LINEマーケティングとは?4つのマーケティング手法や成功した会社の事例など紹介
LINEマーケティングとは?成功した会社のマーケティング事例やメリット・デメリットなどご紹介
日常生活やビジネスで、コミュニケーションのためにLINEを使わない人はもはやいないでしょう。国内のBtoCマーケティングにおいて、LINEを活用しないことは大きな機会損失です。そのユーザー数の多さとリーチしやすさを積極的に活用していきたい、と考えている起業家・経営者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、LINEを使ったマーケティングの方法やメリット・デメリット、事例などをまとめてご紹介します。
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この記事の目次
LINEマーケティングとは?
LINEマーケティングは、日本で最も普及しているコミュニケーションアプリ「LINE」を活用したマーケティング戦略です。企業やブランドは、このプラットフォームを通じて顧客との直接的なつながりを構築し、様々なビジネス目標を達成しようとしています。
総務省の「令和5年 情報通信に関する現状報告の概要」によれば、LINEは国内で圧倒的な支持を得ており、月間アクティブユーザー数が9,700万人に達しています。これは、利用者数と利用率の両面で、日本国内のSNSの中でトップの座を占めていることを示しています。
この広範な普及を背景に、特に一般消費者向け(BtoC)のビジネスを展開する企業にとって、LINEは極めて魅力的なマーケティングツールとなっています。顧客へのリーチが容易であることから、多くの企業がLINEを活用したマーケティング施策を積極的に展開しています。
LINEマーケティングの主な目的には、商品やサービスのプロモーション、顧客とのエンゲージメント強化、ブランド認知度の向上などが挙げられます。これらの目標を達成するため、企業は LINE の様々な機能や特徴を巧みに利用し、効果的なコミュニケーション戦略を構築しています。
このように、LINEマーケティングは日本の消費者市場に深く浸透したコミュニケーションツールを活用することで、企業と顧客との距離を縮め、より効果的なマーケティング活動を可能にしているのです。
LINEマーケティングでできることは?4つの手法
LINEマーケティングで活用できる主要な4つの手法についてご紹介します。
LINE公式アカウント
LINE公式アカウントは、日本で圧倒的な普及率を誇るコミュニケーションアプリ「LINE」上で展開されるビジネス向けサービスです。2024年3月末時点で、LINEの月間アクティブユーザー数は9,700万人に達し、これは日本の人口の約70%に相当します。
この広大なユーザーベースを活用し、LINE公式アカウントは企業や組織が友だち登録したユーザーにメッセージを送信できる強力なプラットフォームとなっています。アカウントを開設することで、企業は効果的な販促活動や集客施策を実施する機会を得られます。
LINE公式アカウントの特筆すべき特徴は、そのメッセージの高い開封率です。ユーザーの個人的な友人からのメッセージと同じように扱われるため、企業からの情報も高い確率で閲覧されます。LINEヤフー社が2022年6月に実施した調査によると、LINE公式アカウントから配信されるメッセージの平均開封率は55%に達しています。
この高い開封率は、企業にとってユーザーへの効果的なアプローチを可能にします。通常のマーケティング手法と比較して、より多くのユーザーに確実に情報を届けることができるため、LINE公式アカウントは日本市場でのデジタルマーケティング戦略において重要な位置を占めています。
このように、LINE公式アカウントは日本の消費者に深く浸透したコミュニケーションプラットフォームを活用し、企業とユーザーとの直接的かつ効果的なつながりを実現する強力なツールとなっているのです。
LINE広告
LINE広告は、日本で圧倒的な利用者数を誇るコミュニケーションアプリLINEを活用した広告配信プラットフォームです。2024年3月末時点で、LINEの月間アクティブユーザー数は9,700万人に達しており、この巨大なユーザーベースに向けて広告を展開することが可能です。
LINE広告の特徴は、LINEアプリ内の様々な場所に広告を配信できることです。「トークリスト」「LINE NEWS」「LINE VOOM」をはじめ、LINEの多様なサービス内に広告を表示することができます。さらに、オンラインで簡単に広告設定ができるため、企業や個人事業主でも手軽に利用することができます。
