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2024年12月19日【公正取引委員会】「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」結果発表
2024年12月16日、公正取引委員会は、「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」の結果について発表しました。
公正取引委員会は、価格転嫁円滑化に関する政府全体の施策である「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に基づく取組の一環として、令和4年1月26日に「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」を改正するとともに、令和4年2月16日、公正取引委員会のウェブサイトに掲載している「よくある質問コーナー(独占禁止法)」のQ&Aに、特定の行為が、独占禁止法上の優越的地位の濫用の要件の一つに該当するおそれがあることを明確化しました。
そして、独占禁止法Q&Aに該当する行為が疑われる事案や価格転嫁の状況等を把握するため、令和4年度に「独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査」を、令和5年度に「独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」を実施しました。
令和6年度においては、労務費転嫁交渉指針に基づく発注者・受注者の行動をフォローアップすることにより労務費の転嫁円滑化の進捗状況を把握するとともに、引き続き独占禁止法Q&Aに該当する行為が疑われる事案に関する実態等を把握するため、「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」を実施し、今回、その結果を取りまとめました。
価格転嫁とは、企業が原材料費、人件費、エネルギーコストの変動を製品やサービスの価格に反映させる行為を指します。近年、エネルギー価格の高騰、物価上昇、円安の進行などを背景に、企業はコスト増加への対応を迫られる状況にあります。適切な価格転嫁は、企業が利益を維持し、事業を継続するために欠かせない重要な戦略のひとつです。
一方で、中小企業が価格転嫁を実施するのは簡単ではありません。取引先との交渉力が弱い場合や、競争が激しい市場では、価格を引き上げることにより顧客を失うリスクが伴うため、コスト増を自社で吸収せざるを得ない状況も少なくありません。
こうした中で、公正取引委員会は、以下の行為を独占禁止法の優越的地位の乱用の要件のひとつに該当する恐れがあることを明確にし、周知を図っています。
・労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと
・労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を書面、電子メール等で取引の相手方に回答することなく、従来どおりに取引価格を据え置くこと
今回の「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」では、価格転嫁の状況について、企業の回答をもとに分析を行っています。
たとえば、労務費転嫁交渉指針を知っていた者のうち、受注者の立場で、「労務費の上昇分として要請した額について、取引価格が引き上げられた」と回答した者の割合は51.8%となり、労務費転嫁交渉指針を知らなかった者の同割合の38.9%よりも12.9ポイント高い結果となるなど、正しい知識を有している企業が有利な取引を実現しているという結果になるなど、興味深いデータが公表されています。
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