2023年の小規模事業者持続化補助金はインボイスがポイント!スケジュールも紹介

創業手帳

第12回の持続化補助金はインボイス転換事業者に最大50万円の上乗せを支給。最大250万円もらえます


2023年3月10日、第12回小規模事業者持続化補助金の公募が始まりました。今回の目玉はインボイスへの対応を迫られる免税事業者を対象にした「インボイス特例」。通常枠や特別枠で申請を検討している人がインボイス転換事業者の場合、最大50万円の上乗せ支給を受けられます。

今回はそんな2023年の小規模事業者持続化補助金について、ポイントや概要、スケジュールなどを解説します。新たに始めたい事業のアイデアがある人、更にインボイスの導入を合わせて検討している人などはぜひ以下をお読みください。

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小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金とは、物価高騰や賃上げ、インボイスなどの対応を迫られる小規模事業者の販路開拓を後押しする事業です。自ら経営計画を策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら販路開拓に取り組む小規模事業者が50〜250万円の補助を受けられます。

下記の通り、小規模事業者持続化補助金には、5つの枠組みと1つの特例があります。

通常枠
特別枠
賃金引上枠 卒業枠 後継者支援枠 創業枠
常時使用する従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合5人以下、それ以外の業種の場合20人以下である事業者 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者 小規模事業者として定義する従業員数を超えて規模を拡大する事業者 アトツギ甲子園のファイナリスト等となった事業者 過去3年以内に「特定創業支援事業」による支援を受け創業した事業者
インボイス特例
免税事業者のうち適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者

出典:経済産業省・中小企業庁「『小規模事業者持続化補助金』が拡充されます」

※上記は全て第12回(2023年3月)公募に基づく情報です。

2023年 小規模事業者持続化補助金のポイント


2023年(第12回)小規模事業者持続化補助金のポイントは、「インボイス特例」が新設されることです。免税事業者からインボイス発行事業者に転換する場合、より有利な条件で補助を受けられます。

インボイス転換事業者の補助上限を50万円上乗せ

2023年の小規模事業者持続化補助金では、新たに「インボイス特例」が設けられます。免税事業者から適格請求書発行事業者に転換するインボイス転換事業者は、各枠の補助上限が一律50万円上乗せされる仕組みです。

このタイミングで取引先との関係などを考慮し、自主的に免税事業者からインボイス発行事業者へと転換する会社や個人事業主も多いでしょう。そのような事業者が新たな事業を行うつもりで持続化補助金に申し込めば、インボイス特例が適用されて補助金額が最大50万円アップします。税理士への相談費用も含めて支援を受けられます

補助上限が最大250万円にアップする

2023年の持続化補助金では、インボイス転換事業者が受けられる補助上限が最大100万円から最大250万円に上がります。下記の通り、従来は一つの枠組みだったインボイスの対応にかかる補助が、各枠に加算される特例扱いになるからです。

第11回(2022年12月)
第12回(2023年3月)
通常枠:50万円
特別枠:200万円
インボイス枠:100万円
通常枠:50万円+インボイス特例50万円
特別枠:200万円+インボイス特例50万円

※申請できる枠組みは1つだけ

このように第12回の小規模事業者持続化補助金では、インボイス転換事業者になることへの補助が別枠になります。そのため、特別枠とインボイス特例を併用することで、従来よりも補助上限が上がります。

インボイス特例の適用要件をチェック

インボイス特例の適用要件
2021年9月30日から2023 年 9 月 30 日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった又は免税事業者であることが見込まれる事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者であること。
出典:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金<一般型> 第12回公募 公募要領」

上記の通り、2021年9月30日から2023年9月30日までの期間で一度でも免税事業者であれば、インボイス発行事業者となることで通常枠もしくは特別枠にプラスしてインボイス特例の適用を受けることが可能となります。該当する会社や個人事業主はかなり多いはずなので、ご自身が対象にならないかぜひ一度ご確認ください。

2023年 持続化補助金の補助率・補助上限

2023年 小規模事業者持続化補助金の補助率・補助上限は以下の通りです。

類型 通常枠 賃金引上げ枠 卒業枠 後継者支援枠 創業枠
補助率 2/3 2/3
(赤字事業者は3/4)
2/3 2/3 2/3
補助上限 50万円 200万円 200万円 200万円 200万円
インボイス特例
50万円