他の主要SNSの国内ユーザー数と比較すると、LINEの圧倒的な優位性が明確になります。X(旧Twitter)が4,500万人、Facebookが2,600万人、Instagramが3,300万人とされる中、LINEの9,700万人という数字は群を抜いています。
この驚異的なユーザー数は、広告主にとって非常に魅力的です。それだけ多くのユーザーに広告でリーチできる可能性があるということは、日本市場でSNS広告を展開する際に、LINE広告を最優先で検討すべき理由となります。
したがって、日本でSNS広告を出稿しようと考える企業や個人は、まずLINE広告の活用を真剣に検討する必要があります。その広範なリーチと多様な広告配信オプションは、効果的なデジタルマーケティング戦略を構築する上で、極めて重要な役割を果たすことができるのです。
LINEチラシ
LINEチラシは、LINEアプリ内で展開されるデジタルチラシサービスです。従来の折込チラシやダイレクトメール(DM)に代わる新しい広告媒体として、主に小売企業などに利用されています。
このサービスの主な特徴として、LINEの公式アカウントを通じてメッセージを配信できる点が挙げられます。これにより、即効性の高い顧客誘導が可能となります。また、商圏設定機能を備えているため、来店の可能性が高い顧客層に絞って情報を届けることができます。
さらに、LINEチラシには自動友だち追加機能があり、これによってユーザーとの新たな接点を創出し、定期的な情報配信を通じて継続的な関係性を構築することができます。コンテンツ面では、折込チラシデータ、個別商品データ、特集の3種類を入稿することが可能で、多様な情報発信に対応しています。
LINEチラシでは、セール情報やイベント告知など、様々な販促情報を配信することができます。商品詳細ページを活用すれば、商品名や価格だけでなく、元値や詳細な商品説明なども掲載することが可能です。
なお、LINEチラシに掲載されている商品の購入に関するお問い合わせは、直接掲載企業に連絡する必要があります。具体的な連絡方法や手順については、各掲載企業の公式サイトなどで確認することをおすすめします。
LINEプロモーションスタンプ
LINEプロモーションスタンプは、企業がLINEユーザーに無料または特定の条件下で提供するスタンプサービスです。このサービスを利用するために、企業はLINEヤフー株式会社に広告費を支払い、自社のブランド認知拡大や商品プロモーションを図ることができます。
このサービスの主な特徴の一つは、LINE公式アカウントの友だち数を増やせる点です。スタンプのダウンロード条件として「LINE公式アカウントの友だち追加」を設定できるため、新規顧客の獲得と既存顧客へのアプローチの両方に効果的です。また、スタンプのデザインに自社のロゴやキャラクターを使用できるため、ユーザーがスタンプを使用するたびに自社ブランドの露出が増え、認知度向上や広告効果の増大が期待できます。
LINEプロモーションスタンプを利用するには、LINE公式アカウントが認証済アカウントまたはプレミアムアカウントである必要があります。サービスには、スタンプの配布方法や課金形式によって様々なプランが用意されていますが、最も低価格なプランでも200万円からとなっています。
このサービスは、デジタル時代におけるユーザーとのコミュニケーション手段として非常に効果的です。ユーザーの日常会話の中に自然な形で企業のブランドを組み込むことができ、従来の広告手法では難しかった親密で継続的な顧客とのつながりを構築することができます。ただし、高額な初期投資が必要なため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
LINEマーケティングのメリット
以下でLINEマーケティングのメリットをご紹介します。
圧倒的なユーザー数の多さ
LINEの圧倒的な普及率はLINEマーケティングの大きなメリットです。日本国内のLINE月刊アクティブユーザー数は9,700万人で、幅広い年齢層に利用されています。これは、多様な顧客層にリーチできる可能性を意味し、特に若年層から中高年層まで幅広くアプローチできる点が大きな強みです。
高いメッセージ開封率と即時性
高い開封率と即時性もLINEマーケティングのメリットです。LINEメッセージの開封率は通常のメールマーケティングと比べて格段に高く、上記のように平均開封率は55%です。また、ユーザーの多くがプッシュ通知を設定しているため、メッセージが届いた瞬間に読まれる可能性が高く、即時性のあるキャンペーンや情報発信に適しています。
コスト効率の良さ
コスト効率の良さもLINEマーケティングの重要なメリットです。LINEマーケティングは、従来の広告媒体と比較して低コストで実施できます。
特に、LINE公式アカウントは、月々200通までなら無料でメッセージを送れます。その上、一度友だち登録をしてもらえば、その後の継続的なコミュニケーションにほとんどコストがかからないため、コストをかけたくない小規模事業者が長期的な関係を顧客と構築するためのツールに適しています。
