前橋市がJR東日本、NTTドコモ等と組み、次世代モビリティサービスの協議会を設置

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2020年9月4日、前橋市JR東日本高崎支社NTTドコモなど10団体は、複数の移動手段を一つの交通サービスに統合する「MaaS(マース)」を実現するためのコンソーシアム、「前橋市新モビリティサービス推進協議会」を設立しました。

新しい移動手段の実現を支援する経済産業省・国土交通省の「スマートモビリティチャレンジ」事業に採択されたことを受けた取組です。前橋市での実証実験は約3,000万円規模で行われる見通しで、約800万円を国が負担します。

経済産業省・国土交通省は2020年7月、「令和2年度スマートモビリティチャレンジ」の取組として、新しいモビリティサービスの社会実装に挑戦する合計52の実証地域を選定しました。各地域で新しいモビリティサービスの実証実験や事業性分析等を実施し、ベストプラクティスの抽出や横断的課題の整理等を行うことを通じて、地域モビリティの維持・強化、さらには移動課題の解決、地域経済の活性化を推進することを目指すものです。

同協議会にはこの他、ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構(同市)や群馬大学NTTデータ、配車システムを手掛ける未来シェア(北海道函館市)、群馬県バス協会前橋地区タクシー協議会上毛電気鉄道(前橋市)が参加しています。

実証実験の柱の一つは2019年度に住民を対象にアプリを使って実験したMaaSの機能拡張です。今回はJR東が観光客向けに開発した「ググっとぐんMaaS」を基にして住民向け機能を加える予定です。市民だけでなく、市外の旅行者が市内をスムーズに移動できるかを検証して、同市の観光産業発展に寄与する形を模索します。

2021年4月以降には、前橋版MaaSの実現に向けて路線バスのダイヤ見直しなどを段階的に実施していく方針も打ち出しています。前橋市の山本龍市長は「高齢者や障害者ら様々な人に外出機会を与えられる公共インフラ提供に向けた第一歩」と意義を語りました

2020年12月から約3カ月かけて実証実験を行い、2021年度以降に前橋版MaaSの実現を目指します。

編集部のコメント

編集者
高齢化進行、環境問題、財政問題など、多方面の社会問題と密接に関係するスマートシティ、スマートモビリティ。世界の中でも特に規制が厳しいとされる日本におけるモデル開発を急ぐため、各省庁が積極的に後押しする姿勢を打ち出しています。裏を返せば、純粋な市場原理に任せても事業の採算性を正当化することが難しい領域ということも言えるでしょう。

経済合理性はもちろんですが、交通やITインフラ、ライフスタイル、人々の価値観など、時として合理性だけでは論じられないさまざまな要因が複合的に噛み合うことが、スマートモビリティシステムの自律自走には不可欠です。壮大なテーマだけに産官学の知恵と資本を集約させて、世界に発信できる日本モデルの確立に至ることを期待したいものです。

スマートシティ、スマートモビリティは大きな方向性は見えているものの、個別のソリューションやサービスレイヤーではスクラッチで構想を描くところからチャレンジが行われています。そうした意味ではベンチャー企業の活躍の余地は大きいと言えるでしょう。新たなテクノロジーや斬新なビジネスモデルの提案がいま待たれています。

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