クリエイターズネクスト 窪田望│「Web3の時代がやってくる」いまが起業のチャンス【後編】

創業手帳人気インタビュー

「異常なこと」が起業家にとってはチャンスになる

「これから創業する人は、いきなりラスボスと戦う時代」と語る窪田さん。しかし「創業するにはすごく良いタイミング」だとも語ります。AI、Web3、NFTなど、新しい技術によって、すべての価値観が変わってくる社会がやってきます。

そんな新たな時代に創業を考えようと考えている人へのメッセージなどを、創業手帳代表の大久保がインタビューしました。

窪田 望(くぼた のぞむ)
株式会社クリエイターズネクスト 代表取締役社長
米国NY州生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。15歳の時に初めてプログラミング開発を行い、ユーザージェネレーテッドメディアを構築。 大学在学中の19歳の時に起業し、現在17年目。 東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻グローバル消費インテリジェンス寄附講座 / 松尾研究室(GCI 2019 Winter)を修了。 米国マサチューセッツ工科大学のビジネススクールであるMIT スローン経営⼤学院で「Artificial Intelligence: Implications for Business Strategy」を修了。 2019年、2020年には3万7000名の中から日本一のウェブ解析士(Best of the Best)として2年連続で選出。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

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AIの課題

大久保:前回、AIができることをいろいろと教えていただきました。いいことだらけに思えるのですが、AIに課題はないのでしょうか?

窪田:まだまた、AI技術は発展途上です。インターネットがはじまったばかりの黎明期を想像すると、わかりやすいかと思います。
あの頃は、ウイルス問題やサーバーへのアタックといった問題がほとんどありませんでした。インターネットが普及してきてから、ウイルスやサーバーへのアタックといった問題が出てきました。
AIについても、今後はプロテクトする仕組みが求められる世の中になると確信しています。

大久保:いまのAI技術については、GAFAMのような企業が独占しているのでしょうか?

窪田:いえ、AI自体はすでにいろいろなところでオープンソースとして公開されています。
これからは、誰もが当たり前のようにAIを使えるようになっていきます。実際に株式会社ティアフォーさんが、自動運転OS「Autoware」をオープンソース化して、全世界に公開しました。
技術発展がどんどん進みますし、この事例は本当に素晴らしいです。

大久保:みんなで協力して、全体でより良くしていけるわけですね。ただ、悪意のある第三者が入ってきたときに、すべてがオープンソース化してしまっているとセキュリティーが心配ではないですか?

窪田:まさにそこを懸念しています。善意のある人だけかというと、そんなに甘くないと思っています。
未知の脅威に対して、対処可能なセキュリティーの仕組みを作らないといけません。そこで僕らは、マサチューセッツ工科大学のビジネススクールであるMITスローン経営大学院の教授と一緒に、共同研究をはじめる予定です。

創業していきなりラスボスと戦う時代

窪田:最近、起業の環境が大きく変わってきました。コロナ禍でオンライン化が進み、世界と日本が近所になった感覚があります。これはチャンスでもあるしピンチでもあるんです。いままで世界的には超レッドオーシャンだけど、日本の中だけではブルーオーシャンな市場がありました。それが、世界の人たちが参入しやすくなったので、日本の中でのニッチ戦略が剥がれつつあります。
たとえば、コロナ禍でZoomがいきなり広まったじゃないですか。このように日本国内のサービスも、いきなり世界と戦わなければならなくなります。

ゲームでいうと、いきなりラスボスと戦うような状況です。これまでは、最初は弱い敵と戦って徐々に強い敵を倒していきラスボスを目指していきましたが、いまは環境が変わりました。
これから創業する人は、いきなりラスボスと戦う時代に突入しています。

大久保:しかも、ラスボスがたくさんいますね。GAFAMだけでも5社ありますから。そう考えると恐ろしいですね。

窪田:ラスボスといきなり戦うことを前提にプランを考えている人と、そうではない人。ものすごく差が出てくると思います。
アメリカやヨーロッパ、中国の人たちは、最初からGAFAMにどう勝とうかと設計して考えています。でも日本は、日本国内の一部地域を狙ったニッチな戦略が多いです。そうなると、今後日本がたどる運命は、世界のラスボスたちに負けてしまいます。逆転するためには、ラスボスたちにパンチを打てるくらいのことは、考えておかなければなりません。

大久保:以前、韓国の企業と仕事をしたことがあります。韓国の場合、国内のマーケットが小さいので、世界進出の意思が強いと感じました。日本の場合、国内の市場が大きかったこともあり、世界に出ていくのが遅れたのかもしれません。

窪田:韓国はエンタメ系が世界進出していますよね。BTS(韓国の男性ヒップホップグループ)がこれだけ世界に広がっているのは、最初から世界市場を狙っていたからです。アメリカの場合、さまざまな人種の人が集まり「人種のるつぼ」や「人種のサラダボール」といわれています。多様性が認められているので、日本人や日本の文化が強みにもなると思うんです。

