【2022年4月から】中小企業でもパワハラ防止法が義務化に!講じるべき対策とは

創業手帳

パワハラ防止措置チェックリスト付き!就業規則の見直しや相談窓口の設置などに取り組みましょう


2020年6月1日に「改正 労働施策総合推進法(通称パワハラ防止法)」が施行され、企業に対する職場のパワーハラスメント防止措置が義務化されました。中小企業については2022年3月31日まで努力義務となっていましたが、2022年4月1日からは中小企業の事業主にもパワーハラスメント防止措置が義務化されました。

今回は2022年4月1日より全企業に適用されることになったパワハラ防止法の概要と、中小企業が講じるべき対策について詳しく解説します。

「パワハラ防止法について詳しく知りたい!」

「中小企業がどのような対策をすべきなのか気になる!」

などとお考えの中小事業主様は、ぜひこの記事を参考に適切な対応を行ってください。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください。

パワーハラスメントとは:3つの定義と6つの言動

厚生労働省発表の「パワーハラスメント防止のための指針」によると、職場におけるパワーハラスメントとは、以下のように定義されます。

職場におけるパワーハラスメントの定義

職場で行われる、1〜3の要素すべてを満たす行為

  • 優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  • 労働者の就業環境が害されるもの

※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しない。

なお、「職場」とは、労働者が業務を遂行する場所を指し、いわゆるオフィスだけでなく、出張先や業務で使用する車中なども「職場」に含まれます。勤務時間外の「懇親の場」や社員寮、通勤中など、実質上職務の延長と考えられるものも基本的には「職場」に該当します。

また「労働者」とは、正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者や契約社員などの非正規雇用労働者を含めた事業者が雇用するすべての労働者のことです。

さて、具体的にどのような行為がパワハラに該当するのかについては、厚生労働省が代表的な言動の6つの類型を公開しています。以下の表をご覧ください。

代表的な言動の6つの類型 該当すると考えられる例
1 身体的な攻撃
暴行・傷害暴行・傷害
  • 殴打、足蹴りを行う。
  • 相手に物を投げつける
2 精神的な攻撃
脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
  • 人格を否定するような言動を行う。
    相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を含む。
  • 業務の遂行に必要な以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う。
3 人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
  • 1人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる。
4 過大な要求
業務上明らかに不要なことや
遂行不可能なことの強制・仕事の妨害
  • 新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する。
5 過小な要求
業務上の合理性なく能力や経験と
かけ離れた程度の低い仕事を命じること
や仕事を与えないこと
  • 管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる。
  • 気に入らない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えない。
6 個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること
  • 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する。

出典:厚生労働省「『パワーハラスメント防止措置』が中小企業の事業主にも義務化されます!」

ちなみにこれらはあくまで代表例であって限定列挙ではありません。これらに含まれない言動がパワハラに該当することも想定されるので、事業主には広く相談に応じるなど、適切な対応が求められます。

パワハラ防止法が改正された背景

2019年6月5日に労働施策総合推進法が改正され、いわゆる「パワハラ防止法」が成立した背景には、過去10数年の間にパワーハラスメントの件数が年々増加し、大きな社会問題になった事実がありました。

図1:都道府県労働局等への「いじめ・嫌がらせ」の相談件数

出典:厚生労働省委託事業 あかるい職場応援団「データで見るハラスメント」

図1の通り、都道府県労働局等に設置された総合労働相談コーナーに寄せられた「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は、平成19年度から令和元年度までの11年間で大きく増加しています。平成24年度からは「いじめ・嫌がらせ」が相談内容の中でトップとなり、平成30年度には相談件数が8万件を超えました

図2:パワーハラスメントについての経験の有無

出典:厚生労働省委託事業 あかるい職場応援団「データで見るハラスメント」

また厚生労働省が2016年に実施した調査によると、過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答した者は回答者全体の32.5%にものぼりました。パワハラの相談を受けたことがある者も30.1%、パワハラを感じたり、したと指摘されたことがある者も11.7%おり、パワハラが極めて身近な問題であることがわかります。

相談窓口を設けている企業を対象にした調査でも、全体の49.8%がパワハラに関する相談を1件以上受けたことがあると回答し、そのうち36.3%では実際にパワハラに該当する事案が見つかっています。

