決算期はいつにする?知っておきたい決算期の決め方や税務申告までの流れを紹介

資金調達手帳

決算期の処理は早めに取り組んで経営を有利に運ぼう

決算期はいつにする?知っておきたい決算期の決め方や税務申告までの流れを紹介
起業する際に、決算期をいつにするか迷う人もいるかもしれません。決算の処理は煩雑であるため、できるだけ早めに取り組んだほうが良いでしょう。
決算の結果次第で、節税対策やキャッシュの確保など、経営上有利になる戦略も立てやすくなります。

一方で、決算を正しく行わなわず納税の申告期限や納付期限を守らないと、ペナルティを課される場合もあるため、決算について知り、正しく行うのが大切です。
今回は、決算期と各種申告方法について解説します。

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どうして決算が必要なの?


税法上では、会計期間において発生した取引きをすべて記録し、決算書の作成および確定申告を行い、税額を確定しなければならないと定められています。
これは、決算を正確に行わなければ、本来納めるべき税額に差異が生じるためです。

また、会社には、支援している株主や金融機関、出資者(ステークホルダー)に対し、当期の財務状況および実績を公開する義務もあります。
ステークホルダーは、支援を行っている会社が、当期にどのような経営を行ってきたか、運用は適切かを知る権利を持っています。

決算とは

決算は、前述のように当期の財務状況や実績を明示し、確定するための作業です。
これにより、当期に会社がどれだけの利益を出したのか、会社の財産をもとに、純資産と負債の関係性はどのようになっているかを、明確に示します。

決算を行うには、当期の取引きをすべて記載した仕訳帳、勘定科目ごとの取引きがわかる総勘定元帳を作成します。
そして、それらの書類をもとに損益計算書や貸借対照表などをまとめ、最終的に税務申告を行わなければなりません。

決算準備をしないと確定申告や納税にも支障が出る

決算と納税には深い関係があり、正しく決算を終了させなければ正確な納税ができなくなります。

決算により、収益から損金を差引いた所得に対して所得税が課せられ、さらに住民税や消費税の計上も求められます。
収益と損金をきちんと算定しなければ、税額の算出もできません。

もし、所得の算定が不確定だった場合、納めるべき所得税などが多すぎる、または、少なすぎるといった事態に陥ります。
特に、起業したばかりの会社は現金の資金繰りが重要ですが、計上していない損金があると、課税額を抑えてキャッシュを確保することも難しいかもしれません。

適正な財務管理をしていないと経営にも悪影響

上記で触れたように、しっかりした財務管理により決算を正しく行わないと、金融機関からの融資を受けづらくなります。

融資を受けるために、金融機関では決算書をもとに、適正な取引きが成立しているかを厳しくチェックしているため、内容によっては融資を断られる場合もあります。

そして、決算に不備があると判断された時には、金融機関からの信用をなくすかもしれません。
その結果、資金繰りがうまくいかなくなり、経営が逼迫(ひっぱく)することも考えられます。

資金計画が立てられなくなる

決算が正確でない、遅れてしまうといった事態に陥れば、来期以降の資金計画に苦しみます。
これは、来期に使用できる資金が正確に把握できず、キャッシュフローに影響が出たり、余剰があるにもかかわらず有効活用できなかったりするためです。

資金計画を具体的に立てられないと、今後の経営に関する事業計画や意思決定の遅れや、経営状況の問題点を洗い出せないことにつながりかねません。
決算の結果によっては、来期以降の経営状況を圧迫し、しわ寄せされた結果、効率的な経営を行えなくなります。

決算期はどう決める?


