ハイブリッドワークとは?メリットや導入手順などを解説!
ハイブリッドワークとは生産性向上に期待ができる新しいワークスタイル
ハイブリッドワークはテレワークと出勤を組み合わせた働き方のことを言います。
ハイブリッドワークを導入することで、従業員がより柔軟にライフスタイルに合った働き方を選択できます。
しかし、ただハイブリッドワークを導入するだけでは不十分で、導入するための制度設計が必要です。
そこで、ハイブリッドワークを導入するメリットやデメリット、手順をまとめました。
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
ハイブリッドワークとは
この数年の大きな働き方の変化といえば、テレワークの普及があります。2023年の東京都内企業のテレワーク実施率は、44.1%でした。
テレワークの実施率は安定して推移しており、これからも働き方のひとつとなることが予想されます。
テレワークが普及する中で注目を集めるようになったのが、ハイブリッドワークという働き方です。
ハイブリッドワークとは、従業員の業務に応じて柔軟に働き場所を変えられるワークスタイルを言います。
今でも日によってオフィスとテレワークを組み合わせている人は多くいます。この記事ではハイブリッドワークの基礎知識をまとめました。
ハイブリッドワークが求められている背景
オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークは、2020年以降から定着し始めました。
そのきっかけとなったのが、新型コロナウイルス感染症の流行です。
感染を防ぐために、出勤時間をずらしたり、オフィスに人が集まらないようにしたりと多くの企業が感染対策を講じました。
テレワークも感染対策の一環で導入されたものの、実施してからテレワークのメリットを感じた企業、従業員も多いかもしれません。
今では、感染対策としてだけではなく従業員のライフスタイルに合わせた働き方を実現するためにハイブリッドワークが求められるようになってきています。
ハイブリッドワークのメリット
ハイブリッドワークの導入によって、企業にも従業員にもさまざまなメリットがあります。
どのようなメリットがあるのか紹介します。
生産性の向上につながる
ハイブリッドワークを導入することによって、従業員は働く場所を選択できるようになります。
常に出社しているケースでは、集中したいのに職場の話し声や電話の音が気になって予定していた仕事が進まないことがあります。
その点、ハイブリッドワークでは、オフィスで同僚や上司と話し合いながら進める仕事なのか、ひとりで集中して取り組んだほうが良い仕事なのかを考えて適した場所で働くことが可能です。
実際に働く場所を業務に合わせて選択することによって、効率も良くなり、企業の生産性が向上します。
従業員のモチベーションや満足度が向上する
従業員がハイブリッドワークで働くことによって、自分の裁量で働く場所や環境を選ぶことが可能です。
自分で働き方を選択できることで満足度が高まり、仕事へのモチベーション向上にもつながります。
また、人によってライフスタイルや置かれた環境は違います。
子育てや介護と仕事を両立したい、趣味に時間を使いたいといった社員にとってもハイブリッドワークは適した働き方です。
時間的な拘束を減らして負担を軽減できるため、離職率を下げるためにも効果が期待できます。
優秀な人材の獲得にも期待できる
多様な働き方に対応できるハイブリッドワークを導入することにより、従業員はライフワークバランスを整えることができます。
仕事を探す人の多くは、給与や条件だけでなく働きやすい環境を求めています。
自分のライフスタイルに合わせて働けるかどうかは、仕事選びの基準のひとつという方も多いかもしれません。
ハイブリッドワークによって働きやすくなっている企業は求職者からも人気が高まり多くの企業から引き合いがあるような優秀な人材も集めやすくなるでしょう。
働きやすい企業は優秀な人材が集まりやすく、さらに人材の定着率も高くなるため、会社の長期的な成長にもつながります。
オフィススペースを有効活用できる
ハイブリッドワークによって、オフィスの在り方も変わります。
