ソニー生命は福利厚生制度の設計から従業員の自助努力の備えまでをサポート

法定・法定外福利厚生に対する理解を従業員へ促し、自助努力で必要な備えを明確化


近年は法定福利厚生費が増加傾向にあり、経営者の悩みの種のひとつです。一部では、法定外福利厚生費を削減する動きもみられます。しかし、従業員のモチベーションアップや離職の抑制、一体感の醸成と言った観点から、むやみに福利厚生を削減するのは適切ではありません。

いたずらにコストを掛けずに従業員が必要とする福利厚生を提供するために、制度の見直しや整理をするのも一案です。また、従業員に自社の福利厚生に対する理解を促して、有効活用してもらうことも大切です。そのうえで、将来に向けた不安に対しては、個人保障(自助努力)で備えることを後押しする必要があります。

今回の記事では、福利厚生の基本的なしくみや、企業の福利厚生の考え方についてまとめました。後半では、ソニー生命が従業員向けに提供可能なコンサルティングサービスについても紹介します。

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1.そもそも福利厚生とは?

福利厚生とは、企業が支払う「給与・賞与」のほかに、従業員やその家族に提供する休暇制度や各種補助などの施策・制度です。

福利厚生の例のひとつとして、健康保険があります。健康保険は、医療サービスの負担額を実際の医療費の原則3割で軽減する制度です。健康保険の掛金は企業と従業員で折半負担しています。いざというときの医療費負担を軽減して、従業員やその家族が毎日安心して暮らすための備えを提供する福利厚生のひとつです。

福利厚生を充実させると、つぎのような効果が期待できます。

  • 労働力の確保や定着
  • 従業員のモチベーションアップや生産性向上
  • 従業員の帰属意識、一体感醸成

福利厚生は、正社員だけに適用されるものではありません。むしろ、近年は福利厚生制度の対象者をパートタイマーや派遣の従業員など非正規雇用者に拡大する動きが広がっています。

その背景には、2020年4月1日に「パートタイム・有期雇用労働法」と「労働者派遣法」が改正されたことがあります。法改正によって、正社員・非正規雇用者が同一労働であれば、福利厚生を含めた待遇を同一にすることが義務づけられたのです。

雇用者の定着やモチベーションアップなどを実現するうえでも、福利厚生制度の充実化が有効な手段の一つとなります。

2.福利厚生の変遷

時代の流れや働き方の変化とともに福利厚生のあり方も変化しています。

かつては、経営者から従業員まで組織の「帰属意識」を強める福利厚生に重点がおかれていました。社員を家族のように捉えて、年金支給が開始するまでの終身雇用を維持してきたことも福利厚生のひとつとして機能していました。

そのほかにも、社員旅行や社員運動会といった企業の一体感を高めるイベントが盛んに開催されてきました。社員寮や保養所といった「ハコモノ」の福利厚生が多かったのも特徴です。

平成中期以降は、個々人の生活の質にフォーカスが当てられて、ワークライフバランスの改善やモチベーションアップ、ウェルビーイングの促進などが重視されるようになりました。たとえば、働き方改革とともに普及しつつあるフレックスタイムやノー残業デーの設置、資格取得や自己啓発プログラムに対する補助・支援などがみられます。「ハコモノ」重視の福利厚生から「ヒトモノ」重視へ変わりつつあるのです。

3. 福利厚生は3つの要素で構成されている

福利厚生は、下の図のとおり3つで構成されています。

  • 社会保障(法定福利厚生)|企業が提供を義務づけられている法定福利厚生
  • 企業保障(法定外福利厚生)|法定外で企業が提供する福利厚生
  • 個人保障(自助努力)|従業員が個人負担で加入

社会保障(法定福利厚生)

法定福利厚生にはつぎのようなものがあります。

厚生年金保険

公的年金制度の一つで、国民年金に上乗せして老後に支給される年金制度です。企業と従業員で折半して拠出します。正社員のほか、1日の労働時間が一般社員の4分の3以上である非正規雇用者も加入が義務づけられています。