※インボイス特例の要件を満たしている場合は、上記補助上限額に 50 万円を上乗せ

出典:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金<一般型> 第12回公募 公募要領」

補助金額は通常枠で最大50万円、各特別枠で最大200万円となります。インボイス転換事業者が申請する場合は、通常枠が最大100万円、特別枠が最大250万円です。

2023年 持続化補助金の補助対象と活用事例


以下では、2023年の小規模事業者持続化補助金の対象となる経費や事業者などを、事例も交えながら紹介します。

持続化補助金の補助対象経費と活用例

小規模事業者持続化補助金の補助対象経費は、以下のように多岐にわたります。販路開拓にかかるさまざまな取り組みについて補助を受けることが可能です。

補助対象経費

1. 機械装置等費
2. 広報費
3. ウェブサイト関連費
4. 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)
5. 旅費
6. 開発費
7. 資料購入費
8. 雑役務費
9. 借料
10. 設備処分費
11. 委託・外注費

出典:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金<一般型> 第12回公募 公募要領」

中小企業庁のチラシでは、本補助金の活用事例として「古民家カフェ」が挙げられてます。古民家でカフェを営業するための厨房の増設(機械装置等費)、地元飲食店とのコラボメニュー開発(開発費)などが対象です。

また「蕎麦屋」の事例もあります。蕎麦と地元特産のかき揚げセットメニューを始めるために高性能フライヤーを導入した場合、その導入費(機械装置等費)が補助対象です。加えて、そのセットメニューを地元メディアで宣伝した場合の広報費についても補助を受けられます。

このように小規模事業者持続化補助金の用途は幅広いため、新しい事業のアイデアがある人はぜひ活用を検討してみましょう。

持続化補助金の事例をもっと知りたい場合には、後述の「販路開拓または業務効率化に向けた取組の具体例」も参考にしてください。

持続化補助金の補助対象者

小規模事業者持続化補助金の補助対象者となるには、第一に小規模事業者であることが必要です。小規模事業者であるかどうかは、下記の通り、業種ごとに定められた従業員数で判断します。

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数 20人以下
製造業その他 常時使用する従業員の数 20人以下

また一部、補助対象とならない職種や法人などもあるので注意しましょう。

補助対象となりうる者 補助対象にならない者
○会社および会社に準ずる営利法人
(株式会社、合名会社、合資会社、合同会
社、特例有限会社、企業組合・協業組合、士
業法人(弁護士・税理士等))
○個人事業主(商工業者であること)
○一定の要件を満たした特定非営利活動法人
○医師、歯科医師、助産師
○系統出荷による収入のみである個人農業者(個人
の林業・水産業者についても同様)
○協同組合等の組合(企業組合・協業組合を除く)
○一般社団法人、公益社団法人
○一般財団法人、公益財団法人
○医療法人
○宗教法人
○学校法人
○農事組合法人
○社会福祉法人
○申請時点で開業していない創業予定者(例えば、
既に税務署に開業届を提出していても、開業届上
の開業日が申請日よりも後の場合は対象外)
○任意団体 等

そのほか、以下の要件もあるため、該当するかご確認ください。

  • 確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が 15億円を超えていないこと
  • 過去に小規模事業者持続化補助金<一般型>、<コロナ特別対応型>、<低感染リスク型ビジネス枠>で採択を受けて、補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第 14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」の提出を本補助金の申請までに行った者であること
  • 小規模事業者持続化補助金<一般型>において、「卒業枠」で採択を受けて、補助事業を実施した事業者ではないこと

持続化補助金の補助対象事業

小規模事業者持続化補助金の補助対象となる事業は、以下3つの全てに該当する事業です。

補助対象事業の要件

1. 策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓等のための取組であること。あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
2. 商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること
3. 以下に該当する事業を行うものではないこと
 同一内容の事業について、国が助成する他の制度と重複する事業
 本事業の終了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業
 事業内容が射幸心をそそる、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの(マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業など)

なお、1の販路開拓または業務効率化のための取組については、以下の内容も参考にしてください。

販路開拓または業務効率化に向けた取組の具体例

販路開拓または業務効率化のための取組については、全国商工会連合会の参考資料で以下のような事例が挙がっています。

販路開拓の取組事例

・新商品を陳列するための棚の購入
・新たな販促用チラシの作成、送付
・新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告等)
・新たな販促品の調達、配布
・国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
・新商品の開発
・新商品の開発にあたって必要な図書の購入
・新たな販促用チラシのポスティング
・国内外での商品PRイベントの実施
・新商品開発にともなう成分分析の依頼
・店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)
※「不動産の購入・取得」に該当するものは不可

業務効率化の取組事例

<「サービス提供等プロセスの改善」の取組事例イメージ>
・従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装

<「IT利活用」の取組事例イメージ>
・新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する
・新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する
・新たに POS レジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する
・新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する

