Minto 水野和寛|SNS発コンテンツを収益化!Web3.0時代のデジタルコンテンツビジネスとは

創業手帳

クリエイターエコノミーを確立し、SNS発クリエイターをサポート


Minto(ミント)の代表取締役を務める水野さんは、デコメや絵文字、SNS発コンテンツやNFTまで、各世代でモバイルコンテンツを製作しヒットに導いてきました。

今回は、モバイルコンテンツの変遷を見てきた水野さんだからこそわかる、Web3.0時代のデジタルコンテンツビジネスやトレンドの乗り方、SNS発コンテンツの収益化について、創業手帳の大久保がインタビューしました。

水野和寛(みずの かずひろ)
株式会社Minto代表取締役
前職でモバイル&アプリ事業を牽引した後クオン設立。キャラクター・スタンプで50億超のDL。ブロックチェーン領域では2018年からNFTを手がけ約5億円の流通総額。2021年からメタバース領域へ進出。LAND販売で2.4億円超。その後SNS漫画No.1のwwwaapと経営統合しMinto代表取締役に。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計200万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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2022年1月に経営統合し、売上が2倍に!


大久保:起業された理由や経緯を教えてください。

水野:大学卒業後、2001年に寺島情報企画へ入社し、DTMマガジンという雑誌の編集を担当した後、モバイルコンテンツのプロデューサーとして着うたやデコメ、絵文字などを手掛けていました。
2009年に子会社の代表取締役に就任し、起業までの2年間はスマートフォン向けのゲームアプリを製作していました。「Touch the Numbers」というランダムに表示された1~25の数字を順にタップし、その速さを競うゲームは、2010年に日本のAppStoreにて最もダウンロードされたゲームになりました。

デコメや絵文字を手掛けている時から日本のコンテンツやクリエイターは世界に通じるのではないかと思っていましたが、開発したゲームアプリが多くの海外の方にもダウンロードされた経験から、ゲームやキャラクター、スタンプ、絵文字など非言語分野コンテンツやクリエイターはグローバルに通じると感じ、2011年に「グローバル向けのコンテンツやプラットフォームを作っていこう」と株式会社クオンを設立しました。

大久保:前職での経験を活かして独立された形なのですね。

水野:そうですね。経験を活かしながら、他の人がやっていないことをやってみたいと思ったのと、ちょうど2008年にiPhoneが日本で初めて発売され、今後10年ほどはスマートフォンの市場が伸びるだろうと予見できたので、タイミングとしても「今だな!」と思い、会社を立ち上げました。

大久保:今年1月にwwwaap(ワープ)と経営統合され、Minto(ミント)となったのですよね。

水野:はい。クオンはB to Cのコンシューマ向け事業として、国内外向けにスタンプやゲームなどのコンテンツを展開しながら、SNS発のキャラクターを作り、育てていました。
一方、wwwaapはSNS発の漫画クリエイターとクライアントを繋ぐB to B事業を行っていました。同じくSNSを起点とするコンテンツクリエイターと関わる事業ではあったものの、B to BとB to Cでターゲット層が異なるので、2社が補完関係になれば事業としてシナジーが見込めるのではないかと考え、経営統合しました。

大久保:経営統合から半年経過した現在の状況を教えてください。

水野:売上は順調に伸びていて、半年で売上が2倍になりました。それは、シナジーを追求したというよりも、統合前、クオンはB to CをメインにしながらもB to B事業にも挑戦していましたし、wwwaapも同様にB to BをメインにしながらもB to C事業も行っていました。
ただ、やはり会社にはそれぞれ得意分野がありますから、それぞれが本来メインとしていた分野だけに絞って事業を行ったことで、売上を上げることができました。

カルチャーの違う2社が合併したので、本来であれば新たにゼロベースでカルチャーを作り、考え方などを統一する必要があるのですが、売上が伸びているからこそ是正しづらい環境があり、半年経過してしまったことが課題です。
会社名だけでなく、組織としてきちんと1つの会社にしていくことに苦慮しています。

大久保:経営統合してもなかなか売上に結びつかない会社もある中で、売上が2倍になるのは相当な成功例だと思います。

水野:そうですね。ただ、社員からすると経営統合した実感がまだまだ薄いのが現状です。2社がしっかりと交わって売上を作ったというよりかは、それぞれが得意な事業にフォーカスすることで売上を作ったので、スクラムを組んで売上を上げたという実感を持ちづらいのが課題ですね。なので、これから1~2年かけてきちんと組織作りを行っていきたいと考えています。

