「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」に抜本的見直しの可能性

tips

2021年11月1日、財務省は「中⼩企業、エネルギー・環境(グリーン)」という資料を公表しました。

「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」の実績が示され、各種データからこの2つの補助金が適切な事業者に行き渡っていないことを指摘しています。

このことから、「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」では補助金のありかたを根本的に見直す必要があると提言しています。

「中⼩企業、エネルギー・環境(グリーン)」は財政制度等審議会(財務省の諮問機関)の財政制度分科会歳出改革部会において利用された資料です。

前半の「今後の中小企業支援のあり方」という項目では、「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」の実績がグラフ等によってまとめられています。

「事業再構築補助金」は、ポストコロナに向けた取り組みを支援するために2020年度第3次補正予算にて創設されました。

補助金は最大1億円で、補助率も最大3/4と手厚い内容となっています。

しかし、最大1億円という補助金額は、中小企業が想定する事業再構築の費用のボリュームゾーン(100万円~5000万円)との乖離が大きく、補助金依存や過大投資が誘発されてしまうおそれがあります。

また、事業再構築のニーズが高い飲食店・宿泊業の補助金の採択割合は23%で、あまりニーズの高くない製造業が27%も採択されているということもあり、本当に補助金を必要としている事業者が採択されていないという状況にあります。

「ものづくり補助金」は、中小企業の生産性向上のための取り組みを支援するものです。

2019年度の採択状況では、従業員数20人以下の採択が約52%を占めており、また直近3年間で複数回採択された事業者が約15%いました。

複数回の採択は、一度の支援では有効な効果が得られなかったということのあらわれでもあります。

また、効果分析を行ったところ、「ものづくり補助金」に採択された事業者において、従業員1人あたりの付加価値額、従業員数、有形固定資産額に対する有意な影響がみられなかったという報告もあります。

これらのことから「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」においては、真に必要な事業者に適切な支援が行き渡るよう、根本的に見直すことが必要であると結論づけられています。

政府は新型コロナの対策として様々な補助金を実施しています。

今回のコロナ禍になってはじめて補助金を活用したという事業者も多数存在します。

また感染症対策を機会に生産性向上や設備投資の促進なども併せて行っており、政府はDX推進のひとつとして補助金・助成金を位置づけています。

今回の財務省の公表した資料により、「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」という2つの大きな補助金が、有効に活用するのが難しい補助金制度であることが示されました。

今後根本的に見直され、補助金を必要としているのに採択されなかったという事業者にも補助金が行き渡る補助金に生まれ変わることを期待します。

累計150万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、融資申請をスムーズに行うためのノウハウや注意点を解説しています。また、創業手帳自身が補助金申請を行った経験をもとに専門家と作成した「補助金ガイド」も無料で送付しています。補助金・助成金申請の流れや注意点を把握することができるため、申請を考えている方はぜひご活用ください。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ トレンド
関連タグ ものづくり補助金 事業再構築補助金 助成金 補助金
補助金ガイド
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

トレンドの創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

【福岡県】「経営革新賃上げ環境整備緊急支援補助金」
公益財団法人福岡県中小企業振興センターは「経営革新賃上げ環境整備緊急支援補助金」の公募について発表しました。 持続的な賃上げに取り組むため、経営革新計画の承認を受けて、経営革新計画の実現に向けて取り組…
「地域商業機能複合化推進事業(地域の持続的発展のための中小商業者等の機能活性化事業)」3次募集
中小企業庁は、令和5年度予算「地域商業機能複合化推進事業(地域の持続的発展のための中小商業者等の機能活性化事業)」の3次募集を開始することを発表しました。 中小商業者等のグループが、商店街等において、…
「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」補助金
国土交通省観光庁は「インバウンドの地方誘客や消費拡大に向けた観光コンテンツ造成支援事業」の申請受付を開始しました。 本補助金は、本格的な再開が見込まれるインバウンドの地方誘客や観光消費の拡大を促進する…
「都市開発案件形成支援事業費補助金(海外スマートシティ案件形成支援事業)」
国土交通省は、令和5年度「都市開発案件形成支援事業費補助金(海外スマートシティ案件形成支援事業)」の公募について発表しました。 スマートシティ案件形成を加速するとともに、スタートアップ等の中小企業も含…
メタバース上での士業プラットフォームを開発する「Robot Consulting」が「METAVERSE LTD.」と資本業務提携
2023年1月24日、株式会社Robot Consultingは、METAVERSE LTD.(本社:ミクロネシア連邦、日本準備室代表:西村善朗)と資本業務提携契約を締結したことを発表しました。 また…

大久保の視点

国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
「スタートアップワールドカップ2024」世界決勝を現地速報!優勝はEarthgrid(米代表・プラズマでトンネル掘削)
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…
(2024/10/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集