起業後の生存率はどのくらい?廃業する理由などを詳しく解説!
起業してから10年後の生存率は3割を切る
新たな法人の設立や個人事業主として開業する起業家の数は増加していますが、それらすべての会社や個人事業主が順調にビジネスを進めているわけではありません。
起業後10年間存続できるケースは少なく、様々な理由で廃業に追い込まれる会社は多いです。
そこで今回は、起業後の生存率はどのくらいなのかをご紹介します。
廃業してしまう理由や生存率を高めるためのポイントについてもまとめているので、起業を検討されている方はぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
起業後の生存率はどれくらい?
そもそも生存率とは、起業から数年経っても事業を継続している会社の割合のことです。
設立した会社であれば長く続いてほしいものですが、実際の生存率はどのくらいなのか、まずは起業から1年後、3~5年後、10年後の生存率をご紹介します。
起業から1年後の生存率は72%
経済産業省の調査によると、新しく設立した会社や個人事業主が起業から1年後に生存している割合は、約72%だといわれています。
10人の起業家のうち約3人は1年後には廃業しているということです。
起業から1年足らずで廃業してしまう会社の多くは、見切り発車で経営をスタートさせています。
事業計画をきちんと立てずに法人設立、もしくは個人事業主として開業してしまうと途中で経営が立ち行かなくなるケースは少なくありません。
また、資金不足が原因のこともあります。開業1年目から黒字を出すことは難しく、手元の資金を削りながらの経営が基本です。
起業時点で余裕のある資金を確保していないと赤字の補填ができず、結果的に資金繰りが破綻する会社もあります。
起業から3~5年後の生存率は40~50%
起業から3年目の生存率は約50%、5年後は約40%です。
1年目の生存率に比べて3~5年目にかけては約10%の減少となっており、長く経営するほどビジネスが安定してくるといえます。
起業から3年で倒産する会社の場合は資金不足には問題ないが、事業自体が波に乗らずに廃業するケースが多いです。
また、起業当初に用意していた資金が底をついた、安易に雇用者を増やしてしまい出費が増えたなどが原因の場合もあります。
その一方で3年以上の会社はビジネスが安定しているケースが多く、倒産する企業は減少しています。
つまり、3年後まで生き残れた会社はその後も存続できる可能性が高まるといえ、ひとつの目安になるということです。
起業から10年後の生存率は26%
起業から10年目になると生存率は約26%です。起業後10年間同じビジネスを継続できる方は約4人にひとりの割合になります。
ただし、新しい会社を設立して業態が変化した、個人事業主が法人を設立したなどのケースも廃業として扱われるため、4人のうち3人全員経営が立ち行かなくなったわけではありません。
しかし、いずれにしても起業当初と同じ業態でビジネスをできる確率はわずか26%です。
また、景気は20年周期だといわれていますが、10年間のうちに不況や好況などが発生し、当初はビジネスが軌道に乗っていた会社でも突然倒産してしまうリスクはあります。
10年後も存続するためには、あらゆるリスクに備えた対策が必要です。
起業しても生存率が下がり廃業してしまう理由は?
