「大学専門アウトソーシング」で人の成長を支える CREETE代表インタビュー

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※このインタビュー内容は2019年03月に行われた取材時点のものです。

株式会社CREETE代表取締役 小越 干富美インタビュー

(2019/03/15更新)

自社が抱えている業務を外部に委託することで、業務の効率化を図る「アウトソーシング」が、昨今注目されています。
様々な領域のアウトソーシング化が進むなか、今回ご紹介する株式会社CREETEの小越干富美さんが手がけるのは「大学内事務業務のアウトソーシング」。
一見、狭い領域にも感じられる事業ですが、始めることになったきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
これまでの経緯と今後の展望について、小越さんにお話を伺いました。

小越 干富美(こごし ひとみ)
大学卒業後、大手総合人材会社に入社。8年前から大学業務のアウトソーシングを担当する。奨学金制度を中心に学生を対象にしたさまざまな業務を経験。より学生に向き合った対応をしたいとの思いから、2018年10月に株式会社CREETEを設立した。現在、奨学金業務の受託運営・コンサルティングを中心に大学内BPOの受託運営、リカレント教育の企画・運営などのサービスを提供している。(取材日:2019年1月22日)

大学の課題に、角度を変えてアプローチできないか

株式会社 CREETEのホームページより引用

−事業内容について教えてください。

小越大学内事務業務のアウトソーシングを専門に行っています。大学の業務を熟知した適性のあるスタッフを配置し、統括業務管理責任者として受託業務をしっかりとコントロールしています。

具体的には、大学内BPO(※1)の受託運営、奨学金業務に関するコンサルティング、リカレント教育(※2)の企画運営、人材教育・各種研修、ITインフラの企画及び設計、eラーニングシステム(※3)の企画・設計などがあります。
「人と仕組み」を育むことを念頭に、大学職員が行う様々な業務の負荷を軽減させることで、学生の方々が学業に打ち込める環境づくりへと繋げる役割をしています。

※1 BPO:ビジネス・プロセス・アウトソーシング。自社の業務の一部を外部の専門企業に委託すること。
※2 リカレント教育:義務教育や基礎教育修了後に社会人になってからも、必要に応じて教育と労働・余暇を繰り返すこと。学び直し。
※3 eラーニング:パソコンやタブレット、スマートフォンを使い、インターネットを利用して学ぶ学習形態のこと

−大学専門のアウトソーシングという事業は珍しいように感じます。どのようなきっかけで起業したのでしょうか?

小越:実は、起業する前に勤めていた大手総合人材会社でも同様の業務を担当していたのですが、大学の業務を長期間にわたって担当していると、次第にお客様からの要望が細分化する傾向がありました。結果として、専門性が高く、かつ案件が小規模すぎて、せっかくご依頼をいただいてもお受けできないことが多々ありました。

さらに、学生の3人に1人が貸与型奨学金制度を活用していたこと、卒業後はその金額が自分の借金となって返済が求められること、そして、中には経済的理由で学業に励むことが困難となり、辞めていく学生がいることを知りました。

奨学金の申請には守らなければならないルールがあるのですが、学生が理解するにはとても難しいため、深い知識を持った担当者がわかりやすく伝える必要性があります。

「個々の学生の状況に合ったアドバイスが行えるようになったら、大学を辞めていく学生をなくせるのではないか?」
「奨学金を借りるだけではなく、もっと違う仕組みを作ることで学生支援ができないだろうか?」

そう強く思い、前職とは違う角度から大学内の業務に携われないかと考えはじめたことが、大学業務に特化したアウトソーシングサービスに繋がりました。

モチベーションの原点を見つけることから始めよう

−今後は、どのように事業を展開しようと考えていますか?

小越:大学の事務作業だけのアウトソーシングだけを行おうとは思っていません。当社のサービスメニューのテーマは「人の成長」。成長を考える中で、今後最も力を入れていきたい事業が、「リカレント教育の企画・運営」です。

私自身の体験ですが、社会人になってから、自分にとって本当に必要な知識を学んでいなかったことに気付くことがよくありました。私の周りにもそのような方がたくさんおり、社会人の方に、「本当に必要なことを学びなおす機会」を提供したかったのです。

「学生向けの講義内容とは全く違うテーマで、それも資格ではなくスキルや知識を身につけるための講座を開講できないか?」という角度で、大学の方々と一緒に事業の内容を検討中です。

また、派遣業免許も取得して、サービス内容を拡充していきたいとも考えています。他にも、奨学金の事務手続きの業務において、ただ代行するのではなく、それぞれの学生の状況に対して、最も適したアドバイスや支援を行なって欲しいという要望を多くいただいています。

奨学金についての知識をもっと増やし、学生にとって一番メリットのある奨学金の情報を案内できるようになるために、より専門化させた「奨学金スーパーバイザー」などの社内資格制度を作り、社員の意欲もどんどん高めていきたいです。

−最後に、起業を考えている方に向けて、メッセージをお願いします。

小越まずは自分にとってのモチベーションの原点を見つけることが大事だと思っています。モチベーションの原動力は人それぞれ異なりますが、私はハッキリと実体があるものを目標に設定するのがいいと考えています。

私の直近の目標は、しっかりとしたオフィスを構えることです。場所や広さ、環境など、会社の評価が上がるようなオフィスにすること。そうすることで、会社の信用もアップしますし、何よりもスタッフ全員が恥じない仕事をするように思えるからです。

創業期はいろいろな試練もあり、くじけそうになることもありますが、自分で掲げた目標をクリアしていくと自信になると思います。

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(取材協力:株式会社CREETE 代表取締役 小越 干富美)
(取材協力:三幸エステート株式会社
(編集:創業手帳編集部)



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