決算期は、当期の財務状況や実績を確定するために事業年度を設け、年度終了時(期末時)に決算を行う期間のことです。
新しく起業する人にとっては、決算期をどのように決めればよいか迷うかもしれません。以下には決算期を決めるためのポイントを紹介します。

決算期に決まりはない

決算期の決定には、特に決まりがあるわけではなく、会社で都合のよい決算期を自由に決定できます。
多くの会社では、決算期は3月が多いですが、これは国や自治体が予算を組む時期に合わせているためです。

また、採用される新入社員の多くは学校を3月で卒業するため、きりがいいと考える会社もあるようです。
そのほかに、決算期を12月とする会社もあり、この場合は暦に従っているケースが多いです。
では、決算期を決めるために役に立つポイントを挙げていきます。

繁忙期を避ける

事業の種類により、繁忙期はそれぞれ異なりますが、いずれの場合も繁忙期に決算期を設定するのは避けるべきでしょう。理由は、以下のとおりです。

コア業務に集中できない

繁忙期は、ただでさえ本来の業務に注力しなければならず、決算作業まで手が回らないかもしれません。
繁忙期に決算気を設定してしまうと、決算作業に集中して本来のコア業務がおろそかになる可能性があります。

節税や利益予想の見通しが立てにくい

決算による節税対策や、来期に向けた事業計画を立てるには、作業自体や方針決定に時間をかけて精査しなくてはなりません。
しかし、繁忙期には十分な時間が取れず、節税できる機会や来期の方針決定が行えなくなると考えられます。

税理士にも繁忙期がある

多くの会社が3月や12月を決算期としている場合、会社の税務申告のために税理士も多忙な時期を迎えます。
そのため、税理士が自社の決算作業に余裕を持って取り組んでくれることを想定し、税理士の閑散期に決算期を設定する方法もあります。

資金繰りに合わせる

会社の資金繰りに関しては、各税金の納付期限や借入金の返済の時期には、キャッシュの余剰が少なくなるでしょう。
つまり、支出が多くなる月を決算期にしないよう避けると良いです。

・税金の納付時期から遡る
税金の納付の時期に資金不足に陥らないよう、決算期を決める方法もあります。

〈各種税金の納付期限〉
各税金の納付時期を、以下の表に示しました。

税金 納付期限
法人税
地方法人税
決算期末日より2カ月以内
消費税 決算期末日より2カ月以内
源泉所得税 源泉徴収の対象所得を
支払った月の10日まで
法人事業税 各都道府県により異なる
(東京都の場合、決算期末日より2カ月以内)
法人住民税 各都道府県により異なる
(東京都の場合、決算期末日より2カ月以内)

例えば、法人税の納付時期については決算期末日から数えて2カ月後が納付期限です。
そのため、資金繰りを考えると、この時期に納税の支出があっても問題がない時期を遡って、決算期を決めるのが妥当です。

・借入金の返済時期を避けて決める
借入金の返済月が隔月などの場合、その月には必然的に支出が増えます。

つまり、借入金の返済月が上記の納税時期に当たらないように決算期を調整し、資金繰りを考慮するのも大切です。

決算に慣れていない人が注意したいこと


起業から間もない会社や、初めて決算期を迎える会社が決算を行う際に、注意しておきたい点があります。
以下では、決算について配慮すべき点を紹介します。

帳簿は発生主義で記帳する

法人が決算を行う際の会計処理は、基本的に発生主義で行います。発生主義とは、現金の収受があった時点ではなく、取引きがあった時点で処理するものです。

対して、現金の授受があった時点で処理をする方法が、現金主義です。

日本の会計処理で、現金主義ではなく発生主義が採用される理由には、以下のようなものがあります。

発生主義を採用する理由

・期中の損益を正確に示す
当期の収益と費用を正確に記載した決算書であれば、取引きの流れを正しく把握でき、信頼のおける書類となります。

信頼感の獲得により、金融機関からの融資のために決算書を提出したときも、融資が受けやすくなる可能性が高くなるでしょう。

・現金主義の記帳の手間を減らす
会計処理を現金主義とした場合、勘定科目や現金の授受が発生したタイミングをすべて記帳すると、発生主義への修正が必要となった時に手間がかかります。

また、処理そのものにも手順が増え、経理担当や税理士の手を煩わせかねません。
そのため、発生主義の会計処理により、収益と費用の発生を的確に記す方が効率的です。

・個人事業主は青色申告の特別控除が受けられる
個人事業主の確定申告で、青色申告すると、所得に対する特別控除が受けられます。2020年からは直接申告で55万円、e-Taxおよび電子帳簿の保存で65万円に変更されました。