このようにパワハラは喫緊の問題になっていたにもかかわらず、パワハラ防止について明記した法律はありませんでした。ちなみにセクシャルハラスメントやマタニティハラスメントについては、2016年までに企業へ防止措置を義務付ける法改正が実施されています。

こうした背景を受けて、2019年6月5日にパワハラ防止法が成立し、職場におけるパワハラ防止のために管理雇用上必要な措置を講じることが企業に義務付けられることになったのです。

パワハラ防止法改正の概要

(雇用管理上の措置等)
第三十条の二 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
3 厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
4 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たつては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くものとする。
5 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
6 前二項の規定は、指針の変更について準用する。
(国、事業主及び労働者の責務)
第三十条の三 国は、労働者の就業環境を害する前条第一項に規定する言動を行つてはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「優越的言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
2 事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。
3 事業主(その者が法人である場合にあつては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
4 労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。
(紛争の解決の促進に関する特例)
第三十条の四 第三十条の二第一項及び第二項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条、第五条及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず、次条から第三十条の八までに定めるところによる。
(紛争の解決の援助)
第三十条の五 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
2 第三十条の二第二項の規定は、労働者が前項の援助を求めた場合について準用する。
(調停の委任)
第三十条の六 都道府県労働局長は、第三十条の四に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。
2 第三十条の二第二項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
(調停)
第三十条の七 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十九条から第二十六条までの規定は、前条第一項の調停の手続について準用する。この場合において、同法第十九条第一項中「前条第一項」とあるのは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第三十条の六第一項」と、同法第二十条中「事業場」とあるのは「事業所」と、同法第二十五条第一項中「第十八条第一項」とあるのは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第三十条の四」と読み替えるものとする。
(厚生労働省令への委任)
第三十条の八 前二条に定めるもののほか、調停の手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

出典:e-gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」

2019年6月5日の改正によって、労働施策総合推進法には上に引用した第三十条の二〜八、「雇用管理上の措置等」「国、事業主及び労働者の責務」などが追加されました。それぞれの条文に何が書かれているかについては、以下の表をご覧ください。

条文 内容 詳細
第三十条の二第一項 前半 パワーハラスメントの定義 「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義。
第三十条の二第一項 後半 企業のパワハラ防止措置を義務化 事業主は、労働者からの相談に応じ、適切に対応するための体制づくりその他の管理雇用上必要な措置を講じなければならない。
第三十条の二 第二項 パワハラ相談に対する不利益な取扱いの禁止 労働者がパワハラの相談を行ったことなどを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない。
第三十条の三 国や事業主の責務を明確化 ・ハラスメント対策を国の施策とすることを明記
・事業主は国のハラスメント施策に協力するとともに、研修の実施その他の配慮によってパワハラに対する労働者の関心と理解を深めることなど
第三十条の四以下 紛争の解決や調停について パワハラについての紛争の解決や調停に関するルールを定める。

このうち、中小企業の事業主は以下2つのポイントを必ず押さえておくべきです。

  • 職場のパワハラ防止のために管理雇用上必要な措置を講じることが義務化された
  • 労働者がパワハラを相談したことなどを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをすることが禁止された

対象に追加された中小企業の定義

改正 労働施策総合推進法は2020年6月1日に施行され、2022年4月1日からは中小企業にもパワハラ防止措置が義務化されました。この場合の「中小企業(中小事業主)」は、以下のように定義されます。

図3:中小事業主の定義

中小事業主
(①又は②のいずれかを満たすもの)
業種 ①資本金の額又は出資の総額 ②常時使用する従業員の数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業
(サービス業、医療・福祉等)
5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種
(製造業、建設業、運輸業等
上記以外全て)
3億円以下 300人以下

出典:厚生労働省「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」

なお、この定義は2020年6月1日から2022年3月31日までの「努力義務」期間を想定して設けられたものなので、ご自分が中小事業主に含まれるかどうかを確認する意味はもはやありません。2022年4月1日以降は、上記の定義によらず、すべての大企業・中小企業がパワハラ防止法の対象です。

罰則はあるの?

