グレーゾーン解消制度とは?メリットや利用方法、活用事例まで徹底解説

創業手帳

新規事業を始める前に活用したいグレーゾーン解消制度とは?


新規事業や新しいサービスをスタートさせたいと考えた時、法的規制が気になるかもしれません。
そのような時は、グレーゾーン解消制度を活用すれば前もって規制適用の有無をチェックできます。

そこで今回は、グレーゾーン解消制度の詳細を解説し、まとめました。また、メリットや利用する方法、企業の活用事例なども紹介しています。
新規事業を始めたいと考えている経営者の方はぜひ参考にしてください。

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産業競争力強化法で定められた制度

グレーゾーン解消制度は、会社で新しいサービスや新規事業を始める際に前もって規制適用の有無を各省庁に確認できる制度を指します。
あらかじめ規制の有無をチェックでき、それにより企業が安心して新規事業をスタートできることを目的に導入されました。

新規事業を始める際、規制が適用されるか否か確認するためには、担当省に直接照会する方法が伝統的に使用されてきました。
その場合、会社の名称を明らかにして照会するほか、匿名で法律事務所を通して照会をするケースもあります。

ただし、企業を所管している事業所官庁と新規事業分野を担当する官庁が違うケースもあるため、規制適用の有無を確認する作業には大きな手間もありました。
中には回答が行われないケースもあり、新規事業をスタートしても良いのか不明な事例もあったため、企業にとっては大きな負担にもなっていたわけです。

しかし、グレーゾーン解消制度が導入されたことで照会作業は事業所官庁が担当するため、企業が自ら規制所管省庁に照会する手間を省けるようになった経緯があります。
規制適用の有無を確認する手間がなくなったので、企業も安心して新規事業活動に取り組めるようになりました。

グレーゾーン解消制度がつくられた背景

前述したとおり規制適用の有無は、もともとは企業が直接担当省庁に照会して行われていました。
しかし、企業の負担が大きいことから2001年から規制適用の有無を事前に照会できる措置として「法令適用事前確認手続」が導入されました。

法令適用事前確認手続の照会先は各規制所管省庁です。
各省庁が利用できる法令や条項を事前に指定しているので、新しくスタートする事業において問題となっている法令が指定外であれば利用できません。

法令適用事前確認手続はこれまでに適用対象となる法令の拡大が実行されてきました。しかし、対象法令の範囲が限定的になっている点が大きな課題となっています。
また、法令適用事前確認手続は規制を所管する立場から回答するだけのものなので、新規事業を推進するために規制の緩和を行うといったサポートを実施する制度ではありません。
規制緩和に関しても課題のひとつとされてきた中、導入された新しい制度がグレーゾーン解消制度です。

グレーゾーン解消制度であれば、対象となる法令は限定的ではありません。制度を申請する担当省は新規事業を推進する役割を担う省庁なので、様々なサポートも期待できます。
法令や新規事業サポートなど、あらゆる課題解決を目指してグレーゾーン解消制度は設けられました。

グレーゾーン解消制度を利用するメリット


続いて、企業がグレーゾーン解消制度を活用するメリットを解説します。

公的な見解から事業が適法かどうか判断できる

新規事業をスタートする際、法規制の対象でないと自己判断しているケースもあります。その場合、規制対象であると後で判断されれば事業を最初から見直すことも必要です。

場合によっては事業を続けられなくなり、従業員だけではなく顧客からの信頼を損ねる危険性もあります。
そのため、事業を始める前にあらかじめ法適用の有無を確認する作業は重要なポイントです。

実際に、ソーシャルゲーム業界で問題となった「コンプガチャ」では、消費者庁によって違法判断が示されてしまい事業モデルの転換を強いられたケースもあります。
事業を始めてからトラブルを起こさないためにも、新規サービスや事業をスタートする際には法適用の有無を確認してください。

顧客に適法な事業であることをアピールできる

グレーゾーン解消制度を活用し、あらかじめ適法な事業であるとわかれば、顧客に対してのアピールにもつながります。
実際に法規制の対象外であることを確認し、自社サイトで公表して顧客や見込み顧客に広める企業も増えています。

グレーゾーン解消制度を活用するだけでも話題性が生まれるので、メディアで取り上げられればPR効果が生まれ、より多くの人に新規事業やサービスを知ってもらうことも可能です。
また、規制を受けないためのアドバイスももらえるので、事業をスタートさせるためにより安心した事業の計画を行うこともできます。

グレーゾーン解消制度を利用するには?