青色申告を行うには、発生主義による記帳が必須条件です。そのため、発生主義による会計主義を行えば、税制上の利点を受けられます。

決算期から税務申告までの流れを紹介


決算処理を終了させ、税務申告を行うまでには、下記のような手順を踏みます。この手順を覚えておけば、適切な処理が行えるでしょう。

STEP① 取引の会計処理を終わらせる

決算処理には、当期の取引きを示す仕訳帳と総勘定元帳の作成が求められます。手続きをスムーズに終わらせるためには、以下の点に注意してください。

・日々の取引きを都度記帳する
取引きは毎日発生しているため、その都度記帳するのが大切です。決算期にまとめて行うと、抜け漏れが発生する可能性が高くなります。

取引をひとつずつチェックしていると、決算が遅れてしまいかねません。特に、仮勘定の科目が多ければ、確認作業も煩雑になります。

取引きが発生した時点で、適切に会計処理を行いましょう。

・仕訳修正、未処理の取引き整理
本格的な決算作業に入るために、仕訳の修正や未処理の取引きを洗い出して整理しなくてはなりません。
そのためには、試算表を作成して借方と貸方の金額が合うようチェックします。

STEP② 決算整理事項の確認

決算の際には、下記のような決算整理事項により、適切な処理を行います。

資産や負債の実査

・債務、債権や預金等の残高を照合する
債務とは、買掛金や未払金などを指し、債権は売掛金や未収金などのことです。これらの金額を確定するために、総勘定元帳で各勘定科目の金額を算出します。

・有価証券の額面を修正する
株式や社債などの有価証券の額面は、日々変動しています。決算時には、その時点での金額で計上する必要があるため、額面の修正(評価替え)を行います。

・繰延資産を償却する
会社経営のために長期に渡って使用する費用(会社設立・長期使用を前提とした備品購入等の費用)については、繰延資産として計上します。

そして、それぞれに見合った償却期間により、償却する作業が求められるでしょう。

・未使用の消耗品を処理する
購入した消耗品の中で、使用していないものについては、棚卸残高として数えるため当期の費用として計上はできません。消耗品や貯蔵品といった勘定科目で仕訳します。

・現金の残高を確認する
実際の現金残高と帳簿上の残高は、必ず一致しなければなりません。
しかし、残高に差異が生じた場合には、現金過不足として計上し、原因がわからなければ雑収入・雑費として処理します。

決算仕訳

・今期売上げ高を確定する
決算として実績を記すために、当期の売上げ高を確定させます。

当期の取引きで取りこぼしがないか、売上げの計上は自社の規定に則っているかを、請求書や納品書などの証拠書類と照合しながらチェックしましょう。

・売上げ原価を算出する
売上げ原価は、当期の開始時の棚卸高と当期の仕入高を合わせ、そこから当期末の棚卸額を差引いて計算します。当期末の棚卸高により、利益の増減を測れます。

・借受金、仮払金などを処理する
借受金・仮払金のように、処理前の一時的な勘定を仮勘定といい、決算時にはそれぞれに見合った勘定科目で振替えなければなりません。
可能であれば、振替え処理を毎月行うと良いでしょう。

・前払費用、未払費用を処理する
前払費用や未払費用など、当期と次期に発生する科目を分けて考えるものを経過勘定といいます。例えば、来期に発生する費用を当期に支払った場合、前払費用で処理します。

・引当金を整理する
将来的に発生すると考えられる損金の中で、当期に負担し計上するものが、引当金です。
例としては、退職給付引当金や貸倒引当金(将来の貸倒れ予想を当期に計上する)などがあります。

・減価償却を確認する
固定資産の減価償却は、取得価額に対する経年劣化を鑑み、毎年処理したほうが良いです。これにより、当期の損益を正確に算出できます。
なお、20万円以下の固定資産は一括償却が可能です。

