農林水産省「農業における労働環境改善のための要因分析」

tips

農林水産省は、「農業における労働環境改善のための要因分析」を公表しました。

この分析は、2023年度「農業労働環境の改善に関する意識・意向調査」を起点として、労働環境の改善に向けた課題や取組に関する考え方等を分析し、労働環境整備に向けた施策検討を行うための知見を得ることを目的としています。

被雇用者の労働環境に対する満足度分析(販売金額別)

(1)販売金額別

満足度の分析にあたり、被雇用者が各項目に対する「非常に満足である」及び「やや満足である」の回答の合計割合で評価しました。

被雇用者の農繁期の1日の労働時間の長さ、農繁期の1日の休憩時間の長さ、農繁期の1か月あたりの休日数、1年間の働き方等の満足度を経営体の販売金額別に比較したところ、それぞれ販売金額が上がるにつれて満足度も上がる傾向がみられました。

(2)営農類型別

被雇用者の農繁期の1日の労働時間の長さ、農繁期の1日の休憩時間の長さ、農繁期の1か月あたりの休日数、1年間の働き方等の満足度を営農類型別に比較しました。

水田作、酪農では、全設問において全体と比較して満足度が低く、特に水田作では1日の実労働時間の長さに対する満足度が、酪農では1日の実労働時間及び休憩時間の長さに対する満足度が低い結果でした。

養豚・養鶏等では、ほとんどの設問で全体と比較して満足度が高く、特に1日の実労働時間の長さに対する満足度が高い結果でした。

また、1年間の働き方については全営農類型で6割を超える結果でした。

経営体の労働環境改善に関する特徴把握(販売金額別)

経営体が労働環境を改善する必要と考える割合を販売金額別に比較したところ、販売金額が上がるにつれて改善する必要があると回答する割合も上がる傾向がみられました。また、改善が必要だと思う点については、「賃金の上昇」「休日の増加」は販売金額が上がるにつれて必要と思う割合も上がる傾向がみられた一方、「農業機械等の導入による作業負荷軽減」「農業技術の習得の支援」は、販売金額が上がるにつれて必要と思う割合は下がる傾向がみられました。

労働環境の状況と被雇用者の満足度の特徴把握(営農類型別)

労働環境や労働時間等の状況及びそれに対する被雇用者の満足度を営農類型別に比較したところ、農繁期の1日の実労働時間の長さについては、農業経営体全体で8時間を超えると満足度が下がり、酪農は他と比較して8時間を超える経営体の割合が高い結果でした。

農繁期の休憩時間及び休日数については、農業経営体全体で1日の休憩時間が60分以上、1ヵ月あたりの休日数が8日以上だと満足度が高く、養豚・養鶏等は他と比較して1日の休憩時間が60分以上、1ヵ月あたりの休日数が8日以上の経営体の割合が高い結果でした。

農繁期については、農業経営体全体で農繁期が短い方が満足度が高い傾向であり、養豚・養鶏等は他と比較して農繁期なしの経営体の割合が高い結果でした。


今回の分析では、販売金額が高い、1日あたりの労働時間が短い、1日あたりの休憩時間が長い、農繁期が短い経営体のほうが被雇用者の満足度が高いという結果となりました。

営農種別では、水田作と酪農が満足度が低い結果です。水田作は1日あたりの労働時間の長さ、酪農は1日あたりの労働時間の長さと休憩時間の短さが満足度の低下につながっています。

労働時間を短くし、販売金額を向上させるには、やはりテクノロジーの導入などによる業務効率化を進め、同時に付加価値向上のための取り組みを実施することが重要です。

創業手帳では起業を目指す方などを対象に無料で専門家の紹介を行っています。起業にあたって不安や相談したいことなどがある起業家の方はぜひご活用ください。

また、起業家や専門家の生の声をもとに記事化した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」や、「資金調達手帳」も無料で送付しております。ぜひご活用ください。

さらには、ブルーベリーファームおかざきとコラボして制作した、農業での起業について解説する冊子「ブルーベリー観光農園始め方ガイド」を無料でお送りしています。このガイドブックでは、ブルーベリー農園立ち上げのリアルな実体験や、事業計画の作り方、経営手法などを解説しています。

ブルーベリーファームおかざき特別コラボ企画
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ トレンド
関連タグ 労働環境 環境 農業 農業における労働環境改善のための要因分析
詳細はこちら

農業における労働環境改善のための要因分析

創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
家族を従業員にする4つのメリットと注意するべきポイント
NPO法人設立サムネイル
【2025年最新】NPO法人の設立ガイド|費用・条件・手順を徹底解説
起業するには何から始める?ゼロからできる起業のやり方【5ステップ解説】
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!
クラウド会計ソフト「freee(フリー)会計」を実際に使ってみた
【記入例つき】事業計画書の書き方を初心者向けに解説|起業・融資対応テンプレートあり

トレンドの創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

植物工場によるイチゴの完全自動栽培を目指す「HarvestX」が1.5億円調達
2022年3月30日、HarvestX株式会社は、総額1億5,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 HarvestXは、ハチに代わるロボットを活用した授粉技術を用い、植物工場によるイチゴ…
「産業交流展2024」首都圏中小企業を対象とした展示会(リアル展示会:11/20~22、オンライン展示会:11/6~29)
公益財団法人東京都中小企業振興公社(東京ビジネスフロンティア)は、「産業交流展2024」の出展企業を募集しています。 「産業交流展」は、東京都と東京都の経済団体等が主催する中小企業を対象とした展示会で…
【3/14開催】「ちばのキラリ商品支援事業2023」研修&ニーズ マッチングイベントが開催
第3回「研修&ニーズマッチングイベント」のお知らせです。 県産農林水産物などの地域資源を活用した商品(ちばのキラリ商品)の開発や販売展開を支援する「ちばのキラリ商品支援事業2023」の一環として実施さ…
【2023年1月25日開催】「グリーンな栽培体系シンポジウム」
2022年12月7日、農林水産省は、「グリーンな栽培体系シンポジウム」を2023年1月25日(水)に開催することを発表しました。 「グリーンな栽培体系シンポジウム」は、「環境にやさしい栽培技術」と「省…
スマート水田サービス「paditch」を開発・運営する「笑農和」が資金調達
2023年12月22日、株式会社笑農和は、資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、株式会社脱炭素化支援機構です。 笑農和は、スマート水田サービス「paditch(パディッチ)」を開発・運営し…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集