日本のキャラクター文化は世界に通じるコンテンツ


大久保:現在、漫画やアニメ、ゲームなど、日本のポップカルチャーは世界で人気を博していますが、後発のスタンプなどのコンテンツも同様に海外の方に受ける理由とは何でしょうか。

水野:日本人は「細かいサインを楽しむ」という点において非常にリテラシーが高く、それ故キャラクターやスタンプ、絵文字など「非言語コミュニケーションの表現」が多彩なのが日本のコンテンツやクリエイターの特長です。また、日本は漫画やアニメなど、キャラクターコンテンツにおける歴史の積み重ねがあるので、他国の人はなかなか追いつけない部分があります。

また、アメリカの才能があるクリエイターは、映画業界を目指すことが多いのですが、日本の場合は漫画やアニメ、キャラクターの制作を目指すことが多いので、これらのジャンルについては世界で最も優秀な人材が集まっているといえます。
漫画は絵を描くだけではなく、ストーリーも書けなくてはいけないですし、映画の脚本家や監督がやっていることを全部一人で行うようなマルチタレント的才能を持っている人が集まっています。
そして、ポップカルチャーがきちんとビジネスとして成り立っているところが、他国と比べて大きく異なる点だと思います。

大久保:今年4月6日に公開されたニフティの「キッズ@nifty」における小中学生を対象にした「なりたい職業アンケート」で、小・中学生ともに1位が「漫画家・アニメーター・イラストレーター」でした。これは日本ならではの結果かもしれませんね。

水野:そうだと思います。少年誌などの漫画雑誌が毎週読める国はほとんどないですし、これだけ絵文字やスタンプ、デコメなどが発達し、イラストやキャラクターを使ってコミュニケーションする国も日本が最先端だといえます。
日常生活の中にキャラクターやアニメなど、漫画の文化が染み込んでいて、なおかつ優秀な才能がその分野に集まっているのが理由だと思いますね。

SNS発コンテンツの台頭


大久保:貴社は、クリエイターとともに漫画やアニメジャンルのコンテンツを作られているのですよね。

水野:はい。2010年頃からTwitterなど様々なSNSが使われるようになり、従来のメディアを使わなくてもクリエイターがコンテンツを発信できるようになりました。
その結果、SNSでコンテンツを発信する人やSNSのコンテンツを制作する会社が生まれてきました。我々もその内の1社で、自社でSNS発の漫画やキャラクターを作りながら、コンテンツやクリエイターのプロデュースもしています。

大久保:SNSの普及に伴い、クリエイターの活動領域も変遷していますね。

水野:そうですね。新しい技術やプラットフォームが出てくると、当然そこに即した新しいコンテンツやクリエイターが生まれます。
例えば、漫画であれば紙媒体からSNSで見る漫画にシフトしてきていますし、キャラクターであれば我々が制作しているようなスタンプ発のキャラクターがメジャーになってきています
そのため、我々はその世の中の流れに乗っかり、新しいキャラクタービジネスや新しい漫画ビジネスを生み出す事業を行っています。

また、SNS上で漫画を投稿しているクリエイターが有名漫画雑誌で漫画を描きたいかというと、そうではない場合が多いんですよね。
傍から見ると似たようなコンテンツではあるのですが、実は従来のコンテンツとは別の世界が新しくSNS発で生まれています
それは、クリエイターもファンも従来のコンテンツとは別にいて、直接反響が分かる環境だったり、海外の方にもファンになってもらえる環境で、新しいコミュニティやシステムが構築されているんです。

大久保:新たな産業が生まれる時は、「こんな面白いことで食べていけたらいいよね」という人と、「とにかくメジャーな世界観にして業界の地位を上げよう」という人の2通りのパターンがあると思うのですが、SNS発コンテンツの場合はどうですか?