(助言、指導及び勧告並びに公表)
第三十三条 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる。
2 厚生労働大臣は、第三十条の二第一項及び第二項(第三十条の五第二項及び第三十条の六第二項において準用する場合を含む。第三十五条及び第三十六条第一項において同じ。)の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

(報告の請求)
第三十六条 厚生労働大臣は、事業主から第三十条の二第一項及び第二項の規定の施行に関し必要な事項について報告を求めることができる。
2 都道府県知事又は公共職業安定所長は、職業転換給付金の支給を受け、又は受けた者から当該給付金の支給に関し必要な事項について報告を求めることができる。

出典:e-gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」

結論からいうと、パワハラ防止法に罰則規定はなく、法律で定められた措置義務を履行しなかったとしても、懲役や罰金などの罰則が課せられることはありません。

しかしながら、第三十三条の定めにより、厚生労働大臣は規定に違反した事業主に勧告を行うことができ、事業主が勧告に従わなかった場合は、その旨を公表することができます。公表は社会的信用の観点から企業に大きなダメージを与えると考えられることから、パワハラ防止法に違反するリスクは大きいです。

また第三十六条は、厚生労働大臣がパワハラ防止措置について必要な報告を事業主に求められると定めていますが、この報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりした場合には、20万円以下の過料に処せられます。そのほか、パワハラ防止の対応をしなければ、人材の流出や職場の雰囲気の悪化、損害賠償問題の発生など、さまざまな不利益をこうむる可能性が考えられます。

以上より、パワハラ防止法の定めに反してパワハラに対応しないデメリットは非常に大きいことから、中小企業様はパワハラ防止のために適切な対策を講じてください。

中小企業が講じるべきパワハラ防止法への対策


厚生労働省の「パワーハラスメント防止のための指針」には、事業主が講じるべき措置の内容として以下の4つが定められています。

  • 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
  • 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • 職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応
  • 併せて講ずべき措置

以下ではこの4つについてそれぞれ解説するので参考にしてください。

パワハラに対しての方針等の明確化および周知・啓発

事業主は、職場におけるパワハラの内容と職場におけるパワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発する必要があります。具体的には以下3つのようなことを行いましょう。

措置イ:パワハラの内容と行ってはならない旨の明確化および周知・啓発

  • 就業規則でパワハラを行ってはならない旨の方針を規定し、そのことを労働者に通知する
  • 社内報やパンフレット、社内ホームページ、啓発用の小冊子などに、職場におけるパワハラの内容や発生の原因、背景ならびにパワハラを行ってはいけない旨の方針を記載して配布する
  • 研修や講習を実施して、パワハラの内容や原因、背景を伝えるとともに、パワハラを行ってはいけない旨の方針を広く知らせる


また上記と併せて、職場におけるパワハラに該当する言動を行った者について、厳正に対処する旨の方針を定め、対処内容を就業規則などに記載して全労働者に周知・啓発することも必要です。これについては、以下2つのようなことを行ってください。

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措置ロ:パワハラに厳正に対処する旨の方針と対処内容の明確化および周知・啓発

  • 就業規則にパワハラを行った者に対する懲戒規定を定め、その内容を労働者に通知する
  • 研修実施や小冊子配布などによって、パワハラを行った者は懲戒規定の適用対象になる旨を労働者に広く知らせる

パワハラ相談窓口の設置と適切に対応するための体制整備

事業主は、労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じて適切かつ柔軟な対応をするために相談窓口を定め、そのことを労働者に知らせましょう。具体的には以下3つのようなことを行ってください。
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措置イ:相談への対応のための窓口を定め、労働者に周知する

  • 相談に対応する担当者をあらかじめ決めておく
  • 相談に対応するための制度を設ける
  • 外部の機関に相談への対応を委任する


また相談窓口の担当者が相談に対して適切に対応できるような制度づくりや教育を行うことも重要です。担当者の対応がよくないと、被害を受けた労働者が萎縮して相談を躊躇したり、パワハラ未満の微妙な事例がのちに深刻化したりする例もあります。相談窓口の担当者の適切な対応に向けた取り組みについては、以下のようなことをするべきです。

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措置ロ:相談窓口の担当者が適切に対応できるようにする

  • 相談窓口の担当者が相談を受けた場合に、内容や状況に応じて人事部門と連携して対応できるような仕組みを作る
  • 相談窓口の担当者向けに留意点などを記載したマニュアルを作成し、それに基づいて対応してもらう
  • 相談窓口の担当者に対し、相談対応についての研修を行う

