HRテクノロジーズ 鈴木 啓祐|起業で成功するキャリア形成の仕方とは? 元プロサッカー選手の起業家に聞く

創業手帳
※このインタビュー内容は2020年04月に行われた取材時点のものです。

アスリートから起業のためのキャリア作りはこうやった。起業したい人のための進路講座

(2020/04/21更新)

ドイツのブンデスリーガなどプロサッカーリーグでミッドフィルダーとして活躍した鈴木啓祐氏。現在は人材サービス「バクテン」を展開するHRテクノロジーズの代表取締役として手腕をふるっています。なぜ、元プロサッカー選手が人材業界で起業をしたのでしょうか。アスリートがセカンドキャリアで苦戦するケースも多い中、鈴木氏は起業までの「キャリア戦略」でノウハウやネットワークを形成し、起業を成功させました。そんな鈴木氏に、自身も大手企業とベンチャーでの修行を経験し起業した創業手帳代表の大久保がインタビュー。起業で成功するためのキャリア戦略を聞きました。

鈴木啓祐(すずきけいすけ)
HRテクノロジーズ株式会社 代表取締役。7歳からサッカーを始め、プロを目指し20歳で単身渡独。ケガなどの故障を乗り越えながら、ドイツ、ポーランド、タイのチームでプレー。プロ引退後に入社したエン・ジャパンでは、持ち前の粘り強さを発揮しトップセールスを記録した。その後、人財採用コンサルタントとして独立、起業。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

起業を支援する冊子「創業手帳」では、起業家インタビューを多数掲載しています。実際に起業を経験した方々のリアルな情報が満載ですので、ぜひご覧ください。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

プロのサッカーリーグでの経験がその後のキャリアにつながった

大久保:欧州を始めとしたプロサッカーの世界はどうでしたか?サッカー選手としてのキャリアやエージェントとのエピソードがあれば教えて下さい。

鈴木:ドイツにいくときは、エージェントを介さずに直接入団をしました。現地からのオファーがあり、現地でコーディネートしてくれる人もいたので直接入団が可能だったのです。言葉が通じないので、コーディネーターの存在は大事でした。

ドイツに渡って一番大変だったのは、とにかく言葉でした。身振り手振りもありますが、それでも言語は“超”が何個もつくほど大事だと痛感していました。

はじめは思うようにコミュニケーションが取れなくて、伝えたいことが通じないのが精神的にもきつかったです。

このままではダメだと、そこから覚えて、必死に勉強をしました。小さな辞書をいつもポケットに入れて、わからなければすぐ調べることをやっていました。

辞書2冊をすね当てにしたこともあります。笑いを取るパフォーマンスでもあったし、辞書を持っている、つまりコミュニケーションをとるために努力している、ということをチームメイトにアピールする意味もありました。

大久保:プロのサッカー選手がなぜ人材業界で起業しようと思ったのでしょう?

鈴木:プロ引退後に、知り合いの紹介で転職エージェントの会社に入社したんです。働いているうちに、人財業界のいろんな課題が見えてきました。

例えば、人材紹介会社は高いインセンティブを払ってくれる企業に優先的につなげたがる、企業は高い金額を人材紹介会社に支払って紹介してもらう、求職者は希望に沿わない紹介をされて、マッチングがうまくいかない・・・これでは誰も喜べないです。業界の構造から変えていく必要を感じました。

それと、サッカーを通してさまざまな人に関わってきたことも、起業した理由の1つです。チームメイトやスタッフ、コーディネーターなどたくさんの人にお世話になりました。人と人とを結ぶ人財業界に、サッカーと同じように熱意をもって取り組めると思ったんです。

大久保:いきなり起業ではなく、会社に就職していますよね。そこで得たものは?

鈴木:起業しようなんて最初は全然考えていなかったです。サッカーと同じ熱で、セカンドキャリアで結果を出そうと、がむしゃらにやっていました。

会社で働いて得られたのは自信です。サッカーと同じ熱量の向き合い方を仕事に持ち込めば、同じように結果は出るのだとわかりました。勝ちパターンみたいなものがあるんです。サッカーで突き抜けた経験が、キャリアでも突き抜けるところにつながっていってます。

起業はゴールではない。キャリア形成は逆算の発想で!