グレーゾーン解消制度を活用して回答をもらうまでの流れを解説します。前もって把握しておくと、スムーズに制度を申請できます。

グレーゾーン解消制度を利用する流れ

制度を利用する流れは以下のとおりです。
1.照会書を作成する
2.事業所管省庁に照会書を提出する
3.照会書を受け取った事業所管省庁が規制所管省庁に照会書を送付する
4.規制所管省庁が照会書の内容を調査し、規制対象の有無を判断し事業所管省庁に回答する
5.事業所管省庁を通じて事業者あてに回答を送付する

どの省庁が事業を所管しているか不明な時は、経済産業省に相談すると当てはまる省庁を教えてくれます

照会書に記入する内容

事業所管省庁に提出する照会書は経済産業省の公式サイトからダウンロードできます。記載する内容は以下のとおりです。

  • 新規事業の概要
  • 新規事業活動の目標
  • 新規事業によって生まれる生産性の向上や需要獲得が見込まれる理由
  • 事業活動の内容
  • 事業活動を実施する時期
  • 事業活動を実施する場所
  • 規制対象の可能性がある法令
  • 確認事項

不明な点があれば、事業を所管する省庁の窓口に出向き、照会書の原案を持参して相談してみてください。

照会書や回答は同意がある時だけ公表

照会書の回答は原則1カ月以内に通知されます。1カ月以上かかりそうな時には理由を添えて1カ月ごとに通知する仕組みです。
回答に関しては制度が創設された際には非公表となっていましたが、2018年に公表すると改定されました。

ただし、事業計画が公表されてしまうと違う企業に模倣されてしまう危険性があるので、紹介者の同意がある時に限り公表される仕組みです。
公表時には、部分的にマスキングをして隠すことも可能です。

グレーゾーン解消制度と似ている制度


グレーゾーン制度と似ている制度もあります。以下に紹介するので、概要を踏まえて活用を検討してみてください。

特例が適用される新事業特例制度

新事業特例制度は、新規事業をスタートさせようと考えている企業が、規制が適用されることを前提に、特例措置を提案して安全性の配慮を条件として企業単位で規制の特例措置適用を受けられる制度です。
グレーゾーン解消制度において、規制が適用されると判断された場合も活用できます。

制度を利用する流れは以下のとおりです。
1.特例措置の要望を出す手続きの実施
2.特例措置を活用して安全性があることを立証する
3.規制緩和や撤廃の全国化

経済産業省の新規事業創造推進室に相談し、制度の活用が認められれば事業所管省庁に提案します。
特例措置が認められれば、実際に特例措置を活用して安全性の確保を立証する必要があります。
事業所管大臣によって認定書が交付されれば新規事業を展開できる仕組みです。

規制の見直しにつなげる規制のサンドボックス制度

AIやIoTなどの最先端分野は、規制によって事業化が進まないケースもありました。
しかし、2018年に規制のサンドボックス制度が導入されたことで、事業化の道が開ける可能性が高まっています。

規制のサンドボックス制度とは、ドローンやAIなどの新たな技術を活用したビジネスモデルの実施が困難である場合に社会実装に向けて、現行の規制の見直しや変更などを図る制度です。
企業が実証実験を実施し、データの報告を受けた政府が結果に基づいて規制の見直しや変更を行っていきます。

グレーゾーン解消制度を活用した企業の事例


実際にグレーゾーン解消制度を活用した企業の事例をご紹介します。

年齢確認を通じた酒類販売の照会

・規制所管官庁:国家公安員会

・新規事業内容
無人の店舗で酒類を販売する際年齢確認が必要なため、セルフレジにおいて無人店舗を運営する法人に通知が届く仕組みを確立し、運営をしたい旨を報告しました。
仕組みとしては、レジで酒類をスキャンすると店舗運営法人に通知が届き、運営業務を委託した法人の従業員に酒類の購入を希望する顧客の年齢報告を要請します。
その後、当該従業員が年齢確認を実施し、購入希望者が20歳以上であると確認した場合に限り代金の支払いを求める仕組みです。

・照会内容
「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律第1条第4項」に規定する「営業者ニシテ其ノ業態上酒類ヲ販売又ハ供与スル者」が行う「年齢ノ確認」に該当し、同項に違反しないか確認を求めた事例です。

・回答
新規事業においては、上記法律に該当するとして差支えがないとし、同項の規定によって処罰されることはないものと承知していると国家公安員会は回答しています。
ただし、20歳未満の顧客に対して酒類を販売した際には処罰される可能性があるという回答でした。