「選択的雑談社会」が生まれる


大久保:オンライン化が進んで、昔では考えられなかったようなことができるようになりました。たとえば、日本に居ながら海外企業のインターンができたりします。オンライン化をどう活用するかが大事ですね。

窪田:いまの時代、本当にすごいですよね。海外で活躍しているトップランナーにも、SNSでダイレクトメッセージを送れます。返信が来るかはわかりませんが、一応相手に届くじゃないですか。スタートラインには立てるわけです。そのためのコストが格段に減りました。以前だとアメリカの人から情報を得ようと思ったら、アメリカまで行かないといけませんでした。海外に尊敬する人が居て、その人から学びたいと思った場合、いまならいろいろな手段があります。その人が発信しているメディアやSNSがあれば、考えを日々学べます。つながりを持ちやすくなった社会ですよね。

大久保:昔は起業する人は、会社コミュニティのネットワークから外れてしまいました。でもいまは、SNSでつながれます。
それを使いこなす人と使いこなせない人でものすごく差が開いてしまっていますね。

窪田:その通りだと思います。いまは「選択的雑談社会」が生まれているのではないでしょうか。これまでは、雑談は位置ベースで生まれていました。たとえば、職場や学校、ご近所さんなどですね。偶然、近くに居た人と雑談をしていました。
リモート化が進んで、みんなが自宅からオンラインで仕事をするようになり、職場の同僚と雑談するのも難しくなりました。用件があるときにしか話さなくなりますよね。「いまから雑談しましょう」とわざわざ言うのも変じゃないですか。それでも雑談はしたいので、雑談する人を選択する社会になってきていると思うんです。
逆に言うと「雑談先に選ばれる」ようになっているかどうかが、重要になってきています。
要するに、発信している内容そのものに価値があるかどうか、という話になってくるんです。
この人と話したい、この人と話したくないというのを、選択できますから。今後は、恐ろしいくらい二極化が進むと思います。

大久保:「居ない人」として扱われてしまうわけですね。

窪田:雑談先として選ばれるように、発信することが大事になってきます。日本では、空気を読むといった考えがありますよね。でも、発信する人としない人では、大きな差が開いてしまうと思います。

大久保:いまは小さい差でも、年数が経つにつれて大きな差となって効いてきそうですね。

異常なことが起業家にとってはチャンスになる


大久保:これから創業しようと考えている人へメッセージをください。

窪田:これから創業する人や創業した人って、創業した瞬間から社長になるわけじゃないですか。創業すると、自分ですべてをやらなくてはなりません。しかも冷酷なことに、事業に正解はないんですよね。自分で推測して「正解らしきもの」を見つけ続けなければなりません。

大久保:しかもいまの時代、先が見えないですからね。思っていた以上に急速に伸びる市場や沈んでしまう市場があったりします。

窪田:最近だとNFT市場の伸びなんて、異常ですよね。でも異常なことが、起業家にとってはチャンスになります。異常なことが起きると、様子見する人が99%だと思います。
いままさに創業している人は、最高のタイミングではないでしょうか。これから10年、「価値逆転社会」がやってくると思っています。すべての価値観が変わってくる社会に生きているんです。
いままでのWeb2は、新しいインターネットだと言われていました。その前は巨大なメディアがありましたが、SNSやブログのように自分が自分のメディアを持つことができて、発信できるようになりました。これがWeb2だったと思います。

でもWeb2は、本当にインターネット的だったかと考えると、確かに投稿者を分散しました。ただし、価値はプラットフォームにしか残っていないですよね。たとえば、投稿者がFacebookにめちゃめちゃいいことを書いても、投稿者はお金を貰えません。プラットフォーム側には、広告料が入ってきているにも関わらずです。

Web3の時代になると、価値も参加者も分散化する未来になってきます。
今まで収益化していなかった人たちが、収益化するようになります。
たとえば、アイドルのファンで、恐ろしいくらい広報に協力してくれているんです。
ライブ情報を個人サイトに書いてくれたり、この日にみんなで集まろうと呼びかけてくれたりしています。ファンの中でコミュニティを作って応援してくれているんです。
でも、その人たちって収益化はしていないんですよ。これからは、そのファンの子たちも、収益化が可能になる世界が訪れます。
アイドルのNFTを買って、いろいろな人に配ったり宣伝すると、トークンの価値が上がっていきます。どこかのタイミングで推し活動を卒業するときにトークンを売却したら、初期の値段よりも高く売れて、そこで初めて報酬が確定する。そういう世界がやってくると思うんですよね。

いままででは考えられないようなパラダイムシフトが、今後どんどん起きていくタイミングです。創業するにはすごく良いタイミングだと思います。

大久保:大企業はなかなか手を出せないですからね。変化が激しいほうが、新しく創業する人にとってはチャンスなわけですね。

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(編集:創業手帳編集部)

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(取材協力: 株式会社クリエイターズネクスト 代表取締役 窪田望
(編集: 創業手帳編集部)

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