大久保:鈴木さんが起業して始めた「バクテン」とはどういうサービスですか?

鈴木:バクテンは、転職業界で常識とされていたことに違和感を覚えたことがきっかけで生まれたサービスです。従来のサービスと比べて、圧倒的なユーザーファーストの転職支援サービスを目指しています。大きく3つの特徴があります。

求人の紹介をしない
転職希望者が志望企業を決め、内定に向けた徹底的な支援を実施しています。人材紹介に長く携わっている経験豊富なエージェントのうち、私が厳選したプロフェッショナルのみが徹底サポートします。

転職者には最大100万円のキャリアアップ支援金を提供
「バクテン」を利用して転職をした方には、最大100万円のキャリアアップ支援金を提供しています。転職後に備えたスキルアップなどに活用してほしいと思っています。

バクテンコミュニティへの参加
バクテンには、転職後もキャリア支援をするために作られた各業界・業種の転職者を集めたコミュニティがあります。多種多様な企業の情報収集や学び合い、新たなビジネスチャンスの創出など、さまざまな機会を生み出す場の提供を目的としています。

大久保:なるほど、新風を起こしそうなサービスですね。鈴木さんのように、起業したいテーマがある場合、どういうキャリア形成をしていくのが良いと思いますか。

鈴木起業は手段でしかないと思うんです。起業をゴールにしたら、キャリア形成として失敗するのではないでしょうか。
起業の先にある、実現したいことをイメージして、逆算して考えれば、おのずとキャリアはみえてきます。

一方で、やってみないと見えてこないのもある。ですから実際は、やりながら逆算して結果を出し続けるというのが現状です。

起業したい、何かやりたいと言ってばかりで、行動せず人を羨ましがっているようでは、起業で成功するのは無理です。
行動にうつせるかどうかは、本気でやりたいと思えているかどうかに比例します。

起業の準備で大事なのは、「覚悟」と「仲間」

大久保:起業ではどういう準備が大事ですか? ご自身の経験をふまえて教えて下さい。

鈴木:自分の強みを知って、磨き続けることです。ビジネスをする以前に、自分と向き合って、どこで戦っていけるか考えること。自分にやり続けられる覚悟があるかどうかも、見極める必要があります。

それと、強力な仲間集めからやったらいいかと思います。サッカーもチームスポーツですが、ビジネでも周りにできる人や支援者がいないと難しいことが多いです。

いろんな人がいないとサービスって成功できないことがあって、同じ船に乗る仲間と協力していかないと、うまくいかないですね。

大久保:では、これではいかんという失敗するキャリア形成について教えて下さい。

鈴木じつは一番険しい道をすすむのが、最短の道になるんです。
なんとなくやっているとなんとなくにしかならないので、思考停止は良くないですね。

大久保:アスリート同様、起業や経営も決断する仕事だと思います。鈴木さんが自分の方向を定める時にはどのように考えていますか。

鈴木:何かを決める時に不安があるのはプラスだと思っていて、不安がないとそれ以上の成長はないと感じています。

決断する状況そのものをプラスにとらえている、まだ上を目指せるという発想です。決断する状況がなくなったら、ある意味終わりです。

決断するときはよく考えたうえでします。決めた後はぶれません。意思の強さは自覚があります。

大久保:最後に余談ですが、生活で習慣にしていることは何かありますか。

鈴木:プロを引退した今でもトレーニングは欠かせないです。朝起きたら、まずはプロテインとサプリを飲んでいます。やはり何事も身体は資本なので、いまでも食べ物に関しては結構気をつかっています。

大久保:ありがとうございました!

「冊子版 創業手帳」では起業家インタビューの他、資金調達や販路拡大など創業時に役立つ情報を多数掲載しています。ご利用は無料です。

関連記事
元サッカー日本代表・AuB 鈴木啓太 がバイオで起業!「腸」とアスリート的仕事論
サッカー選手から酒屋さんへ。「純米酒専門YATA」山本将守氏が実践する「プロの仕事と経営者の本質」(インタビュー前編)

(編集:創業手帳編集部)

(取材協力: HRテクノロジーズ株式会社/代表取締役 鈴木啓祐
(編集: 創業手帳編集部)



創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す
今すぐ
申し込む
【無料】