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2022年1月31日株式会社ABABA 久保駿貴|新卒向けダイレクトリクルーティングサービスの事業展開が注目の企業
新卒向けダイレクトリクルーティングサービスの事業展開で注目なのが、久保駿貴さんが2020年に創業した株式会社ABABAです。
新卒生の就職活動がスタートする2月。民間企業への就職を希望する学生40万人以上が、企業との良い出会いを求めて一気に動きだすシーズンです。
学生側は、まず入社を希望する企業のエントリーシートを作成して企業に送り、企業側は届いたエントリーシートを一つづつ確認して面接日程を連絡します。
数回の面接を通して、お互いに相性が良い、一緒に働きたいと判断できた時、入社が決定するという流れです。
もっとも、全ての学生が自分の希望する企業に入社できるわけではありませんし、全ての企業が欲しい人物像にかなう人材を人員計画通りに採用できるわけではありません。
一般的に名の知れている企業や話題性のある企業は、学生もその特長や仕事をイメージしやすく、様々な個性を持つ学生から応募が多い一方で、そうではない企業への応募は少なかったり、応募者の特長に偏りがあったりするというケースもあります。
当然、応募者が多い企業では、最終面接において不採用決定をせざるを得ない場面が多くなります。
自社に入社を希望して熱い思いを語ってくれた素敵な学生たちに、不採用通達を送る担当者の心労は計り知れません。
学生も、せっかく努力して自分自身をめいっぱい表現し、最終面接までこぎつけた企業からたった一言「不採用」と告げられた時の喪失感はかなり大きなものでしょう。その喪失感の中、また一から新しい企業を探してエントリーシートの作成から始めなければなりません。
就活スタートから時間が経つにつれ、採用枠もどんどん埋まっていくので、応募できる企業も限られてくるでしょうし、最終的に自分の希望や特性とはかけ離れた企業に就職するか、就職浪人をするという学生も、中には居ることと思います。
これでは素晴らしい人材が社会で活躍できる機会を失ってしまい、日本全体の成長や発展にも支障が出てしまいます。
このように今までは、他企業の受験状況やその際の面接官たちによる学生の人物評価などがオープンにされておらず、ただただ自社に応募してきた学生のエントリーシートを元に企業ごとで独自の選考を行ってきたがゆえに、学生は各社から面接のフィードバックがないまま、次から次へと同じように面接を繰り返すことになり、時間と労力がかかる上、精神的負担も大きく、採用する企業も、本来出会えるかもしれなかった自社にぴったりの人材と出会える機会を得られないまま終わってしまう、という状況があったわけです。
つまり今までは客観的な第3者の評価軸がない状態で、クローズドな状態で一学生と一企業だけがやり取りをしていたというところに、課題が存在していたと考えられます。
そもそも就活において、応募した企業の多くから内定をもらえることがその学生の評価の全てではありません。
様々な面接官の観点や人物評価を参考にしながら互いに向き合うことが出来れば、学生も企業ももっと広い視野でお互いのことを知ることが出来るようになるでしょうし、本来出会うべき相手との出会いも増えるはずです。
そんな新しい就職活動の在り方に一石を投じる取り組みに、今注目が集まっています。
株式会社ABABAの新卒向けダイレクトリクルーティングサービス事業の特徴は、他社の最終面接まで進んだ学生に対してアプローチできる仕組みにより、エントリーシートからは判断できない「人が面接したからこそ分かる人間性」が評価された学生を効率的に採用できる体験を提供している、という点です。
これにより、学生自身が積極的に自ら多くの企業と接点を持つように動くことを促進でき、自分の強みや特長を活かせる企業との出会いを自らの手で引き寄せることも可能になります。また企業の人事担当者の心労を軽減し、就職活動後も学生と良好な関係を保つことが出来るようにもなります。
こうした活動内容が大きく評価され、リリース1年で300社を超える企業ユーザーからの共感と2,000名を超える就活生に利用されており、5,000を超えるスカウト、1,000を超えるマッチングが生まれまています。2022年2月には、シードラウンドにてウィルグループHRTech2号ファンドと瀬戸内Startups1号ファンド、複数のエンジェル投資家による第三者割当増資で6,000万円の資金調達が決定しています。
株式会社ABABAの久保駿貴さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
◯対学生
就活生にとって、これまで評価されることのなかった就職活動の過程が評価されることです。最終面接まで頑張って辿り着いても、そこで落ちてしまえばおしまいで、また1からやり直さないといけないのが就職活動の現状でした。ABABAでは最終目節まで頑張った実績を評価した企業からスカウトが届きます。
◯対企業
これまでの選考では採用・不採用という選択肢ししかありませんでしたが、ABABAはもう一つ「推薦」という新たな概念を定義しています。時間をかけて受けてくれた最終選考で、泣く泣く不採用にしてしまうこともあるかと思います。その方に対して推薦を行うことで、その企業に対してポジティブな印象を持って選考を終えていただくことができます。
また、採用面では他社の最終選考まで勝ち残った方にスカウトができますので、一定のフィルタリングができている層にのみアプローチしていただくことができます。例えば同業界の企業をうけている方や、就職活動後半時期でもを就活を続けている方にスカウトができるのも特徴的です。
・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?
