黒字化のためのポイントを解説!赤字になる原因を理解し、安定経営を目指そう!

創業手帳

黒字化を目指した経営プランの策定が重要


事業を継続させるために、多くの創業経営者にとって黒字化はひとつの目標です。
黒字化し安定経営を目指す為には、黒字と赤字の意味を理解した上で経営プランを策定することが重要となります。

そこで今回は、黒字と赤字の意味を解説すると共に、赤字経営のリスクや赤字になる原因をご紹介していきます。
また、黒字化させるためのポイントについても解説していくので、事業のスタートを計画している方や、赤字経営が続き悩んでいる経営者の方はぜひ参考にしてください。

黒字化を目指すためには、会社の経営状態を把握しておく必要があります。創業手帳では、お金の出入りを管理する「資金繰り表」のテンプレートが会員向け特典としてダウンロード可能に。また創業手帳本誌においては、キャッシュフローの管理のポイントを一覧で見れる「キャッシュフロー改善チェックシート」をご用意しています。全て無料でご利用いただけますので、是非この機会に創業手帳を資料請求し、会員特典をご活用ください。

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黒字・赤字とは?


企業業績が黒字なのか赤字なのかについては、営業利益・経常利益・純利益など損益計算書に記載する項目から判断できます。
まずは、黒字と赤字が具体的にどのような状態を示すのか解説します。

黒字状態とは

支出や費用よりも収益や収入が上回り、余剰が出た状態を黒字と言います。前述した営業利益が黒字であれば、本業で儲けが出ている状態です。

しかし、借入金による利息負担が大きい場合や投資で損失を計上した場合、営業利益が黒字であっても経常利益が赤字になるケースもあります。
一方、経常利益が黒字であれば経営全体で利益が出ている状態です。
また、純利益が黒字になると企業活動すべての収益が費用よりも大きくなっていることになるため、会社の純資産が増加した状態であると判断できます。

黒字化のメリットは、金融機関からの融資が受けやすくなることや、株式価値が向上することなどです。
安定的な収益があれば金融機関は貸付金の回収に懸念がないと判断できるため、融資が受けやすくなります。
また、株主が投資をする際は株式価値の向上を期待して投資を行います。業績は判断材料となるため、黒字化していれば投資する価値があると判断されやすくなります。

ただし、課税所得に対しては法人税の支払いが発生するので注意してください。
一般的には利益が大きくなればなるほど法人税の額も大きくなるため、支払う税額が多くなります。

赤字状態とは

仕入れ費や固定費が売上げよりも多く、利益がマイナスの状態になることを赤字と言います。経常利益が赤字であれば企業全体の利益がマイナスになっている状態です。
純利益が赤字だった場合は、事業年度内における企業活動による会社の純資産が減少したことを意味します。
赤字になってしまうとすぐに倒産をイメージするかもしれませんが、実際には手元に資金があり、支払い能力に問題がなければ赤字でも倒産はしません。
例えば今期に150万円の赤字を計上したとしても、前期が800万円の黒字決算であれば、前期からの通算で650万円の黒字であると判断できます。

会社に資金力があれば、支払い能力があるので倒産は免れます。また、経営者から会社に資金を貸し付けることにより経営を続けられることもあります。
赤字決算であれば法人税や所得税が安くなる点はメリットです。
欠損金が発生すれば、翌年以降10年間のうちに利益がプラスになれば、その際の損益を相殺できる「欠損金繰越控除」が受けられます。

現在は赤字でも将来黒字が出れば相殺できるため、法人税を減額できます。中には節税のために、意図的に赤字を計上する会社も存在するほどです。

赤字経営のリスク

赤字経営でも状況によってはメリットを得られますが、やはりデメリットに感じる部分が多くなるのは事実です。会社にとってどのようなリスクがあるのかについて解説します。

・融資が受けにくい
赤字経営になると金融機関からの借入れが難しくなります。赤字経営が続いておらず、それほど深刻な状態ではないと判断されれば問題ありません。
しかし、深刻であると判断されれば融資を断られてしまいます。
返済能力がなく、会社に資産がなくなれば、追加融資ができないばかりか返済が滞れば一括返済を求められる場合もあります。
節税のため意図的に赤字にしただけだったとしても、信用を失ってしまえば倒産するリスクもあるため注意してください。