税金の計算

納めるべき税金の計算として、法人税と消費税などをそれぞれ算出します。算出方法は、当期の所得や売上げ・仕入れにかかった消費税額によって異なります。

決算時までに行える節税対策

納めるべき税金については、決算時までの以下のような処理をすると、節税効果を期待できるでしょう。

・備品購入、修繕のタイミングを見る
必要な備品の購入・修繕に関しては、当期までに行えば損金として計上して所得を圧縮できます。
そのため、備品購入や修繕を検討している場合は、当期中に行っておくのも方法のひとつです。

・給与を未払計上する
例えば、給与の締め日を毎月10日に設定している場合、決算月の締め日から末日までの給与は日割り計算し、経費として扱うことができます。

・家賃の支払いタイミングを調整する
事業所の家賃を前払いにすれば、短期前払費用として経費計上できるため、所得の圧縮に役立つでしょう。ただし、この方法は継続的に行わなくてはなりません。

・決算賞与を検討する
決算賞与は、賞与を受ける人全員に周知させた上で、次期の1カ月以内の支給を条件とし、当期の決算賞与として経費で処理できます。

・使用していない償却資産の計上を見直す
償却資産で使用していないものがある場合、廃棄して当期の廃棄損として処理できます。
この時、所有していない資産が固定資産に組込まれていないかもチェックしましょう。

・不良債権を損金算入するか否かを考慮する
万が一、取引先の倒産や貸倒れによる不良債権を抱えている場合、損金算入ができる場合があります。ただし、貸倒れに関してはそれを証明できることが条件です。

STEP③ 決算書類の作成

上記の過程が終了すれば、決算書類の作成に移ります。会社法では、以下の計算書類が決算に必要と定められています。

・損益計算書
当期の実績を示すための書類です。

・貸借対照表
決算時における財務状況を確認するために作成します。

・株主資本等変動計算書
当期の純資産の変動を見るものです。

・個別注記表
資産や損益の状況について注記をするために作成します。

・その他
上記の計算書類に付属する明細書や、事業報告書も用意してください。また、金融商品取引法では、現金の流入出を見るキャッシュフロー計算書も必要です。

STEP④ 申告書の提出と納税

決算の最後は、会社法や税法に定められた申告書を作成し、提出を行います。そして、納めるべき税金が確定すれば、その金額を期限までに納付します。

決算に必要な書類とは?

決算の終了には、以下の書類の作成・提出が必要です。

決算報告書

上記で説明した決算に必要な書類を、税務署や金融機関、株主総会などで提出するよう求められます。

税務申告書

税務申告書は、それぞれの税金を算出・確定し、正しく納税するための書類です。

・法人税申告書
法人税申告書は、「各事業年度の所得に係る申告書(確定申告書)」と別添の明細書から構成され、決算日の翌日から2カ月以内に管轄税務署に提出します。

・消費税申告書
消費税の課税事業者である場合、消費税についても確定した後に申告しなければなりません。

具体的には「消費税および地方消費税の確定申告書」・「課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表」が消費税申告書にあたります。

提出期限および提出場所は、法人税申告書と同様です。

・地方税申告書
これは、地方税にあたる法人事業税および法人住民税を申告するもので、各都道府県に提出します。提出期限は、都道府県ごとに異なります。

支店や支社が複数かつ都道府県を超える場合、それぞれの都道府県に分けて提出しなくてはなりません。

まとめ

決算は、会社の経営状況や実績を把握し、次期につなげるために重要な手続きです。

決算期を決める際には、会社の都合や資金繰りなどから自由に設定できます。ただし、より決算期に適した時期は存在するため、よく検討する必要があります。

また、正しく税金を納めるためにも決算は重要な位置を占めるため、書類の種類や作成には十分に注意しましょう。

創業手帳冊子版では、決算に必要な手続きや書類作成方法などを詳しく解説しています。起業間もなく初めて決算を迎える人は、ぜひ参考にしてください。
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(編集:創業手帳編集部)

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