外注を上手に活用するコツ 依頼の流れや、委託先選定のポイントをまとめて解説!

創業手帳

外注の活用を考えている経営者向けにノウハウをまとめました

(2020/02/06更新)

「少しずつ売上が上がってきたけど、人を雇うほどではない」、「季節によって売上に波があるので、通年で雇用をするのが難しい」

事業が成長するタイミングで、「人を雇うまでには至らないけど業務を効率化したい」と考えるシーンが出てきやすくなります。そのような状況に有効なのが、仕事を「外注」することです。

外注を適切に活用する上で注意したいポイントや、ノウハウについて解説します。

冊子発行部数累計100万部の「創業手帳」では、事業の生産性を上げるためのポイントなどがまとめられています。あわせてご活用ください。

外注と人材派遣の違いは?

社外のリソースを活用するサービスとして、「外注」とセットで検討されることが多いのが「人材派遣」です。

どちらも「決まった仕事を社外の組織に所属する人材に委託する」という意味では同じですが、その性質は微妙に異なります。大まかな違いを以下にまとめました。

外注 業務単位で契約。業務の遂行は、委託会社や委託した人に一任し、基本的に社内でオペレーションが発生することはない。
人材派遣 人材派遣会社と、期間単位での契約。人材会社から派遣された人材の細かな業務内容は、基本社内で管理することになる。

人材派遣と外注では、「社内でのオペレーションが発生するかどうか」の違いが、大きなポイントと言えるでしょう。

「内部の仕事が回らないから、業務を外に出したい」、「自社のコア業務に集中したい」という場合は、「外注」を活用することで、社内のオペレーションにコストを割くことなく、一定の成果をあげやすくなります。

また、特に専門性の高い業務であれば、その領域に強い会社や人材に外注を依頼することで、時間を節約できるのみならず、ノウハウがない状態で内製化する場合に比べても高い成果を期待できるでしょう。

仕事を外注するメリット、デメリット

外注のメリットとデメリットも見てみましょう。

【メリット】
・社内の人材をコア業務に集中させることができる
・専門性の高い業務をお願いできる
・費用対効果の高い効率化を実現しやすい
・雇用関係は発生しないため、社会保険などの手続きを行う必要がない
・勤怠などの管理がいらない

【デメリット】
・委託した業務のノウハウや経験が、社内に蓄積されない
・業務のクオリティが、委託先の能力に左右される
・委託先との秘密保持契約や業務の公開レベルの設定など、委託前の準備が必要
・専門性が高い業務は費用も高くなりがち

社内で専門的な人材を雇用するより低コストで、専門的なノウハウを業務に反映したい、業務に関わる時間をカットしたい、といったニーズを持っている場合は、外注が有効でしょう。一方で、社内に専門的なノウハウを蓄積させることが、将来的に見て事業の利益につながるようであれば、外注するのではなく人材を雇用した方がよいと言えます。

社内の人材育成やノウハウ蓄積のために外注を活用する考え方もあります。例えば、会社の起ち上げ期に、専門的なノウハウを持つ外注先にコンサル的な立場で入ってもらい、社内の人材とともに業務を進めながらノウハウを社内に取り入れていくということも可能です。もちろん、その場合は、「外注先のノウハウを社内へノウハウを教示する」という形を双方同意の上で契約する必要があります。

いずれにせよ、事業の将来的な展望や、費用対効果踏まえて外注の活用を考えましょう。

外注に適した仕事は?

「そもそも、どの仕事をどのように外注したらよいかわからない」という起業家も少なくありません。外注に適した仕事の一例を見てみましょう。

  • チラシやホームページなどのデザイン
  • システムなどのプログラミング
  • ライティングなどの情報発信
  • データ入力
  • 翻訳
  • 経理代行
  • コールセンター
  • バックオフィス代行

専門性の高いプロに依頼すべき仕事、単純作業・量を必要とする業務などが外注に適した業務です。社内で行う場合と、外注した場合の費用対効果を比べて検討しましょう。

実際に外注に仕事を依頼する場合の手順とポイント

実際に外注に仕事を依頼する場合、どのように依頼をしたら良いでしょうか?
大まかな流れとポイントを以下にまとめました。

  • 外注に出す業務の内容を明確化
  • タスクの洗い出し
  • 作業の締切を設定
  • 委託事業者の選定
  • 秘密保持契約など契約関係の締結
  • 作業の説明
  • 進捗の管理
  • 成果物の納品