健康保険

従業員やその家族の医療費負担が原則3割に低減される制度です。大きく分けて3つの種類があり、企業・団体によって、各従業員はこのうち一つの健康保険に加入します。

  • 組合管掌健康保険(組合健保)|主に大企業の従業員が加入
  • 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)|主に中小企業の従業員が加入
  • 共済組合|公務員が加入

介護保険

健康保険などの医療保険加入者のうち、40歳から65歳未満の人が第2号被保険者となって保険料が徴収されます。

雇用保険

従業員をひとりでも雇う法人に、加入が義務づけられています。保険料は企業と従業員の折半です。さらに、雇用安定事業・能力開発事業については、事業主が上乗せ負担しています。従業員が退職して失業した場合に、一定の条件・期間において保険金が支給されます。

労働者災害補償保険(労災保険)

労災に対して補償金が支給される制度です。労災とは、業務上および通勤中の災害や事故により労働者が負傷・疾病などの被害を受けたり、死亡もしくは障害が残ったりした事象を指します。こちらは企業が保険料を全額負担します。

子ども・子育て拠出金

厚生年金保険を適用する企業が、子どもの育成にかかる費用を社会全体で負担するとの観点から、保険料を支払います。

企業保障(法定外福利厚生)

法定外福利厚生の一例は次のとおりです。一般に従業員が思い描く福利厚生としては、法定外福利厚生の印象が強いでしょう。

従業員の資産形成

以下の例のように、従業員の資産形成を促進する支援制度です。

  • 財形貯蓄制度
  • 社内貸付制度
  • 従業員持株会
  • 退職金制度
  • 企業型確定拠出年金制度(企業型DC)

多くの企業が、以上のような制度を用いて従業員の資産形成を進めたり、必要な時に有利な条件で資金を借入できる制度を導入しています。また、金融教育などのセミナーを実施して、金融リテラシーの向上を図る例などもみられます。

働きやすい環境づくり

従業員が子育てや家事などのプライベートな予定と両立しながら快適に働ける制度です。

  • 社内託児所
  • 短時間勤務・時差通勤制度
  • フレックスタイム制度
  • ベビーシッター補助

従業員のワークライフバランスを維持するうえで、有効な制度といえます。また、子育てや介護を理由とした離職の予防にもつながります。

企業・組織文化の浸透

企業の帰属意識・一体感の醸成や企業文化を浸透させるうえで有効な取組もあります。

  • 社員旅行
  • 運動会などの社員イベント
  • 部活・サークル活動

社員旅行や社員イベントは、平成以前から多くの企業でみられた制度です。近年は、従業員同士のつながりを維持しつつ、自分が取り組みたい趣味・特技に打ち込める部活・サークル制度を積極的に導入する企業もみられます。

健康増進

基本的な健康診断は、企業の法定義務の一つですが、さらなる健康増進のために追加の制度を導入するケースも少なくありません。

  • 人間ドッグの費用負担・補助
  • がん検診の費用負担・補助
  • インフルエンザなど各種予防接種の費用負担・補助
  • メンタルヘルスケア制度

健康増進を目的とした福利厚生の充実は、従業員の健康維持に役立ちます。病気に伴う離職・休職の抑制効果にも期待できます。

キャリア・ライフプラン支援

資格取得や、長期的なライフプラン形成を支援する福利厚生制度もいくつかあります。従業員それぞれが理想とするキャリア・ライフプランを明確にし、その夢の実現に貢献する制度です。

  • 資格取得支援
  • 自己啓発セミナーの参加費補助
  • 留学・海外研修の費用補助

教育研修費

従業員のスキルアップに役立つ研修の開催や研修費補助などを行う企業も少なくありません。

  • スキルアップ研修
  • リスキリング研修
  • 企業理念研修

従業員のキャリア形成やスキルアップに役立つほか、企業理念を浸透させて帰属意識を高めるうえでも有効です。

個人保障(自助努力)