・税務署の調査対象になる可能性がある
税務署は企業の決算状況に問題がないかどうか調査を行います。黒字経営にも関わらず赤字にしていると判断されれば、家宅捜索となり追徴課税を受ける場合もあります。
最悪の場合、脱税で逮捕される恐れもあるでしょう。

・倒産するリスクが増加する
赤字経営が続けば倒産のリスクが増加します。金融機関からの融資が受けられなければ、今後の企業経営にも影響を与えるでしょう。

資金に余力がなくなれば給与の支払いや仕入れ代金、借入金の返済ができず、資金ショートしてしまいます。
倒産を回避するためにも赤字経営からの脱却策を見出すことが重要です。

赤字になる原因


赤字経営からの脱却を目指すなら、まずは赤字になる原因を知ることから始めましょう。

売上高が少ない

売上げが少なければ赤字を招きます。売上げが少ない原因として、以下の理由が考えられます。

  • 商品や会社の知名度が低い
  • 顧客が少ない
  • 商品やサービスの金額が高すぎる
  • 商品やサービスの金額が安すぎる
  • 競合他社に顧客を奪われている
  • 商品やサービスの魅力を伝えられていない
  • 人材不足で営業活動が十分に実施できていない
  • ニーズに合っていない商品やサービスを提供している など

なぜ問題が起きてしまうのかを考え、改善策を見出すことが大切です。

経費が多い

売上げが高くても経費がそれを超えてしまえば赤字となります。赤字幅を縮小するためにも、無駄な経費を削減しなければなりません。
主な経費として、人件費や賃料、広告費などが挙げられますが、削減する経費の内容は企業によって異なります。

人件費を削減した場合、経費の削減効果は大きくなりますが、人材不足に陥る可能性もあります。
削減した際の影響についても考慮しながら経費の削減について検討してください。

売上総利益(粗利)が低い

売上げから原価を差し引いた利益を売上総利益(粗利)と言います。売上総利益が悪化する原因としては、以下の理由が考えられます。

  • 販売価格が低い
  • 仕入れ額が高い
  • 不良品が多い
  • 廃棄が多い
  • 配送ルートに無駄がある など

原価が高いのであれば、仕入れ先を変更するといった改善策を模索する必要があります。

スタートアップ企業は赤字になりやすい

創業して間もないスタートアップ企業は赤字になりやすいと言われています。その理由について解説していきます。

・資金調達が潤滑
ベンチャーキャピタルからの資金調達が潤滑であれば焦る必要はありません。ベンチャーへの投資は、現在よりも将来的な事業の成長を期待して投資が行われています。
そのため、事業を開始してから間もない状態で利益を強く求められる可能性は少ないといえます。
創業時は設備投資など多額の費用がかかる傾向にもあり、赤字になりやすいといえるでしょう。

・成長速度が優先される
スタートアップ時には、短期的な利益よりも商品の開発やシェアの拡大といった優先度が上がるので赤字が容認されるケースも多くなっています。
上記の他にも、黒字化するためのノウハウがないといった理由もあります。1年目から黒字化したいと考える経営者もいるはずです。
しかし、黒字化を目指すあまりに開発費用を抑える、人件費を抑えるといった方法を試せば、開発にまわす人材の確保や時間がなくなってしまう危険性もあります。
事業の発展や継続をするためにも、短期的な黒字化に固執しすぎず、中長期的な黒字化を目指してください。

帝国データバンクの「大学発ベンチャー企業の経営実態調査」によると、大学発のベンチャービジネスが黒字化をして成功を収めるまでに平均で5.1年かかっているとの報告がされています。
スタートアップ企業が黒字化するためには時間がかかるので、焦らず継続することが大切です。

黒字化するためのポイント


企業が黒字化を目指すための方法を解説していきます。取り組みやすい改善方法をご紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

自社の現状を把握する

まずは、なぜ会社が赤字になってしまったのか現状を把握してください。
理由もなく赤字の取引きをしていないか、借入金は有効活用できているか、無駄な投資をしていないか、経費で無駄は発生していないかなどについて確認していきます。
現状を分析して改善できる部分があれば見直しを図ります。ただし、原因を知るだけで終わりではありません。

原因があれば解説策を見出し、実際に動かなければ改善しません。知識を得るだけで終わることのないよう、実行に移しましょう。

コストの削減

不要なコストがあれば削減してください。例えば仕入れ原価が高い場合は、調達方法や仕入れルートから削減できる部分がないか見直してください。

消耗品についても、購入ルートや購入方法を見直せば費用を抑えられます。また、ペーパーレス化を図れば紙やインク代を抑えられ、配布する手間も省けます。
出張や移動費が多い場合は、オンライン会議の活用で削減できないか検討してみてください。

