友達と起業するメリット・デメリットは?注意点もまとめました

創業手帳

友達起業特有の問題をクリアできるかどうかで事業の成功も変わる


友達との起業は、友達だからこそ遠慮せずにアイデアを出し合ったり、お互いのスキルを持ち寄ったりと多くのメリットがあります。
しかし、反対に遠慮したり不満を伝えづらく言い出しにくかったりするなど、トラブルに発展するケースも少なくありません。

この記事では、友達と起業する際のメリットとデメリット、うまくいくためのポイントや注意点を紹介します。友達との起業を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

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友達との起業はうまくいく?メリットだけでなくデメリットも考えよう


働き方の選択肢は広く、どこかに所属したり雇用されたりするだけでなく、自分のアイデアを武器にして起業を目指す人も少なくありません。
しかし、ひとりで起業するには不安が大きく、自分だけでは力不足だと感じている人もいるのではないでしょうか。
そのような人に支持され始めているのが、友達との起業です。
ここでは、友達との起業について知っておいて欲しい情報をまとめました。

友達と起業した成功例

友達との起業と聞くと、友達同士でうまくいくのかと疑問に思うかもしれませんが、友達と起業して成功した事例は多くあります。
有名な逸話としては、スティーブ・ジョブズ氏とスティーブ・ウォズニアック氏、ロナルド・ウェイン氏が立ち上げた「Apple」があります。
「Apple」と聞くと、まずスティーブ・ジョブズ氏が思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。

彼だけの力では、同社の成功はなかったと考えられています。
スティーブ・ジョブズ氏は交渉やビジネスの才能にあふれてはいましたが、機械について詳しかったわけではありません。

ロナルド・ウェイン氏は創業時の企業ロゴを作成後に早々に退社したものの、もうひとりの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏はエンジニアとして同社で才能を発揮しました。
開発力と技術力とが組み合わさった結果が同社の成功のきっかけであり、技術の部分と、ビジネスの部分とを分けて、お互いを補い合うことで成功を収めたといえます。

同様に「Microsoft」や「Airbnb」、「Google」も友達と起業して成功を収めた例として知られています。

友達起業のメリット

今までひとりで起業することを前提にして計画を立ててきた人だと、友達との起業と聞いてもピンとこないかもしれません。
友達と起業することによってどのようなメリットがあるのでしょうか。以下に、友達と起業するメリットを紹介します。

相談できる相手がいる

起業する時は多くの人が様々な不安を抱えています。事業がうまくいくのかどうか、資金繰りに問題がないかどうかと思い悩む人も少なくありません。

友達と起業することの意義のひとつが、いつでも人に相談できる環境がある点です。
一緒に起業しているからこそ、親身になって本音で話ができます。

友達起業はいつでも気心が知れた友達に相談できるので、悩みにぶつかった時もひとりにはなりません。
悩みを言語化することや客観的な意見をもらうことで、精神的に落ち着くケースも多くあるようです。

作業分担しやすい

人によって得意分野は異なります。専門的な知識や技術に長けた人が、必ずしも交渉力や製品開発力を持っているとは限りません。
無理に自分が苦手な分野に手を出すと効率が悪く、起業自体がうまくいかないことがあります。

友達と起業することで作業を分担できれば、それぞれが得意分野を担当して経営が可能です。また、単純に人手が増えることもメリットです。

起業は取引先や金融機関との交渉のほか、会社設立手続きや税務手続きなど、多くの工程が発生します。
ひとりだけですべてを行えば負担も大きくなってしまいますが、作業分担することによって、精神面・肉体面で余裕を持つことが可能です。

ひとりでの起業は体調を崩した時も問題です。自分の代わりがいないからと無理をすると、さらなる病状の悪化を招くこともあります。
任せる人がいることによって、体調不良で仕事が回らなくなるリスクも回避できます。

孤独にならない

人と仕事をすることは、孤独にならない点もメリットです。
ひとりでの起業は自分ですべて決めて進められるため、楽な点もたくさんあります。

しかし、起業をすればうまくいかなかったり、自己嫌悪に陥ったりすることの連続です。
ひとりで起業すると自分で自分を励まして事業を続けられるうちはいいものの、孤独から立ち直りにくくなってしまうことがあります。

失敗にばかりとらわれていては、事業は進みません。友達との起業であれば、お互いに慰めあって立ち直れることもあります。

気心が知れていて働きやすい

友達との起業は、お互いのことをすでに知っているため働きやすい点もメリットです。
人によって仕事の仕方は異なります。
求人したり、仕事で知り合ったりした場合には、相手の特性や性格まで把握するために時間がかかるものです。