今までは従業員は必ず自分のデスクがありましたが、ハイブリッドワークでは所有者を固定したデスクである必要はありません。
誰でも使えるようなデスクやロッカーを配置するだけでオフィスとして成立します。
その結果としてオフィスで働く人が減るため、スペースに余裕が生まれるので休憩室や集中ブース、ラウンジといった設備を設置できます。
今までとは違ったオフィスの使い方も見つけられるでしょう。
また、不要なスペースを削減してオフィスを縮小すれば、家賃や光熱費のコストカットも可能です。
ハイブリッドワークのデメリット
ハイブリッドワークには多くのメリットがあるものの、メリットだけを見て導入を決めるのは危険です。
ハイブリッドワークを導入することによって生まれる課題、デメリットをまとめました。
勤怠管理が複雑になる
出社するのが当たり前の勤務体制であれば、勤怠管理は簡単です。
出社してからタイムカードやパソコンで打刻でき、上司も出社していることを確認できます。
しかし、ハイブリッドワークになると働く場所が固定されないため、勤怠管理が煩雑になってしまいます。
今までの勤怠管理システムでは対応しきれない場合には、新しい勤怠管理システムの導入を検討してください。
勤怠管理システムの中には、従業員のタブレットやスマホから打刻できる離れた場所でも管理できるものもあります。
また、グループウェアや社内SNSなどの併用も効果的です。
情報漏洩のリスクがある
テレワークを導入するときには、情報セキュリティ対策についても検討してください。
働く場所が離れることにより、社内情報が外に漏れるリスクが高まります。
書類やデータを紛失してしまったり、公共スペースで働いて周囲から覗かれたりするリスクが懸念されます。
また、電子メールやフリーWi-Fiからウイルスに感染してしまうケースも考えなければいけません。
ハイブリッドワークを導入する時には、働く場所について自宅やサテライトオフィスに限定するといった対策が必要です。
また、社内情報の取り扱いについてもルールを策定して従業員に伝えるようにしてください。
人事評価が困難になる
オフィスで働いているときと比較して、テレワークでは各個人の勤務状況が第三者から見えなくなります。
そのため、評価者にとって働いている姿が見えるオフィスでの仕事のほうが人事評価はしやすく感じるかもしれません。
一方で、評価を受ける側も働いている姿を見せられないため、人事評価に対して納得できないと感じることがあります。
テレワークの仕事を評価するには、目標管理ツールなどを使って、進捗状況や業務結果を可視化するようにしてください。
また、オフィスで働く人とテレワークで働く人の評価の間に不公平が生じないように、勤務場所に関わらず明確に評価できるような評価基準を設定することも大切です。
コミュニケーションが減る
ハイブリッドワークの導入によって、今まで毎日顔を合わせていた従業員同士が直接会話する機会が減ってしまいます。
今までいつでも気軽に相談や雑談ができていたのに対して、スケジュールを確認しないと出社日が合わなくなります。
そのため、仕事に関わるコミュニケーションがしにくくなるかもしれません。
もちろん、ハイブリッドワークであってもチャットやメール、WEB会議を使って情報共有や連絡はできます。
しかし、慣れていない間はテレワークでのやり取りになれないため、情報共有不足やコミュニケーションの齟齬で悩むことがあります。
ハイブリッドワークを導入するときには、どうやってコミュニケーションを取るのかルールを決めておくとスムーズです。
緊急対応がしにくくなる
仕事の業務内容によって、テレワークでも問題がないものは多い一方で、どうしてもオフィスに集まらないと難しい業務もあります。そのひとつが、緊急対応です。
オフィスに人が集合できないと急な業務の変更や予期できないトラブル対応に遅れが出てしまうことがあります。
トラブルが発生して急遽仕事をしなければならないケースなどは、出社している社員にだけ負担が増えてしまう可能性もあります。
ハイブリッドワークを導入するときには、どのようなトラブルが発生するリスクがあるのか、トラブルが発生した時にどう対応すればいいのか前もってシミュレーションしておくようにしてください。