また、イベントへの参加は費用対効果が見合っているか確認しましょう。効果がないのであれば無駄を省くことでコストを削減できます。

在庫や仕入れ方法の確認

在庫管理の見直しも必要です。商品や材料の廃棄処分が多ければ、在庫管理の仕方に問題があります。
管理のルールを見直して再度新しいルールを策定してください。マニュアルを作成すれば担当者が不在であってもスムーズな在庫管理が可能です。

また、仕入れの方法も見直してください。在庫は多すぎず少なすぎない、適切な数量である必要があります。
感覚による発注では失敗を招くので、過去の販売データや市場の動向を分析し、実績に基づいた計画的な管理を実施することで粗利率アップも期待できます。

ただし、仕入れ方法の変更による品質の悪化は避けなければなりません。品質の低下は顧客離れにつながり、赤字が拡大する危険性もあります。

外注も検討する

人件費は経費の中でも大きな割合を占めています。
人件費をかけたくないからと人材の募集を躊躇している企業もありますが、人材不足に陥れば営業や製造に悪影響を及ぼしかねません。

人材を育成しようとしても費用がかかるため、組織を作る余裕がない場合やスキルを持った人材がいない場合は外注も検討してみてください。
必要な時だけ外注を依頼すれば余計な人件費をかけずに済み、低コストで成果が得られる可能性があります。

広告費にお金をかけすぎない

企業や商品を知ってもらうため、売上げアップを狙うためにも広告は有効です。しかし、宣伝広告には費用がかかります。
黒字化を目指して広告費にお金をかけてしまえば、それ以外の部分で削減が必要となり、経営に影響を与えてしまうケースも考えられます。

スタートアップ時期は資金に余裕がない場合も多いため、予算内に収まるような広告を打ち出せるよう検討してみてください。
スタートアップ企業の広告には、リスティング広告や外部メディアへの広告掲載などがおすすめです。

その他にも、SNS広告は認知度アップが期待できます。
Instagramではおしゃれな写真やインパクトのある投稿ができればハッシュタグによって拡散され、より多くのユーザーに製品や企業の魅力を周知できます。
TwitterやFacebookといったSNSも活用できるので、低予算で広告を打ち出したい場合にはSNS運用を検討してみてください。

中期経営計画を立てる

自社の状況を分析して赤字の原因がわかれば、赤字から脱却するための策を考えます。その際には、中期経営計画を立てるのがおすすめです。

長期的な経営ビジョンを実現するために、3~5年先までに実施すべき計画を示したものを中期経営計画と言います。
中期経営計画は売上や顧客の獲得など、具体的な数値を用いる必要があります。

中期経営計画のメリット

中期経営計画を立てるメリットには、目標や課題の明確化が挙げられます。目標や計画が明確化されれば社員と共有でき、達成に向けて一丸となって業務に取り組めます。
そのため、モチベーションのアップや維持にも役立ちます。

また、現状と長期経営計画との乖離があれば課題を見つけることができ、改善することに役立ちます。
将来的な計画があれば、顧客や取引先にも安心感を与えられるので、信頼関係の構築にもつながります。

中期経営計画を立てる流れ

中期経営計画策定の流れは以下のとおりです。

1.現状の把握
2.目標の設定
3.問題の認識
4.数値目標の設定
5.行動計画の作成

まずは現状を正確に把握し、その現状をもとに課題解決に向けての目標を掲げます。
現状と将来あるべき姿がわかれば問題も浮き彫りになるため、具体的な数値目標と行動計画を作成します。

まとめ

企業が赤字になると税負担が抑えられるといったメリットはありますが、融資が受けにくくなる、税務署の調査対象になるといったリスクがあります。
赤字状態を放置していれば倒産する危険性もあるため、黒字化を目指さなければなりません。

企業を黒字化させるためには自社の現状を把握することから始めます。その結果、問題を認識でき、具体的な目標を設定できるようになります。
今回ご紹介した黒字化を目指すためのポイントを参考にしつつ、中期経営計画も作成してみてください。

創業手帳(冊子版)」では、安定経営を目指すためのノウハウや役立つ情報を掲載しています。経営のサポートとしてぜひお役立てください。
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(編集:創業手帳編集部)

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