しかし、友達であれば、ポジティブなタイプや慎重派、スパルタタイプのように相手の特性を前から十分に知っているケースが多く、また、自分の特性をも知ってもらっていることで互いに配慮しながら働けます

友達起業のデメリット

友達との起業には、前述したとおり多くの良い面がありますが、当然ながらデメリットもあります。
把握しておかないと思わぬ失敗をしてしまうかもしれません。
友達で起業をするデメリットについて紹介します。

本音を言いにくい

楽しそうに聞こえる友達起業ですが、一方で似た者同士や友達同士で起業することは自然な流れであるものの、安定性が低いとも指摘されています。
友達や近しい間柄での起業がうまくいかない理由は、問題が多くなるからというより、問題が大きくなるまで放置されがちだからです。

友達は仕事を抜きにしても親しいものです。
だからこそ、その間柄を壊さないために相手を不快にさせるような指摘やセンシティブな話題を避けてしまうことがあります。

具体的には、起業メンバーの中にパフォーマンスの低い人物がいる場合、それを指摘するのをためらってしまうことがあるかもしれません。
関係性が壊れる精神的ダメージを避けるために、問題を先送りして結局手遅れになってしまうケースは珍しくないようです。
一方で、赤の他人や元同僚であれば伝えづらいことがあっても仕事と割り切って伝えられることもあります。

決断が人間関係に影響を及ぼすことも

友達と起業した場合、事業での決断や考え方の違いが人間関係に影響することもありえます。
友達だと信頼しあっていても、起業する中で今までは気が付かなかったような相手の部分を知ることになるかもしれません。
考え方の違いが受け入れられなければ、共同での起業が白紙に戻り、悪ければプライベートでの関係も終わりになってしまうことがあります。

責任のあり方が曖昧になる

ひとりで起業した場合、仕事で失敗した時はすべて自己責任です。
しかし、友達と起業した場合には、どうしても自分は悪くないと考えてしまいがちで、お互いに責任を押し付けてしまって関係性が悪化するケースもあります。

責任を追及しないでいると、また同じ失敗を繰り返すこともあります。
お互いに納得がいくようにどこに問題があったのか、冷静に話し合うようにしてください。

能力を評価しづらい

友達である関係性は、仕事の能力やパフォーマンスを正確に把握するには適さないことがあります。
客観的に友達の能力を把握できないことで、自分ばかりが働いている、報酬が不公平だと感じてしまうケースもありえます。

失敗で友情を失うこともある

自分ひとりで起業して失敗した場合、失うのは仕事や金銭などです。
しかし、友達との起業で失敗した場合には友達と仕事の両方を失ってしまう恐れがあります。
また、起業したことで、友達の知りたくなかった一面を知ってしまうかもしれません。

仕事は失ってもまた取り戻せますが、友人との関係性は取り返しがつかないものです。
一生友達でいたいと考えるのであれば、起業する前に本当に関係が悪くならないか考えておくことが大切です。

友達との起業で注意しておきたい資本金比率

起業する際に決定しなければならないのが、会社の形態です。
合同会社のほうが設立費用も安く手続きも少ないため、合同会社を選ぼうとする人も少なくありません。

ただし、友達との起業で合同会社を選ぶ時には注意が必要です。
株主会社では利益の分配割合は出資比率に応じて行われます。つまり、原則として保有する株式数に比例して株主総会の議決権と剰余金が与えられる仕組みです。

一方で、合同会社は原則出資割合によるものの、定款に記載することで利益の配分を社員間で自由に決定可能です。
つまり、1万円出資した人と100万円出資した人を同じ利益割合にすることも可能です。
友達と起業した時、利益は等分しようと考えるのは自然かもしれません。
しかし、金銭的余裕が異なるからと出資割合をバラバラにしてしまうと、たくさん出資した人であってもほかの人と同じ利益を手にすることになります。

出資を多くすることは、それだけリスクを負うことを意味しています。
初めのうちは、出資金額が多くても気にならないかもしれません。

しかし、経営がうまくいかなくて資本金が少なくなる、反対に売上げが大きくなり手元にお金が残るようになった時に、出資割合が多いのにほかの人と同じ取り分であることが不満となりえます。

友達なのにと思うかもしれませんが、後々のトラブルを避けるためにも利益の配分は出資比率に合わせるようにおすすめします。

友達との起業を成功させるためのポイント


友達起業は、成功すれば働きやすい環境のもとで思う存分ビジネスに打ち込むことができます。
友達起業を成功させるためには、押さえておきたいポイントもあります。
どのようなことに注意すればいいのかを、以下にまとめました。