法定・法定外福利厚生で不足する部分は、自助努力によって備えておかなければなりません。法定外福利厚生は企業によって制度が異なります。たとえば人間ドッグや予防接種など、自分が必要とする制度がなければ、自己負担で対応する必要があります。

また、将来に対する備えについても、多くの方が自分で補っています。たとえば、生命保険に加入すれば、突然の傷病による医療費の増大への備えが可能です。収入が途絶えたときに補填する役割を果たす保険商品もあります。

老後にゆとりある生活を送るために、iDeCoで資産形成を図るのも有効です。iDeCoとは、個人が掛金を拠出して、自分の判断で定期預金や投資信託などで年金を運用する制度です。積み立てた資金は老後に一時金もしくは年金として受け取ります。

法定・法定外福利厚生で不足する部分については、このように生命保険や各種制度・サービスを活用して補うことが大切です。

4. 法人の成長ステージごとに必要な福利厚生は変化

必要とされる福利厚生は企業の成長ステージによって変わります。

創業期はそもそも資金繰りが厳しく、福利厚生に回せる資金が限られています。昼食補助や結婚・出産時の祝い金など、比較的低コストで導入できて従業員に喜ばれる制度に絞って導入するのがおすすめです。また、家族参加のイベントなど組織の一体感を高める制度も有効です。

成長期に差し掛かったら、少しずつ制度を充実させることを検討しましょう。社宅や住宅購入支援制度など、従業員の住居費を抑える制度の導入も有効です。また、休憩室・リフレッシュ施設などの導入は、従業員の労働環境の改善に役立ちます。

従業員それぞれが必要とするスキルを身につけてもらうために資格支援制度の導入も良いでしょう。資格支援制度は、今後さらに企業が成長する中で、スキルを持つ優秀な従業員を確保するうえでも有効です。

安定期に入ったら、社員に寄り添った制度をさらに充実させていきましょう。たとえば、社員食堂を設置することで、労働環境のさらなる改善が見込めます。また、長期在籍社員が増えてくる時期でもあります。勤続年数に応じた表彰制度で、従業員の定着や組織の一体感を高めましょう。福利厚生制度の魅力が高ければ、従業員の定着や優秀な人材の獲得に有効です。

事業承継期には、これまで導入した福利厚生制度を再構築する必要があるかもしれません。従業員にあまり利用されていないにも関わらずコストのかかる制度は、廃止も選択肢です。一方で、カフェテリアプランや柔軟な勤務体系の構築など、従業員のワークライフバランスやウェルビーイングを増進する福利厚生制度の拡充を検討してみてはいかがでしょうか。

自社の成長ステージに合わせた経営支援・コンサルティングに興味がある方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
ソニー生命は、会社と経営者個人の両面を考慮したコンサルティングを実施

ソニー生命に経営や福利厚生に関する各種ご相談をされたい方はこちら。

5.いま、従業員が求めている福利厚生とは?

人材確保・定着や離職の防止といった観点から、福利厚生の拡充は企業の重要課題のひとつです。一方で、いたずらに制度を増やしてコストを増大させるわけにもいかないため、従業員が求める制度を積極的に導入していく必要があります。

Utillyのアンケートによると、従業員が注力を希望する福利厚生のジャンルは次のとおりです。

回答者2,039人のうち「休暇制度関連」が650人と最も多く、次いで「健康増進」が428人、「働き方関連」が349人と続いています。充実した休暇制度や柔軟な勤務体系で、プライベートと両立させながら働きたいと考えている従業員が多い実情が伺えます。

また同時に、健康志向が高まる中で、健康を維持しながら老後まで安心して働きたいと考える従業員も多く見られます。福利厚生制度を充実させるときには、これらのテーマの制度から拡充していくと、従業員の定着や離職防止の観点から有効と思われます。

