が3億円調達
2023年1月18日、株式会社Doorkelは、総額3億円の資金調達を実施したことを発表しました。 Doorkelは、大学・専門学校向け募集広報システム「SchooLynk Contact」を提供して…
運動療法クラウドシステムを提供する「リハサク」が1.5億円調達
2023年8月9日、株式会社リハサクは、総額約1億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 リハサクは、運動療法クラウドシステム「リハサク」を開発・提供しています。 理学療法士や柔道整復…
グローバルカーライフテックサービス「cars」を運営する「cars」が15億円調達
2023年9月12日、cars株式会社は、総額約15億円の資金調達を実施したことを発表しました。 carsは、グローバルカーライフテックサービス「cars」を展開しています。 生活者のカーライフをエン…
医療業界向けシステム・アプリ受託開発などの「ジーワン」がIT営業アウトソーシングの「BCC」と資本提携
2022年5月23日、ジーワン株式会社は、BCC株式会社からの出資を受け入れたことを発表しました。 ジーワンは、医療向けにHXデザイン(ヘルスケアエクスペリエンスデザイン)、システム・ウェブサイト開発…
AmazonPODを活用したオンデマンド出版など展開の「galaxy」が資金調達
2020年1月30日、galaxy株式会社は、株式会社メディアドゥホールディングスと資本業務提携契約を締結したことを発表しました。 AmazonPODを活用し、オンデマンドで書籍を出版する「galax…

大久保の視点

「千代田区CULTURExTECH ビジコン2024」が丸の内TOKYO創業ステーションで2024年3月19日に開催
2024年3月19日(火)にStartup Hub Tokyo 丸の内(TOKYO創業ステーション 丸の内 1F・千代田区)で千代田CULTURExTECH…
(2024/3/19)
明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得は宇宙ビジネスの蓮見大聖さん明治大学4年「AMATERAS SPACE」
2024年3月13日(木)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第2回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2024/3/13)
Coral Capitalが虎ノ門ヒルズで「Startup Aquarium 2024」を開催。VCが大規模キャリアイベント
ベンチャーキャピタルのCoral Capitalが主催する「Startup Aquarium 2024」が2024年3月2日(土)に虎ノ門ヒルズで開催されま…
(2024/3/2)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集
今すぐ
申し込む
【無料】