経営の主導権と意思決定を決めておく

経営は、常に意見が一致するとは限りません。
意見が分かれて話が進まない場合や、反対意見が出て最終決定ができない場面も必ず出てきます。

例えば、代表者をひとりにして、意見が割れた時には代表者が決定するというルールを設定するのも有効な方法のひとつです。
友達起業の時には、あらかじめ経営の主導権や最終意思決定者を決めておくようおすすめします。

起業者それぞれが出資する

共同で起業する際には、必ずそれぞれが資金を投じるようにしてください。もちろん、皆が事業に投資できるほどのお金を持っているとは限りません。
しかし、起業者が魅力と将来性を感じて投資仕様と感じるほどのビジネスでなければ成功は難しいでしょう。

また、もしも共同企業者のうち、ひとりしか資金を投じなければ、後からトラブルの火種となるリスクもあります。
資金を出していない人は、リスクも少ないのに成功の時には大きくリターンを受け取ることになってしまいます。
不公平感があると、事業をする中でも仲たがいの原因になりかねません。

報酬や権限を明確にする

友達起業は、友達同士だからと報酬や権限もあいまいになってしまうことがあります。
友達だから遠慮して金銭や責任の部分の話を避けてしまうことがあるかもしれませんが、ポジションやお金の配分は必ず明確にしてください。

どうするつもりなのかと疑問を持ちながらでは、ビジネスに関わりにくく仕事への責任感も生まれにくいものです。
お互いの負担をはっきりさせるためにも報酬や権限については最初に話しておくことが大切です。

各々が自分のライフプランについても考えておく

起業を考える時に、同時に考えなければならないのが自分のライフプランです。
会社が軌道に乗っている場合と、あまりうまくいっていない場合の両方について、自分のライフプランを考えておきます。

うまくいっていない場合、転職するのか、中途採用のあてはあるのかどうか、さらに結婚などのプライベートの予定も考えておく必要があります。
自分の人生について、責任を負うのは自分です。
友達と起業する場合、それぞれが自分のライフプランやキャリア設計について考えておくようにおすすめします。

目標や方針は共有する

事業の目標や方針は、起業するメンバーが共有しておくようにしてください。
起業するメンバーの中に、それに同意しない人や伝わっていない人がいると、いずれ経営方針でもめる原因になることがあります。

起業するメンバーが目標や方針を明確にするためにも、起業準備の段階で徹底的に話し合っておきます。
その企業が何を目的としているのか、どういった価値を提供していきたいのかはビジネスの根幹に関わる部分です。
同じビジョン、熱量で仕事をするためにも納得して共有できる目標や方針を定めてください。

メンバーの入れ替わりも想定しておく

複数の人間で起業する場合や起業前の段階、もしくは起業してからメンバーが入れ替わることも往々にしてあります。
できるだけ起業メンバーで力を合わせて成功したいと考えるかもしれません。

しかし、事業を進める上で、考え方の違いや置かれた立場によってメンバーが入れ替わるケースは少なからずあります。
考え方の違いが原因で辞める人がいたり、反対にスキルや知識を持った人を仲間に引き入れたりすることもあると留意しておきましょう。
起業を思い立ったメンバーにこだわり過ぎず、その時々で最適なメンバーと理解するようにおすすめします。

誘う側はビジョンをはっきりと伝える

友達と起業する場合、多くのケースではどちらかが起業を誘って、誘われた側が受け入れる形を取ります。
誘う側が注意しなければならないのが、誘う相手が共に起業するためにふさわしいかどうかという点です。

具体的には、自分とは異なるタイプのスキルを持っている人など、お互いに足りない部分を補えるような人を選ぶようにおすすめします。
また、事業をスムーズに進めるために、起業経験がある人や自分でビジネスをスタートした経験がある人も起業に向きます。

起業を誘う側は相手に対してどのようなビジョンがあるのか、将来的にどうしたいかを初めに伝えるようにしてください。
自分のビジョンを理解して共有できるようであれば、事業にも前向きに取り組んでくれると判断できます。

まとめ

友達との起業は、気心が知れた友達と和気あいあいと働ける点がメリットです。
しかし、ビジネスを進めていく上で、友達だからこそ言いにくい、受け入れがたい考え方の違いも気になるようになるかもしれません。

トラブルに発展することがないように、起業前にお互いの立場や出資割合のほか、どういったゴールを目指す企業なのかを徹底的に話し合っておくことが大切です。

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(編集:創業手帳編集部)

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