6.自助努力の支援はお金をあまりかけずにできる福利厚生

「知識」という無形資産を与える福利厚生も、大きな価値があると考えられます。先のアンケートでも「財産形成にかかわる福利厚生」が4位でしたが、退職金制度や財形貯蓄制度といった資産形成手段を提供するだけでなく、資産形成やライフプランに関する研修を提供するのも一案です。

お金に関する不安は世代を問わず共通の悩みです。特に昨今は「年金だけでは老後生活が賄えない」「老後に向けて2,000万円の資産形成が必要」といったニュースが話題になるなど、老後に向けた資金に不安を抱く方が増えています。

従業員が不安を解消するための知識を提供して、安心して老後に向けて資産形成を進められる状態をつくるのも、福利厚生のひとつのあり方といえるでしょう。

7.不安の解消に第⼀歩を踏み出せない理由は「どうやって始めたらよいかわからないから」

将来の資産形成に悩む背景には「どうやって始めたらよいかわからない」ことがあります。第一歩を踏み出せないがゆえに、将来への不安も解消できない方が多いのです。

たとえば「貯蓄から投資へ」と言われても、資産形成の始め方がわからない、資産形成商品が多すぎて選べない、市場動向を自分で調べる余裕がないといった悩みがあります。

「老後に向けた資産形成」を目指したくても、損失が怖いと考えて前に進めない人が多くいます。また、自分にとって本当に必要な金額がわからない、今から始めても遅すぎるのではないか、と考えて行動に移せない方もいます。

「人生100年時代」といわれるなかで、将来の健康への不安、万が一に対する備えなどに不安を感じている方もいます。

さまざまな不安に対して、自身だけで答えを出して行動に移すのは容易ではありません。ソニー生命のライフプランナーは、それぞれの悩みに寄り添って、将来への備えのために必要なサポートを提供します。

8.従業員に法定・法定外福利厚生を理解してもらい、さらに個人保障について考えてもらおう

自社の法定・法定外福利厚生の内容を従業員に正しく理解し、有効活用してもらうことがまず第一です。そのうえで、自社を通じて提供される法定・法定外福利厚生では足りない部分について「なにを個人保障で備えるべきか」考えてもらうことが必要になります。

経営者が能動的に従業員にメッセージを発信して、一人ひとりに必要なことを理解してもらいましょう。将来に向けた備えの可視化は、不安の解消につながり人材の定着にも有効です。

その可視化をサポートするために、「福利厚生やお金に関する知識を習得する場」を従業員に提供してみてはいかがでしょうか。ソニー生命では、企業の福利厚生制度設計のご相談はもちろん、従業員の皆さまに向けた知識の提供やコンサルティングにも対応しています。

9.ソニー生命が提供するコンサルティングやライフプランニング

ソニー生命では、法定外福利厚生のひとつである退職金のコンサルティングや、一人ひとりの将来を見通したライフプランニングのサポートを行っています。また、経営者さまや総務担当者さま向けはもちろん、従業員の皆さま向けに金融教育に関するセミナーも開講しています。

企業の福利厚生を拡充するとともに、ライフプランや資産形成の悩みを解消して、従業員に安心をもたらすことが可能です。福利厚生にお悩みの経営者の方は、ぜひ従業員向けのサポートも含めて、ソニー生命にお問い合わせください。

ソニー生命について、より詳細に知りたい方は下記をご覧ください。
ソニー生命の法人公式ホームページ

ソニー生命に福利厚生に関する各種ご相談をされたい方はこちら。

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・当資料は、2024年2月現在の社会保険制度に基づき作成しております。詳細につきましては、所轄の年金事務所、健康保険組合または各市区町村等にご確認ください。

(監修: ソニ-生命保険株式会社
(編集: 創業手帳編集部)

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