船舶マッチングサービスの照会

・規制所管官庁:農林水産省

・新規事業内容
漁港やマリーナで使用されずに停泊している船舶に着目して、船舶の所有を望む人(共同使用希望者)と船をマッチングさせるサービスを、新規事業として検討している旨を報告しました。
船舶を使用したサービスには、遊漁船業やレンタルボートサービスなどがありますが、いずれも登録や古物商としての許可が必要です。

しかし、新規事業においては上記のような登録は不要としました。
船舶所有者と船舶の共同使用希望者が共同で維持管理を行うことで、今までにない形でマリンレジャーが楽しめる環境を提供できるとし、類似サービスとの差別化を図りたいと照会を実施した企業は考えています。

・照会内容
共同使用希望者は、マッチングされた船舶があることでマリンレジャーを自由に楽しめるようになりますが、レジャーには釣りも含まれます。
船舶には共同使用希望者だけではなく、その知人や家族が乗船するケースも考えられます。

その場合、共同使用希望者は遊漁船業の適正化に関する法律第2条第1項が定める「乗客」に該当せず、船舶所有者は法第3条第1項が定める「遊漁船業を営もうとする者」に該当しないことの確認を求めた事例です。

・回答
照会内容に関しては船舶の使用契約についてであり、法に抵触はしません。
しかし、船舶所有者でも共同使用希望者においても、船舶を使用する者が第三者を船に乗せて漁場に案内し、水産動植物を採捕させる行為を何度も継続すれば、当該事業は遊漁船業に該当するため、遊漁船業者の登録が必要になります。

また、新事業を実施する際には、船舶所有者と共同使用希望者がサイトのプラットフォームで利用規約を承認し、法に違反しないことに同意した場合に限り登録を行うことが必要です。
法に抵触する行為に関しても、わかりやすい形で注意喚起を行うことを促しています。

前眼部撮影用医療機器の販売・貸与の照会

・規制所管官庁:厚生労働省

・新規事業内容
スマートフォンのカメラ部分に取り付ける前眼部撮影用医療機器の販売と、貸出事業の実施を考える企業です。
機器を利用することで医師だけではなく看護師や臨床検査技師、視能訓練士などの人材でも前眼部の画像撮影が可能になり、画像を用いて指定病院の医師が白内障などの眼科疾患の有無を診察する仕組みです。

・照会内容
医師以外の人物が人間ドックなどの健康診断において、眼底部の撮影をすることが医師法第17条の「医業」に該当するか確認を求めた事例です。

・回答
前眼部撮影用医療機器を使用方法に沿って使用するのであれば、医療行為には該当せず医師法第17条にも違反しないとの回答です。

人材紹介マッチングサービスの提供の照会

・規制所管官庁:厚生労働省

・新規事業内容
オンライン人材サービスにおいて、各ユーザーが閲覧する可能性の高い募集記事を抽出して各ユーザーに募集記事の表示順序をパーソナライズする機能を導入したいと検討しています。
過去の閲覧状況から閲覧する可能性が高い記事を分析し、優先的に表示させる仕組みです。
各ユーザーは、検索結果画面をスクロールし続けることで検索したキーワードに関連するすべての募集記事は閲覧できる状態にあります。

・照会内容
職業安定法第4条第1項に規定する「職業紹介」に該当しないか確認を求めた事例です。

・回答
検索条件に該当する求人は全件表示され、求職者とも連絡を行わないため雇用関係の成立を斡旋しているとは判断されず、職業紹介にも該当しないと回答しています。

クラウド型税務申告ソフトの照会

・規制所管官庁:国税庁

・新規事業内容
税理士のリモートワークを可能とするための、クラウド型税務申告ソフト事業に関する相談です。
帳簿作成や決算作業、税務申告業務などを税理士事務所以外の勤務場所で行えるようになり、多様な働き方を模索できる仕組みです。

・照会内容
税理士法第40条第3項の「税理士事務所」に該当するか確認を求めた事例です。

・回答
リモート勤務場所が税理士事務所と誤認されるような看板を掲げる行為や名刺への住所記載なども行っておらず、職員の採用や顧客との打ち合わせスペースの設置なども設けていないことから、税理士法基本通達40-1の「継続的に税理士業務を執行する場所」には該当せず、税理士法第40条第3項における「税理士事務所」にも該当しないと考えると回答しています。

まとめ

グレーゾーン解消制度は、新規事業をスタートさせる前に法規制に抵触していないかをあらかじめ確認できる制度です。
回答も1カ月以内と早く、新規事業計画の妨げにもなりません。事業所管省庁によるアドバイスも受けられるので、大きなメリットがあります。
新規事業をスタートしてからトラブルを起こさないためにも、前もって制度を活用して規制適用の有無を確認しておくと安心です。

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(編集:創業手帳編集部)

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