一人一人に合ったコミュニケーションができる
パーソナライズされたコミュニケーションが可能な点も、LINEマーケティングの大きなメリットです。LINEの1対1のメッセージング機能を活用することで、顧客一人ひとりに合わせたコンテンツやオファーを提供できます。これにより、顧客満足度の向上やロイヤリティの構築につながります。
いろいろな機能が使える
さらに、多様な機能を活用できる点も、LINEマーケティングの魅力です。テキストメッセージだけでなく、画像、動画、クーポン、アンケートなど、様々なタイプのコンテンツを送信できます。また、LINEポイントやLINE Pay連携など、LINEのエコシステムを活用したキャンペーンも展開可能です。
双方向コミュニケーション
双方向コミュニケーションができることも、LINEマーケティングの重要なメリットです。顧客からの問い合わせやフィードバックを直接受け取ることができ、迅速な対応が可能です。これにより、顧客サービスの質を向上させ、ブランドイメージの向上にもつながります。
データ分析で顧客のインサイトを探る
データ分析で顧客理解を深められる点も、LINEマーケティングのメリットです。LINEの分析ツールを使用することで、メッセージの開封率やクリック率、顧客の行動パターンなどを詳細に把握できます。これらのデータを活用して、マーケティング戦略の最適化や顧客理解の深化を図ることができます。
オンラインとオフラインの連携
最後に、オフラインとオンラインの連携が容易である点も挙げられます。実店舗でのLINE友だち追加を促進したり、オンラインでの購買行動を実店舗に誘導したりと、オムニチャネル戦略の実現に適しています。
LINEマーケティングのデメリット
LINEマーケティングにはいくつか押さえておくべきデメリットも存在します。以下でご紹介します。
メッセージ配信頻度の調整の難しさ
メッセージの配信頻度には気をつけなければいけません。過剰な配信はユーザーのブロックや離脱を招く恐れがあり、適切なバランスを見つけることが重要です。
リッチなコンテンツの配信は難しい
コンテンツには文字数や添付ファイルサイズの制限があり、詳細な情報の提供やリッチなコンテンツの配信が困難な場合があります。
継続的な運用が必要
継続的なコンテンツ作成や顧客対応に多くの労力が必要となります。特に、即時性が求められるプラットフォームであるため、迅速な対応が常に求められ、準備不足に陥りやすい面があります。
金銭的なコスト
コスト面では、有料サービスや広告費用が必要となる場合があり、予算の制約がある企業にとっては課題となる可能性があります。
例えば、基本無料のLINE公式アカウントを利用する場合、メッセージ数は月々200通までしか送れません。より多くのメッセージを送りたい場合には有料の「ライトプラン」「スタンダードプラン」などに課金する必要があります。LINE広告を打つ場合も同様に、お金がかかります。コスト制約があることは考えなければなりません。
競合他社との差別化
多くの企業がLINEマーケティングを活用しているため、競合他社との差別化が難しくなっています。ユーザーの期待値も上昇しており、常に魅力的な特典や割引を提供し続ける必要があるかもしれません。
LINEマーケティングに成功している会社の事例
LINEマーケティングに成功している会社の事例をご紹介します。
株式会社Lond Holdingsの事例
株式会社Lond Holdingsは、国内外に72店舗を展開する新興の美容サロンチェーンです。2020年7月にLINE公式アカウントを開設し、美容業界向けのLINEミニアプリ「Saloriza」を導入しました。
これにより、顧客管理や予約、情報発信をLINEで一元化し、紙の顧客カルテを廃止しました。その結果、休眠ユーザーの再来店促進、LINE経由の予約増加による集客費削減、オンラインショップの売上向上などの成果を上げています。
Londは、長期間来店のない顧客の再獲得、新規顧客のリピーター化、大手美容ポータルサイトへの依存度低減を目指していました。そこで、LINE公式アカウントとSalorizaを活用し、顧客情報の一元管理とターゲットに応じたメッセージ配信を実施しました。
この取り組みにより、半年以上来店のなかった休眠ユーザーがメッセージ配信後1週間で再来店するなどの効果が現れました。また、あるスタイリストは指名予約の約40%を、ある店舗では全予約の約20%をLINE経由で獲得しています。これにより、大手美容ポータルサイトへの支払いも削減できました。さらに、LINE経由のクーポン配信で、オンラインショップの年末キャンペーンで通常の3倍の売上を達成しています。
株式会社バンダイナムコアミューズメント