まずは、外注に出す業務を洗い出し、タスクの内容を明確にします。その際に自社の担当者がいる場合は問題ありませんが、初めての業務や担当者が不在の業務などは、委託業者タスク化を相談するのも手です。

タスクを明確化すると同時に、依頼先の選定も進めます。外注先の選定には、仲介大手を活用するか、地元の商工会や取引先金融機関などからの紹介も有効です。

仲介大手に依頼する

外注を請け負っている大手を通じて委託先を探す場合、地域に縛られることなく全国から最適な人を選べるメリットがあります。国内ではクラウドワークスやランサーズが有名です。

クラウドワークスとランサーズでは、多くのフリーランスで仕事をするワーカーが登録されていて、業務を発注すると対応出来るワーカーが挙手制で立候補を行います。発注側は、立候補したワーカーの中から審査を行い、事業に合った委託先を選択できます。基本的には、サイトの中だけでコミュニケーションを図るというルールがあります。立候補したワーカーのスキルは、公開されている仕事履歴などから判断します。

同じサービスに登録しているワーカーの中で競争原理が働いているため、この2社のような、多数の人材が登録している仲介業者を利用すると、適切な外注先を見つけやすくなります。

商工会や知人の紹介からの外注先選定について

商工会や取引先金融機関は、多くの会員企業や取引企業の他業種ネットワークを持っているので、地域の業者の紹介業務も行っています。委託先を選定するにあたり「顔を見て打ち合わせをしたい」、「地元の方にお願いしたい」という場合は、商工会や取引のある金融機関から紹介してもらうと、実績や経歴、細かい業務の依頼内容など顔を見ながら話ができるので、詳細な打ち合わせをしやすくなります。

どの形を取るにしても、自社の利益ばかり考えた依頼をすると業務の品質が低下したり、実際に作業を請けてもらえなかったり、作業そのものが継続できないといった問題が起きかねません。適正な関係づくりを意識して、お互いがWIN-WINになる方向性を模索していくことが大切です。

進捗管理とコミュニケーションのコツ

ぴったりの外注先が見つかったら、具体的な業務の調整に着手します。締め切りを細かく設定し、確実に進捗を管理できるよう計画をたてておきましょう。締め切りは、実際の締め切りよりも少し早めに設定しておくと、業務のやり直しや不測の事態で作業がストップした、といったトラブルが起きても対応しやすくなります。

スケジュール作成の際は、依頼者が一方的にタスクとスケジュールを決めるのではなく、打ち合わせの中で受託側との協議の上、具体的にタスクとスケジュールを落とし込んでいくことをオススメします。打ち合わせの中で落とし込むことによって、作業内容の明確化、作業手順の把握が可能になり、何をしているのかわからないという不安を解消することができます。

デザインやシステムの構築など、業務の内容によっては制作イメージのゴール設定があやふやだと変更が多くなり、予定よりも工数が増えて、締め切りが過ぎたり余計な負担が増えることにつながります。最初のミーティングで方針やコンセプトなどしっかりと話し合いを行って、ゴールイメージをしっかり共有しておくこと必要があります。

また、外部に会社の機密を共有することになるので、秘密保持契約はもちろん、システム面やデータ保管でも社内と社外で閲覧制限を設けたり、データに鍵をつけたりといった対策も必要に応じて準備しましょう。

まとめ

3年で年商1億円の企業に成長した経営者の方が、「外注が喜ぶ契約をしたことで、自社の仕事を優先的にしてもらえて、質の高い製品を作ってくれたので売り上げがあがった」と語っていました。外注を上手に利用するコツは、

  • お互いにメリットのある契約にすること
  • コミュニケーションを図り目標を共有すること
  • 監視をせず、信頼をすること
  • 何でも言える関係を築くこと
  • 尊敬しあえる仲間作りをすること

と言えます。基本は人間対人間のお付き合いということですね。

創業手帳主催で行う「交流会」にも様々な業種の方がこられます。皆さんの地元でも交流会や経営者同士の勉強会、商工会などの組織がたくさんあります。人脈を広げ、素晴らしい相棒となる外注先を見つけてください。

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