出典:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金<一般型> 第12回公募 参考資料」

2023年 持続化補助金のスケジュール・締め切り

2023年 小規模事業者持続化補助金のスケジュール(受付開始および締め切り)は以下の通りです。

公募要領公表 2023年3月3日(金)
申請受付開始 2023年3月10日(金)
申請受付締切 第12回:2023年6月1日(木)[郵送:締切日当日消印有効]
(事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 原則2023年5月25日(木))
第13回:2023年9月7日(木)[郵送:締切日当日消印有効]
(事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 原則 2023年8月31日(木))
※予定は変更する場合があります。

応募の前に発行してもらわないといけない書類等もあるので、上記の締め切りに間に合うよう、余裕を持って準備を進めましょう。申請の流れや必要書類については次項を参考にしてください。

2023年 持続化補助金の申請の流れ


2023年の小規模事業者持続化補助金は、以下のような流れで申請します。

申請の流れ

1. 申請に必要な書類を作成、用意する
2. 補助金事務局等に申請をする前までに、「経営計画書」「補助事業計画書」(様式2・3)の写し、 希望する枠や加点等に関する書類等を地域の商工会・商工会議所窓口に提出、「事業支援計画書」 (様式4)の作成・交付を受ける
3. 後日、地域の商工会・商工会議所が「事業支援計画書」(様式4)を発行する
4. 受付締め切りまでに必要な提出物を全てそろえ、補助金事務局に電子申請ないし郵送で提出する

なお、電子申請の申請先や郵送による提出先は、所在地ごとに異なります。詳しくは提出前に公募要領等でご確認ください。

2023年 持続化補助金の必要書類

2023年 小規模事業者持続化補助金の必要書類は以下の通りです。各書類の詳細や様式については、全国商工会連合会の「応募時提出資料・様式集」で確認できます。

必要書類

1. 全申請者が必須の提出書類
・小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1)
・経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)
・補助事業計画書②(様式3)
・事業支援計画書(様式4)
・補助金交付申請書(様式5)
・宣誓・同意書(様式6)

2. 希望する枠・特例により追加的に必要となる書類一覧
・賃金引上げ枠の申請に係る誓約書(様式7)
・卒業枠の申請に係る誓約書(様式8)
・インボイス特例の申請に係る宣誓・同意書(様式9-法人用)
・インボイス特例の申請に係る宣誓・同意書(様式9-個人事業主用)

3. 希望する加点により追加的に必要となる書類一覧
・事業承継診断票(様式10)

4. その他
・事務所賃料関係

出典:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金<一般型> 応募時提出資料・様式集」

2023年 小規模事業者持続化補助金のよくある質問


以下では、2023年(第12回)の小規模事業者持続化補助金についてよくある質問にお答えします。

Q. 小規模事業者持続化補助金のメリットは?

これから取り組みたいと考えている事業に関して資金調達ができることです。返済義務がないので、採択を受けられた場合、資金繰りが楽になります。

また2023年の持続化補助金については、インボイス転換事業者になる場合、最大50万円の上乗せ分を得られることもメリットです。

Q. これから創業予定の場合も申請できる?

可能です。申請時点で開業していれば小規模事業者持続化補助金の対象になります。開業届上の開業日よりも後に申請しましょう。

Q. すでに取り組んでいる事業は対象になる?

対象になりません。持続化補助金の支給を受けるには、採択後に事業を実施する必要があります

Q. 持続化補助金はいつもらえる?

持続化補助金の申請から入金までには、一般に8〜10ヶ月程度かかるといわれています。申請から事業実施までに8ヶ月前後、それから審査をはさんで、補助金を請求してから入金までにもう2ヶ月前後かかります。

いずれにせよ補助金は後払いなので、入金までの資金計画を適切に策定しておくことが大切です。

Q. 持続化補助金は何回でも申請できる?

小規模事業者持続化補助金は、各種要件を満たせば、複数回使うことも可能です。詳しくは公募要領をご確認ください。

なお、第12回のインボイス特例に関しては、第11回でインボイス枠の採択を受けた事業者は対象外となります。

まとめ

2023年 小規模事業者持続化補助金のポイントは、何よりインボイス特例です。小規模事業者の中では、インボイス対応をどうするか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

もし新たなる販路開拓のため持続化補助金の申請を検討している方の中で、インボイス登録を検討している方は、この補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

創業手帳では、ご自身にあった補助金・助成金を定期的にメールでお知らせする「補助金AI」をリリースしました。補助金・助成金情報は日々更新されていくため、自分に適したものを探し出すのが一苦労という声からこの機能を搭載。登録や使用については無料ですので、補助金ガイドとともにあわせてご活用ください。

また、インボイス登録をすべきかどうかにお悩みの方は、税理士監修の『インボイス登録ガイド』をあわせてご活用ください。

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(編集:創業手帳編集部)

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