水野:SNS発のクリエイタービジネスに関しては、まさに「食べていけるようにする」というところに近いですね。
SNS発のコンテンツは、無料配信をして収益を得られなかった時代が何年も続いていたので、それを是正するために、我々の事業でいうと広告主を連れてきてお金をもらえる仕組みにしたり、キャラクターを預かって海外に配信して売ったりするなど、新たな収益を生む仕組みを作っていく感覚です。

大久保:水野さんは、初期からモバイルコンテンツの変遷を見てきた方だと思いますが、新しいトレンドが出てきた時の共通点やトレンドの乗り方があれば教えてください。

水野:新しいプラットフォームが出てきた時に最適なコンテンツをいち早く作りヒットを出すという点では、再現性があると思っています。
ユーザーが楽しいと思えるものは、喜怒哀楽などの普遍的な要素に加え、最適化されたコンテンツによる「気持ちよさ」という感覚があると感じています。
例えば、Touch the Numbersというゲームは、「スマホを触る」ということの楽しさや気持ちよさを最大限に追求して作りました。面白い、面白くないというよりも、日本にスマホが上陸した初期段階で、スマホを触る気持ちよさを最適化したことがヒットに繋がったのだと思います。

大久保:これまで数多くのクリエイターと仕事をされてきたと思いますが、成功し続けるクリエイターの特徴があれば教えてください。

水野:とても基本的なことではあるものの実は一番難しいのが、「作り続けられること」ですね。寝ても覚めても、とにかく毎日作り続けられるクリエイターはやはり強いですね。
「作るのが楽しい」という方は多いのですが、作り続けることは結構しんどい作業なので、苦にならず毎日楽しく作り続けられる方は非常に強いですし、そういった方が新しいプラットフォームが生まれた黎明期からコンテンツを投稿し続けていると、1~2年ほどで他のクリエイターと大きな差がつき、そのプラットフォーム内で一番人気になるケースは多々あります

大久保:小説家の村上春樹氏が長編小説を書く時は、毎朝4時に起きて必ず毎日原稿用紙10枚書くことを習慣づけていると聞いたことがありますが、毎日続けるということが大事なのですね。

水野:そう思います。特にSNSは、毎日発信することがクリエイターの生存証明にもなりますから。
例えば、週刊連載をもっている従来の漫画家であれば、漫画雑誌が発売されることで生存確認ができますが、SNSクリエイターの場合は、毎日作品を投稿することは難しいとしても、何かしらのコミュニケーションをSNS上で行っていくことが重要です。なので、それを苦に感じない人が強いですね。

Web3.0時代のデジタルコンテンツ


大久保:貴社はNFT(※1)事業も行っていますよね。

※1 NFT…non fungible token(非代替性トークン)の略で、複製・改ざんができないブロックチェーン技術(※2)を用いて、唯一無二であることが担保されたデータのこと。デジタルコンテンツをNFT化すると、作成者や所有者、権利者などが紐づけられた固有のトークンIDが付与されるため、オリジナルデータに価値を与えることができる。

※2 ブロックチェーン技術…インターネット上の取引情報の改ざんや複製、不正アクセスが非常に困難で、データを安全に記録できる技術のこと。

水野:はい。SNSのコンテンツは基本的に無料で、さらにリツイートやダウンロードで無限にコピーされていくので、コンテンツ自体に値段や価値をつけられないことがずっと課題だと感じていました。
しかし、デジタルコンテンツをNFT化することで、コンテンツの唯一性が担保され値段をつけることができるので、これらの課題を解決できるようになったんです。
また、今後はNFTやWeb3.0(※3)ならではのコンテンツが生み出されていくと思うので、ゼロベースで新たなコンテンツやクリエイターを発掘していきたいと思っています。

※3 Web3.0…ブロックチェーン技術を活用し、各個人が情報を管理する権力分散型インターネットの総称。行動履歴などのデータを自己管理でき、なおかつネットワーク接続にサーバーを必要としないため、プラットフォームを介さず直接ユーザー同士が自由にやり取りすることができる。

大久保:Web3.0とデジタルコンテンツの関係性について教えてください。

水野:ブロックチェーン上にいつ誰が作ったかなど、コンテンツの制作者情報を記録しておくことによって、無限コピーされたものとオリジナルを差別化できるので、オリジナルのコンテンツに関してはお金を出して買いたいと考える人が現れるんじゃないかと思っています。

実際、我々が2018年にブロックチェーン上に作ったコンテンツが2021年に物凄く値上がりしたのですが、これまでデジタルコンテンツビジネスに約20年携わってきて、過去に遡って価値が上がった経験はありませんでした。
このことから、ブロックチェーン技術によって価値が担保されたデジタルコンテンツはビンテージ価値がつくことが証明されたので、仮に無限コピーされたコンテンツであっても、NFT化しておくことで、きちんと価値が出てくると思っています。

