会社員からフリーランスになるには?退職前に必要な準備や独立の手続きを解説

創業手帳

会社員からフリーランスになるには退職前後の準備と手続きが重要!


会社員からフリーランスになる時には、退職届の提出や社会保険の切り替え、開業届の提出といった多くの手続きが発生します。
提出する書類も多く、面倒に感じるかもしれません。

退職前後の準備や社会保険、税金の知識を事前に把握した上で準備してください。会社員からフリーランスになる時に必要な手続きについて紹介します。

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会社員とフリーランスの違い


仕事について考える時、どのような仕事をするかは考えても、どういった立場で働くかまでは考えないかもしれません。
会社員とフリーランスでは、同じように働いていても立場が違います。
以下では、どのような違いがあるのか表にまとめました。

会社員 フリーランス
仕事・業務 雇用契約書に記載の時間や業務内容の範囲で働く 業務時間や仕事の内容は自分で決める
雇用形態 正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト、派遣社員など 雇用されていない
報酬・収入 毎月安定した給与を受け取る 仕事量で変動する
給与付与の形態 月給制や時給制など 基本的に成果報酬
税金・保険 会社が行うため年末調整の書類の提出などで完了する 確定申告や納税を自分で行う
社会保障 社会保険に加入 病気や怪我で休業しても保障されないため、自分で加入する
休日の取り方 雇用契約に準ずる いつ休みを取るのも自由
社会的信用 会社員であることによってある程度身分が保証されている 低くなりがちでクレジットカードやローンの審査では不利になる

会社員とフリーランスでは、社会的な信用や働き方の面で大きく異なります。
また、会社員からフリーランスになることで、社会保障が変わる点にも注意してください。

フリーランスになってから会社員と同程度の社会保障を得ようとすれば、費用も大きくなります。
フリーランスになって収入が増えたとしても、出費が増えて手元に残るお金が少なくなるリスクもあります。
どのような面で違いがあるのかを比較してから決断してください。

会社員からフリーランスになるための3つの方法


会社員からフリーランスになる方法はひとつだけではありません。ここでは、代表的な方法を3つ紹介します。
自分が働いている業種や、これからフリーランスとして始めようとしている事業を考慮してどのような方法が最適か検討してください。

副業を拡大させて独立する

会社員の立場のまま副業を開始して独立すると、収入で安定する点が大きなメリットです。
フリーランスになることはリスクがありますが、副業であればうまくいかなくても会社員の立場を失いません。

副業として収入が安定してから、会社員の収入がなくても生きていけるように働き方をシフトしていきます。
会社員と副業の両立が大変な場合もあるので、まずは小規模からスタートすることをおすすめします。

エージェントを利用して案件を受注する

これからフリーランスになりたいと考える人におすすめなのが、フリーランスエージェントです。
自分で仕事を探すだけでなく、フリーランスエージェントに登録して案件を紹介してもらいます。
フリーランスエージェントにスキルや実績を登録しておけば、担当者が適した案件を紹介してくれます。

フリーランスになると自分で営業して仕事を獲得しなければいけません。
営業先の開拓や交渉を外注するためにフリーランスエージェント活用するケースもあります。

会社員時代や自分の人脈を活かして仕事をもらう

会社員時代の人脈は、独立してからも役立ちます。当時の取引先や同僚などから仕事を受けるケースです。

在籍していた会社から仕事を受ける場合には、会社員時代と同じ仕事をするものの、業務委託など立場が変わることになります。
仕事先や友人のように人づてに案件を獲得できることは多いので、人脈を大切にしてください。セミナーや交流会で新しい人脈を作ることも役立ちます。

会社員からフリーランスになる際に必要な手続き


会社員からフリーランスになることによって、社会的な立場以外にも様々な変化が起こります。
会社員からフリーランスになる時にどういった手続きが必要なのか知っておいてください。

退職届を提出する

退職してフリーランスになる意志が固まったら、退職の手続きを始めます。退職の意思表示をしてから退職するまでには、仕事の引継ぎや手続きも必要です。

在籍している会社の都合もあるので早めに伝えておくようにしてください。
退職交渉に不安がある場合には、退職代行やフリーランスエージェントの利用をおすすめします。

社会保険の切り替え手続き

会社員からフリーランスになると社会保険も変わります。
会社員であれば、社会保険の手続きは総務の担当者が行いますが、フリーランスになってからはすべて自分で対応しなければいけません。
以下では、それぞれの切り替え手続きについてまとめています。