株式会社バンダイナムコアミューズメントは、多様な年齢層をターゲットにした屋内アクティビティ施設を展開しています。「屋内・冒険の島ドコドコ」は乳幼児から小学校低学年向けのデジタル技術を活用した施設、「VS PARK」は幅広い年齢層向けのバラエティー番組風アクティビティ施設、「トンデミ」は小学生ファミリーや若者グループ向けの屋内アスレチック施設です。
各施設ごとにLINE公式アカウントを開設し、店内告知や友だち限定割引キャンペーンなどで友だち数の増加を図っていました。しかし、未来場の見込み顧客へのリーチが課題となっていました。
この課題解決のため、2023年2月からLINE広告の「友だち追加」機能を活用し、店舗外での友だち獲得を開始しました。各施設のメインターゲット層に合わせて広告配信を設定し、効果的なアプローチを行いました。
VS PARKでは、商業施設の商圏内の学生や家族を中心に、人流データと組み合わせて広告を配信。さらに、広告経由で獲得したユーザーデータを基に類似配信を行い、クーポン配布で来場を促進しました。
ドコドコでは、教育投資に積極的な家族層をターゲットに設定。トンデミは、店舗のある商業施設の商圏外で、住居数の多いエリアの家族層に焦点を当てて広告を展開しました。
これらのLINE広告施策の結果、約1万人の新規友だち登録を獲得することに成功しました。このアプローチにより、バンダイナムコアミューズメントは効果的に潜在顧客へのリーチを拡大し、各施設の認知度向上と集客力の強化を実現しました。
株式会社明光ネットワークジャパン
株式会社明光ネットワークジャパンは、全国47都道府県に展開する個別指導塾「明光義塾」を運営する企業です。2020年春にLINE公式アカウントを開設し、チャットコマース「ジールス」を導入しました。さらに、2023年3月から7月にかけて、人気キャラクター「サボロー」を起用したLINEプロモーションスタンプを展開し、友だち集客とデータ収集を行い、LINEを効果的に活用するための基盤を強化しました。
明光ネットワークジャパンは、Webサイトからの離脱を防ぎ、中長期的に「明光義塾」の魅力を伝えることでコンバージョン数を増やすこと、そしてユーザーの各種データを適切に収集し、今後の施策に活かすことを目的としていました。
そこで、LINE公式アカウントとジールスを導入し、Webサイト上のポップアップからLINE公式アカウントの友だち追加を促進しました。また、2023年3月から7月にかけて、学習塾に関するアンケートに回答すると「サボロー」のLINEスタンプがダウンロードできる施策を実施しました。さらに、スタンプの二次拡散で集客したユーザーに対して、クイズ形式のクリエイティブとともにアンケート回答を促しました。
これらの取り組みにより、LINEプロモーションスタンプを実施した約5カ月間で約20万人の友だちを獲得しました。そのうち約15万人はスタンプの二次拡散による集客でした。また、二次拡散で集めたユーザーからもインサイトデータを取得し、明光義塾への期待や他塾と比較検討した際の決定要因などの貴重な情報を収集することができました。
LINEビジネスとLINE@の違いは何?
最後に補足として、よくある質問の中でLINEビジネスとLINE@の違いは?というのがあります。
LINEビジネスアカウントとLINE@は、本質的に同じサービスを指しています。両者の主な違いは、名称の変更にあります。LINE公式アカウントが現在の正式名称であり、LINE@はその前身となる旧称です。
LINE公式アカウントは、企業や店舗がビジネス目的で使用するLINEアカウントです。このアカウントを通じて、友だち登録したユーザーのLINEアプリに直接メッセージを送信することができます。これにより、企業は顧客とのコミュニケーションを効果的に行うことができます。
2019年以前は、ビジネス用途のLINEアカウントにいくつかの種類がありました。「LINE公式アカウント」や「LINE@(ラインアット)」などの異なるプランが存在していましたが、2019年にこれらのサービスが統合され、「LINE公式アカウント」として一本化されました。
したがって、現在ビジネス用のLINEアカウントを作成したい企業や個人事業主は、LINE公式アカウントを利用することになります。この統合により、サービスの利用がより簡素化され、ユーザーにとってもわかりやすいものとなっています。
LINE公式アカウントは、企業や店舗が顧客とのつながりを強化し、効果的なマーケティング活動を展開するための強力なツールとして広く活用されています。
LINEマーケティングを活用しましょう
以上、LINEマーケティングについてご紹介しました。ぜひあなたも、積極的に活用してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)