パワハラが起きてしまった後の迅速かつ適切な対応

事業主は、職場におけるパワハラの相談があった場合、まずはその相談についての事実関係を迅速かつ正確に確認する必要があります。具体的には以下のような対応を行ってください。

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措置イ:相談にかかる事実関係を迅速かつ正確に確認する

  • 相談窓口の担当者、人事部門または専門の委員会などが、相談者および行為者双方からの主張を聴取する。主張が食い違う場合は、第三者からも聴取などを行う。なお、事実関係の判定には、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止め方などにも適切に配慮すること。
  • 確認が困難な場合は、パワハラ防止法に基づく調停の申請を行うなど、中立な第三者機関に紛争処理を委ねる


また事実確認により、職場におけるパワハラが生じた事実が確認できた場合には、被害を受けた労働者に対して速やかに配慮のための適正な措置を行う必要があります。それと同時に、パワハラの言動を行った行為者に対しても適正な措置を行わなければなりません。それぞれの措置については、以下の具体例を参考にしてください。

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措置ロ:被害者への配慮のために速やかかつ適正に対処する

  • 被害者と行為者の関係改善に向けての援助、被害者と行為者を引き離すための配置転換、行為者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復、産業保健スタッフによる被害者の麺タスヘルス不調への相談対応など
  • パワハラ防止法に基づく調停など、中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を被害者に対して講じる

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措置ハ:パワハラの行為者に対して適正に対処する

  • 就業規則に定める規定に基づき、行為者に対して懲戒その他の措置を講じる。併せて被害者と行為者の関係修復の援助や両者を引き離す配置転換、行為者の謝罪などを実施。
  • パワハラ防止法に基づく調停など、中立な第三者機関の紛争解決案に従った措置を行為者に対して講じる


さらに再発防止に向けた以下のような対応を行うことも必須です。仮にパワハラの事実が確認できなかった場合も、パワハラの相談があった事実を踏まえ、予防のために同様の措置を講じましょう。

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措置二:パワハラの再発防止に向けた取り組み

  • パワハラを行ってはならない旨の方針、行った者について厳正に対処する旨の方針を、社内報やパンフレット、社内ホームページなどに改めて掲載し、配布する
  • 労働者のパワハラに関する意識を啓発するための研修や講習を改めて実施する

併せて講ずべき措置

事業主は、職場におけるパワハラにかかる相談者や行為者などのプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨を労働者に対して周知すること求められます。相談者や行為者などのプライバシーには、性的指向や性自認、病歴、不妊治療といった機微な個人情報も含みます。

相談者・行為者等のプライバシー保護については、例えば、以下のようなことを行ってください。
​​

措置イ:パワハラにかかる相談者・行為者等のプライバシーを保護する

  • プライバシー保護のために必要な事項をマニュアルに定め、相談窓口の担当者はそのマニュアルに基づいて対応するようにする
  • 相談窓口の担当者に対して、プライバシー保護に必要な研修を実施する
  • 相談窓口において相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じていることを、社内報やパンフレット、社内ホームページなどに掲載し、配布する


またパワハラ防止法では、労働者がパワハラの相談をする、事業主の事実確認などに協力する、都道府県労働局に相談し紛争解決の援助を求める、調停の申請を行うといったことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されています。そのため、パワハラの相談などを行っても不利益な取扱いをされないと労働者に周知・啓発することも必要です。例えば、以下のような対応をするのが良いでしょう。

措置ロ:パワハラ相談等を理由に不利益な取扱いをされない旨を定め、周知・啓発する

  • 就業規則に、パワハラの相談等を理由として労働者が解雇その他不利益な取扱いをされない旨を規定し、労働者に広く知らせる
  • 社内報やパンフレット、社内ホームページなどに、不利益な取扱いをされない旨を記載し、配布する

弁護士や社会保険労務士に相談・外注するのもよい

これまで解説した通り、中小企業に義務化されたパワハラ防止措置の内容は多岐にわたるため、専門性の点で自社で対応するのが難しかったり、十分な対策をする時間や人材を確保できなったりする場合もあるでしょう。自社での対応が困難な場合は、弁護士や社会保険労務士などに相談するのもおすすめです。

また自社で研修やセミナー等を行う専門家を雇用したり、新たに相談窓口を設けてそこに担当者を置いたりすると、相当のコストがかかります。一般的には、すべて内製化するよりも、弁護士などに対応を外注するほうが安く済みます