年金

会社員は厚生年金に加入しています。フリーランスになってからは厚生年金ではなく、国民年金に切り替わります。

年金の切り替え手続きは、会社員を辞めてから14日以内に住所地の市区役所か町村役場に届け出てください。
退職日がわかるものと年金手帳か基礎年金番号通知書などを持参します。国民年金の支払いが難しい場合には、支払いを猶予してもらう手続きも可能です。

なお、フリーランスで国民年金になると老後に受け取る年金が会社員よりも少なくなってしまいます。
将来の受取額を上乗せする方法として付加年金や個人型確定拠出年金の利用も検討してください。

健康保険

会社員からフリーランスになった時にも、健康保険に加入できます。退職してから2年間は、会社の健康保険を任意継続できるためです。

ただし、任意継続しても保険料を会社と折半できるわけではないので全額自分で支払わなければいけません。
任意継続しない時には、会社で加入していた健康保険から国民健康保険への切り替えを行います。

国民健康保険への切り替えは、退職日の翌日から14日以内に手続きを行います。
退職日がわかる書類や本人確認書類マイナンバーがわかるものを持参して市役所で手続きをしてください。

銀行口座の開設

銀行口座の開設は、フリーランスになるために必須ではありません。プライベートの口座のままフリーランスとして報酬を受け取ることもできます。
しかし、事業用の銀行口座を準備しておくことで、プライベートのお金のやり取りとビジネスでの金銭授受を区分可能です。

プライベートとビジネスの財布をひとつにしてしまうと、出費が混ざってわかりにくくなるほか、確定申告でも出費を振り分ける手間がかかってしまいます。
フリーランスになってからの会計処理や確定申告の手間を減らすために銀行口座の開設をおすすめします。

開業届の提出

個人がフリーランスになる時には、税務署に開業届を提出すると良いでしょう。
開業届を提出しなくても罰則はありませんが、開業届を出すことによって屋号で銀行口座を作れたり、青色申告ができるようになったりと多くのメリットがあります。

開業届の提出は事業開始から1カ月以内とされています。手数料はかからず、郵送でも提出可能です。

青色申告承認申請書の提出

開業届と一緒に提出しておきたいのが青色申告承認申請書です。青色申告承認申請書は、確定申告で青色申告を選択するための書類です。
青色申告にすることで、最大65万円の控除を受けられ、赤字を翌年以降に繰り越せます

青色申告承認申請書の提出も必須ではありません。しかし、青色申告をフリーランス1年目から利用するためには、原則事業開始日から2カ月以内に税務署に提出してください。

会社員からフリーランスになるために準備しておくこと


会社員からフリーランスになるまでに行うべき準備は多くあります。
起業するために事業計画書を作ったり、クレジットカードやオフィスを準備したりする人もいるかもしれません。

ここでは、会社員からフリーランスになる前に準備しておきたいことをまとめました。
フリーランスになるか悩んでいる人も、いつでも決断できるように日ごろから準備しておくようにおすすめします。

できるだけ人脈を広げておく

フリーランスとして働く選択肢を持つのであれば、意識して人脈を広げておくようにしてください。
フリーランスとして働いていくためには、スキルや実績も重要ですが、人脈で成功できることも多大にあります。
紹介で大きなプロジェクトに関わってその実績を評価されたり、個人的な関係から良い案件に巡り会えたり、いろいろなパターンで人脈が活かされます。

人脈を広げるためにも、今の人間関係を大切にしてください。
特に今の会社での仕事と近い業種でフリーランスになる場合には、職場での評判が大切です。
さらに人脈を広げるためには、ビジネス交流会やセミナー、SNS、チャリティーイベントに参加する方法もあります。

フリーランスになると、周囲に悩みや相談を話す相手も少なくなります。いろいろなコミュニティで話ができる相手を作っておくことが重要です。

退職交渉・引継ぎをして円満退社をする

フリーランスとして良いスタートを切るためには、会社を円満に退社してください。
遅くても退職の1カ月前には意志を伝えて、退職日まで余裕を持って過ごすようにしましょう。