◯対学生
就活生全員に使っていただきたいです。落ちてしまった時の保険となるサービスはABABAしかありません。事前にABABAの存在を知っているか知っていないかで就職活動の進め方も変わってくると思います。不採用を少しでも前向きに捉えれるような就職活動の世界を実現したいです。
◯対企業
ABABAは人事さんからの紹介によって知っていただくことも非常に多いです。
口を揃えて言っていただけるのが「自分が就活生の時にあって欲しいサービスだった」「不採用を伝えるのは心苦しかったので、何かしてあげたかった」「少しでも学生のためになれば」このような学生思いの企業様が参画してくださっています。
同じような思いを持たれている方や、受けてくれた方もお客さんという見方もできるC向けにサービスを提供している企業様には是非使っていただきたいです。
就職活動後半の時期に内定辞退が出た際の埋め合わせや、母集団形成でもお役立ちできますので、後半時期の採用に課題を抱えられている企業様にも使っていただきたいです。
・このサービスの解決する社会課題はなんですか?
就活生のうち7人に1人は就活鬱を発症し、就職活動が原因で命を絶ってしまう方も少なくなく、何百億円以上ものGDP損失を毎年生み出しています。これらが引き起こされる原因の一つに、就職活動の頑張りが評価されていないことが起因しています。最終面接まで進むと平均で約12時間、多くの交通費をかけて長い時は半年近くもかけて選考を進んでいきます。繰り返しになりますが、落ちて終わりではなくそれまでの過程を評価してあげるサービスが必要なんです。学生のメンタルヘルスのケアとしても非常に有効なサービスと考えています。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
サービス開発が大変でした。私はエンジニアではないので、開発をどうしようか頭を悩ませていたところノーコードというものに出会いました。ノーコードとはプログラミングをしなくてもサービス開発ができる手法のことでして、「これしかない!」と思いました。
とはいえ、一筋縄ではいかないので毎日10時間くらいを勉強時間に充て大学の研究そっちのけで開発を進めました。蕁麻疹が出てくるまで追い込んだのは良い思い出ですがもうしたくありません。笑
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
ステークホルダーを大切にするサステナブルな会社経営をしていきたいです。
ABABAは様々な方々の協力によってここまで歩んでこれました。
お客様、取引先、社員、金融機関、株主様等々、多くのステークホルダーが存在します。
そういった方々に感謝の気持ちを伝えることを忘れず、今後も利用者様が必要とされるサービスを創り続け、企業の本分である「社会の公器」としての役割を果たしたいです。
ABABAの理念の中に「隣人を助けよ、自分ごとであれ」というものがあります。今回のABABAも友人が最終面接で落ちたという小さな困りごとがスタートさせましたが背景には大きな社会課題がありました。周りの人の困り事解決はやがて大きな社会課題解決に繋がると思いますので、今後も隣人に寄り添える企業・サービスで在りたいと思っております。
・今の課題はなんですか?
ユーザー企業様は有難いことに右肩上がりで増えていっており資金調達後はさらにペースが上がっていくと思います。大企業様の参画もいただいておりますが、まだまだ数にすると少ないことが今の課題です。大企業様は採用人数が多い分、落選してしまう方も多いです。
鬱や自殺の選択をしてしまう方は、大企業を受けているような層が中心という風に分析しています。良い大学に入り、周りも就活に成功している中、自分だけ不採用が続くと追い込まれているような気持ちになってしまいます。
推薦が当たり前になる世界はもうそこまできているとは思いますが、大企業様の参画があってこそだと思っております。
誰もにメリットがる事業モデルですので、引き続き拡大に向けて発信を続けていきたいです。
・読者にメッセージをお願いします。
起業している方は成功している部分がけ取り上げられることが多いですが、私自身も3つ目の事業ですし、何度も挑戦し続けました。それはこの就職活動においても同じことでして、失敗してしまっても再挑戦できる場所や、それまでの過程を評価してあげる事が必要になってくると思います。日本にはまだまだ失敗は汚点のように捉えられてしまう文化がありますので、失敗を少しでも成功体験として捉える事ができる社会をABABAを通して作っていきたいと思っております。
会社名 | 株式会社ABABA |
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代表者名 | 久保駿貴(CEO)/中井達也(共同CEO) |
創業年 | 2020年10月 |
従業員数 | 10名 |
事業内容 | 自社で採用できなかった学生を企業間で推薦し、採用もできるプラットフォーム(新卒向けダイレクトリクルーティングサービス) |
サービス名 | ABABA |
所在地 | 〒565-0874 大阪府吹田市古江台3-1-3 |
代表者プロフィール | 1997年生まれ。兵庫県出身。2021年、岡山大学理学部卒業後、神戸大学大学院海事科学研究科入学。同年9月をもって退学し、10月より岡山大学大学院に進学。岡山大学4年次在学中に「最終面接までの頑張りが評価され、スカウトが届く新卒採用のサービス」を提供する株式会社ABABAを創業。同サービスは経済産業大臣賞、SDGs日本賞など数々の賞を受賞。News23、Nスタ、NHK「おはBiz」Abema Primeなど多数のメディアにも出演。全サービスをノーコードで開発したスタートアップとしても注目される。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | ABABA お祈りメール スカウト型 ダイレクトリクルーティング 久保駿貴 新卒採用 最終選考 最終面接 落ちた |
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