大久保:現状、NFTはどのような人が購入しているのでしょうか。

水野:現在は、投資家が7~8割、新たなコンテンツを楽しみたいという人が2~3割です。その中の一部の人は、WEB3.0やNFTという新しいテクノロジーを活用して、新たなコンテンツを作っていく未来に対してお金を払っているところがあります。

大久保:なるほど。ちなみに、Web1.0で個人がホームページを作って情報を発信できるようになり、一方通行だったコミュニケーションがWeb2.0でSNSが普及したことにより、インターネット上でコミュニケーションを取ることができるようになりました。では、Web3.0では具体的にどのようなことができるようになるのでしょうか。

水野:分かりやすく言えば、今までは情報のやり取りでしたが、Web3.0の登場によって、デジタル上でお金やモノを置き換えて、やり取りができるようになりました。お金は暗号資産、モノがNFTというわけです。
Web3.0によって、ようやくインターネット経済圏が完成したイメージですね。また、デジタルコンテンツは普通に見て楽しむだけのものではなくなり、今後5~10年ほどかけて認証機能のようなものがついたコンテンツに変化していくのは間違いないと思っています。

大久保:ブロックチェーン技術によって、デジタルコンテンツ自体に認証機能がつけられるようになるのですね。

水野:はい。従来は、プラットフォームにログインするためにはIDやパスワードが必要でしたが、Web3.0時代はコンテンツ自体に認証機能を付与することができます
また、現状は各プラットフォームがコンテンツを提供しているので、例えば、たくさんの方が我々のスタンプをダウンロードしてくださっていますが、我々はそのユーザーに直接アプローチすることはできません。
でも、ブロックチェーンの場合は、コンテンツにデータが付与されているので、直接企業とユーザーが繋がることができます
そのため、例えばスタンプをダウンロードした方限定に別途グッズをプレゼントするなど、スタンプのダウンロードだけで終わらせず、次の手を打つことが可能になります。

ブロックチェーン技術を活用する未来


大久保:コンテンツをNFT化することによって、クリエイターは収益を上げることができますが、ユーザーにとってのメリットは何でしょうか。

水野:ユーザーは、クリエイターにお金を払いたくないわけではなく、価値を感じられないものにお金を払えないのだと考えています。例えば、SNSに投稿された4コマ漫画が1万リツイートされていた場合、1万人が同じものを無料で見ていることになります。
それでは、なかなかお金を払う気にならないと思いますが、購入したコンテンツが唯一無二であることや購入者情報が証明できれば、コレクションするなど「買う意味」が生まれてくるので、ファンとしてのアイデンティティを保ったり、クリエイターを応援するためにNFTを買いたいと思う方が出てくると考えています。

大久保:貴社のホームページに、2021年11月の「The Sandbox」でのMintoキャラクターLandセール(NFT販売)では4分間で2.5億円以上の売上になったと明記されていますが、これは継続的にこのようなスピードで売れていくのか、波があるのか教えていただけますか?

水野:4分間で2.5億円以上の売上になった時は少し特殊な状況でした。The Sandboxというブロックチェーン技術を活用したメタバースゲーム上でNFTを販売したのですが、ちょうどそのタイミングでThe Sandboxがソフトバンクから約100億円の資金調達をし、さらにその前の週にはFacebookが社名をMetaに変更したことでメタバースが注目されていたことで、注目されるタイミングが重なりました。
それにより、「このThe Sandboxというプラットフォームのコンテンツは買いなんじゃないか」と購入者が殺到したことが一因になっています。

大久保:ラッキーが重なったとしても、土台がなければヒットしないですからね。

水野:これまで、コンテンツのファンと投資家は世界が別でしたが、ブロックチェーン技術を活用することで、コンテンツと投資の境目が曖昧になってきました。
それはWeb3.0が金臭いといわれた所以でもありますが、逆にいえば投資家がコンテンツに興味を持つフェーズはこれまであまりなかったので、投資マネーがコンテンツに入ってくるのはWeb3.0時代の面白いところであり、特徴なのかなと思っています。

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(取材協力: 株式会社Minto 代表取締役 水野和寛
(編集: 創業手帳編集部)

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