総務省外郭団体がSNS情報から個人の知能指数や生活習慣を見抜く実験に成功

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2020年8月20日、総務省の外郭団体である国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、情報機構)は、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の情報から、どの程度個人のパーソナリティが推定可能かを調べた結果、外向性やIQといった幅広いパーソナリティを推定することに成功したことを論文発表しました。

具体的には、Twitterの情報から、知能指数(IQ)や外向性など個人のパーソナリティを推定することに成功しました。ネットワーク情報が社会性関連の、言語情報がメンタルヘルスのパーソナリティをそれぞれ推定する実験により、統計的に有意な結果を得ました。これらの推定方法の進化によりメンタルヘルスの分析や個性に応じた働きかけへの応用が可能となるとしています。

研究グループは、239名(男性156名、女性83名、平均年齢22.4歳)のTwitterユーザーを対象として、投稿文の情報から、人々の内面を表す52種類の特徴を推定し、その内23種類の特徴の推定が可能だったとしています。IQなどの知能や性格のほか、統合失調症やうつ病のような精神状態、飲酒や喫煙の生活習慣、人生の満足度も読み取れました。

情通機構は悪用を懸念してAIプログラムの公開を見送る対応をとりました。今後、こうした分野の研究が進歩すればするほど、プライバシーの保護の問題と対峙することになるでしょう。

編集部のコメント

編集者
SNSの普及率は若年層年代を中心に高く、今日では社会インフラとなりつつあります。行き交う短い文面からその先の相手がどのようなパーソナリティを持つかわかってしまうとすれば、わずか140文字の投稿でプライバシーを明かしたという自覚のない個人にとっては驚きでしょう。

普段わたしたちはあまり意識しませんが、AIの進化に伴う個人情報の活用は至るところで進んでいます。検索エンジン利用履歴やGPS情報を元にした広告配信、SNSの繋がりの分析結果を活用する融資信用審査などが代表格です。

無料サービスは個人情報を提供している見返りとして利用できていることが多々あります。AIや大手IT事業者による監視は不快と感じる人も少なくありません。EUでは「忘れられる権利」が法制度化されていますが、日本では法制度が追い付いていない面があります。

ただ、わたしたちは日常生活の中で様々な利便性を享受しているのも事実です。テクノロジーの進化とどのように距離を取っていくか。個人、そして社会に対していま問題が投げかけられています。

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