また、退職の交渉をする時には、関わっている業務の状況も話しておきます。
円満に退職するには、繁忙期やプロジェクト進行中であれば退職の話を避けるなどの気遣いも必要です。
フリーランスとして働き始める準備があるため忙しくなるかもしれませんが、ほかの社員や会社の負担が大きくならないように引継ぎや業務の進行にも真剣に取り組んでください。

税金や会計に関する知識を付けておく

フリーランスになると、会社員の時には不要であった確定申告や会計処理も自分で行わなければいけません。
会計ソフトを使えば知識がなくても確定申告はできますが、入力は自分ですることになります。
勘定科目の選び方など、最低限度の知識は身に付けておいてください。

青色申告を選択する場合には、複式簿記が必要になります。
会計ソフトやサービスを使う場合には、青色申告に対応しているかを確認してください。

会社員の場合は、税金や社会保険料が差し引かれた手取りを受け取りますが、フリーランスは給料を受け取ったあとに自分で納税します。
事前にどのくらいの税金を支払うか把握しておかなければ、資金不足になってしまうかもしれません。
また、経費や控除を活用した節税術についても、前もって勉強しておくのも良いでしょう。

半年分ほどの生活費を貯金しておく

フリーランスとしてすぐに安定した収入を確保できる人もいれば、そうでない人もいます。
営業に不慣れで案件を獲得できないケースや、見込んでいた収入が得られないケースもあるかもしれません。

フリーランスになってから考えようと楽観的になるのは危険です。
フリーランスは社会保険料や税金の支払いも自分でするため、手元のお金がすぐに不足してしまいます。

フリーランスになる時には、当面の生活費は貯金しておくようにおすすめします。
また、サブスクや家賃など毎月発生している固定費を見直して無駄をなくすようにしてください。
貯金がすぐに尽きてしまうと気持ちに余裕がなくなって、ビジネスにも焦りが出てしまうことがあります。
先を見込んで貯金しておくようにしましょう。

ほかにも、フリーランスになる際には「事業用クレジットカードの作成」や「賃貸契約」など、準備をしておくべきことは多くあります。

どのような準備が必要なのかについては創業手帳オリジナル「創業カレンダー」を活用すると便利です。起業予定日を起点とし、前後1年間での必要なやることリストがカレンダー形式で確認できます。無料でご利用いただけますので、ぜひご活用ください。

会社員からフリーランスになるメリット


会社員からフリーランスになることで、業務内容以外にもメリットがあります。どのようなメリットがあるのかを紹介します。

ライフステージやキャリアに合わせて柔軟な働き方ができる

フリーランスになると、会社員として働いている時のように、労働時間や労働場所を指定されることはありません。
通勤せずに在宅で働いたり、スキマ時間に働いたりできます。

働く場所や時間を調整できるため、将来のキャリアパスを考えて仕事を選びたい、出産と育児の間は仕事を制限したいといったニーズにも柔軟に対応可能です。

自分で仕事や取引先を選択できる

会社に所属していると、煩わしさや自分と合わない点などを感じることも多いかもしれません。
フリーランスになれば、合わない仕事や取引先、相手とのやり取りは最低限にできます。

職場の人間関係に悩む必要もありません。フリーランスになることで、面倒な人間関係から解放されてパフォーマンスが向上することもあります。

会社員からフリーランスになった時の注意点


フリーランスになることには多くのメリットがあるもののデメリットもあります。
まず、フリーランスになると自分で営業から経理、総務といった仕事をこなすことになります。
そのため、本業にかける時間が少なくなり、思っていたよりも稼げないこともあるでしょう。

さらに、フリーランスは労災保険や雇用保険がないため、仕事中にケガをしたり、失業したとしても保障はありません。
会社員だと当たり前に受けられる保障がなくなるため、フリーランスになる前に貯金や別途保険に加入するなど自分で備えておくようにしてください。

まとめ:会社員からフリーランスになるにはスキルに加えて経営や営業の知識も大切!

会社員からフリーランスになることで、自由に働ける反面で経営や営業といった本業以外の仕事が発生します。
フリーランスは仕事を増やすことで収入がアップするものの、会社員のような安定した立場ではありません。
フリーランスになる時には起業の準備だけでなく、税金や社会保険の知識や経営、営業についても勉強しておくようにおすすめします。


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(編集:創業手帳編集部)

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