注目のスタートアップ

循環型畜産ベンチャーの「GOODGOOD」に「オイシックス・ラ・大地」の投資子会社が出資

company

2023年6月30日、オイシックス・ラ・大地株式会社は、自社投資子会社Future Food Fund株式会社が運営するフードイノベーション領域に特化したCVCファンド「Future Food Fund 2号」が、GOODGOOD株式会社に2023年5月に投資を実行したことを発表しました。

GOODGOODは、牧草和牛(褐毛和種・あか牛)などの一貫生産から、買付・加工・卸売・小売のすべてをワンストップで経営しています。

また、農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」を実現する循環型畜産ノウハウを単独で保有する企業として、循環型畜産の展開と、その高度化に向けた実証実験を行っています。

さらに、国内外の循環型の牧場で生産されたエシカルな畜産肉をキュレーションして販売してるほか、エシカルな畜産肉を使用したミールキットなどの販売も行っています。


世界的な人口の増加により、早くて2030年にはタンパク質の需要と供給のバランスが崩れはじめることが予想されています。これをタンパク質危機と呼びます。

タンパク質は人間の皮膚・筋肉・髪などを構成する成分であり、非常に重要な栄養素のひとつであるため、日々安定的に摂取することが必要です。

現在、タンパク質としては牛肉や豚肉などの畜産物が主流となっていますが、既存の畜産の仕組みはさまざまな問題を抱えています。

たとえば、ウシやブタを育てるためには大量の穀物が必要となりますが、これ以上飼料となる穀物を生産するための農地の確保が難しくなっており、タンパク質の需要増大に合わせた生産拡大が困難であると考えられています。

また、ウシはげっぷによって温室効果ガスとして知られるメタンガスを大量に排出することが問題となっています。たとえば米国では排出されるメタンガスの約25%がウシによるものと推定されています。

こうした背景から、畜産肉以外のタンパク質を安定供給するため、植物を原料とした代替肉(植物肉)や、昆虫食などの注目が高まっています。

一方、代替肉などは今後重要なタンパク源となっていくことが想定されますが、それでも畜産肉を食べたいという需要はなくなることはないでしょう。

畜産は環境負荷が高いことが課題となっているため、こうした環境負荷を低減し、持続可能な畜産を実現することができれば、将来的に畜産肉と代替肉が共存できるという可能性もあります。

こうしたなか、循環型畜産への注目が徐々に高まってきています。

畜産では糞尿の処理や飼料のコスト高騰が課題となっていますが、循環型畜産では土・草・牛・糞尿の資源循環系を構築することで、環境にやさしく持続可能な畜産の実現を目指します。

たとえば、家畜を草地に放って自由に食べさせる放牧畜産は、牛は野に生える草を食べ、糞や尿をすることで土壌を豊かにし、豊かになった土壌は牧草地をさらに育てます。

今後、こうした循環型畜産が国内においてどう発展していくのか、注目が必要です。

SDGsや社会課題は大きなビジネスチャンスとなり得ます。世界に先んじて革新的なプロダクトを開発できれば、大きなシェアを獲得できるでしょう。そのためには開発やマーケティングのために豊富な資金が必要となります。「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報について詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ GOODGOOD ウシ エシカル サステナビリティ 卸売 和牛 小売 循環 循環型畜産 持続可能性 株式会社 生産 畜産 畜産業
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
キャッシュフロー計算書のサムネイル
キャッシュフローとは?計算書(C/F)の見方や作り方などをわかりやすく解説!
あなたの会社に合った補助金・助成金がすぐわかる!自動マッチングツールを導入しよう
クラウド会計ソフト「freee(フリー)会計」を実際に使ってみた
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!
起業するには何から始める?ゼロからできる起業のやり方【5ステップ解説】
酒類販売業免許とは?お酒の販売には免許が必要!飲食店開業のための酒販免許取得を専門家が解説

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

音声配信プラットフォーム展開の「stand.fm」が10億円調達 「UUUM」の「REC.」事業の譲受けを締結
2021年10月22日、株式会社stand.fmは、10億円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、Z Venture Capital株式会社です。 また、UUUM株式会社の音声配信サービ…
モノの形状・鏡面・透明物質を認知できる近接覚センサーを活用したロボットハンドの実現に取り組む「Thinker」が1億円調達
2022年9月30日、株式会社Thinkerは、1億円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先は、大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社を無限責任組合員とするOUVC2号投資事業有限責任組合(O…
ケーキ専門通販サイト運営の「Cake.jp」が7.7億円調達
2021年5月10日、株式会社Cake.jpは、総額7億7,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 ケーキ専門通販サイト「Cake.jp(ケーキジェーピー)」を運営しています。 全国の洋菓…
「凸版印刷」とアートによる障害者支援の「インクルーシヴ・ジャパン」が障害者就労支援で提携
2021年4月9日、凸版印刷株式会社は、特定非営利活動法人インクルーシヴ・ジャパンと業務提携契約を締結したことを発表しました。 インクルーシヴ・ジャパンは、就労継続支援B型事業所「インクルーシヴ・松山…
ARクラウドプラットフォーム「Pretia」を開発・提供する「プレティア・テクノロジーズ」が7億円調達
2022年8月4日、プレティア・テクノロジーズ株式会社は、総額約7億円の資金調達を実施したことを発表しました。 プレティア・テクノロジーズは、ARクラウドプラットフォーム「Pretia」を開発・提供し…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集