加えて、パワハラ対策はデリケートな問題であるため、内部の人間を巻き込んで対応するよりも、外部の人間に相談するほうが気軽だということもいえるでしょう。

中小企業のパワハラ防止法対策にかかる自主点検リスト

以下では、厚生労働省が公開している「職場のパワーハラスメント対策に係る自主点検票」を参考に、中小企業が行うべきパワハラ防止措置に関する簡単なチェックリストを作成しました。すでにパワハラ対策を進めている企業様は、ぜひどれだけチェックが入るか点検してみてください。

またパワハラ対策をまだ始めていない企業様は、以下のチェックリストに一つでも多くチェックが入れられるように対応を進めていきましょう

適切なパワハラ防止措置ができているかの点検項目 チェック
事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
「職場におけるパワハラの内容、行ってはならない旨の方針」を就業規則等に盛込むなど明確化(予定)していますか
「職場におけるパワハラの内容、行ってはならない旨の方針」を明確化した文書を配布、掲示等(予定)していますか
方針について理解を深めるため、職場におけるパワハラの内容について、全労働者(パート、派遣等含む)を対象に、トップメッセ ージの発信、説明会や研修等を実施するなど工夫(予定)していますか
「職場におけるパワハラ行為者について、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容」を文書(懲戒規定、ハラスメント防止規程 等)で定めていますか
「職場におけるパワハラ行為者について、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容」についての周知・啓発の対象を全労働者としていますか
相談に応じ、適切に対応するための体制の整備
相談担当者又は相談担当部署等の相談窓口(職場のパワハラに関するもの)の設置をし、社内掲示や資料等の配布等により周知(予定)していますか
「職場のパワハラに関する相談窓口」についての周知の対象者(予定)は全従業員(パート、派遣等含む)ですか
相談窓口における相談対応の手順書等の作成(予定)をし、相談担当者に研修するなどして相談内容等に適切に対応できるようにしていますか
相談があった場合の相談場所や相談方法などをあらかじめ決めるなどし、相談内容等に適切に対応できるようにしていますか
職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応
相談後において事実確認を行う担当者や相談担当部署等をあらかじめ決めるなどし、適切な対応を行える工夫(予定)をしていますか
事実確認を行う担当者や相談担当部署等が公正・中立的な立場で事実確認を行える体制をつくるなどし、適切な対応(予定)をしていますか
職場におけるパワハラの事実が認められた場合、被害労働者に適切に配慮する措置を行うため、人事労務管理者とパワーハラスメントが生じた部署の管理者など関係部署間において、被害を受けた労働者に対する配慮を行うことができるよう連携することができる体制(予定)としていますか
就業規則等に基づき職場におけるパワハラ行為者に対する措置を適正に行える体制を整え(予定)ていますか
職場におけるパワハラの事実を確認した場合、再発防止措置を講じることとしていますか
職場におけるパワハラの事実が確認できなかった場合も、再発防止措置と同様の措置を講じることとしていますか
併せて講ずべき措置
相談窓口を周知する際に、「職場のパワハラに係る相談や事実確認等におけるプライバ シーの保護を行う」旨について全労働者に周知・啓発する等安心して相談できる取組(予定)をしていますか
相談窓口の担当者に対し、相談者に対するプライバシー保護のために必要な研修等を行っていますか
相談後に事実確認を行う者が相談者や関係者に対するプライバシー保護を行っていますか
「パワハラの相談等を理由として解雇等の不利益取扱をしない」旨を定める規定等の作成をするなどし、全労働者に対し、周知・啓発(予定)していますか

参考:厚生労働省「職場のパワーハラスメント対策に係る自主点検票」(https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000963312.pdf)

まとめ

2022年4月1日より、パワハラ防止法に定められた雇用管理上必要なパワハラ防止措置が中小企業にも義務化されました。義務を履行しない場合は、その旨の公開や20万円以下の過料のほか、さまざまな不利益が生じる恐れがあります。

中小事業主様は、就業規則にパワハラ防止規定や懲戒規定を明記する、相談窓口を設けて広く相談を受け付ける、研修やセミナーを実施するなど、適切な対策を講じましょう。自社で対応するのが難しい場合は、弁護士や社会保険労務士などに相談するのもおすすめです。

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(編集:創業手帳編集部)

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