廃業してしまう原因には様々なものがありますが、それには何らかの理由があります。
起業から数年で廃業に陥ってしまう原因をあらかじめ把握し、対策しておけば廃業リスクを避けられるでしょう。
ここでは、どのような理由から廃業してしまうのかを解説します。
資金不足に陥ってしまう
経営が立ち行かなくなる主な理由として、資金不足があります。ビジネスを運営していくためには事業に関する経費や税金などの支払いが必要です。
起業したての会社は手元資金が少なく、予想していたよりも多額の支払いが発生した際にお金を捻出できないケースも珍しくありません。
さらに、初めての起業だと正しい売上額を予測することは難しいです。そのため、計画よりも使えるお金が少なく廃業へと追い込まれる場合もあります。
また、ひとり社長として起業後に思ったよりも利益が出ず、個人事業主となる「個人成り」をする方もいます。
なぜなら所得が800万円以下の場合、個人事業主でいるほうが自由度も高くなるためです。
このように、様々な資金面の事情によって廃業するケースは多いです。
財務関連の知識が乏しい
財務関連の知識がない点も、廃業してしまう理由のひとつです。
財務の知識がなければ、どんぶり勘定で誤った判断をしたり、正しいタイミングと方法で資金調達ができなかったりするなど、ビジネスを進めるために必要な資金管理が行えません。
財務関連の知識を持つ方を採用する方法もありますが、大切なのは経営者自身が学ぶことです。
指摘されてから行動するよりも、経営者自身が問題に気づければスピーディな判断ができ、資金管理の問題も最小限に抑えられます。
実際、財務に関する知識が乏しい経営者は多いです。
しかし、ビジネスの長期化に成功している多くの経営者はそれらの知識を身に付けており、さらに社員にも財務のプロがいます。
安定した経営をするためにも、財務関連を疎かにすることはおすすめできません。
事業計画どおりに進められない
起業時に立てた事業計画どおりの売上げや利益が得られず、ビジネスで使えるお金が少ないために廃業に陥ってしまうケースもあります。
特に起業が初めての場合、自分が手掛ける事業でどの時期に、どの程度の売上げが見込めるかを正確に予想するのは困難です。
本来であれば計画どおりに進まなかった際に備えた代替案を用意しておくものですが、初めての起業でそこまでリスク回避をできる方は少ないです。
収入と出費の金額にギャップが出たり、突然多額の支払いが発生したりするなど、事業計画どおりの利益や支出になるとは限りません。
その結果、手持ちの資金が徐々に削られていき、最終的には資金がショートして廃業に追い込まれてしまいます。
事業拡大などで失敗してしまう
事業拡大が原因で廃業する会社も存在します。
事業計画どおりよりもビジネスが大きく成長している際、大幅に雇用を増加させたり、事務所スペースを拡大・都心部へ移動したりするケースは少なくありません。
しかし、事業拡大は廃業リスクを高める恐れもあります。
なぜなら、従業員の増加や事務所の拡大などで発生する人件費や家賃などは毎月の固定費となり、突然経営不振に陥った際でもコストカットが難しいためです。
起業後にビジネスを軌道に乗せられたからといって、その後も会社を成長し続けられるとは限らず、事業規模の拡大に合わせて慎重に取り組む必要があります。
開業時に勢い任せで行った事業拡大が原因で、倒産に追い込まれるケースは多いので注意してください。
ベンチャーキャピタルから出資してもらえない
ベンチャーキャピタルからの出資が得られないことも、廃業の理由です。
ベンチャーキャピタルとは、成長が期待できる企業の将来性を見極め、出資やビジネスの支援を行う会社になります。
起業したての会社は信用度が低いため銀行の融資を受けにくく、特にベンチャー企業の場合はベンチャーキャピタルからの出資に頼ることが多いです。
しかし、将来性が不透明である企業は出資を得にくく、資金調達先が見つからないケースもあります。
そのため、銀行から融資を断られ、さらにはベンチャーキャピタルからも出資してもらえない会社は廃業しやすくなります。
クラウドファンディングやファクタリングなどの方法を活用し、資金調達の手段を持っておくことが大切です。
営業力が弱い
営業力が弱い会社も生存率が低い傾向にあります。顧客に商品やサービスを売り、長期的に利益を生み出す会社になるためには営業力が欠かせません。
営業力が弱ければ新たな仕事を獲得できずに売上げが徐々に減少し、衰退してしまうのです。
会社の営業力を高めるためには、優秀な営業担当を採用すれば良いだけではありません。
誰かひとりに頼りきりでは、その人が辞職した際に営業がストップしてしまう恐れがあります。
大切なのは会社全体が営業に強い組織になることであり、そのための仕組みやシステムを構築しなければなりません。
会社全体で取り組めば安定したビジネス運用が可能になり、起業から10年経っても生存している可能性が高まります。
起業後の生存率を高めるためのポイント
起業から10年目を迎えられる会社の割合は約26%です。4人にひとりの成功者になるためには、長く創業している会社の特徴や共通点を把握しておくことがおすすめです。
ここからは、生存率を高めるためのポイントを5つご紹介します。
競業の少ない分野で先駆者になる