ハイブリッドワークを導入するために必要な手順
ハイブリッドワークを円滑に導入するためには、手順をあらかじめ計画しておくことが大切になります。
そこで、ハイブリッドワークを導入する前に必要になる手順をまとめました。
ハイブリッドワークのルールを制定する
ハイブリッドワークを導入するときの肝となるのが、運用ルールの制定です。
具体的には、始業、就業時間の取り扱いや通勤手当の支給要件、などがハイブリッドワークを導入することで変わります。
既存の就業規則をそのまま使っていると、不公平が生まれたり、スムーズに働けなかったりするかもしれません。
ハイブリッドワークを導入するときには、就業規則の見直しもおこなうようにしてください。
また、緊急対応や報告のやり方といった業務のルールも変更しなければいけません。
できるだけ多様なケースを想定して、あらかじめルールに組み込んでおくようにします。
セキュリティ対策をする
今までテレワークを導入してこなかった場合、セキュリティの対策が不十分かもしれません。
ハイブリッドワークを導入することで自宅以外のサテライトオフィスやシェアオフィス、カフェで業務をする可能性があります。
しかし、社外での業務にはリスクがあり、もしも情報漏洩などが起きれば企業の信用も失墜します。
セキュリティ対策は、会社の取り組みとしてセキュリティガイドラインや情報ルールの作成などが必要です。
どこからでもアクセスできるネットワークを構築したり、セキュリティソフトを導入したりすることも有効な手段です。
また、従業員のセキュリティ意識を高めるための研修も欠かせません。
どれだけ会社が対策をしたとしても実際に情報を扱う従業員のセキュリティ意識が低ければトラブルは容易に発生します。
セキュリティ知識を高めるための勉強会のほかに、セキュリティ事故の発生事例と対応方法を紹介してセキュリティ意識を高めるようにしてください。
コミュニケーション手段を考える
ハイブリッドワークの導入によって、テレワークでコミュニケーションが取りにくい従業員も増えます。
一方で、出社するオフィスワーカーばかりでコミュニケーションが活発になり、テレワークで働く人が孤立してしまったり、情報が共有されなかったりするリスクがあります。
すぐにトラブルに発展しなかったとしても、そのまま放置しておけばテレワークで働く人は働くモチベーションが下がったり、会社への帰属意識が希薄化したりするかもしれません。
このような状況を未然に防ぐためには、コミュニケーションを補うための工夫が必要です。
例えば、定期的に報告会を開催したり、業務外の雑談する時間を設定してみたりしてみてください。
環境を整備する
ハイブリッドワークを導入するためには、そのための環境整備が必要です。
どういった整備が必要になるのか以下でまとめました。
オフィス環境の整備
ハイブリッドワークを導入すると、オフィスの環境は大きく変わります。
従来の固定席よりも、従業員が業務内容や状況に合わせて選べるフリーアドレスがおすすめです。
また、サテライトオフィスのように自社以外の場所を借りて働く場所の選択肢を増やすといった方法もあります。
ICT環境の整備
ハイブリッドワークでは、自宅からテレワークで働く人も増えます。ICT環境を見直して、テレワークを効率的に実施できるかどうかを判断してください。
例えばオフィスのPCを遠隔操作できるようにしたり、会社のパソコンを持ち帰れるような就業規則にしたりする必要があります。
Web会議システムを導入したり、アプリでテレワークで働く従業員の勤怠管理をおこなったりと働き方の変化に合わせてICT環境もアップデートします。
まとめ・ハイブリッドワークの導入にはルールや環境の整備から!
ハイブリッドワークは、制度を定めるだけでなく実際に従業員が使いやすいかどうかが重要です。
ハイブリッドワークを導入しておくこと遠方からでも働きやすくなり、出先からのトラブル対応や緊急時の復旧の際にも役立ちます。
まずはルールを定めるとともに、実際に働いてみて制度の使いやすさやICT環境を定期的に見直すことをおすすめします。
創業手帳(冊子版)は、働きやすい企業を作るために役立つ記事を多数掲載しています。創業手帳(冊子版)を活用して事業を進めてください。
(編集:創業手帳編集部)