生存率を高めるためには、競合がまだ少ない新しい事業でスタートするという方法があります。
今現在、勢いのある事業分野を手掛けるのも良いですが、ほかの経営者も同様のことを考えているため競合相手が多く、成功するためには厳しい戦いに勝たなければなりません。
しかし、新しい事業であれば戦うべき相手が少なく、場合によってはその分野の先駆者になれます。
先駆者というと見本がいないため、「この方法で本当に合っているのか」「サポートしてくれる人はいないのか」などと不安になることもあるかもしれません。
ですが、先駆者になれればその事業をブランド化でき、インターネットやテレビなどでも話題に上がりやすくなります。長期的に活躍する企業へと成長させることも可能です。
経営者など幹部が将来を見据えている
幹部が将来を見据えている会社も存続しやすい傾向にあります。
将来のために積極的かつ責任感を持ちながら行動する幹部がいると、会社全体で同じ目標に向かって進むことができ、業務効率が大幅にアップします。
そのためには、幹部の考えや目指す目標を従業員へと伝えることも大切です。
どんなに幹部が将来を見据えていても、それを企業のトップ陣しか知らなければ意味がないでしょう。
そもそも会社にとって起業はゴールではなく、単なるスタート地点にしか過ぎません。
スタートからどのような方法で、どこに向かうのかを明確にすると会社がひとつにまとまりやすく、生存率を高められます。
会社を強くするためには経営者陣が将来を見据え、それを会社全体に周知することが大切です。
会社独自の強みがある
生存率を高めるためには、自分たちの強みが何かを把握しておくことも重要です。
事業がうまくいきそうだから、勢いがある分野だからといってあらゆることに手を出していると、本来手掛けるべきビジネスが疎かになってしまいます。
また、経営のブレは従業員からの不信感にもつながります。
周囲に惑わされず、まずは自分たちの会社が目指す目標やすべき行動などを明確にしてください。
そうすれば会社独自の強みがわかり、他企業との差別化にもつながるほか、商品やサービスにも一貫性が生まれます。
他分野を手掛けるのは本業が軌道に乗り、事業が安定したタイミングが適しています。まずは自社の強みを活かしたビジネス展開を行ってください。
不易流行を合わせ持つ
不易流行を併せ持った企業は廃業しにくいです。不易とはいつまでも変わらないもの、流行とは時代の流れに合わせて変わっていく、変わるべきものという意味です。
ビジネスにおいては、伝統的な本質を大切にしながら時代の変化にも応じた事業・手法を取り入れることをいいます。
不易は「会社の使命や価値、理念」などを指し、会社が掲げるミッションやビジョンを実現するために欠かせない行動や考え方の指針です。
流行は企業の使命や価値などを達成するための経営活動やマネジメントなど、時代の流れや会社の状態を考慮しながら変化していく活動を指します。
不易と流行のバランスを保ちながら経営していくことが、企業の存続へとつながっていくでしょう。
リスクに対する備えができている
リスクへの備えができているかどうかで、廃業のリスクは大きく変化します。何十年、何百年と経営していくと、自然災害や戦争などのあらゆる問題に直面することもあります。
そのような危機を乗り越え、変わらずに経営をしていくためには財務でのリスク管理が重要です。
長く続いている企業の特徴として、身の丈経営・堅実経営を行っていることがあります。
仕事を受ける際には、自分たちが納得のいくものが作れるか、自信を持って提供できるかどうかで受注の可否を判断しています。
時にはうまい話を聞かされることもあるかもしれませんが、目先の利益に飛びつかず、自分たちが目指すビションに向けて堅実に向き合うことが大切です。
ただし、新しいことにまったくチャレンジしないわけではありません。
自分たちが掲げる使命や理念から大きく外れることなく、会社の強みを活かせる分野で小さいことから挑戦していきます。
一発の成功を狙うのではなく、少しずつビジネスを成功させていく姿勢が大切です。
まとめ
起業から1年後の生存率は約72%、3~5年後は約40~50%、そして10年間存続している会社はわずか約26%となっています。
生存率を高めるためには自分の会社が持つ強みを活かせる事業を計画し、万が一の際のリスクに備えることが大切です。
また、まだ競合の少ない先駆者になることで生存率を高められます。
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創業手帳編集部のコメント:会社や個人事業主の起業後の生存率をあげるためには情報収集を!
(編集:創業手帳編集部)
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記事にあるように、会社設立のみならず、個人事業主やフリーランスの方が廃業せずに生存していくことは並大抵のことではありません。
しかし、記事内の生存率をあげるためにすべきポイントをおさえつつ、常に情報収集を絶やさないことが最も大切です。
特に駆け出しの起業家や個人事業主、フリーランスの方は、お金をかけずに無料で情報収集できるサービスを活用してみてください。
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